リハビリテーション医療に関する長崎県のパブリックコメントを以下のHPで見ることができます。
http://www.pref.nagasaki.jp/koho/pubcom/h22/iryouseisaku/20101227/pdf/02_03_01.pdf
この中に、現状と課題として以下のような記述があります。
「リハビリテーションが必要な患者は,低栄養であることも多く、栄養管理とリハビリテーションを一緒に実施することが求められていますが、両者の連携はまだ十分とはいえません。」
現状と課題として、低栄養が多いこと、リハと栄養の連携が不足していることが認識されているのは、素晴らしいと思います。ほとんど認識されていないと感じることがまだ多いのが実情ですが。
また、施策の方向として以下のような記述があります。
「リハ栄養の考え方を普及し、適切な栄養管理下でリハビリテーションが行われるよう推進します。」
これは嬉しいですね。リハ栄養の考え方が臨床現場で普及すればリハが変わると信じています。これからの長崎県のリハが楽しみです。他の都道府県でもリハ栄養の普及を推進していただけると、もっと嬉しいです。よろしくお願いいたします。
2011年2月28日月曜日
第7回秋田県NST研究会
4月9日に第7回秋田県NST研究会が開催されます。私は今回、リハ栄養の講演をさせていただきます。お近くの方はぜひご参加ください。
http://www.nst-akita.com/topic/pdf/h230409.pdf
日 程 :平成23年 4月9日(土) 13:00~17:00
場 所 秋田大学大学院医学系総合研究棟 第6講義室
秋田県秋田市本道1-1-1 TEL 018-834-1111(代表)
第1部:13:00~
Ⅰ.各企業からの商品紹介 13:00~13:50
Ⅱ.事務局からの活動・会計報告 秋田県NST研究会事務局 中山 真紀
第2部:14:00~
研究会テーマ
『NST活動の変遷・コツと問題点』
I. 一般演題
II. 特別講演
座長 秋田大学大学院小児外科学講座 蛇口 達造
『リハビリテーション栄養の考え方と実践』
演者 横浜市立大学附属市民総合医療センター
リハビリテーション科 助教 若林 秀隆 先生
当日,参加費として1,000円頂きます(学生無料)
主催 秋田県NST(栄養サポートチーム)研究会
連絡先 秋田県NST研究会事務局 〒010-8543 秋田県秋田市広面字蓮沼44-2
秋田大学医学部附属病院栄養管理部内
代表世話人・栄養管理部長 蛇口 達造
事務局長・栄養管理部士長 中山 真紀
管理栄養士がリハビリテーションを学ぶ機会
管理栄養士(薬剤師と臨床検査技師もですが)がリハビリテーションを学ぶ機会について考えてみます。
リハ栄養としては、PT・OT・ST・DHが臨床栄養を学ぶ機会としては、日本静脈経腸栄養学会のNST専門療法士があります。NST専門療法士を目指して学習することで、臨床栄養の基本的な知識を習得することができます。
看護師が臨床栄養を学ぶ機会はやはりNST専門療法士があります。一方、リハを学ぶ機会としては、認定看護師制度や日本リハビリテーション看護学会があります。学習機会に困ることは少ないと考えます。
http://www.jrna.or.jp/
一方、管理栄養士(と薬剤師、臨床検査技師)がリハについて学ぶ機会はほとんどないと思います。学習機会がないため、機能訓練室やベッドサイドでPT・OT・STの様子を見たことがある人も、リハの定義やICFの概念を知っている人も少ないはずです。リハの基本を理解していなければリハ栄養の実践は困難です。
日本スポーツ栄養研究会には公認スポーツ栄養士養成制度がありますので、スポーツ栄養を学ぶ機会はあります。
http://www.jsna.org/
スポーツ栄養とリハ栄養は似ていて参考になるところもありますが、基本的には異なる概念です。そのため、スポーツ栄養士になってもリハ栄養が実践できるとは限りません。管理栄養士の卒前教育でも、PT・OTの学科が学内にあってもリハの授業はほとんどもしくはまったくないというのが現状です。
リハやICFの概念がなかなか医療界にさえ普及しないと思っていますが、そもそも管理栄養士(と薬剤師、臨床検査技師)がリハについて学ぶ機会がなかったのですね。これでは普及の仕様がありません。「リハビリテーション栄養ハンドブック」でリハの基本は学習できるようにしていますが、これで十分とは言いにくいです。
リハ栄養を学習する機会・場を作るのと同時に、リハを学習する機会・場も作らなければいけないと改めて感じました。仮に管理栄養士が回復期リハ病棟に1人専属で配属されるようになっても、リハの基本を学び、PT・OT・STの様子を現場である程度見なければ、リハ中の個々の障害者・高齢者に適切なリハ栄養管理を提案できるわけがありません。
PT・OT・ST・DHが臨床栄養にもっと関心を持つようになることに力を入れてきて、PT・OT・ST・DHのNST専門療法士MLを作成しましたが、管理栄養士がリハにもっと関心を持つようになることにも同じように力をいれなければいけませんね。やはりリハ栄養研究会が必要だと感じます。その前にまずは「リハビリテーション栄養ハンドブック」の宣伝を頑張ります(笑)。
リハ栄養としては、PT・OT・ST・DHが臨床栄養を学ぶ機会としては、日本静脈経腸栄養学会のNST専門療法士があります。NST専門療法士を目指して学習することで、臨床栄養の基本的な知識を習得することができます。
看護師が臨床栄養を学ぶ機会はやはりNST専門療法士があります。一方、リハを学ぶ機会としては、認定看護師制度や日本リハビリテーション看護学会があります。学習機会に困ることは少ないと考えます。
http://www.jrna.or.jp/
一方、管理栄養士(と薬剤師、臨床検査技師)がリハについて学ぶ機会はほとんどないと思います。学習機会がないため、機能訓練室やベッドサイドでPT・OT・STの様子を見たことがある人も、リハの定義やICFの概念を知っている人も少ないはずです。リハの基本を理解していなければリハ栄養の実践は困難です。
日本スポーツ栄養研究会には公認スポーツ栄養士養成制度がありますので、スポーツ栄養を学ぶ機会はあります。
http://www.jsna.org/
スポーツ栄養とリハ栄養は似ていて参考になるところもありますが、基本的には異なる概念です。そのため、スポーツ栄養士になってもリハ栄養が実践できるとは限りません。管理栄養士の卒前教育でも、PT・OTの学科が学内にあってもリハの授業はほとんどもしくはまったくないというのが現状です。
リハやICFの概念がなかなか医療界にさえ普及しないと思っていますが、そもそも管理栄養士(と薬剤師、臨床検査技師)がリハについて学ぶ機会がなかったのですね。これでは普及の仕様がありません。「リハビリテーション栄養ハンドブック」でリハの基本は学習できるようにしていますが、これで十分とは言いにくいです。
リハ栄養を学習する機会・場を作るのと同時に、リハを学習する機会・場も作らなければいけないと改めて感じました。仮に管理栄養士が回復期リハ病棟に1人専属で配属されるようになっても、リハの基本を学び、PT・OT・STの様子を現場である程度見なければ、リハ中の個々の障害者・高齢者に適切なリハ栄養管理を提案できるわけがありません。
PT・OT・ST・DHが臨床栄養にもっと関心を持つようになることに力を入れてきて、PT・OT・ST・DHのNST専門療法士MLを作成しましたが、管理栄養士がリハにもっと関心を持つようになることにも同じように力をいれなければいけませんね。やはりリハ栄養研究会が必要だと感じます。その前にまずは「リハビリテーション栄養ハンドブック」の宣伝を頑張ります(笑)。
週刊医学界新聞:第14回日本病態栄養学会開催
週刊医学界新聞の最新号:第2918号 2011年2月28日に、第14回日本病態栄養学会開催の記事が掲載されています。
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02918_01
日本静脈経腸栄養学会(JSPEN)との合同パネルディスカッション「わが国の栄養療法の将来を見つめて」と、シンポジウム「摂食・嚥下障害の最新栄養管理」の様子が紹介されています。私も後者のシンポジウムに参加しましたが、その要旨が掲載されていますので、上記HPより引用させていただきます。以下、引用です。
若林秀隆氏(横市大市民総合医療センター)は,嚥下筋萎縮の原因となるサルコペニアを解説した。サルコペニアは筋肉量・筋力が減少した状態を指し,その原因は,加齢,活動の減少,栄養不足,疾患の4つに分類されるという。氏は,原因をきちんと鑑別した上で,加齢なら筋力トレーニング,活動低下なら不要な安静・禁食の回避など,最適な治療法を選択することが重要と主張。栄養療法とリハを併用し,筋萎縮を改善した後に嚥下機能評価を行えば,経口摂取が可能な程度まで機能向上がみられる場合があると述べた。
以上、引用です。シンポジウムの内容についてよくまとまっている記事ですので、日本病態栄養学会に参加された方にも参加されなかった方にもご一読をおすすめします。
同号には、「造血幹細胞移植時の栄養・血糖管理に取り組んで」という寄稿も掲載されています。
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02918_04
こちらも「経口+経静脈栄養で1.0~1.3×BEE」「経口摂取の促進を」など栄養管理の参考になる記事ですので、こちらもぜひご一読ください。
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02918_01
日本静脈経腸栄養学会(JSPEN)との合同パネルディスカッション「わが国の栄養療法の将来を見つめて」と、シンポジウム「摂食・嚥下障害の最新栄養管理」の様子が紹介されています。私も後者のシンポジウムに参加しましたが、その要旨が掲載されていますので、上記HPより引用させていただきます。以下、引用です。
若林秀隆氏(横市大市民総合医療センター)は,嚥下筋萎縮の原因となるサルコペニアを解説した。サルコペニアは筋肉量・筋力が減少した状態を指し,その原因は,加齢,活動の減少,栄養不足,疾患の4つに分類されるという。氏は,原因をきちんと鑑別した上で,加齢なら筋力トレーニング,活動低下なら不要な安静・禁食の回避など,最適な治療法を選択することが重要と主張。栄養療法とリハを併用し,筋萎縮を改善した後に嚥下機能評価を行えば,経口摂取が可能な程度まで機能向上がみられる場合があると述べた。
以上、引用です。シンポジウムの内容についてよくまとまっている記事ですので、日本病態栄養学会に参加された方にも参加されなかった方にもご一読をおすすめします。
同号には、「造血幹細胞移植時の栄養・血糖管理に取り組んで」という寄稿も掲載されています。
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02918_04
こちらも「経口+経静脈栄養で1.0~1.3×BEE」「経口摂取の促進を」など栄養管理の参考になる記事ですので、こちらもぜひご一読ください。
2011年2月27日日曜日
JSPENにリハビリテーション部会を
今回の名古屋のJSPENをきっかけとして、PT・OT・ST・DHのNST専門療法士と志望者のネットワークやMLを立ち上げました。このネットワークを顔が見える関係でありながら大きくしていきたいです。
1つの目標はJSPENにリハビリテーション部会を設置していただくことだと考えています。現在、栄養士部会、看護部会、薬剤師部会があり、臨床検査技師部会をという話が出ているそうです。臨床検査技師部会はぜひ設置していただけると嬉しいです。その次がリハ部会となるとなお嬉しいです。
設置の1つの目安(あくまで目安ですが)として、会員数が700人以上となれば設置を要望できるようです。PT・OT・ST・DHのJSPEN会員数は現時点では100人は超えているでしょうけれど、700人には程遠いと推測します。臨床栄養に関心のあるPT・OT・ST・DHにはぜひJSPENの会員になっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
ちなみに栄養士部会、看護部会、薬剤師部会は1職種で部会が構成されていますが、リハ部会はPT・OT・ST・DHの4職種で1つの部会を構成できるとよいのではと私は考えています。
会員数700人が1つの目安ですが、それよりPT・OT・ST・DHのNST専門療法士で700人以上になることがより大切だと考えます。現時点では11人しかいませんが、3年後には700人以上になってほしいですし、そうなるように私もできるだけ貢献したいと思います。こちらもぜひよろしくお願いいたします。
1つの目標はJSPENにリハビリテーション部会を設置していただくことだと考えています。現在、栄養士部会、看護部会、薬剤師部会があり、臨床検査技師部会をという話が出ているそうです。臨床検査技師部会はぜひ設置していただけると嬉しいです。その次がリハ部会となるとなお嬉しいです。
設置の1つの目安(あくまで目安ですが)として、会員数が700人以上となれば設置を要望できるようです。PT・OT・ST・DHのJSPEN会員数は現時点では100人は超えているでしょうけれど、700人には程遠いと推測します。臨床栄養に関心のあるPT・OT・ST・DHにはぜひJSPENの会員になっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
ちなみに栄養士部会、看護部会、薬剤師部会は1職種で部会が構成されていますが、リハ部会はPT・OT・ST・DHの4職種で1つの部会を構成できるとよいのではと私は考えています。
会員数700人が1つの目安ですが、それよりPT・OT・ST・DHのNST専門療法士で700人以上になることがより大切だと考えます。現時点では11人しかいませんが、3年後には700人以上になってほしいですし、そうなるように私もできるだけ貢献したいと思います。こちらもぜひよろしくお願いいたします。
2011年2月25日金曜日
「残業ゼロ」の仕事力・人生力
吉越浩一郎著、「残業ゼロ」の仕事力と「残業ゼロ」の人生力、日本能率協会マネジメントセンターを紹介します。いずれも最近、新装版が出版されましたが、以前の単行本であればアマゾンで中古書を安く購入できます。
残業ゼロというのは、かなりのインパクトがあります。仕事は短い時間で十分な成果を出して、残業をしない分、仕事以外の本当の人生(本生)を大事にしようというのが基本的な考え方です。定年後から本生を考えても遅すぎで、今から本生を考えて実践すべきという考え方には十分共感できます。
医療界でも長時間労働が望ましい、素晴らしいという風潮がありますが、これは長時間の手術など必要不可欠の場合を除き、どうかと私は思います。しかも経費削減、人件費削減のためにサービス残業を推奨しているところもあります。とんでもない話です。
仕事力は「能力」×「時間」×「効率」で定義でき、この中で効率を上げようという提案です。能力を上げることも必要不可欠ですが、これは勉強・経験により少しずつ上げることを目指します。短時間で効率よくが仕事力のポイントです。効率化のためには、TTP(徹底的にパクる)が第一歩とあります。TTP、大事です。
ビジネスパーソンの書籍なので「仕事は金稼ぎのゲーム」など、医療人の考え方とは全く相いれないところもありますが、タイムマネジメントの重要性は大いに参考にすべきです。いきなり残業ゼロは私も無理ですが(笑)、できるところから残業を少なくしてみてはいかがでしょうか。
「残業ゼロ」の仕事力 目次
第1章 御社の残業がなくならない理由
第2章 問題はとにかく「分けて」考える
第3章 次に「会議」を変えていこう
第4章 「続ける」ための考え方
第5章 「速くて強い」チームの作り方
第6章 「仕事の常識」はこれだけ変わった
第7章 ほんとうのワークライフバランス
「残業ゼロ」の人生力 目次
はじめに
第1章 なぜ「残業ゼロ」で人生力が上がるのか
○人生トータルの「勝ち組」を目指せ
○毎日3時間を「本生」の準備に投資する
○諸悪の根源はまたも残業
○日本人が苦手な「お金」の考え方
○仕事期に稼ぐ目標額を試算せよ
○「仕事沼」にはまらないよう注意する
○努力ではなく成果を評価する
○「自立した個」が活躍する時代
第2章「仕事力」あっての「人生力」
○残業が「仕事力」を奪う
○まずは始める。そして続ける
○「仕事力を上げる」が「人生力を上げる」の大前提
○仕事力=能力×時間×効率
○効率5倍で売上5倍
○効率化の第一歩は「TTP」
○「デッドライン」の2大ポイント
○ニッポンの「本生期」の現実
○人生の収支決算を黒字にするために
○定年後にネガティブなのは日本人だけ
○「健康」「幸福」「富」を準備する
○「パフォーマンス三角形」のベースは体力
○急増する糖尿病もうつ病も残業が原因
○その会社の平均寿命は何歳か?
第3章「残業ゼロ」の次は「バカンス」を実現せよ
○世界は疾病休暇なのに、なぜ日本は有給休暇?
○未消化の有給休暇が消えるのは日本だけ
○一週間では長期休暇ではない
○バカンスは「本生」の予行演習!
○夫婦ふたりきりで二週間過ごす自信がありますか?
○新入社員でも夏休みは一カ月
○「あきらめ癖」はイメージ力でなおる
○ゴールデンウィークは本当に黄金色?
○有休完全取得の経済効果は11.8兆円
○これが吉越流バカンスだ!
○長期休暇のビフォア・アフター
○バカンスがとれるのが「おとなの組織」
○最後は自分で考え、行動を起こす
第4章「残業ゼロ」なら子育ても楽しい
○必要なのは「競争社会」を生き抜く力
○世界はもっと野性的で、もっとハングリー
○子どもには上下関係を教えよ
○まず「親子の会話」を増やすことから始める
○子育てを楽しめるのは反抗期まで
○共働き時代の新しい制度を!
○母親の役割、父親の役割
○母親にしか教えられない「気づき」の力
○子どもにも残業をさせるのか
○「自立した個」になるために
第5章 人生を豊かにする人脈術・交流術
○それまでの「当たり前」が消失するのが定年
○仕事のゲームオーバーで人脈もリセット?
○パーティーではセンターテーブルにいる
○夫婦同伴がオフ人脈につながる
○教養はオフの人脈を広げるカギ
第6章 吉越流「本生」の愉しみ方
○「仕事の達人」が「人生の達人」ではない
○自分の生活は自分で100%デザインする
○夫と妻の温度差が広がるニッポン
○1万語対100語の会話
○会話は夫婦一緒の食事から
○ゲームプレーヤーから「本生」へ
○ソフトランディング作戦で「荷降ろし現象」を防ぐ
○私の「本生」計画
○愛する人とバラの香りをかごう
残業ゼロというのは、かなりのインパクトがあります。仕事は短い時間で十分な成果を出して、残業をしない分、仕事以外の本当の人生(本生)を大事にしようというのが基本的な考え方です。定年後から本生を考えても遅すぎで、今から本生を考えて実践すべきという考え方には十分共感できます。
医療界でも長時間労働が望ましい、素晴らしいという風潮がありますが、これは長時間の手術など必要不可欠の場合を除き、どうかと私は思います。しかも経費削減、人件費削減のためにサービス残業を推奨しているところもあります。とんでもない話です。
仕事力は「能力」×「時間」×「効率」で定義でき、この中で効率を上げようという提案です。能力を上げることも必要不可欠ですが、これは勉強・経験により少しずつ上げることを目指します。短時間で効率よくが仕事力のポイントです。効率化のためには、TTP(徹底的にパクる)が第一歩とあります。TTP、大事です。
ビジネスパーソンの書籍なので「仕事は金稼ぎのゲーム」など、医療人の考え方とは全く相いれないところもありますが、タイムマネジメントの重要性は大いに参考にすべきです。いきなり残業ゼロは私も無理ですが(笑)、できるところから残業を少なくしてみてはいかがでしょうか。
「残業ゼロ」の仕事力 目次
第1章 御社の残業がなくならない理由
第2章 問題はとにかく「分けて」考える
第3章 次に「会議」を変えていこう
第4章 「続ける」ための考え方
第5章 「速くて強い」チームの作り方
第6章 「仕事の常識」はこれだけ変わった
第7章 ほんとうのワークライフバランス
「残業ゼロ」の人生力 目次
はじめに
第1章 なぜ「残業ゼロ」で人生力が上がるのか
○人生トータルの「勝ち組」を目指せ
○毎日3時間を「本生」の準備に投資する
○諸悪の根源はまたも残業
○日本人が苦手な「お金」の考え方
○仕事期に稼ぐ目標額を試算せよ
○「仕事沼」にはまらないよう注意する
○努力ではなく成果を評価する
○「自立した個」が活躍する時代
第2章「仕事力」あっての「人生力」
○残業が「仕事力」を奪う
○まずは始める。そして続ける
○「仕事力を上げる」が「人生力を上げる」の大前提
○仕事力=能力×時間×効率
○効率5倍で売上5倍
○効率化の第一歩は「TTP」
○「デッドライン」の2大ポイント
○ニッポンの「本生期」の現実
○人生の収支決算を黒字にするために
○定年後にネガティブなのは日本人だけ
○「健康」「幸福」「富」を準備する
○「パフォーマンス三角形」のベースは体力
○急増する糖尿病もうつ病も残業が原因
○その会社の平均寿命は何歳か?
第3章「残業ゼロ」の次は「バカンス」を実現せよ
○世界は疾病休暇なのに、なぜ日本は有給休暇?
○未消化の有給休暇が消えるのは日本だけ
○一週間では長期休暇ではない
○バカンスは「本生」の予行演習!
○夫婦ふたりきりで二週間過ごす自信がありますか?
○新入社員でも夏休みは一カ月
○「あきらめ癖」はイメージ力でなおる
○ゴールデンウィークは本当に黄金色?
○有休完全取得の経済効果は11.8兆円
○これが吉越流バカンスだ!
○長期休暇のビフォア・アフター
○バカンスがとれるのが「おとなの組織」
○最後は自分で考え、行動を起こす
第4章「残業ゼロ」なら子育ても楽しい
○必要なのは「競争社会」を生き抜く力
○世界はもっと野性的で、もっとハングリー
○子どもには上下関係を教えよ
○まず「親子の会話」を増やすことから始める
○子育てを楽しめるのは反抗期まで
○共働き時代の新しい制度を!
○母親の役割、父親の役割
○母親にしか教えられない「気づき」の力
○子どもにも残業をさせるのか
○「自立した個」になるために
第5章 人生を豊かにする人脈術・交流術
○それまでの「当たり前」が消失するのが定年
○仕事のゲームオーバーで人脈もリセット?
○パーティーではセンターテーブルにいる
○夫婦同伴がオフ人脈につながる
○教養はオフの人脈を広げるカギ
第6章 吉越流「本生」の愉しみ方
○「仕事の達人」が「人生の達人」ではない
○自分の生活は自分で100%デザインする
○夫と妻の温度差が広がるニッポン
○1万語対100語の会話
○会話は夫婦一緒の食事から
○ゲームプレーヤーから「本生」へ
○ソフトランディング作戦で「荷降ろし現象」を防ぐ
○私の「本生」計画
○愛する人とバラの香りをかごう
2011年2月24日木曜日
PT・OT・ST・DHのNST専門療法士ML続報
今日はPT・OT・ST・DHのNST専門療法士MLの続報です。臨床栄養に関心を持つPT・OT・ST・DHのネットワークを作ることができて、とても嬉しく思っています。
昨日のブログでも紹介させていただきましたが各方面でPT・OT・ST・DHのNST専門療法士MLの紹介をしたところ、いろんな方からご連絡をいただきました。PT、ST、DHからの連絡は複数ありましたし、MLの参加者もすでに50人近くになりました。
そういえばOTからの連絡だけまだありません(笑)。OTのNST専門療法士は現在1人しかいませんし、臨床栄養に対する関心は、ひょっとしたら他職種より低いのかもしれませんね。
今後はこのMLのメンバーで、日本摂食・嚥下リハビリテーション学会と日本静脈経腸栄養学会のときに集まりたいと考えています。その他の企画も今後検討したいと思います。
引き続きですが、PT・OT・ST・DHでNST専門療法士を目指しているという方がいましたら、私宛にメールで氏名・所属・職種・メールアドレスを連絡していただけますでしょうか。私のほうでMLに登録させていただきますので、よろしくお願いいたします。
昨日のブログでも紹介させていただきましたが各方面でPT・OT・ST・DHのNST専門療法士MLの紹介をしたところ、いろんな方からご連絡をいただきました。PT、ST、DHからの連絡は複数ありましたし、MLの参加者もすでに50人近くになりました。
そういえばOTからの連絡だけまだありません(笑)。OTのNST専門療法士は現在1人しかいませんし、臨床栄養に対する関心は、ひょっとしたら他職種より低いのかもしれませんね。
今後はこのMLのメンバーで、日本摂食・嚥下リハビリテーション学会と日本静脈経腸栄養学会のときに集まりたいと考えています。その他の企画も今後検討したいと思います。
引き続きですが、PT・OT・ST・DHでNST専門療法士を目指しているという方がいましたら、私宛にメールで氏名・所属・職種・メールアドレスを連絡していただけますでしょうか。私のほうでMLに登録させていただきますので、よろしくお願いいたします。
2011年2月23日水曜日
PT・OT・ST・DHのNST専門療法士MLのご紹介
今日はPT・OT・ST・DHのNST専門療法士MLの紹介です。
JSPENのHPに、日本静脈経腸栄養学会認定資格栄養サポートチーム(NST)専門療法士平成23年度認定者の公示について掲載されています。
http://jspen.jp/NSTninteisya2011.html
私は今回、名古屋JSPENでPT・OT・ST・DHのNST専門療法士のネットワークを作りたいと考えて、交流会(飲み会)を企画しました。
現時点でNST専門療法士はPT3人、OT1人、ST6人、DH1人しかいません。このうちPT1人、ST2人を除く8人についてはおかげさまで所在が分かりました。
この8人にはPT・OT・ST・DHのNST専門療法士MLを作成して参加してもらいました。他にPT・OT・ST・DHのNST専門療法士志望者も参加しています。
今後もPT・OT・ST・DHのNST専門療法士志望者のサポートや取得者同士のネットワーク作りなどを行いたいと考えています。
もしPT・OT・ST・DHでNST専門療法士を目指しているという方がいましたら、私宛にメールで氏名・所属・職種・メールアドレスを連絡していただけますでしょうか。私のほうでMLに登録させていただきますので、よろしくお願いいたします。
JSPENのHPに、日本静脈経腸栄養学会認定資格栄養サポートチーム(NST)専門療法士平成23年度認定者の公示について掲載されています。
http://jspen.jp/NSTninteisya2011.html
私は今回、名古屋JSPENでPT・OT・ST・DHのNST専門療法士のネットワークを作りたいと考えて、交流会(飲み会)を企画しました。
現時点でNST専門療法士はPT3人、OT1人、ST6人、DH1人しかいません。このうちPT1人、ST2人を除く8人についてはおかげさまで所在が分かりました。
この8人にはPT・OT・ST・DHのNST専門療法士MLを作成して参加してもらいました。他にPT・OT・ST・DHのNST専門療法士志望者も参加しています。
今後もPT・OT・ST・DHのNST専門療法士志望者のサポートや取得者同士のネットワーク作りなどを行いたいと考えています。
もしPT・OT・ST・DHでNST専門療法士を目指しているという方がいましたら、私宛にメールで氏名・所属・職種・メールアドレスを連絡していただけますでしょうか。私のほうでMLに登録させていただきますので、よろしくお願いいたします。
神戸市立医療センター中央市民病院NCM勉強会
2011年2月22日火曜日
透析患者の身体活動と栄養指標の関連
透析患者の身体活動と栄養指標の関連を調査した論文を紹介します。
Cupisti A, Capitanini A, Betti G, D'Alessandro C, Barsotti G: Assessment of habitual physical activity and energy expenditure in dialysis patients and relationships to nutritional parameters. Clin Nephrol. 2011 Mar;75(3):218-225.
透析患者とコントロールで、身体活動、エネルギー消費量、栄養指標を比較検討しました。身体活動については、透析患者では平均METsが有意に低く(1.3対1.5)、3Mets以上の活動の時間が短く(89分対143分)、1日の歩数が少なく(5584歩対11735歩)、その結果としてエネルギー消費量が低い(2190kcal対2462kcal)という結果です。
エネルギー摂取量も有意に少ない(26.1kcal対32.4kcal)という結果です。多変量解析ではエネルギー摂取量と蛋白質摂取量は独立して身体活動の強度と関連していました。
以上より透析患者では身体活動量が低いこと、運動と栄養に関連を認め、これらが生命予後、リハ、QOLと関連してくると結論付けています。
横断研究なので因果関係については不明ですが、運動量が多い透析患者は食事量が多いといえます。運動介入することで食欲、食事摂取量が増すという仮説はありうると思いますが、要検証です。その際、透析患者では栄養障害や悪液質の方も少なくないので、運動強度も要検討です。
Abstract
Background and aim: Assessment of physical activity level and of energy expenditure is important in the clinical and nutritional care of dialysis patients, but it is not so easy to accomplish. The SenseWear™ Armband (SWA) is a novel multisensory device that is worn on the upper arm and collects a variety of physiologic data related to physical activity. Thus, duration and intensity of physical activity is recorded and expressed as METs (Metabolic Equivalent Task), and energy expenditure is estimated. The aim of our study was to assess interdialytic spontaneous physical activity in stable chronic hemodialysis (HD) patients and the relation to nutritional status and dietary nutrient intake.
Patients and methods: In 50 stable patients on maintenance hemodialysis treatment and 33 normal subjects (control group), level of spontaneous physical activity and estimated daily energy expenditure was assessed by SWA and related to biochemistry and anthropometry data, bioelectric impedance vector analysis, and energy and nutrient intake information coming from a 3-day food recall.
Results: In respect to controls, HD patients showed lower mean daily METs value (1.3 ± 0.3 vs. 1.5 ± 0.2, p < 0.01), a lower time spent on activities > 3 METs (89 ± 85 vs. 143 ± 104 min/day, p < 0.05), lower number of steps per day (5,584 ± 3,734 vs. 11,735 ± 5,130, p < 0.001), resulting in a lower estimated energy expenditure (2,190 ± 629 vs. 2,462 ± 443 Kcal/day, p < 0.05). 31 out of the 50 HD patients (62%) had a mean daily value < 1.4 METs and hence were defined as sedentary. They differed from the active patients for higher age (63 ± 12 vs. 54 ± 12 y, p < 0.01), lower energy intake (26.1 ± 6.4 vs. 32.4 ± 11.3 Kcal/day, p < 0.05) and lower phase angle (5.5 ± 1.0 vs. 6.3 ± 0.9, p < 0.05). SWA-based estimation of daily energy expenditure was negatively related to age (r = -0.31, p < 0.05), whereas positive relations were observed with BMI (r = 0.51, p < 0.001), phase angle (r = 0.40, p < 0.01), serum phosphate (r = 0.49, p < 0.001) and albumin (r = 0.41, p < 0.01). The mean daily METs values were strongly related to normalized energy intake (r = 0.47, p < 0.001) and also to protein intake (r = 0.33, p < 0.05) and to phase angle (r = 0.38, p < 0.01). Multiple regression analysis showed that energy intake and dietary protein intake were independently related to the intensity of physical activity.
Conclusion: Our findings indicate that poor physical activity is highly prevalent in stable dialysis patients even when free from physical or neurological disabilities or severe comorbid conditions. The level and intensity of physical activity is positively related to body composition and to dietary nutrient intake. This confirms the strong interrelationship between exercise and nutrition, which in turn are associated with survival, rehabilitation and quality of life in dialysis patients.
Cupisti A, Capitanini A, Betti G, D'Alessandro C, Barsotti G: Assessment of habitual physical activity and energy expenditure in dialysis patients and relationships to nutritional parameters. Clin Nephrol. 2011 Mar;75(3):218-225.
透析患者とコントロールで、身体活動、エネルギー消費量、栄養指標を比較検討しました。身体活動については、透析患者では平均METsが有意に低く(1.3対1.5)、3Mets以上の活動の時間が短く(89分対143分)、1日の歩数が少なく(5584歩対11735歩)、その結果としてエネルギー消費量が低い(2190kcal対2462kcal)という結果です。
エネルギー摂取量も有意に少ない(26.1kcal対32.4kcal)という結果です。多変量解析ではエネルギー摂取量と蛋白質摂取量は独立して身体活動の強度と関連していました。
以上より透析患者では身体活動量が低いこと、運動と栄養に関連を認め、これらが生命予後、リハ、QOLと関連してくると結論付けています。
横断研究なので因果関係については不明ですが、運動量が多い透析患者は食事量が多いといえます。運動介入することで食欲、食事摂取量が増すという仮説はありうると思いますが、要検証です。その際、透析患者では栄養障害や悪液質の方も少なくないので、運動強度も要検討です。
Abstract
Background and aim: Assessment of physical activity level and of energy expenditure is important in the clinical and nutritional care of dialysis patients, but it is not so easy to accomplish. The SenseWear™ Armband (SWA) is a novel multisensory device that is worn on the upper arm and collects a variety of physiologic data related to physical activity. Thus, duration and intensity of physical activity is recorded and expressed as METs (Metabolic Equivalent Task), and energy expenditure is estimated. The aim of our study was to assess interdialytic spontaneous physical activity in stable chronic hemodialysis (HD) patients and the relation to nutritional status and dietary nutrient intake.
Patients and methods: In 50 stable patients on maintenance hemodialysis treatment and 33 normal subjects (control group), level of spontaneous physical activity and estimated daily energy expenditure was assessed by SWA and related to biochemistry and anthropometry data, bioelectric impedance vector analysis, and energy and nutrient intake information coming from a 3-day food recall.
Results: In respect to controls, HD patients showed lower mean daily METs value (1.3 ± 0.3 vs. 1.5 ± 0.2, p < 0.01), a lower time spent on activities > 3 METs (89 ± 85 vs. 143 ± 104 min/day, p < 0.05), lower number of steps per day (5,584 ± 3,734 vs. 11,735 ± 5,130, p < 0.001), resulting in a lower estimated energy expenditure (2,190 ± 629 vs. 2,462 ± 443 Kcal/day, p < 0.05). 31 out of the 50 HD patients (62%) had a mean daily value < 1.4 METs and hence were defined as sedentary. They differed from the active patients for higher age (63 ± 12 vs. 54 ± 12 y, p < 0.01), lower energy intake (26.1 ± 6.4 vs. 32.4 ± 11.3 Kcal/day, p < 0.05) and lower phase angle (5.5 ± 1.0 vs. 6.3 ± 0.9, p < 0.05). SWA-based estimation of daily energy expenditure was negatively related to age (r = -0.31, p < 0.05), whereas positive relations were observed with BMI (r = 0.51, p < 0.001), phase angle (r = 0.40, p < 0.01), serum phosphate (r = 0.49, p < 0.001) and albumin (r = 0.41, p < 0.01). The mean daily METs values were strongly related to normalized energy intake (r = 0.47, p < 0.001) and also to protein intake (r = 0.33, p < 0.05) and to phase angle (r = 0.38, p < 0.01). Multiple regression analysis showed that energy intake and dietary protein intake were independently related to the intensity of physical activity.
Conclusion: Our findings indicate that poor physical activity is highly prevalent in stable dialysis patients even when free from physical or neurological disabilities or severe comorbid conditions. The level and intensity of physical activity is positively related to body composition and to dietary nutrient intake. This confirms the strong interrelationship between exercise and nutrition, which in turn are associated with survival, rehabilitation and quality of life in dialysis patients.
2011年2月21日月曜日
入院患者の強化インスリンに関するACPガイドライン
いつも大変お世話になっている、「内科開業医のお勉強日記」ブログから、「入院患者の強化インスリンに関するACPガイドライン」を引用、紹介させていただきます。
http://intmed.exblog.jp/12154647/
以下、上記HPからの引用です。
入院患者に対する強化インスリン治療 ACPガイドライン
Use of Intensive Insulin Therapy for the Management of Glycemic Control in Hospitalized Patients: A Clinical Practice Guideline From the American College of Physicians
Ann Int Med. February 15, 2011 vol. 154 no. 4 260-267
Recommendation 1: ACPは、強化インスリン治療を、非手術ICU(SICU)/内科ICU患者に対し、糖尿病有無にかかわらず、strictly血糖コントロールのため、使用しないことを推奨する (Grade: strong recommendation, moderate-quality evidence).
Recommendation 2: ACP は、強化インスリン治療を、SICU/MICU患者に対し、血糖を正常化するため、使用しないことを推奨する。(Grade: strong recommendation, high-quality evidence).
Recommendation 3: ACP は、SICU/MICU患者に対し、インスリン治療を使用し、目標血糖レベルを 7.8 to 11.1 mmol/L (140 to 200 mg/dL) とすることを推奨する (Grade: weak recommendation, moderate-quality evidence)
以上、引用です。以下のHPで全文見ることができます。
http://www.annals.org/content/154/4/260.full.pdf+html
強化インスリン治療に関する話題、ディスカッションは今までいろいろありましたが、これで1つの結論に近いものが出たと思います。
最適な血糖コントロール値に関しては議論の余地がまだ残りますが、140 to 200mg/dLというのが目標血糖レベルで出ています。ただ、200に近いのは若干高い気がしますので、150程度が1つの目安かと私は感じています。
Abstract
Description: The American College of Physicians (ACP) developed this guideline to present the evidence for the link between the use of intensive insulin therapy to achieve different glycemic targets and health outcomes in hospitalized patients with or without diabetes mellitus.
Methods: Published literature on this topic was identified by using MEDLINE and the Cochrane Library. Additional articles were obtained from systematic reviews and the reference lists of pertinent studies, reviews, and editorials, as well as by consulting experts; unpublished studies on ClinicalTrials.gov were also identified. The literature search included studies published from 1950 through March 2009. Searches were limited to English-language publications. The primary outcomes of interest were short-term mortality and hypoglycemia. This guideline grades the evidence and recommendations by using the ACP clinical practice guidelines grading system.
Recommendation 1: ACP recommends not using intensive insulin therapy to strictly control blood glucose in non–surgical intensive care unit (SICU)/medical intensive care unit (MICU) patients with or without diabetes mellitus (Grade: strong recommendation, moderate-quality evidence).
Recommendation 2: ACP recommends not using intensive insulin therapy to normalize blood glucose in SICU/MICU patients with or without diabetes mellitus (Grade: strong recommendation, high-quality evidence).
Recommendation 3: ACP recommends a target blood glucose level of 7.8 to 11.1 mmol/L (140 to 200 mg/dL) if insulin therapy is used in SICU/MICU patients (Grade: weak recommendation, moderate-quality evidence).
http://intmed.exblog.jp/12154647/
以下、上記HPからの引用です。
入院患者に対する強化インスリン治療 ACPガイドライン
Use of Intensive Insulin Therapy for the Management of Glycemic Control in Hospitalized Patients: A Clinical Practice Guideline From the American College of Physicians
Ann Int Med. February 15, 2011 vol. 154 no. 4 260-267
Recommendation 1: ACPは、強化インスリン治療を、非手術ICU(SICU)/内科ICU患者に対し、糖尿病有無にかかわらず、strictly血糖コントロールのため、使用しないことを推奨する (Grade: strong recommendation, moderate-quality evidence).
Recommendation 2: ACP は、強化インスリン治療を、SICU/MICU患者に対し、血糖を正常化するため、使用しないことを推奨する。(Grade: strong recommendation, high-quality evidence).
Recommendation 3: ACP は、SICU/MICU患者に対し、インスリン治療を使用し、目標血糖レベルを 7.8 to 11.1 mmol/L (140 to 200 mg/dL) とすることを推奨する (Grade: weak recommendation, moderate-quality evidence)
以上、引用です。以下のHPで全文見ることができます。
http://www.annals.org/content/154/4/260.full.pdf+html
強化インスリン治療に関する話題、ディスカッションは今までいろいろありましたが、これで1つの結論に近いものが出たと思います。
最適な血糖コントロール値に関しては議論の余地がまだ残りますが、140 to 200mg/dLというのが目標血糖レベルで出ています。ただ、200に近いのは若干高い気がしますので、150程度が1つの目安かと私は感じています。
Abstract
Description: The American College of Physicians (ACP) developed this guideline to present the evidence for the link between the use of intensive insulin therapy to achieve different glycemic targets and health outcomes in hospitalized patients with or without diabetes mellitus.
Methods: Published literature on this topic was identified by using MEDLINE and the Cochrane Library. Additional articles were obtained from systematic reviews and the reference lists of pertinent studies, reviews, and editorials, as well as by consulting experts; unpublished studies on ClinicalTrials.gov were also identified. The literature search included studies published from 1950 through March 2009. Searches were limited to English-language publications. The primary outcomes of interest were short-term mortality and hypoglycemia. This guideline grades the evidence and recommendations by using the ACP clinical practice guidelines grading system.
Recommendation 1: ACP recommends not using intensive insulin therapy to strictly control blood glucose in non–surgical intensive care unit (SICU)/medical intensive care unit (MICU) patients with or without diabetes mellitus (Grade: strong recommendation, moderate-quality evidence).
Recommendation 2: ACP recommends not using intensive insulin therapy to normalize blood glucose in SICU/MICU patients with or without diabetes mellitus (Grade: strong recommendation, high-quality evidence).
Recommendation 3: ACP recommends a target blood glucose level of 7.8 to 11.1 mmol/L (140 to 200 mg/dL) if insulin therapy is used in SICU/MICU patients (Grade: weak recommendation, moderate-quality evidence).
群馬摂食・嚥下研究会
今度5月22日に群馬摂食・嚥下研究会で、『摂食・嚥下障害とリハ栄養』-リハビリテーション栄養の新しい実践 -という講演とグループワークをさせていただくことになりました。
http://studygroup.kai-dental.jp/yotei/2011_advance_seminor/20110522
■講演内容■
平成23年5月22日(日)13:30~17:00
『摂食・嚥下障害とリハ栄養』
-リハビリテーション栄養の新しい実践 -
横浜市立大学附属総合医療センター
リハビリテーション科 助教
若林秀隆先生
場所:前橋問屋センター会館
主催:NPO群馬摂食・嚥下研究会
参加費 :1,000円
参加募集 : 80名(事前登録)
申し込み先:FAX(上記HPで入手可能)もしくは上記HPでの申し込みフォームにて申し込み願います。
FAX:027-289-3116(NPO群馬摂食・嚥下研究会)
今回は参加者多数により参加制限をお願いする場合のみ、返信を行います。
群馬周辺の方はよかったらぜひご参加ください。
http://studygroup.kai-dental.jp/yotei/2011_advance_seminor/20110522
■講演内容■
平成23年5月22日(日)13:30~17:00
『摂食・嚥下障害とリハ栄養』
-リハビリテーション栄養の新しい実践 -
横浜市立大学附属総合医療センター
リハビリテーション科 助教
若林秀隆先生
場所:前橋問屋センター会館
主催:NPO群馬摂食・嚥下研究会
参加費 :1,000円
参加募集 : 80名(事前登録)
申し込み先:FAX(上記HPで入手可能)もしくは上記HPでの申し込みフォームにて申し込み願います。
FAX:027-289-3116(NPO群馬摂食・嚥下研究会)
今回は参加者多数により参加制限をお願いする場合のみ、返信を行います。
群馬周辺の方はよかったらぜひご参加ください。
2011年2月19日土曜日
JSPEN2011とリハ栄養
今回(第26回)の日本静脈経腸栄養学会では、リハ栄養関連の発表がいくつかありました。昨年はほとんどありませんでしたので、この点では昨年より素晴らしいと感じました。ここでは演題名と演者(敬称略)だけ紹介させていただきます。
私の主観で選択していますので、ここで紹介したもの以外にもリハ栄養関連の演題は他にもあるかもしれません(特に嚥下関連)。ご了承ください。
WS1-08 廃用症候群に対する低栄養とリハの転帰
木口俊助(桜十字病院 作業療法士)、他
P-391 栄養面から見た廃用症候群の現状と病病連携への課題と展望
木倉敏彦(富山県高志リハビリテーション病院 内科)
P-028 リハビリテーション栄養について〜NST 専門療法士研修指導を通じて
坂元隆一(静岡市立清水病院 リハビリテーション科)、他
P-151 NST介入により,積極的なリハビリが可能となり,ADLの改善が認められた3例
村松倫子(福井総合病院)、他
P-492 MNAの導入とFIMとの関連〜回復期リハビリ病院での整形疾患患者を対象に〜
後藤祐子(医療法人偕行会偕行会リハビリテーション病院)、他
O-025 栄養学的指標からみたリハビリテーション効果について
開登志晃(山中温泉医療センター リハビリテーション室)、他
O-027 回復期リハビリテーション病棟でのNST 活動における栄養状態とADLとの関係
松本亜紀(岡山光南病院 内科)、他
O-104 回復期リハビリ病棟におけるNST 活動の関わりとFIMの推移
樋口一紀(医療法人謙昌会総合リハビリ美保野病院)
O-105 リハビリテーション部門における栄養障害に対する多角的取り組み
水口且久(厚生連高岡病院 リハビリテーション部)、他
O-335 NST介入患者における早期リハビリテーションの必要性
木曽貴紀(尾道市立市民病院 リハビリテーション科)、他
O-080 NSTによってもたらされたもの −リハビリテーション栄養の過去・現在と将来展望−
若林秀隆(横浜市立大学附属市民総合医療センター リハビリテーション科)
O-187 入院患者における廃用症候群の低栄養の病因は何か‐飢餓・侵襲・前悪液質
若林秀隆(横浜市立大学附属市民総合医療センター リハビリテーション科)
これだけリハ栄養関連の演題があるのであれば、学会の一般演題としてリハ栄養のセッションがあったほうがよいと考えます。この中で私が見聞きできたのは半分くらいですし、そのようなセッションがあると、PT・OT・STが同じ会場に数多く集まることになるのではと思います。
そのためには今年以上にリハ栄養関連の演題応募があることが必要になります。私も頑張りますが、多くの方に来年の神戸のJSPENで、リハ栄養関連の演題を応募してほしいと思います。皆様のご協力の程、よろしくお願いいたします。
私の主観で選択していますので、ここで紹介したもの以外にもリハ栄養関連の演題は他にもあるかもしれません(特に嚥下関連)。ご了承ください。
WS1-08 廃用症候群に対する低栄養とリハの転帰
木口俊助(桜十字病院 作業療法士)、他
P-391 栄養面から見た廃用症候群の現状と病病連携への課題と展望
木倉敏彦(富山県高志リハビリテーション病院 内科)
P-028 リハビリテーション栄養について〜NST 専門療法士研修指導を通じて
坂元隆一(静岡市立清水病院 リハビリテーション科)、他
P-151 NST介入により,積極的なリハビリが可能となり,ADLの改善が認められた3例
村松倫子(福井総合病院)、他
P-492 MNAの導入とFIMとの関連〜回復期リハビリ病院での整形疾患患者を対象に〜
後藤祐子(医療法人偕行会偕行会リハビリテーション病院)、他
O-025 栄養学的指標からみたリハビリテーション効果について
開登志晃(山中温泉医療センター リハビリテーション室)、他
O-027 回復期リハビリテーション病棟でのNST 活動における栄養状態とADLとの関係
松本亜紀(岡山光南病院 内科)、他
O-104 回復期リハビリ病棟におけるNST 活動の関わりとFIMの推移
樋口一紀(医療法人謙昌会総合リハビリ美保野病院)
O-105 リハビリテーション部門における栄養障害に対する多角的取り組み
水口且久(厚生連高岡病院 リハビリテーション部)、他
O-335 NST介入患者における早期リハビリテーションの必要性
木曽貴紀(尾道市立市民病院 リハビリテーション科)、他
O-080 NSTによってもたらされたもの −リハビリテーション栄養の過去・現在と将来展望−
若林秀隆(横浜市立大学附属市民総合医療センター リハビリテーション科)
O-187 入院患者における廃用症候群の低栄養の病因は何か‐飢餓・侵襲・前悪液質
若林秀隆(横浜市立大学附属市民総合医療センター リハビリテーション科)
これだけリハ栄養関連の演題があるのであれば、学会の一般演題としてリハ栄養のセッションがあったほうがよいと考えます。この中で私が見聞きできたのは半分くらいですし、そのようなセッションがあると、PT・OT・STが同じ会場に数多く集まることになるのではと思います。
そのためには今年以上にリハ栄養関連の演題応募があることが必要になります。私も頑張りますが、多くの方に来年の神戸のJSPENで、リハ栄養関連の演題を応募してほしいと思います。皆様のご協力の程、よろしくお願いいたします。
PT・OT・ST・DHのNST専門療法士ネットワーク
昨日まで名古屋の日本静脈経腸栄養学会に参加して来ました。今回は2つの口演、ポスター発表の座長、学会懇親会でのJSPEN首都圏支部の挨拶(NST専門療法士ネットワーキングの重要性を話したつもりです…)というきちんとした仕事もありました。ただ、私にとっての今回のメインは、PT・OT・ST・DHのNST専門療法士ネットワーク作りでした。
現時点で4職種のNST専門療法士は、PT3人、OT1人、ST6人、DH1人しかいません。これら11人は各職種の中で極めて貴重な存在(レアもの)です。そこで何とかこの人たちとPT・OT・ST・DHのNST専門療法士志望者のネットワークを今回作りたいと考えて、多くの人のお力をお借りしながら、陰ながら努力してきました。
おかげさまで名古屋でPT1人、OT1人、ST3人、DH1人の合計6人のNST専門療法士と実際にお会いして話をすることができました。今回のJSPENに参加された方は8500人強とものすごい人数でしたがその中で、これら4職種のNST専門療法士と会って話をした参加者は、私と一緒に行動した人たちだけだと思います。
今回はお会いできませんでしたが、PT1人(北海道)、ST1人(兵庫)の所在も確認することができました。これで所在がわからないPT・OT・ST・DHのNST専門療法士は3人だけです。誰か情報をお持ちの方がいましたらぜひ教えていただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。
学会懇親会を一次会、そのあと世界の山ちゃんで二次会を行いましたが、一部他職種の参加も含めて20人強の参加がありました。二次会では同じフロアの人たちもNST関係者でしたので、勢いで合流しました(笑)。亀田総合病院のNSTメンバーと二次会で合流できたことは、とても嬉しい誤算でした。楽しかったです。
今回、PT・OT・ST・DHのNST専門療法士で顔の見えるネットワークの第一歩ができました。来年の神戸のJSPEN(2月23-24日)のときにも、2月23日にPT・OT・ST・DHのNST専門療法士と志望者で交流会を開催したいと考えています。多くのPT・OT・ST・DHに参加していただきたいです。
またできればその前に1回、PT・OT・ST・DHのNST専門療法士と志望者で集まる何らかの機会を作りたいと考えています。こちらも興味がある方はご連絡をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
現時点で4職種のNST専門療法士は、PT3人、OT1人、ST6人、DH1人しかいません。これら11人は各職種の中で極めて貴重な存在(レアもの)です。そこで何とかこの人たちとPT・OT・ST・DHのNST専門療法士志望者のネットワークを今回作りたいと考えて、多くの人のお力をお借りしながら、陰ながら努力してきました。
おかげさまで名古屋でPT1人、OT1人、ST3人、DH1人の合計6人のNST専門療法士と実際にお会いして話をすることができました。今回のJSPENに参加された方は8500人強とものすごい人数でしたがその中で、これら4職種のNST専門療法士と会って話をした参加者は、私と一緒に行動した人たちだけだと思います。
今回はお会いできませんでしたが、PT1人(北海道)、ST1人(兵庫)の所在も確認することができました。これで所在がわからないPT・OT・ST・DHのNST専門療法士は3人だけです。誰か情報をお持ちの方がいましたらぜひ教えていただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。
学会懇親会を一次会、そのあと世界の山ちゃんで二次会を行いましたが、一部他職種の参加も含めて20人強の参加がありました。二次会では同じフロアの人たちもNST関係者でしたので、勢いで合流しました(笑)。亀田総合病院のNSTメンバーと二次会で合流できたことは、とても嬉しい誤算でした。楽しかったです。
今回、PT・OT・ST・DHのNST専門療法士で顔の見えるネットワークの第一歩ができました。来年の神戸のJSPEN(2月23-24日)のときにも、2月23日にPT・OT・ST・DHのNST専門療法士と志望者で交流会を開催したいと考えています。多くのPT・OT・ST・DHに参加していただきたいです。
またできればその前に1回、PT・OT・ST・DHのNST専門療法士と志望者で集まる何らかの機会を作りたいと考えています。こちらも興味がある方はご連絡をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
2011年2月16日水曜日
JSPEN2011
今日からJSPEN2011で名古屋に行ってきます。
http://www.jspen.jp/jspen2011/
学会中は(いろんな意味での)学習で多忙なので、今週はブログの更新をあまりできないと思います。ご了承ください。JSPENに参加される方は、名古屋でお会いできればと思います。よろしくお願いいたします。
http://www.jspen.jp/jspen2011/
学会中は(いろんな意味での)学習で多忙なので、今週はブログの更新をあまりできないと思います。ご了承ください。JSPENに参加される方は、名古屋でお会いできればと思います。よろしくお願いいたします。
2011年2月15日火曜日
がん悪液質の定義と分類:国際コンセンサスその2
今日もがん悪液質の定義と分類:国際コンセンサスの論文を紹介します。この論文はかなり重要だと思いますので。
Kenneth Fearon et al: Definition and classification of cancer cachexia: an international consensus. Lancet oncology. Published online February 5, 2011 DOI:10.1016/S1470-2045(10)70218-7
この論文で悪液質の診断基準の中に、サルコペニア(四肢骨格筋減少あり)で、2%以上の体重減少というのがあります。サルコペニアとしては、四肢の筋肉量(skeletal muscle index)が男性<7·26kg/m²、女性<5·45kg/m²)の場合とされています。しかし、注として以下のような記載もあります。
Defined reference values (sex-specific) and standardised body composition measurements are essential to undertake assessment of skeletal muscle depletion.
Although there is a paucity of reference values related to cancer-specific outcomes,
a generally accepted rule is an absolute muscularity below the 5th percentile. This can be assessed as follows: mid upper-arm muscle area by anthropometry (men <32 cm²,
women <18 cm²) appendicular skeletal muscle index determined by dual energy x-ray
absorptiometry (men <7·26 kg/m²; women <5·45 kg/m²) lumbar skeletal muscle index determined by CT imaging (men <55 cm²/m²; women <39 cm²/m²) whole body fat-free mass index without bone determined by bioelectrical impedance (men <14·6 kg/m²; women <11·4 kg/m²). †A direct measure of muscularity is recommended in the presence of fl uid retention, a large tumour mass, or obesity (overweight).
ポイントはカナダ人のデータですが筋肉量の目安として上腕筋面積(AMA)が5パーセンタイル以下の場合、サルコペニアと判断してよいとあることです。臨床現場では身体計測以外でサルコペニアを診断することはなかなかできませんので、AMAで判断できるのであればかなり有用です。
ここではAMAが男性の場合<32cm²、女性の場合<18cm²とされています。
日本人のAMAのデータは、日本人の新身体計測基準値 jard 2001にあります。
http://www5f.biglobe.ne.jp/~rokky/siki/JARD2001_09.pdf
これを見ると男性の5パーセンタイルは28.32、女性の55パーセンタイルは20.93となっています。つまり、拡大解釈になるかもしれませんが日本人の場合、AMAがこれらの数値以下であればサルコペニアと判断しても大きな支障はないのかもしれません。
ちなみに上腕筋囲の5パーセンタイルは男性18.88、女性16.22、上腕周囲長の5パーセンタイルは男性22.29、女性20.60、下腿周囲長の5パーセンタイルは男性28.70、女性26.80です。
私は講演の時、上腕周囲長が21cm以下、もしくは下腿周囲長が31cm以下であればざっくりサルコペニアを疑うと行ってきました。今回の基準で考えると、上腕周囲長は21cm以下のままでよいですが、下腿周囲長は28cm以下と言っておいたほうがよいかもと感じました。
より正確にはAMAを計算して男性28以下、女性21以下であれば、サルコペニアと考えるのがよいと思います。
早く臨床で使用しやすく信頼性、妥当性のあるサルコペニアの診断基準ができてほしいものです。そうしないと、サルコペニアの方は世の中にたくさんいるのに、今後も見過ごされるままになってしまいます。
Kenneth Fearon et al: Definition and classification of cancer cachexia: an international consensus. Lancet oncology. Published online February 5, 2011 DOI:10.1016/S1470-2045(10)70218-7
この論文で悪液質の診断基準の中に、サルコペニア(四肢骨格筋減少あり)で、2%以上の体重減少というのがあります。サルコペニアとしては、四肢の筋肉量(skeletal muscle index)が男性<7·26kg/m²、女性<5·45kg/m²)の場合とされています。しかし、注として以下のような記載もあります。
Defined reference values (sex-specific) and standardised body composition measurements are essential to undertake assessment of skeletal muscle depletion.
Although there is a paucity of reference values related to cancer-specific outcomes,
a generally accepted rule is an absolute muscularity below the 5th percentile. This can be assessed as follows: mid upper-arm muscle area by anthropometry (men <32 cm²,
women <18 cm²) appendicular skeletal muscle index determined by dual energy x-ray
absorptiometry (men <7·26 kg/m²; women <5·45 kg/m²) lumbar skeletal muscle index determined by CT imaging (men <55 cm²/m²; women <39 cm²/m²) whole body fat-free mass index without bone determined by bioelectrical impedance (men <14·6 kg/m²; women <11·4 kg/m²). †A direct measure of muscularity is recommended in the presence of fl uid retention, a large tumour mass, or obesity (overweight).
ポイントはカナダ人のデータですが筋肉量の目安として上腕筋面積(AMA)が5パーセンタイル以下の場合、サルコペニアと判断してよいとあることです。臨床現場では身体計測以外でサルコペニアを診断することはなかなかできませんので、AMAで判断できるのであればかなり有用です。
ここではAMAが男性の場合<32cm²、女性の場合<18cm²とされています。
日本人のAMAのデータは、日本人の新身体計測基準値 jard 2001にあります。
http://www5f.biglobe.ne.jp/~rokky/siki/JARD2001_09.pdf
これを見ると男性の5パーセンタイルは28.32、女性の55パーセンタイルは20.93となっています。つまり、拡大解釈になるかもしれませんが日本人の場合、AMAがこれらの数値以下であればサルコペニアと判断しても大きな支障はないのかもしれません。
ちなみに上腕筋囲の5パーセンタイルは男性18.88、女性16.22、上腕周囲長の5パーセンタイルは男性22.29、女性20.60、下腿周囲長の5パーセンタイルは男性28.70、女性26.80です。
私は講演の時、上腕周囲長が21cm以下、もしくは下腿周囲長が31cm以下であればざっくりサルコペニアを疑うと行ってきました。今回の基準で考えると、上腕周囲長は21cm以下のままでよいですが、下腿周囲長は28cm以下と言っておいたほうがよいかもと感じました。
より正確にはAMAを計算して男性28以下、女性21以下であれば、サルコペニアと考えるのがよいと思います。
早く臨床で使用しやすく信頼性、妥当性のあるサルコペニアの診断基準ができてほしいものです。そうしないと、サルコペニアの方は世の中にたくさんいるのに、今後も見過ごされるままになってしまいます。
2011年2月14日月曜日
がん悪液質の定義と分類:国際コンセンサス
国際コンセンサスによるがん悪液質の定義と分類の論文を紹介します。
Kenneth Fearon et al: Definition and classification of cancer cachexia: an international consensus. Lancet oncology. Published online February 5, 2011 DOI:10.1016/S1470-2045(10)70218-7
国際コンセンサスの中に日本の研究者が入っていないのが寂しいですが…。
特徴としては、図に示すように悪液質を前悪液質、悪液質、難治性(不応性)サルコペニアの3段階に分類していることです。そして悪液質の診断基準案を提示しています。
・がんが存在することは前提です。
・6か月で5%以上の体重減少(飢餓除く)
もしくは
・BMI<20で、2%以上の体重減少
もしくは
・サルコペニア(四肢骨格筋減少あり)で、2%以上の体重減少
のいずれかの場合に悪液質と診断します。前悪液質は、それより軽度の体重減少や食思不振が認められます。難治性サルコペニアは、ADLが低下(PSで3か4)して、余命3カ月未満の時期としています。
PS3は、限られた自分の身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす。
PS4は、全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベットか椅子で過ごす。
ヨーロッパのコンセンサス論文の前悪液質の診断基準に含まれていたCRPは、今回含まれていません。悪液質でもCRPが上昇しないことがあるためだそうです。もちろんCRPは参考にはなりますが。
私は今までヨーロッパのコンセンサス論文の前悪液質の診断基準を使用していましたが、この中には6か月で5%以上の体重減少が含まれていますので、全員が今回の悪液質の診断基準に該当することになります。今までより多くのがん患者が悪液質に該当することにもなります。
今後どのように悪液質を臨床現場やNSTで診断していけばよいのか、今回の名古屋のJSPENで何らかの情報を得られればと思っています。
To develop a framework for the defi nition and classifi cation of cancer cachexia a panel of experts participated in a formal consensus process, including focus groups and two Delphi rounds. Cancer cachexia was defi ned as a multifactorial syndrome defi ned by an ongoing loss of skeletal muscle mass (with or without loss of fat mass) that cannot be fully reversed by conventional nutritional support and leads to progressive functional impairment. Its pathophysiology is characterised by a negative protein and energy balance driven by a variable combination of reduced
food intake and abnormal metabolism. The agreed diagnostic criterion for cachexia was weight loss greater than 5%, or weight loss greater than 2% in individuals already showing depletion according to current bodyweight and height (body-mass index [BMI] <20 kg/m²) or skeletal muscle mass (sarcopenia). An agreement was made that the cachexia syndrome can develop progressively through various stages—precachexia to cachexia to refractory cachexia. Severity can be classifi ed according to degree of depletion of energy stores and body protein (BMI) in combination with degree of ongoing weight loss. Assessment for classifi cation and clinical management should include the following domains: anorexia or reduced food intake, catabolic drive, muscle mass and strength, functional and psychosocial impairment. Consensus exists on a framework for the defi nition and classifi cation of cancer cachexia. After validation, this should aid clinical trial design, development of practice guidelines, and, eventually, routine clinical management.
サルコペニアに対する運動介入効果(レビュー)
私が読者になっているブログ「ニューロリハ医のメモリーノート」に、サルコペニアに対する運動介入効果(レビュー)の記事がありましたので、紹介・引用させていただきます。
http://neurorehai.blogspot.com/2011/02/blog-post_13.html
上記ブログより引用です。まとめると以下のようなトレーニングが効果的とのことです。
・強度:最大挙上重量(1RM)の50%以上(中強度から高強度)
・セット数・挙上回数:1~3 セット・8~12 回/セット
・頻度:週2~3 回
・トレーニング期間:3 ヶ月以上
ただ、結論として、「サルコペニアのサロゲート指標である骨格筋量と筋力を増加させるためには、十分な量の筋力トレーニングが効果的であること、ただし骨格筋量を増加させるためには、最大挙上重量の80%を超える高強度の筋力トレーニングが必要なことが示唆された。」とあります。
高強度の筋力トレーニングを実施できるような方であれば高強度、状態的にそれが難しい方であれば中強度の筋力トレーニングを行うというような使い分けが必要かもしれません。セット数、頻度、トレーニング期間に関しては、これらの数値を目安に指導するとよいと思います。
このレビュー論文は以下のHPで全文見ることができます。
http://www.jpha.or.jp/sub/pdf/menu04_5_04_10.pdf
http://neurorehai.blogspot.com/2011/02/blog-post_13.html
上記ブログより引用です。まとめると以下のようなトレーニングが効果的とのことです。
・強度:最大挙上重量(1RM)の50%以上(中強度から高強度)
・セット数・挙上回数:1~3 セット・8~12 回/セット
・頻度:週2~3 回
・トレーニング期間:3 ヶ月以上
ただ、結論として、「サルコペニアのサロゲート指標である骨格筋量と筋力を増加させるためには、十分な量の筋力トレーニングが効果的であること、ただし骨格筋量を増加させるためには、最大挙上重量の80%を超える高強度の筋力トレーニングが必要なことが示唆された。」とあります。
高強度の筋力トレーニングを実施できるような方であれば高強度、状態的にそれが難しい方であれば中強度の筋力トレーニングを行うというような使い分けが必要かもしれません。セット数、頻度、トレーニング期間に関しては、これらの数値を目安に指導するとよいと思います。
このレビュー論文は以下のHPで全文見ることができます。
http://www.jpha.or.jp/sub/pdf/menu04_5_04_10.pdf
2011年2月13日日曜日
日本老年医学会雑誌:栄養障害
日本老年医学会雑誌に栄養障害の総説論文が掲載されています。第52回日本老年医学会学術集会記録Meet the Expert 1:老年症候群の見方をまとめた論文です。
荒木 厚:“栄養障害”.日老医誌 (2010); Vol. 47: 530-533
下記HPで全文見ることができますので、ぜひご一読ください。
http://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/47/6/530/_pdf/-char/ja/
低栄養に対する栄養治療のエビデンスとして、「高齢者に対して蛋白とエネルギーの補充を行うと,急性期病院では約34%の死亡率の減少が見られている.とくに低栄養の患者,後期高齢者,400 kcal 以上補給した患者で有意な死亡率の減少が見られた.」とあります。
悪液質の定義として、Evansらの定義が紹介されています。「基礎疾患の存在下に少なくとも12カ月以内の5% 以上の体重減少(またはBMI:20 kg m2未満)に加えて以下の3 つの基準を満たすことを悪液質の定義としている15):①筋力の低下(最低3分位数),②疲労,③食欲低下(通常の摂取の70%以下),④除脂肪体重の低下(MAC またはDXAで定義),⑤生化学検査の異常:a)炎症マーカーの増加(CRP>0.5mg/dl ,IL-6>4.0pg/ml ),b)貧血(<12 g/dl),c)血清アルブミン<3.2g/dl」
悪液質を何らかの定義で診断することは、とても重要です。私は普段、前悪液質の診断基準を使用していますが。
悪液質の治療として、「今後注目すべき薬剤としてω-3脂肪酸,グレリン,メラノコルチン4-受容体(MC4-R)拮抗薬が挙げられる.」とのことです。ω-3脂肪酸とグレリンはこのブログでも何回か紹介しています。
メラノコルチン4-受容体(MC4-R)拮抗薬は私は初めて聞きました。「腺癌を移植したマウスに経口で選択的MC4-R 拮抗薬(SNT207858)を投与すると,食物摂取が増加し,体重,除脂肪量,脂肪量の減少を防ぎ,悪液質に対して有効であることが明らかとなっている」そうです。人での臨床研究はこれからのようです。
悪液質に対して単純な栄養サポートだけでは改善は困難なので、このような薬物療法や運動療法を組み合わせた包括的治療が重要です。これは、COPDに対する包括的呼吸リハに似ている気もします。
荒木 厚:“栄養障害”.日老医誌 (2010); Vol. 47: 530-533
下記HPで全文見ることができますので、ぜひご一読ください。
http://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/47/6/530/_pdf/-char/ja/
低栄養に対する栄養治療のエビデンスとして、「高齢者に対して蛋白とエネルギーの補充を行うと,急性期病院では約34%の死亡率の減少が見られている.とくに低栄養の患者,後期高齢者,400 kcal 以上補給した患者で有意な死亡率の減少が見られた.」とあります。
悪液質の定義として、Evansらの定義が紹介されています。「基礎疾患の存在下に少なくとも12カ月以内の5% 以上の体重減少(またはBMI:20 kg m2未満)に加えて以下の3 つの基準を満たすことを悪液質の定義としている15):①筋力の低下(最低3分位数),②疲労,③食欲低下(通常の摂取の70%以下),④除脂肪体重の低下(MAC またはDXAで定義),⑤生化学検査の異常:a)炎症マーカーの増加(CRP>0.5mg/dl ,IL-6>4.0pg/ml ),b)貧血(<12 g/dl),c)血清アルブミン<3.2g/dl」
悪液質を何らかの定義で診断することは、とても重要です。私は普段、前悪液質の診断基準を使用していますが。
悪液質の治療として、「今後注目すべき薬剤としてω-3脂肪酸,グレリン,メラノコルチン4-受容体(MC4-R)拮抗薬が挙げられる.」とのことです。ω-3脂肪酸とグレリンはこのブログでも何回か紹介しています。
メラノコルチン4-受容体(MC4-R)拮抗薬は私は初めて聞きました。「腺癌を移植したマウスに経口で選択的MC4-R 拮抗薬(SNT207858)を投与すると,食物摂取が増加し,体重,除脂肪量,脂肪量の減少を防ぎ,悪液質に対して有効であることが明らかとなっている」そうです。人での臨床研究はこれからのようです。
悪液質に対して単純な栄養サポートだけでは改善は困難なので、このような薬物療法や運動療法を組み合わせた包括的治療が重要です。これは、COPDに対する包括的呼吸リハに似ている気もします。
2011年2月11日金曜日
よくわかる地域看護研究の進め方・まとめ方
横山美江編著:よくわかる地域看護研究の進め方・まとめ方-保健事業の企画立案から評価への効果的な活用をめざして、医歯薬出版を紹介します。
http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=235420
量的研究と質的研究の基本についてわかりやすく解説されているとともに、地域での研究の進め方について具体的に解説されています。看護師、保健師向けではありますが、地域一体型NSTや地域栄養活動の研究を企画、実践する際にも参考になると思います。
院内、施設内だけでなく地域で積極的に活動するのは大事ですが、自分たちが自分の地域で活動していればそれでいい、というのでは何かが足りないと思います。地域でどのような活動に取り組みどのような成果を出しているかを学会発表や論文執筆で示すことも大切です。この点では、地域栄養ケアPEACH厚木代表の江頭文江さんがロールモデルだと思います。
地域で積極的に活動している方には、ぜひその取り組みをまとめて学会発表・論文執筆してほしいと思います。その際に参考になる書籍だと思います。
目次
I 地域保健活動と研究の基礎知識
1 地域保健活動と研究
1)地域保健活動に必要な研究の基礎知識:エビデンスに基づいた地域保健活動(横山)
(1)地域保健活動,研究活動,および保健師教育の循環
(2)エビデンスに基づいた地域保健活動の必要性
2)地域保健活動のプロセスにおけるエビデンスの活用方法(横山)
(1)実態把握および地域診断から介入効果予測・エビデンスの活用
(2)保健事業の企画・立案・施策化から保健サービス提供
(3)実態把握,保健事業の評価から改善へ
3)科学的根拠に基づいた保健活動に必要なスキル(朽木,松本)
(1)熱い保健師魂でエビデンスを探る!―地区活動から得られる情報と保健師の情熱
(2)文献で確認,積み上げることが大切―健康課題の明確化と文献検討
(3)深い洞察力で迫る!―分析能力
(4)住民参加・協働
(5)国・都道府県・市町村の政策との整合性
(6)法的根拠
(7)共通認識
(8)エンパワメント
4)地域保健活動に必要な研究の基礎知識(横山)
(1)研究のプロセス
(2)研究における倫理的配慮
2 地域保健活動における疫学研究(大木)
1)地域保健活動における研究の考え方
(1)地域保健活動における量的研究とは
(2)地域保健活動におけるエビデンスとは―なぜ疫学なのか
(3)現状を知りたいのか,関わる要因を知りたいのか
(4)地域保健活動における調査研究の目的・価値基準を考え直してみよう
(5)地域看護研究を開始する前の諸注意
2)疫学研究の基本的な考え方
(1)疫学とは
(2)疾病頻度の考え方―有病と罹患の区別
(3)ある要因への曝露の効果はどのように測定するか
(4)要因への曝露効果の指標:相対危険と寄与危険
(5)政策疫学と機序疫学
3)疫学研究のデザイン
(1)疫学研究方法の分類
(2)研究デザインとエビデンスレベル
(3)集団レベルの既存資料を利用した研究
(4)個人レベルのデータをもとにした疫学研究
4)研究結果の解釈―真実と誤差
(1)偶然誤差
(2)バイアス(系統誤差)
(3)信頼性と妥当性
(4)バイアスの種類
3 地域看護活動における質的研究(都筑)
1)質的研究とは
(1)質的(定性的)データと量的(定量的)データ
(2)地域看護分野における質的研究の意義
(3)量的研究との比較
2)質的研究の種類
(1)エスノグラフィー(記述民族学・民族誌学・ethnography)
(2)グラウンデッド・セオリー(Grounded theory)
(3)質的記述的研究
(4)アクションリサーチ
3)質的研究のプロセス
(1)研究テーマを設定する
(2)先行研究,文献を検討する
(3)研究計画を立案する
(4)具体的なデータ収集方法
(5)データの分析
(6)質的研究の質の確保
(7)論文のまとめ方
(8)よい質的研究を行うために
4)地域保健活動における質的研究の活用~エスノグラフィーの例
(1)地域看護診断の枠組み
(2)地区視診
(3)エスノグラフィーを取り入れた面接調査の実施
(4)根拠のある地域看護活動の実践へ
4 地域保健活動における経済的評価(岡本)
1)エコロジカル(生態学的)研究
2)費用対効果分析
(1)検診の経済評価
(2)感染症の流行と予防接種の経済評価
(3)限界分析・増分分析・感度分析と収穫逓減の法則
(4)費用対効用分析(延命効果)
3)費用対便益分析(収益性・採算性)
(1)直接・間接費用と便益
(2)割引率
(3)佐賀県のC型肝炎スクリーニングの例
4)対照群の選択法
(1)傾向得点法
(2)マッチング
(3)介護予防の経済評価
5)医療費分析
(1)医療給付実態調査
(2)レセプトと健診データの突合
6)レセプト情報の利活用
(1)レセプトの法的性質と個人情報保護
(2)レセプトのしくみ
(3)傷病名欄
(4)点数欄と摘要欄
(5)医療費の三要素
(6)傷病分析
5 研究論文の基礎知識(横山)
1)論文の種類
2)原著論文の構成と論文を執筆するときの必須条件
(1)論文を執筆するときの必須条件:投稿規定に合わせること
(2)原著論文における本文の構成
(3)わかりやすい図表の作成
II 地域看護活動と科学的根拠(河野)
1 科学的根拠(エビデンス)に基づく看護実践:EBN
2 エビデンスに基づく地域看護実践が普及するための課題
1)エビデンスに基づく地域看護実践を阻害するもの
(1)EBNを実践する方法について,知識やスキルが十分ない
(2)地域看護学に関する学術的な情報量が多すぎる
(3)地域看護実践機関に組織的な制限が働くことがある
(4)研究やEBNに対する誤った認識や否定的な見解がある
2)エビデンスに基づく地域看護実践が普及するための課題
3 エビデンスの水準
1)エビデンスの水準の分類
(1)水準Ia
(2)水準Ib
(3)水準IIa
(4)水準IIb
(5)水準IIIa
(6)水準IIIb
(7)水準IV
2)エビデンスの水準についての評価
3)地域看護活動にエビデンスを活用する際の留意点
4 文献検索の実施からのエビデンスの見つけ方
1)地域看護活動とエビデンスの見つけ方と活用
(1)個人・家族への地域看護活動におけるエビデンスの活用
(2)個人・家族への地域看護活動のエビデンスの見つけ方と吟味
(3)個人・家族への地域看護活動の評価
2)個人・家族への介入におけるエビデンスの見つけ方の具体例
(1)高齢者への家庭訪問におけるエビデンスの見つけ方
III エビデンスに基づいた保健師活動の実際
1 個人・家族への介入の実際(都筑)
1)母子保健におけるエビデンスの活用
(1)新生児に対する家庭訪問の現状把握
(2)研究方法
(3)研究結果
(4)実践への示唆
2 保健事業の企画立案・施策化から評価の実際
1)エビデンスを活用した多胎児育児支援事業の展開(横山)
はじめに
(1)西宮市における多胎出産の動向
(2)多胎児育児支援事業の企画・立案,施策化への取り組みのきっかけ
(3)多胎児育児支援事業の企画・立案のためのエビデンスづくり―ニーズ調査の実施
(4)ニーズ調査に基づいた母子保健事業「多胎児育児支援のための両親学級:双子・三つ子の親になる人のつどい」の企画立案から施策化まで
(5)「多胎児育児支援のための両親学級:双子・三つ子の親になる人のつどい」の実際
(6)「多胎児育児支援のための両親学級:双子・三つ子の親になる人のつどい」の評価
おわりに
2)自閉性発達障害児の子育て支援モデルの開発に関する取り組み―エビデンスの活用と展開(松田,石井)
はじめに
(1)A市の育児支援教室の概要
(2)実践からのモデル開発―自閉性発達障害児の子育て支援モデルの開発とそのプロセス
(3)子育て支援モデルからの示唆―今後の教室運営の方向性と課題
(4)今回の取り組みの意味と今後の展望
3)生活習慣病予防事業におけるエビデンスの活用と展開(野口)
(1)生活習慣病予防事業の考え方
(2)生活習慣病の予防段階と対策のターゲット
(3)生活習慣病予防の具体的な活動と展開
おわりに
4)介護予防事業におけるエビデンスの活用と展開(田髙)
(1)介護予防の理論的整理
(2)エビデンスに基づいた介護予防事業の実際
5)健康危機管理におけるエビデンスの活用(宮﨑)
(1)健康危機管理におけるエビデンス活用の背景
(2)健康危機管理における保健師活動に関するエビデンスの状況
(3)健康危機管理におけるエビデンスの活用
(4)エビデンスの活用事例:地域の健康危機管理における保健所保健師の活動指針の作成
http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=235420
量的研究と質的研究の基本についてわかりやすく解説されているとともに、地域での研究の進め方について具体的に解説されています。看護師、保健師向けではありますが、地域一体型NSTや地域栄養活動の研究を企画、実践する際にも参考になると思います。
院内、施設内だけでなく地域で積極的に活動するのは大事ですが、自分たちが自分の地域で活動していればそれでいい、というのでは何かが足りないと思います。地域でどのような活動に取り組みどのような成果を出しているかを学会発表や論文執筆で示すことも大切です。この点では、地域栄養ケアPEACH厚木代表の江頭文江さんがロールモデルだと思います。
地域で積極的に活動している方には、ぜひその取り組みをまとめて学会発表・論文執筆してほしいと思います。その際に参考になる書籍だと思います。
目次
I 地域保健活動と研究の基礎知識
1 地域保健活動と研究
1)地域保健活動に必要な研究の基礎知識:エビデンスに基づいた地域保健活動(横山)
(1)地域保健活動,研究活動,および保健師教育の循環
(2)エビデンスに基づいた地域保健活動の必要性
2)地域保健活動のプロセスにおけるエビデンスの活用方法(横山)
(1)実態把握および地域診断から介入効果予測・エビデンスの活用
(2)保健事業の企画・立案・施策化から保健サービス提供
(3)実態把握,保健事業の評価から改善へ
3)科学的根拠に基づいた保健活動に必要なスキル(朽木,松本)
(1)熱い保健師魂でエビデンスを探る!―地区活動から得られる情報と保健師の情熱
(2)文献で確認,積み上げることが大切―健康課題の明確化と文献検討
(3)深い洞察力で迫る!―分析能力
(4)住民参加・協働
(5)国・都道府県・市町村の政策との整合性
(6)法的根拠
(7)共通認識
(8)エンパワメント
4)地域保健活動に必要な研究の基礎知識(横山)
(1)研究のプロセス
(2)研究における倫理的配慮
2 地域保健活動における疫学研究(大木)
1)地域保健活動における研究の考え方
(1)地域保健活動における量的研究とは
(2)地域保健活動におけるエビデンスとは―なぜ疫学なのか
(3)現状を知りたいのか,関わる要因を知りたいのか
(4)地域保健活動における調査研究の目的・価値基準を考え直してみよう
(5)地域看護研究を開始する前の諸注意
2)疫学研究の基本的な考え方
(1)疫学とは
(2)疾病頻度の考え方―有病と罹患の区別
(3)ある要因への曝露の効果はどのように測定するか
(4)要因への曝露効果の指標:相対危険と寄与危険
(5)政策疫学と機序疫学
3)疫学研究のデザイン
(1)疫学研究方法の分類
(2)研究デザインとエビデンスレベル
(3)集団レベルの既存資料を利用した研究
(4)個人レベルのデータをもとにした疫学研究
4)研究結果の解釈―真実と誤差
(1)偶然誤差
(2)バイアス(系統誤差)
(3)信頼性と妥当性
(4)バイアスの種類
3 地域看護活動における質的研究(都筑)
1)質的研究とは
(1)質的(定性的)データと量的(定量的)データ
(2)地域看護分野における質的研究の意義
(3)量的研究との比較
2)質的研究の種類
(1)エスノグラフィー(記述民族学・民族誌学・ethnography)
(2)グラウンデッド・セオリー(Grounded theory)
(3)質的記述的研究
(4)アクションリサーチ
3)質的研究のプロセス
(1)研究テーマを設定する
(2)先行研究,文献を検討する
(3)研究計画を立案する
(4)具体的なデータ収集方法
(5)データの分析
(6)質的研究の質の確保
(7)論文のまとめ方
(8)よい質的研究を行うために
4)地域保健活動における質的研究の活用~エスノグラフィーの例
(1)地域看護診断の枠組み
(2)地区視診
(3)エスノグラフィーを取り入れた面接調査の実施
(4)根拠のある地域看護活動の実践へ
4 地域保健活動における経済的評価(岡本)
1)エコロジカル(生態学的)研究
2)費用対効果分析
(1)検診の経済評価
(2)感染症の流行と予防接種の経済評価
(3)限界分析・増分分析・感度分析と収穫逓減の法則
(4)費用対効用分析(延命効果)
3)費用対便益分析(収益性・採算性)
(1)直接・間接費用と便益
(2)割引率
(3)佐賀県のC型肝炎スクリーニングの例
4)対照群の選択法
(1)傾向得点法
(2)マッチング
(3)介護予防の経済評価
5)医療費分析
(1)医療給付実態調査
(2)レセプトと健診データの突合
6)レセプト情報の利活用
(1)レセプトの法的性質と個人情報保護
(2)レセプトのしくみ
(3)傷病名欄
(4)点数欄と摘要欄
(5)医療費の三要素
(6)傷病分析
5 研究論文の基礎知識(横山)
1)論文の種類
2)原著論文の構成と論文を執筆するときの必須条件
(1)論文を執筆するときの必須条件:投稿規定に合わせること
(2)原著論文における本文の構成
(3)わかりやすい図表の作成
II 地域看護活動と科学的根拠(河野)
1 科学的根拠(エビデンス)に基づく看護実践:EBN
2 エビデンスに基づく地域看護実践が普及するための課題
1)エビデンスに基づく地域看護実践を阻害するもの
(1)EBNを実践する方法について,知識やスキルが十分ない
(2)地域看護学に関する学術的な情報量が多すぎる
(3)地域看護実践機関に組織的な制限が働くことがある
(4)研究やEBNに対する誤った認識や否定的な見解がある
2)エビデンスに基づく地域看護実践が普及するための課題
3 エビデンスの水準
1)エビデンスの水準の分類
(1)水準Ia
(2)水準Ib
(3)水準IIa
(4)水準IIb
(5)水準IIIa
(6)水準IIIb
(7)水準IV
2)エビデンスの水準についての評価
3)地域看護活動にエビデンスを活用する際の留意点
4 文献検索の実施からのエビデンスの見つけ方
1)地域看護活動とエビデンスの見つけ方と活用
(1)個人・家族への地域看護活動におけるエビデンスの活用
(2)個人・家族への地域看護活動のエビデンスの見つけ方と吟味
(3)個人・家族への地域看護活動の評価
2)個人・家族への介入におけるエビデンスの見つけ方の具体例
(1)高齢者への家庭訪問におけるエビデンスの見つけ方
III エビデンスに基づいた保健師活動の実際
1 個人・家族への介入の実際(都筑)
1)母子保健におけるエビデンスの活用
(1)新生児に対する家庭訪問の現状把握
(2)研究方法
(3)研究結果
(4)実践への示唆
2 保健事業の企画立案・施策化から評価の実際
1)エビデンスを活用した多胎児育児支援事業の展開(横山)
はじめに
(1)西宮市における多胎出産の動向
(2)多胎児育児支援事業の企画・立案,施策化への取り組みのきっかけ
(3)多胎児育児支援事業の企画・立案のためのエビデンスづくり―ニーズ調査の実施
(4)ニーズ調査に基づいた母子保健事業「多胎児育児支援のための両親学級:双子・三つ子の親になる人のつどい」の企画立案から施策化まで
(5)「多胎児育児支援のための両親学級:双子・三つ子の親になる人のつどい」の実際
(6)「多胎児育児支援のための両親学級:双子・三つ子の親になる人のつどい」の評価
おわりに
2)自閉性発達障害児の子育て支援モデルの開発に関する取り組み―エビデンスの活用と展開(松田,石井)
はじめに
(1)A市の育児支援教室の概要
(2)実践からのモデル開発―自閉性発達障害児の子育て支援モデルの開発とそのプロセス
(3)子育て支援モデルからの示唆―今後の教室運営の方向性と課題
(4)今回の取り組みの意味と今後の展望
3)生活習慣病予防事業におけるエビデンスの活用と展開(野口)
(1)生活習慣病予防事業の考え方
(2)生活習慣病の予防段階と対策のターゲット
(3)生活習慣病予防の具体的な活動と展開
おわりに
4)介護予防事業におけるエビデンスの活用と展開(田髙)
(1)介護予防の理論的整理
(2)エビデンスに基づいた介護予防事業の実際
5)健康危機管理におけるエビデンスの活用(宮﨑)
(1)健康危機管理におけるエビデンス活用の背景
(2)健康危機管理における保健師活動に関するエビデンスの状況
(3)健康危機管理におけるエビデンスの活用
(4)エビデンスの活用事例:地域の健康危機管理における保健所保健師の活動指針の作成
2011年2月10日木曜日
やさしいエビデンスの読み方・使い方
能登洋著、やさしいエビデンスの読み方・使い方-臨床統計学からEBMの真実を読む、南江堂を紹介します。
http://www.nankodo.co.jp/wasyo/search/syo_syosai.asp?T_PRODUCTNO=2262081
この書籍でもやさしくないと思われる方もいるかもしれませんが、私は十分やさしい書籍だと感じました。すでに名郷先生の書籍などでEBM・EBCPの学習や実践をされている方には復習になってしまいますが、まだEBM・EBCPに自信がないという方やこれからEBM・EBCPを学習したいという方にはおすすめです。
第Ⅴ章では診療ガイドラインが取り上げられています。日本ではこの数年で診療ガイドラインが急速に増えてきましたが、「日本の学会発行のガイドラインはエビデンス批評が甘かったり誤っていたりすることが多いので注意が必要です」とあります。
エビデンスに基づいたガイドラインといっても、その内容を鵜呑みにしてはいけないということがよくわかります。また仮にガイドラインの内容が適切であったとしても、それをそのまま臨床で用いるのであればEBM・EBCPではありません。ガイドライン(エビデンス)だけでなく、患者の意向、医療者の経験、理論をバランスよく統合して判断するのがEBM・EBCPです。
このブログでも論文を取り上げることがありますが、その内容を鵜呑みにしないようにしてくださいね(笑)。
目次
I章 総論-EBM・臨床統計学とは
1 Evidence-Based Medicine(EBM)
A EBMとは
B EBMの注意点
C EBMの活用法
D EBMの実践手順
STEP1 臨床問題の定式化
STEP2 エビデンス検索
STEP3 エビデンスの批評
STEP4 実際の患者への適用(統合的臨床判断)
STEP5 STEP1-STEP4の評価・フィードバック
2 EBM実践に役立つ臨床統計学
A 臨床統計学の目的と意義
1 不確実な現実
2 臨床統計学の目的と意義とは
3 誤差
4 バイアス
B 統計学の種類
1 記述統計
2 推測統計
C 臨床研究
1 目的
2 手順
3 仮説
4 方法
5 デザイン
6 妥当性の水準
D アウトカム
1 評価項目
2 一次エンドポイントと二次エンドポイント
3 複合エンドポイント
4 ハードエンドポイントとソフトエンドポイント
E データの種類
1 3種類のデータ
2 計量データの表記法
F 統計学的推測
1 推定
2 検定
3 有意差
4 信頼区間とp値の使い分け
5 検定法
まとめ
II章 診断・スクリーニング編
A 検査値の誤差
B 基準値と正常値
C 誤診の指標
1 カットオフ値(診断判定値)
2 感度・特異度
3 尤度比
4 検査の評価と選択法
5 感度・特異度・尤度比の検定
D カットオフ値・ROC曲線
1 カットオフ値と誤診の関係
2 ROC曲線
3 新マーカーの付加価値
E 的中度
1 特異度と的中度
2 有病率と的中度
F スクリーニング検査・検診の臨床的価値は?
G エビデンスの読み方・使い方
H エビデンスの読み方・使い方の実例
1 カプセル内視鏡の診断特性
2 メタボリックシンドロームの腹囲基準
3 遺伝子診断による糖尿病予測
まとめ
III章 関連性編-リスク・予後・相関
A リスクの評価
1 リスクとリスクファクター
2 交絡因子
3 リスクの比較
4 リスクの検定
B トレンド
1 トレンド解析
2 トレンドの検定法
C 相関と回帰
1 相関と回帰とは
2 相関係数
3 回帰分析
D 因果
E エビデンスの読み方・使い方
F エビデンスの読み方・使い方の実例
1 低血糖による認知症のリスク
2 CRP値による心血管疾患予測
3 腹囲と内臓脂肪量の相関
まとめ
IV章 治療・予防編
A 妥当性の向上と維持
1 無作為化比較試験
2 PROBE法
B 信頼性の確保
C intention-to-treat(ITT)解析
D 治療効果の指標
1 リスク
2 代用エンドポイント
3 グラフの読み方
4 二次エンドポイント
5 サブグループ解析
6 後付け解析
E 治療効果の検定
1 検定法
2 優越性検定と非劣性検定
F エビデンスの読み方・使い方
G エビデンスの読み方・使い方の実例
1 EPA投与による冠動脈疾患発症予防効果
2 チアゾリジン薬投与による心血管疾患予防効果
まとめ
V章 診療ガイドライン編
A 診療ガイドラインとは
1 診療ガイドライン
2 診療ガイドラインの強制力
3 診療ガイドラインでのエビデンス・推奨内容の分類
4 「エビデンスに基づいた」診療ガイドラインの罠
B 診療ガイドラインの読み方・使い方
1 糖尿病診療ガイドライン
2 CKD診療ガイドライン
まとめ
付録 エビデンスのチェックリスト,推薦図書
A エビデンスの批評-診断・スクリーニング
B エビデンスの批評-リスク・相関・因果
C エビデンスの批評-予後
D エビデンスの批評-治療・予防
E エビデンスの批評-診療ガイドライン
推薦図書,エビデンス二次資料
http://www.nankodo.co.jp/wasyo/search/syo_syosai.asp?T_PRODUCTNO=2262081
この書籍でもやさしくないと思われる方もいるかもしれませんが、私は十分やさしい書籍だと感じました。すでに名郷先生の書籍などでEBM・EBCPの学習や実践をされている方には復習になってしまいますが、まだEBM・EBCPに自信がないという方やこれからEBM・EBCPを学習したいという方にはおすすめです。
第Ⅴ章では診療ガイドラインが取り上げられています。日本ではこの数年で診療ガイドラインが急速に増えてきましたが、「日本の学会発行のガイドラインはエビデンス批評が甘かったり誤っていたりすることが多いので注意が必要です」とあります。
エビデンスに基づいたガイドラインといっても、その内容を鵜呑みにしてはいけないということがよくわかります。また仮にガイドラインの内容が適切であったとしても、それをそのまま臨床で用いるのであればEBM・EBCPではありません。ガイドライン(エビデンス)だけでなく、患者の意向、医療者の経験、理論をバランスよく統合して判断するのがEBM・EBCPです。
このブログでも論文を取り上げることがありますが、その内容を鵜呑みにしないようにしてくださいね(笑)。
目次
I章 総論-EBM・臨床統計学とは
1 Evidence-Based Medicine(EBM)
A EBMとは
B EBMの注意点
C EBMの活用法
D EBMの実践手順
STEP1 臨床問題の定式化
STEP2 エビデンス検索
STEP3 エビデンスの批評
STEP4 実際の患者への適用(統合的臨床判断)
STEP5 STEP1-STEP4の評価・フィードバック
2 EBM実践に役立つ臨床統計学
A 臨床統計学の目的と意義
1 不確実な現実
2 臨床統計学の目的と意義とは
3 誤差
4 バイアス
B 統計学の種類
1 記述統計
2 推測統計
C 臨床研究
1 目的
2 手順
3 仮説
4 方法
5 デザイン
6 妥当性の水準
D アウトカム
1 評価項目
2 一次エンドポイントと二次エンドポイント
3 複合エンドポイント
4 ハードエンドポイントとソフトエンドポイント
E データの種類
1 3種類のデータ
2 計量データの表記法
F 統計学的推測
1 推定
2 検定
3 有意差
4 信頼区間とp値の使い分け
5 検定法
まとめ
II章 診断・スクリーニング編
A 検査値の誤差
B 基準値と正常値
C 誤診の指標
1 カットオフ値(診断判定値)
2 感度・特異度
3 尤度比
4 検査の評価と選択法
5 感度・特異度・尤度比の検定
D カットオフ値・ROC曲線
1 カットオフ値と誤診の関係
2 ROC曲線
3 新マーカーの付加価値
E 的中度
1 特異度と的中度
2 有病率と的中度
F スクリーニング検査・検診の臨床的価値は?
G エビデンスの読み方・使い方
H エビデンスの読み方・使い方の実例
1 カプセル内視鏡の診断特性
2 メタボリックシンドロームの腹囲基準
3 遺伝子診断による糖尿病予測
まとめ
III章 関連性編-リスク・予後・相関
A リスクの評価
1 リスクとリスクファクター
2 交絡因子
3 リスクの比較
4 リスクの検定
B トレンド
1 トレンド解析
2 トレンドの検定法
C 相関と回帰
1 相関と回帰とは
2 相関係数
3 回帰分析
D 因果
E エビデンスの読み方・使い方
F エビデンスの読み方・使い方の実例
1 低血糖による認知症のリスク
2 CRP値による心血管疾患予測
3 腹囲と内臓脂肪量の相関
まとめ
IV章 治療・予防編
A 妥当性の向上と維持
1 無作為化比較試験
2 PROBE法
B 信頼性の確保
C intention-to-treat(ITT)解析
D 治療効果の指標
1 リスク
2 代用エンドポイント
3 グラフの読み方
4 二次エンドポイント
5 サブグループ解析
6 後付け解析
E 治療効果の検定
1 検定法
2 優越性検定と非劣性検定
F エビデンスの読み方・使い方
G エビデンスの読み方・使い方の実例
1 EPA投与による冠動脈疾患発症予防効果
2 チアゾリジン薬投与による心血管疾患予防効果
まとめ
V章 診療ガイドライン編
A 診療ガイドラインとは
1 診療ガイドライン
2 診療ガイドラインの強制力
3 診療ガイドラインでのエビデンス・推奨内容の分類
4 「エビデンスに基づいた」診療ガイドラインの罠
B 診療ガイドラインの読み方・使い方
1 糖尿病診療ガイドライン
2 CKD診療ガイドライン
まとめ
付録 エビデンスのチェックリスト,推薦図書
A エビデンスの批評-診断・スクリーニング
B エビデンスの批評-リスク・相関・因果
C エビデンスの批評-予後
D エビデンスの批評-治療・予防
E エビデンスの批評-診療ガイドライン
推薦図書,エビデンス二次資料
2011年2月9日水曜日
関節リウマチにおけるBMIとインフリキシマブの効果の関連
関節リウマチにおけるBMIとインフリキシマブ(生物学的製剤、商品名レミケード)の効果の関連をみた論文を紹介します。
Klaasen R, Wijbrandts CA, Gerlag DM, Tak PP. Body mass index and clinical response to infliximab in rheumatoid arthritis. Arthritis Rheum. 2011 Feb;63(2):359-64. doi: 10.1002/art.30136.
インフリキシマブは体重1kgあたり3mg、経静脈的に投与しました。結果ですが、インフリキシマブ使用前のBMIと疾患活動度(DAS28)には、有意な関連を認めました。また、疾患活動度で調整した後でも、BMIが高い患者では疾患活動度の改善が有意に低い関連を認めました。
つまり、BMIが高い関節リウマチ患者では脂肪量が多く、脂肪組織が関節リウマチにおいて何らかの免疫調整に関わっている可能性があるといえます。
ただ、多変量解析は行っていますが、関節リウマチがより重度の患者では、インフリキシマブの効きが悪く、悪液質のことが多い(関節リウマチによる悪液質やサルコペニアでは、脂肪量が保たれていることも多い)のかもしれません。
また、同じ体重の関節リウマチ患者でも筋肉量が多いか少ないか、脂肪量が多いか少ないかで、インフリキシマブの投与量を変更しなければいけないのかもしれません。
Abstract
OBJECTIVE: Adipose tissue has immunomodulating effects in rheumatoid arthritis (RA), although the exact role is, at present, unclear. The purpose of this study was to determine whether body mass index (BMI) affects response to infliximab in RA patients investigated prospectively.
METHODS: In 89 patients with active RA, the BMI was calculated before initiation of infliximab treatment (3 mg/kg intravenously). After 16 weeks of treatment, changes in disease activity were assessed with the Disease Activity Score in 28 joints (DAS28).
RESULTS: The mean ± SD BMI was 26 ± 5 kg/m(2) (range 17-42). The BMI correlated positively with the DAS28 at baseline (r = 0.34, P = 0.001). Since selection of study patients according to DAS28 values could influence the clinical response to tumor necrosis factor (TNF) blockade due to regression to the mean because the clinical response is itself based on the change in the DAS28 values, analysis of covariance was used to correct for the baseline DAS28. A highly significant, negative association between the BMI and the absolute decrease in the DAS28 after 16 weeks (P = 0.001) was found also when adjusted for anti-citrullinated protein antibodies.
CONCLUSION: Although the infliximab dosage is based on body weight, RA patients with a high BMI responded less well to infliximab, a finding that held true when adjusted for the baseline DAS28 or anti-citrullinated protein antibody status. These results support the notion that adipose tissue may be involved in the pathophysiology of RA and could have implications for other immune-mediated inflammatory conditions treated with TNF antagonists.
Klaasen R, Wijbrandts CA, Gerlag DM, Tak PP. Body mass index and clinical response to infliximab in rheumatoid arthritis. Arthritis Rheum. 2011 Feb;63(2):359-64. doi: 10.1002/art.30136.
インフリキシマブは体重1kgあたり3mg、経静脈的に投与しました。結果ですが、インフリキシマブ使用前のBMIと疾患活動度(DAS28)には、有意な関連を認めました。また、疾患活動度で調整した後でも、BMIが高い患者では疾患活動度の改善が有意に低い関連を認めました。
つまり、BMIが高い関節リウマチ患者では脂肪量が多く、脂肪組織が関節リウマチにおいて何らかの免疫調整に関わっている可能性があるといえます。
ただ、多変量解析は行っていますが、関節リウマチがより重度の患者では、インフリキシマブの効きが悪く、悪液質のことが多い(関節リウマチによる悪液質やサルコペニアでは、脂肪量が保たれていることも多い)のかもしれません。
また、同じ体重の関節リウマチ患者でも筋肉量が多いか少ないか、脂肪量が多いか少ないかで、インフリキシマブの投与量を変更しなければいけないのかもしれません。
Abstract
OBJECTIVE: Adipose tissue has immunomodulating effects in rheumatoid arthritis (RA), although the exact role is, at present, unclear. The purpose of this study was to determine whether body mass index (BMI) affects response to infliximab in RA patients investigated prospectively.
METHODS: In 89 patients with active RA, the BMI was calculated before initiation of infliximab treatment (3 mg/kg intravenously). After 16 weeks of treatment, changes in disease activity were assessed with the Disease Activity Score in 28 joints (DAS28).
RESULTS: The mean ± SD BMI was 26 ± 5 kg/m(2) (range 17-42). The BMI correlated positively with the DAS28 at baseline (r = 0.34, P = 0.001). Since selection of study patients according to DAS28 values could influence the clinical response to tumor necrosis factor (TNF) blockade due to regression to the mean because the clinical response is itself based on the change in the DAS28 values, analysis of covariance was used to correct for the baseline DAS28. A highly significant, negative association between the BMI and the absolute decrease in the DAS28 after 16 weeks (P = 0.001) was found also when adjusted for anti-citrullinated protein antibodies.
CONCLUSION: Although the infliximab dosage is based on body weight, RA patients with a high BMI responded less well to infliximab, a finding that held true when adjusted for the baseline DAS28 or anti-citrullinated protein antibody status. These results support the notion that adipose tissue may be involved in the pathophysiology of RA and could have implications for other immune-mediated inflammatory conditions treated with TNF antagonists.
骨格筋減少:悪液質・サルコペニア・廃用
骨格筋減少について、悪液質・サルコペニア・廃用で比較したレビュー論文を紹介します。
Evans WJ. Skeletal muscle loss: cachexia, sarcopenia, and inactivity. Am J Clin Nutr. 2010 Apr;91(4):1123S-1127S. Epub 2010 Feb 17.
骨格筋減少の主な原因として、この論文では疾患(悪液質)・加齢によるサルコペニア・不活動(廃用)の3つを取り上げて、これらを比較しています。実際には、侵襲、飢餓、神経筋疾患、薬剤の副作用でも骨格筋減少は生じますが…。
廃用性筋萎縮の予防として、高品質の蛋白質を含む栄養サポートが重要としています。悪液質による筋肉量減少の場合、栄養サポート単独では有効ではないかもしれませんが、同化作用をもつ薬剤と併用することで緩和、予防できるかもしれないとしています。
ただ、悪液質・サルコペニア・廃用のどれが骨格筋減少の原因であっても、栄養サポート単独で筋肉量を増やすことはできません。体重を増やすことはできたとしても、それは脂肪による増加です。悪液質・サルコペニア・廃用いずれでも、筋肉量を増やすにはレジスタンストレーニングもしくは薬物療法の併用が必須です。この点がこのレビューではあまり強調されていない気がします。
Abstract
Loss of skeletal muscle mass occurs during aging (sarcopenia), disease (cachexia), or inactivity (atrophy). This article contrasts and compares the metabolic causes of loss of muscle resulting from these conditions. An understanding of the underlying causes of muscle loss is critical for the development of strategies and therapies to preserve muscle mass and function. Loss of skeletal muscle protein results from an imbalance between the rate of muscle protein synthesis and degradation. Cachexia, sarcopenia, and atrophy due to inactivity are characterized by a loss of muscle mass. Each of these conditions results in a metabolic adaptation of increased protein degradation (cachexia), decreased rate of muscle protein synthesis (inactivity), or an alteration in both (sarcopenia). The clinical consequences of bedrest may mimic those of cachexia, including rapid loss of muscle, insulin resistance, and weakness. Prophylaxis against bedrest-induced atrophy includes nutrition support with an emphasis on high-quality protein. Nutritional supplementation alone may not prevent muscle loss secondary to cachexia, but, in combination with the use of an anabolic agent, it may slow or prevent muscle loss.
Evans WJ. Skeletal muscle loss: cachexia, sarcopenia, and inactivity. Am J Clin Nutr. 2010 Apr;91(4):1123S-1127S. Epub 2010 Feb 17.
骨格筋減少の主な原因として、この論文では疾患(悪液質)・加齢によるサルコペニア・不活動(廃用)の3つを取り上げて、これらを比較しています。実際には、侵襲、飢餓、神経筋疾患、薬剤の副作用でも骨格筋減少は生じますが…。
廃用性筋萎縮の予防として、高品質の蛋白質を含む栄養サポートが重要としています。悪液質による筋肉量減少の場合、栄養サポート単独では有効ではないかもしれませんが、同化作用をもつ薬剤と併用することで緩和、予防できるかもしれないとしています。
ただ、悪液質・サルコペニア・廃用のどれが骨格筋減少の原因であっても、栄養サポート単独で筋肉量を増やすことはできません。体重を増やすことはできたとしても、それは脂肪による増加です。悪液質・サルコペニア・廃用いずれでも、筋肉量を増やすにはレジスタンストレーニングもしくは薬物療法の併用が必須です。この点がこのレビューではあまり強調されていない気がします。
Abstract
Loss of skeletal muscle mass occurs during aging (sarcopenia), disease (cachexia), or inactivity (atrophy). This article contrasts and compares the metabolic causes of loss of muscle resulting from these conditions. An understanding of the underlying causes of muscle loss is critical for the development of strategies and therapies to preserve muscle mass and function. Loss of skeletal muscle protein results from an imbalance between the rate of muscle protein synthesis and degradation. Cachexia, sarcopenia, and atrophy due to inactivity are characterized by a loss of muscle mass. Each of these conditions results in a metabolic adaptation of increased protein degradation (cachexia), decreased rate of muscle protein synthesis (inactivity), or an alteration in both (sarcopenia). The clinical consequences of bedrest may mimic those of cachexia, including rapid loss of muscle, insulin resistance, and weakness. Prophylaxis against bedrest-induced atrophy includes nutrition support with an emphasis on high-quality protein. Nutritional supplementation alone may not prevent muscle loss secondary to cachexia, but, in combination with the use of an anabolic agent, it may slow or prevent muscle loss.
2011年2月8日火曜日
早期関節リウマチの身体組成の異常
ベトナムの女性における早期関節リウマチの身体組成の異常に関する論文を紹介します。
Hanh-Hung Dao, Quan-Trung Do and Junichi Sakamoto: Abnormal body composition phenotypes in Vietnamese women with early rheumatoid arthritis. Rheumatology (2011)
doi: 10.1093/rheumatology/ker004
発症3年以内の早期関節リウマチの患者と、年齢をマッチさせたコントロールの健常者と比較した研究です。身長、体重は両者でほぼ同じでしたが、早期関節リウマチ患者では全身と体幹の脂肪量が多く、四肢の除脂肪量が少ないという結果でした。
サルコペニア、過脂肪、サルコペニア肥満も健常者より早期関節リウマチ患者のほうが有意に多く、疾患の活動性や障害の程度と脂肪量に関連を認めました。早期関節リウマチ患者では、障害を少なくするためのレジスタンストレーニングや体脂肪量の減少を考慮すべきです。
今回の対象はベトナムの女性ですが、欧米の女性よりは日本人の身体組成に近いと思われるので、より参考になると考えます。
関節リウマチでは、るいそうの方もいますが、一見やせていない方も多いです。しかし、今回の結果を考慮すると、やせていなくても筋肉量が少なく脂肪量が多く、サルコペニアやサルコペニア肥満(原因は関節リウマチによる悪液質やステロイドの使用など)のことが少なくありません。そのため、炎症コントロールがある程度得られている場合には、積極的なレジスタンストレーニングや肥満の場合は減量を行うべきでしょう。
Abstract
Objectives. To characterize body composition phenotypes using a dual-energy X-ray absorptiometry (DXA) method and to explore factors potentially contributing to alterations in body composition in Vietnamese women with early RA.
Methods. A total of 105 women with early RA (disease duration ≤3 years) and 105 age-matched healthy women underwent physical examination, total and regional lean mass (LM) and fat mass (FM) with DXA. The 28-joint DAS (DAS-28) and disability using HAQ score, nutrition, physical activity and medications were recorded.
Results. Means of weight and BMI were similar in RA patients and controls, but means of total body and trunk FM in RA patients were higher: 19.1 vs 16.9 kg (P = 0.007) and 10.1 vs 8.1 kg (P = 0.01), respectively, and appendicular LM was lower: 12.9 vs 14.1 kg (P = 0.02). The proportion of unhealthy body composition phenotypes (sarcopenia, overfat and sarcopenic obesity) in RA patients was higher (P < 0.001) than in controls. DAS-28 score was positively correlated with total FM and fat distribution ratio, and HAQ score was inversely correlated with appendicular LM. These body composition changes were associated with RF seropositivity, HAQ and DAS-28 scores.
Conclusions. Women with early RA had a significantly higher proportion of unhealthy body composition phenotypes, higher total and truncal FM and lower appendicular LM than controls. Disease activity and disability scores were associated with unhealthy body composition. These findings suggest that clinicians should encourage muscle strengthening and fat loss in RA patients to reduce their disability.
Hanh-Hung Dao, Quan-Trung Do and Junichi Sakamoto: Abnormal body composition phenotypes in Vietnamese women with early rheumatoid arthritis. Rheumatology (2011)
doi: 10.1093/rheumatology/ker004
発症3年以内の早期関節リウマチの患者と、年齢をマッチさせたコントロールの健常者と比較した研究です。身長、体重は両者でほぼ同じでしたが、早期関節リウマチ患者では全身と体幹の脂肪量が多く、四肢の除脂肪量が少ないという結果でした。
サルコペニア、過脂肪、サルコペニア肥満も健常者より早期関節リウマチ患者のほうが有意に多く、疾患の活動性や障害の程度と脂肪量に関連を認めました。早期関節リウマチ患者では、障害を少なくするためのレジスタンストレーニングや体脂肪量の減少を考慮すべきです。
今回の対象はベトナムの女性ですが、欧米の女性よりは日本人の身体組成に近いと思われるので、より参考になると考えます。
関節リウマチでは、るいそうの方もいますが、一見やせていない方も多いです。しかし、今回の結果を考慮すると、やせていなくても筋肉量が少なく脂肪量が多く、サルコペニアやサルコペニア肥満(原因は関節リウマチによる悪液質やステロイドの使用など)のことが少なくありません。そのため、炎症コントロールがある程度得られている場合には、積極的なレジスタンストレーニングや肥満の場合は減量を行うべきでしょう。
Abstract
Objectives. To characterize body composition phenotypes using a dual-energy X-ray absorptiometry (DXA) method and to explore factors potentially contributing to alterations in body composition in Vietnamese women with early RA.
Methods. A total of 105 women with early RA (disease duration ≤3 years) and 105 age-matched healthy women underwent physical examination, total and regional lean mass (LM) and fat mass (FM) with DXA. The 28-joint DAS (DAS-28) and disability using HAQ score, nutrition, physical activity and medications were recorded.
Results. Means of weight and BMI were similar in RA patients and controls, but means of total body and trunk FM in RA patients were higher: 19.1 vs 16.9 kg (P = 0.007) and 10.1 vs 8.1 kg (P = 0.01), respectively, and appendicular LM was lower: 12.9 vs 14.1 kg (P = 0.02). The proportion of unhealthy body composition phenotypes (sarcopenia, overfat and sarcopenic obesity) in RA patients was higher (P < 0.001) than in controls. DAS-28 score was positively correlated with total FM and fat distribution ratio, and HAQ score was inversely correlated with appendicular LM. These body composition changes were associated with RF seropositivity, HAQ and DAS-28 scores.
Conclusions. Women with early RA had a significantly higher proportion of unhealthy body composition phenotypes, higher total and truncal FM and lower appendicular LM than controls. Disease activity and disability scores were associated with unhealthy body composition. These findings suggest that clinicians should encourage muscle strengthening and fat loss in RA patients to reduce their disability.
PT・OT・ST・DHのNST専門療法士人数
2月17-18日の第26回日本静脈経腸栄養学会の時に、PT・OT・ST・DHのNST専門療法士と受験予定者で集まる機会を作りました。2月17日の19時~全員懇親会が2ヶ所でありますが、メイン会場(白鳥ホール)のほうで集まります。PT・OT・ST・DHのNST専門療法士と受験予定者の方はぜひ合流しましょう。
二次会は2月17日の21時~金山駅近くの居酒屋で行います。こちらのほうに参加希望のPT・OT・ST・DHの方は、予約の関係がありますので、事前に私宛にメールで連絡をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
現時点でのPT・OT・ST・DHのNST専門療法士人数がわかりました。PT3人、OT1人、ST6人、DH1人で合計11人です。今回受験可能だった方が少なかったためだと思いますが、今後は多くのPT・OT・ST・DHにNST専門療法士を目指してほしいと考えています。
二次会は2月17日の21時~金山駅近くの居酒屋で行います。こちらのほうに参加希望のPT・OT・ST・DHの方は、予約の関係がありますので、事前に私宛にメールで連絡をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
現時点でのPT・OT・ST・DHのNST専門療法士人数がわかりました。PT3人、OT1人、ST6人、DH1人で合計11人です。今回受験可能だった方が少なかったためだと思いますが、今後は多くのPT・OT・ST・DHにNST専門療法士を目指してほしいと考えています。
2011年2月7日月曜日
医学のあゆみ:ロコモティブシンドローム
医学のあゆみ236巻5号 2011年1月29日でロコモティブシンドロームが特集されています。
http://www.ishiyaku.co.jp/magazines/ayumi/AyumiBookDetail.aspx?BC=286280
その中にいくつかサルコペニア関連の記事が3つありましたので紹介、引用します。
筋力と筋量の経年的変化および運動器疾患との関連……村木重之
http://www.ishiyaku.co.jp/magazines/ayumi/AyumiArticleDetail.aspx?BC=286280&AC=10006
上記HPからのサマリーの引用です。
高齢者における筋力および筋量の低下は非常に重大な問題であり,その予防対策は喫緊の課題である.著者らの研究(ROAD Study)の結果,握力,下肢伸展筋力とも 60 歳代を境に急激に低下してくることが明らかになった.さらに,下肢筋量の低下は 50 歳代よりすでにはじまっており,筋力の低下よりも早期に起こっていた.しかし,上肢筋量については,とくに女性では年齢による低下はみられず,上下肢で筋量の経年的変化に違いがみられた.一方,下肢筋力は,とくに女性において変形性膝関節症(膝 OA)の有病率と有意な相関を認めたが,下肢筋量には有意な相関はなく,筋力と筋量で違う結果が得られ,膝 OA には筋力がより強く関連していることが明らかになった.さらに,握力には QOL や転倒との強い相関がみられ,全身の筋力との相関もいわれていることより,筋力の簡便な指標として有効であると考えられた.今後さらにエビデンスを蓄積し,高齢者にとって安全かつ有効な筋力低下の予防対策を確立することが必要である.
サルコペニア――そのメカニズムと防止策としての運動……石井直方
http://www.ishiyaku.co.jp/magazines/ayumi/AyumiArticleDetail.aspx?BC=286280&AC=10014
上記HPからのサマリーの引用です。
加齢に伴う筋量低下(サルコペニア)には,加齢そのものに起因する要素と,加齢や疾患に伴う筋活動の低下に起因する要素が含まれる.いずれの場合にも,筋線維周囲の液性環境と,筋の幹細胞である筋サテライト細胞の増殖活性が関与すると考えられる.筋力トレーニングに代表される高負荷強度運動は,これらの両者に対してプラスの効果をもつことから,サルコペニアの予防・改善にも有用と考えられる.しかし,こうした高負荷強度運動は,運動器や循環器へのストレスが大きいという欠点があり,低負荷強度で筋肥大と筋力増強をもたらすトレーニング法の開発が望まれる.エビデンスを伴う低負荷強度トレーニング法として,血流制限下でのトレーニングや筋発揮張力維持スロー法(LST 法)があげられるが,安全性や取り組みやすさを考慮すると,LST 法がサルコペニア予防のためのトレーニング法として適していると思われる.
サルコペニアの発症メカニズム――廃用性筋萎縮との類似点と相違点から……河野尚平・二川健
http://www.ishiyaku.co.jp/magazines/ayumi/AyumiArticleDetail.aspx?BC=286280&AC=10017
上記HPからのサマリーの引用です。
サルコペニアとは,加齢に伴い骨格筋量および筋力が徐々に減少していく現象である.このサルコペニアは高齢者の骨折,寝たきりの大きな原因となっている.一方,若者でもギプス固定や寝たきりになると筋肉量が減少してしまう.また,屈強な宇宙飛行士も宇宙空間に長期間滞在すると,帰還後すぐには起き上がることができないくらいにまで筋力が低下する.このような筋肉量の減少は廃用性筋萎縮とよばれる.サルコペニアと廃用性筋萎縮は筋量・筋力の減少という特徴はよく似ているが,発症メカニズムはまったく同一というわけではない.本稿では,2 つに共通するメカニズムと,サルコペニアに特徴的なメカニズムについて概説したい.
これらの論文では加齢、疾患、活動(廃用)が原因のサルコペニアが紹介されていますが、栄養が原因のサルコペニアに関しては紹介されていないようです。また、目次全体を見ても栄養に関する原稿は1つもなさそうです。ロコモティブシンドロームは、栄養にはあまり縁がないのかもしれません。広義のサルコペニアでは栄養が重要ですが…。
http://www.ishiyaku.co.jp/magazines/ayumi/AyumiBookDetail.aspx?BC=286280
その中にいくつかサルコペニア関連の記事が3つありましたので紹介、引用します。
筋力と筋量の経年的変化および運動器疾患との関連……村木重之
http://www.ishiyaku.co.jp/magazines/ayumi/AyumiArticleDetail.aspx?BC=286280&AC=10006
上記HPからのサマリーの引用です。
高齢者における筋力および筋量の低下は非常に重大な問題であり,その予防対策は喫緊の課題である.著者らの研究(ROAD Study)の結果,握力,下肢伸展筋力とも 60 歳代を境に急激に低下してくることが明らかになった.さらに,下肢筋量の低下は 50 歳代よりすでにはじまっており,筋力の低下よりも早期に起こっていた.しかし,上肢筋量については,とくに女性では年齢による低下はみられず,上下肢で筋量の経年的変化に違いがみられた.一方,下肢筋力は,とくに女性において変形性膝関節症(膝 OA)の有病率と有意な相関を認めたが,下肢筋量には有意な相関はなく,筋力と筋量で違う結果が得られ,膝 OA には筋力がより強く関連していることが明らかになった.さらに,握力には QOL や転倒との強い相関がみられ,全身の筋力との相関もいわれていることより,筋力の簡便な指標として有効であると考えられた.今後さらにエビデンスを蓄積し,高齢者にとって安全かつ有効な筋力低下の予防対策を確立することが必要である.
サルコペニア――そのメカニズムと防止策としての運動……石井直方
http://www.ishiyaku.co.jp/magazines/ayumi/AyumiArticleDetail.aspx?BC=286280&AC=10014
上記HPからのサマリーの引用です。
加齢に伴う筋量低下(サルコペニア)には,加齢そのものに起因する要素と,加齢や疾患に伴う筋活動の低下に起因する要素が含まれる.いずれの場合にも,筋線維周囲の液性環境と,筋の幹細胞である筋サテライト細胞の増殖活性が関与すると考えられる.筋力トレーニングに代表される高負荷強度運動は,これらの両者に対してプラスの効果をもつことから,サルコペニアの予防・改善にも有用と考えられる.しかし,こうした高負荷強度運動は,運動器や循環器へのストレスが大きいという欠点があり,低負荷強度で筋肥大と筋力増強をもたらすトレーニング法の開発が望まれる.エビデンスを伴う低負荷強度トレーニング法として,血流制限下でのトレーニングや筋発揮張力維持スロー法(LST 法)があげられるが,安全性や取り組みやすさを考慮すると,LST 法がサルコペニア予防のためのトレーニング法として適していると思われる.
サルコペニアの発症メカニズム――廃用性筋萎縮との類似点と相違点から……河野尚平・二川健
http://www.ishiyaku.co.jp/magazines/ayumi/AyumiArticleDetail.aspx?BC=286280&AC=10017
上記HPからのサマリーの引用です。
サルコペニアとは,加齢に伴い骨格筋量および筋力が徐々に減少していく現象である.このサルコペニアは高齢者の骨折,寝たきりの大きな原因となっている.一方,若者でもギプス固定や寝たきりになると筋肉量が減少してしまう.また,屈強な宇宙飛行士も宇宙空間に長期間滞在すると,帰還後すぐには起き上がることができないくらいにまで筋力が低下する.このような筋肉量の減少は廃用性筋萎縮とよばれる.サルコペニアと廃用性筋萎縮は筋量・筋力の減少という特徴はよく似ているが,発症メカニズムはまったく同一というわけではない.本稿では,2 つに共通するメカニズムと,サルコペニアに特徴的なメカニズムについて概説したい.
これらの論文では加齢、疾患、活動(廃用)が原因のサルコペニアが紹介されていますが、栄養が原因のサルコペニアに関しては紹介されていないようです。また、目次全体を見ても栄養に関する原稿は1つもなさそうです。ロコモティブシンドロームは、栄養にはあまり縁がないのかもしれません。広義のサルコペニアでは栄養が重要ですが…。
リウマチ・膠原病診療の今
週刊医学界新聞の最新号、第2915号2011年02月07日に「リウマチ・膠原病診療の今」という座談会記事が掲載されています。
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02915_01
関節リウマチの治療は、生物学的製剤が開発、臨床応用されてから、すっかり変わりました。それにあわせて関節リウマチのリハも変わってきています。従来は不治の難病で、リハでは機能改善を目指すよりも、関節保護、変形予防、機能維持、代償手段、環境整備といった機能、ADL、QOLを悪化させないアプローチがメインでした。今でもこのようなリハアプローチを用いることはもちろんありますが、機能改善を目指した機能訓練を行うことが増えています。
関節リウマチの栄養療法もエビデンスはあるのに、ほとんど活用されていない気がします。先日の日本病態栄養学会で関節リウマチの食事療法に関するポスター発表が1つありましたが、まだまだこれからだと思います。リハ栄養的にもこれからです。
記事の中に「キャリアデザインをどう描くか」という項目があります。専門内科の中では比較的、女性医師が勤務しやすいようです。また、大学医局に所属しなくてもキャリアを作って行けるように感じましたので、これらの点ではよいと思います。
ただ、今回の記事について残念なのは、リハと栄養のコメントが全くないことです。ジェネラリストという言葉は記事の中に出てきますが、あくまで内科疾患をジェネラルに診るという意味のようで、リハや栄養も含めて全人的に診るという意味ではなさそうです。リハや栄養の知識もお持ちなのかもしれませんが、全く伝わってきませんでした。
そうなると、リウマチ・膠原病内科医よりも、家庭医・プライマリケア医のほうがずっと魅力的だと私は感じます。
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02915_01
関節リウマチの治療は、生物学的製剤が開発、臨床応用されてから、すっかり変わりました。それにあわせて関節リウマチのリハも変わってきています。従来は不治の難病で、リハでは機能改善を目指すよりも、関節保護、変形予防、機能維持、代償手段、環境整備といった機能、ADL、QOLを悪化させないアプローチがメインでした。今でもこのようなリハアプローチを用いることはもちろんありますが、機能改善を目指した機能訓練を行うことが増えています。
関節リウマチの栄養療法もエビデンスはあるのに、ほとんど活用されていない気がします。先日の日本病態栄養学会で関節リウマチの食事療法に関するポスター発表が1つありましたが、まだまだこれからだと思います。リハ栄養的にもこれからです。
記事の中に「キャリアデザインをどう描くか」という項目があります。専門内科の中では比較的、女性医師が勤務しやすいようです。また、大学医局に所属しなくてもキャリアを作って行けるように感じましたので、これらの点ではよいと思います。
ただ、今回の記事について残念なのは、リハと栄養のコメントが全くないことです。ジェネラリストという言葉は記事の中に出てきますが、あくまで内科疾患をジェネラルに診るという意味のようで、リハや栄養も含めて全人的に診るという意味ではなさそうです。リハや栄養の知識もお持ちなのかもしれませんが、全く伝わってきませんでした。
そうなると、リウマチ・膠原病内科医よりも、家庭医・プライマリケア医のほうがずっと魅力的だと私は感じます。
2011年2月6日日曜日
誰も教えてくれなかった診断学
野口善令、福原俊一著:誰も教えてくれなかった診断学-患者の言葉から診断仮説をどう作るか、医学書院を紹介します。下記HPで立ち読みができます。また、上野文昭先生の書評もぜひ下見ていただきたいと思います。
http://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=18870
この書籍は診断に関わるすべての医師の必読書です。必読書すぎて今まで紹介していませんでしたが、研修医でこの書籍や診断仮説のことを知らない先生がいることに驚きましたので、紹介することにしました。ちなみに野口先生と福原先生は、臨床研究の私の師匠です(一方的に思いこんでいるだけかもしれませんが…)。
診断というと絨毯爆撃的にたくさん検査をして、そこで引っ掛かったものがあればさらに検査をするという方法もあります。これは昭和時代の診断方法だと私は思いますが、このような方法を用いている医師もまだいるようです。現代では、臨床疫学を取り入れた仮説演繹法で診断します。
仮説演繹法について、序文(上記HP)から引用して紹介いたします。
筆者らは,臨床医に最も重要な素養は思考力・判断力であると考える.そこで,この思考力・判断力の座標軸を構成する「3つの軸」を提唱する.
1)「頻度・確率の軸」
(1) 患者から得られた限られた情報(主に見る,聴く,触る,感じるなどの五感)から,患者の問題は何か,について絞り込まれた仮説を考える.
(2) 一人の患者の背後にある集団を想像し,病気を有している確率を推定する.
(3) 検査の選択や結果の解釈に臨床疫学を活用する.
以上は現代の臨床医に求められる最も基本的な「軸」である.
2)「時間の軸」
患者は生きものであり,刻々と変化していく.前日の検査値のみに頼るのではなく,今,目の前にいる患者をよく観察し,次に何が起こるかを予測しなければならない.また検査や治療には「適時」があり,そのタイミングを逃せば価値は半減し,時に有害でさえある.
3)「アウトカムの軸」
「頻度・確率の軸」だけでは不十分である.非常に稀でも診断を見逃したり,治療のタイミングを逃すと重大かつ非可逆的なアウトカムをきたす疾患や,逆に治療によってよりよいアウトカムをもたらす疾患を常に頭の片隅に置いておくことも重要である.
これら3つの軸をもとに、医療面接(問診)・身体診察から、もっともありそうな疾患を上から順に3つ程度考えます。この時点で検査をするまでもなく診断が確定的な場合には治療に入ります。診断が確定的でない場合には、最もありそうな疾患の検査後確率を高める(もしくは低くする)ような検査を行います。最もありそうな疾患ではなかった場合には、次にありそうな疾患に関する検査を行います。これが診断学の基本です。
診断学というと医師の仕事と考えがちですが、仮説演繹法は医師以外の医療人にも必要です。例えばNSTでは目の前の患者に栄養障害を認める場合、栄養障害の原因は何かを考えることが必要です。その際、絨毯爆撃的に栄養に関する検査をたくさん行っても意味は少ないです。3つの軸で仮説を持って、最もありそうな栄養障害の原因から検査します。
栄養ケアマネジメントのマネジメントサイクルにしても仮説演繹法です。NSTではその時点で最も適当な栄養ケアプランを立案しますが、これはあくまで仮説です。数日後から1-2週間後に栄養モニタリングを行い、仮説が正しかったかどうかの検証が必要です。仮説が正しければ現在の栄養ケアプランを継続し、仮説が間違っていれば新たな栄養ケアプランを立案します。
このようにNSTに関わる医療人にとっても有益な書籍です。優秀な医療人とそうでない医療人の違いは、仮説思考ができるかどうかです。この書籍の序文には「上記の3つの軸について全く考えず,意識することもなしに診療する医師をわれわれは「藪医者」と定義することにした」とありますが全く同感です。医師以外の医療人にもご一読をお勧めします。
目次
はじめに
プロローグ
第1章 患者の言葉を問題解決に活用できる「生きた情報」に変換する
第2章 Clinical Problemからカードを引く
第3章 診断の3つの軸―カードの中身の作り方
第4章 カードから診断へ
第5章 異なる診断推論アプローチ
エピローグ
索引
付録
01 カードの在処
02 検査前確率や検査特性についての参考資料
03 臨床疫学の基礎知識
http://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=18870
この書籍は診断に関わるすべての医師の必読書です。必読書すぎて今まで紹介していませんでしたが、研修医でこの書籍や診断仮説のことを知らない先生がいることに驚きましたので、紹介することにしました。ちなみに野口先生と福原先生は、臨床研究の私の師匠です(一方的に思いこんでいるだけかもしれませんが…)。
診断というと絨毯爆撃的にたくさん検査をして、そこで引っ掛かったものがあればさらに検査をするという方法もあります。これは昭和時代の診断方法だと私は思いますが、このような方法を用いている医師もまだいるようです。現代では、臨床疫学を取り入れた仮説演繹法で診断します。
仮説演繹法について、序文(上記HP)から引用して紹介いたします。
筆者らは,臨床医に最も重要な素養は思考力・判断力であると考える.そこで,この思考力・判断力の座標軸を構成する「3つの軸」を提唱する.
1)「頻度・確率の軸」
(1) 患者から得られた限られた情報(主に見る,聴く,触る,感じるなどの五感)から,患者の問題は何か,について絞り込まれた仮説を考える.
(2) 一人の患者の背後にある集団を想像し,病気を有している確率を推定する.
(3) 検査の選択や結果の解釈に臨床疫学を活用する.
以上は現代の臨床医に求められる最も基本的な「軸」である.
2)「時間の軸」
患者は生きものであり,刻々と変化していく.前日の検査値のみに頼るのではなく,今,目の前にいる患者をよく観察し,次に何が起こるかを予測しなければならない.また検査や治療には「適時」があり,そのタイミングを逃せば価値は半減し,時に有害でさえある.
3)「アウトカムの軸」
「頻度・確率の軸」だけでは不十分である.非常に稀でも診断を見逃したり,治療のタイミングを逃すと重大かつ非可逆的なアウトカムをきたす疾患や,逆に治療によってよりよいアウトカムをもたらす疾患を常に頭の片隅に置いておくことも重要である.
これら3つの軸をもとに、医療面接(問診)・身体診察から、もっともありそうな疾患を上から順に3つ程度考えます。この時点で検査をするまでもなく診断が確定的な場合には治療に入ります。診断が確定的でない場合には、最もありそうな疾患の検査後確率を高める(もしくは低くする)ような検査を行います。最もありそうな疾患ではなかった場合には、次にありそうな疾患に関する検査を行います。これが診断学の基本です。
診断学というと医師の仕事と考えがちですが、仮説演繹法は医師以外の医療人にも必要です。例えばNSTでは目の前の患者に栄養障害を認める場合、栄養障害の原因は何かを考えることが必要です。その際、絨毯爆撃的に栄養に関する検査をたくさん行っても意味は少ないです。3つの軸で仮説を持って、最もありそうな栄養障害の原因から検査します。
栄養ケアマネジメントのマネジメントサイクルにしても仮説演繹法です。NSTではその時点で最も適当な栄養ケアプランを立案しますが、これはあくまで仮説です。数日後から1-2週間後に栄養モニタリングを行い、仮説が正しかったかどうかの検証が必要です。仮説が正しければ現在の栄養ケアプランを継続し、仮説が間違っていれば新たな栄養ケアプランを立案します。
このようにNSTに関わる医療人にとっても有益な書籍です。優秀な医療人とそうでない医療人の違いは、仮説思考ができるかどうかです。この書籍の序文には「上記の3つの軸について全く考えず,意識することもなしに診療する医師をわれわれは「藪医者」と定義することにした」とありますが全く同感です。医師以外の医療人にもご一読をお勧めします。
目次
はじめに
プロローグ
第1章 患者の言葉を問題解決に活用できる「生きた情報」に変換する
第2章 Clinical Problemからカードを引く
第3章 診断の3つの軸―カードの中身の作り方
第4章 カードから診断へ
第5章 異なる診断推論アプローチ
エピローグ
索引
付録
01 カードの在処
02 検査前確率や検査特性についての参考資料
03 臨床疫学の基礎知識
2011年2月5日土曜日
グロービスMBAビジネスプラン
グロービス経営大学院著、[新版]グロービスMBAビジネスプラン、ダイヤモンド社を紹介します。
http://book.diamond.co.jp/cgi-bin/d3olp114cg?isbn=978-4-478-01474-5
ビジネスプランは医療人に関係ない、と思われる方もいるかもしれません。しかし、医療人でも自分で何か新しい企画を立ち上げたいと考える時には、ビジネスプランの作成が必要です。ビジネスプランを立てないでいきなり行動するのは、臨床研究デザインを作成しないでいきなりデータ収集に走る臨床研究と一緒で、だいたいうまくいきません…。
私の場合、神奈川摂食・嚥下リハ研究会、神奈川NST専門療法士連絡会、JSPEN首都圏支部NST専門療法士セミナーワーキング、横浜南部地域一体型NSTなどを立ち上げましたが、一定のプランを考えてから行動しています。書籍を作る時にもいきなり原稿を書くのではなく、書籍企画書を出版社の方に提案します。このような企画を考えるときに、グロービスMBAビジネスプランはかなり参考になる教科書です。
特にビジョン、ミッション、製品・サービス、市場/顧客、ビジネスモデル、事業戦略、マーケティング戦略、オペレーション、マネジメントチーム、リーダーシップあたりは、医療人でも企画を立案するときによく考えておくと、その後の運営がうまくいく可能性が高くなると思います。
初心者にわかりやすい書籍とはいえませんが、No venture, no gloryと考えて行動するのであれば、多くの学びを得られる書籍ですのでおすすめです。
目次
まえがき
第 1 章 ビジネスプランのフレームワーク
第1章のはじめに[備え(ビジネスプラン)あれば憂いなし]
第 1 節 ビジネスプランの意義
1 なぜ、ビジネスプランを作成する必要があるのか
2 読み手に合わせた対応
社内に資金および経営資源を要請する場合
内部に対するコントロール・ツールとして用いる場合
銀行に資金を要請する場合
ベンチャー・キャピタルに資金を要請する場合
エンジェルに資金を要請する場合
3 ビジネスプラン作成の手順
4 ビジネスプラン作成の際の注意点
第 2 節 ビジネスプランの構成
1 サマリー(要約)
2 ビジョン、ミッション、経営理念、事業目標
3 製品・サービス、市場/顧客
4 ビジネスモデル、事業戦略
5 マーケティング戦略、オペレーション
6 マネジメントチーム
7 出資要件
8 財務状況および予測
9 補足資料
補◎新事業を収穫するとき:イグジット
1 株式売却
2 株式公開
第 2 章 ビジョンとミッション、経営理念
第2章のはじめに[目標と規律でベクトルを合わせ、モチベーションを高める]
第 1 節 成功する事業を導くビジョン
1 ビジョンとは何か
2 なぜ、ビジョンが必要なのか
事業の全体像を明確にする
事業展開の道標となる
ステークホルダーへの意思表示をする
社員の自立促進
3 良いビジョンを生み出す方法
やりたいこと
やれること
求められていること
4 ビジョンから具体的な経営計画へ落とし込む
5 ビジョンをステークホルダーに浸透させる
ステークホルダーにとって魅力のあるものにする
6 ビジネスの成長に合わせ、ビジョンを見直す
進化させたビジョンを浸透させる方法
ビジョンの浸透度を確かめる
第 2 節 ミッション、経営理念
1 ミッション、経営理念とは何か
社会的意義をアピールする
2 組織文化への影響
組織にとって好ましい組織文化を醸成する
<コラム>良い企業文化
組織文化の変革
第 3 章 ビジネスモデルと戦略
第3章のはじめに[あなたの事業は生き残れますか?]
第 1 節 標的市場と提供価値
1 標的市場
セグメンテーション
ターゲティング
想定顧客の温度差──イノベーター理論
2 顧客への提供価値と製品・サービス
顧客への提供価値
製品・サービス
3 製品コンセプト
製品アイデアを出す
アイデアのスクリーニングと製品コンセプトづくり
製品化
第 2 節 ビジネスモデル
1 ビジネスモデルとは何か
良いビジネスモデルとは
2 収益を実現する
エイドリアン・スライウォツキーの「23の利益モデル」
事業経済性の基本
3 外部機関との協力体制
アウトソーシング
<コラム>フランチャイズ方式
流通チャネル
補完財提供企業の獲得
第 3 節 事業戦略
<コラム>コストリーダーシップと差別化
1 事業特性の把握
<コラム>価値基準の基本戦略
2 新規事業のタイプ
<コラム>アドバンテージ・マトリックス
3 ニッチビジネス
ニッチビジネスとは
成功のカギは、事業分野の選択にある
ニッチビジネスの落とし穴
4 分散型ビジネス
分散型ビジネスとは
成功のカギは人脈、オペレーション能力、交渉力
分散型ビジネスの落とし穴
5 革新型ビジネス
新製品・新市場・新ビジネスモデル型
新競争ルール型
革新型ビジネスの勝ちパターン
成功するためのカギ
革新型ビジネスの落とし穴
第 4 節 マーケティングとオペレーション
1 コミュニケーションと営業戦略
コミュニケーション戦略
営業戦略
キャズムを超える
2 オペレーションシステムの構築
オペレーション設計のための概念と用語
戦略とオペレーションの関係
いったん、ビジネスプロセスに落とし込む
3 ベンチマークの活用
第 4 章 ファイナンス
第4章のはじめに[キャッシュがなければ始まらない]
第 1 節 予測財務諸表とプロジェクトの評価
1 予測損益計算書と予測キャッシュフロー
売上げ予測の方法
費用の予測方法
2 キャッシュフローの求め方
<コラム>ターミナルバリュー
3 投資評価法
ペイバック・ピリオド法(回収期間法)
NPV法(正味現在価値法)
IRR法(内部収益率法)
各手法のメリット/デメリット
4 割引率
<コラム>WACCの限界と修正現在価値(APV:Adjusted Present Value)法
第 2 節 キャッシュフロー・シミュレーション
1 キャッシュフロー・シミュレーション
なぜ、キャッシュフローが重要なのか
キャッシュフロー・シミュレーションのつくり方
2 感度分析
感度分析の実例
ベスト・ケース、ワースト・ケース分析
3 損益分岐点分析
<コラム>借入れと株式発行:どちらの方法をとる?
第 3 節 財務計画と管理
1 財務計画・管理とPlan-Do-Check-Actionのサイクル
2 事業計画と財務計画
3 期間別の財務計画・管理
4 財務計画・管理をバックアップする体制の確立
5 財務計画・管理がうまくいかない場合
<コラム>もう1つの運転資本調達方法
第 5 章 マネジメントチームとリーダーシップ
第5章のはじめに[戦略は組織が実現し、組織は人で動く]
第 1 節 チームのあり方とリーダーの役割
1 マネジメントチームと新事業リーダー
マネジメントチームの重要性
マネジメントチームの構想
新事業リーダーの決定
新事業リーダーが果たすべきリーダーシップ
新事業リーダーの要件
マネジメントメンバーの決定
シンプルな組織形態
2 支援体制
支援体制の確立
新事業の報奨制度
採用や人員補充でのサポート
補◎チームマネジメント
あるべきチームマネジメント
チームマネジメントの効果を見る
補◎学習する組織
あとがき
参考文献
http://book.diamond.co.jp/cgi-bin/d3olp114cg?isbn=978-4-478-01474-5
ビジネスプランは医療人に関係ない、と思われる方もいるかもしれません。しかし、医療人でも自分で何か新しい企画を立ち上げたいと考える時には、ビジネスプランの作成が必要です。ビジネスプランを立てないでいきなり行動するのは、臨床研究デザインを作成しないでいきなりデータ収集に走る臨床研究と一緒で、だいたいうまくいきません…。
私の場合、神奈川摂食・嚥下リハ研究会、神奈川NST専門療法士連絡会、JSPEN首都圏支部NST専門療法士セミナーワーキング、横浜南部地域一体型NSTなどを立ち上げましたが、一定のプランを考えてから行動しています。書籍を作る時にもいきなり原稿を書くのではなく、書籍企画書を出版社の方に提案します。このような企画を考えるときに、グロービスMBAビジネスプランはかなり参考になる教科書です。
特にビジョン、ミッション、製品・サービス、市場/顧客、ビジネスモデル、事業戦略、マーケティング戦略、オペレーション、マネジメントチーム、リーダーシップあたりは、医療人でも企画を立案するときによく考えておくと、その後の運営がうまくいく可能性が高くなると思います。
初心者にわかりやすい書籍とはいえませんが、No venture, no gloryと考えて行動するのであれば、多くの学びを得られる書籍ですのでおすすめです。
目次
まえがき
第 1 章 ビジネスプランのフレームワーク
第1章のはじめに[備え(ビジネスプラン)あれば憂いなし]
第 1 節 ビジネスプランの意義
1 なぜ、ビジネスプランを作成する必要があるのか
2 読み手に合わせた対応
社内に資金および経営資源を要請する場合
内部に対するコントロール・ツールとして用いる場合
銀行に資金を要請する場合
ベンチャー・キャピタルに資金を要請する場合
エンジェルに資金を要請する場合
3 ビジネスプラン作成の手順
4 ビジネスプラン作成の際の注意点
第 2 節 ビジネスプランの構成
1 サマリー(要約)
2 ビジョン、ミッション、経営理念、事業目標
3 製品・サービス、市場/顧客
4 ビジネスモデル、事業戦略
5 マーケティング戦略、オペレーション
6 マネジメントチーム
7 出資要件
8 財務状況および予測
9 補足資料
補◎新事業を収穫するとき:イグジット
1 株式売却
2 株式公開
第 2 章 ビジョンとミッション、経営理念
第2章のはじめに[目標と規律でベクトルを合わせ、モチベーションを高める]
第 1 節 成功する事業を導くビジョン
1 ビジョンとは何か
2 なぜ、ビジョンが必要なのか
事業の全体像を明確にする
事業展開の道標となる
ステークホルダーへの意思表示をする
社員の自立促進
3 良いビジョンを生み出す方法
やりたいこと
やれること
求められていること
4 ビジョンから具体的な経営計画へ落とし込む
5 ビジョンをステークホルダーに浸透させる
ステークホルダーにとって魅力のあるものにする
6 ビジネスの成長に合わせ、ビジョンを見直す
進化させたビジョンを浸透させる方法
ビジョンの浸透度を確かめる
第 2 節 ミッション、経営理念
1 ミッション、経営理念とは何か
社会的意義をアピールする
2 組織文化への影響
組織にとって好ましい組織文化を醸成する
<コラム>良い企業文化
組織文化の変革
第 3 章 ビジネスモデルと戦略
第3章のはじめに[あなたの事業は生き残れますか?]
第 1 節 標的市場と提供価値
1 標的市場
セグメンテーション
ターゲティング
想定顧客の温度差──イノベーター理論
2 顧客への提供価値と製品・サービス
顧客への提供価値
製品・サービス
3 製品コンセプト
製品アイデアを出す
アイデアのスクリーニングと製品コンセプトづくり
製品化
第 2 節 ビジネスモデル
1 ビジネスモデルとは何か
良いビジネスモデルとは
2 収益を実現する
エイドリアン・スライウォツキーの「23の利益モデル」
事業経済性の基本
3 外部機関との協力体制
アウトソーシング
<コラム>フランチャイズ方式
流通チャネル
補完財提供企業の獲得
第 3 節 事業戦略
<コラム>コストリーダーシップと差別化
1 事業特性の把握
<コラム>価値基準の基本戦略
2 新規事業のタイプ
<コラム>アドバンテージ・マトリックス
3 ニッチビジネス
ニッチビジネスとは
成功のカギは、事業分野の選択にある
ニッチビジネスの落とし穴
4 分散型ビジネス
分散型ビジネスとは
成功のカギは人脈、オペレーション能力、交渉力
分散型ビジネスの落とし穴
5 革新型ビジネス
新製品・新市場・新ビジネスモデル型
新競争ルール型
革新型ビジネスの勝ちパターン
成功するためのカギ
革新型ビジネスの落とし穴
第 4 節 マーケティングとオペレーション
1 コミュニケーションと営業戦略
コミュニケーション戦略
営業戦略
キャズムを超える
2 オペレーションシステムの構築
オペレーション設計のための概念と用語
戦略とオペレーションの関係
いったん、ビジネスプロセスに落とし込む
3 ベンチマークの活用
第 4 章 ファイナンス
第4章のはじめに[キャッシュがなければ始まらない]
第 1 節 予測財務諸表とプロジェクトの評価
1 予測損益計算書と予測キャッシュフロー
売上げ予測の方法
費用の予測方法
2 キャッシュフローの求め方
<コラム>ターミナルバリュー
3 投資評価法
ペイバック・ピリオド法(回収期間法)
NPV法(正味現在価値法)
IRR法(内部収益率法)
各手法のメリット/デメリット
4 割引率
<コラム>WACCの限界と修正現在価値(APV:Adjusted Present Value)法
第 2 節 キャッシュフロー・シミュレーション
1 キャッシュフロー・シミュレーション
なぜ、キャッシュフローが重要なのか
キャッシュフロー・シミュレーションのつくり方
2 感度分析
感度分析の実例
ベスト・ケース、ワースト・ケース分析
3 損益分岐点分析
<コラム>借入れと株式発行:どちらの方法をとる?
第 3 節 財務計画と管理
1 財務計画・管理とPlan-Do-Check-Actionのサイクル
2 事業計画と財務計画
3 期間別の財務計画・管理
4 財務計画・管理をバックアップする体制の確立
5 財務計画・管理がうまくいかない場合
<コラム>もう1つの運転資本調達方法
第 5 章 マネジメントチームとリーダーシップ
第5章のはじめに[戦略は組織が実現し、組織は人で動く]
第 1 節 チームのあり方とリーダーの役割
1 マネジメントチームと新事業リーダー
マネジメントチームの重要性
マネジメントチームの構想
新事業リーダーの決定
新事業リーダーが果たすべきリーダーシップ
新事業リーダーの要件
マネジメントメンバーの決定
シンプルな組織形態
2 支援体制
支援体制の確立
新事業の報奨制度
採用や人員補充でのサポート
補◎チームマネジメント
あるべきチームマネジメント
チームマネジメントの効果を見る
補◎学習する組織
あとがき
参考文献
2011年2月3日木曜日
体験演習で具体的に学ぶ‐リハビリテーション栄養の新しい実践
「体験演習で具体的に学ぶ‐リハビリテーション栄養の新しい実践:栄養ケアとの併用療法でリハ効果を高める」という日総研セミナーを東京、名古屋、大阪で開催させていただくことになりました。下記HPで案内、申し込みが可能です。
http://www.nissoken.com/s/13076/index.html
参加料は正直安いとは言えませんが、リハ栄養に関してこれだけ体系的に学習できる機会は、現時点では他には全くないのが実情です。そのため、今回セミナーを担当させていただくことにしました。
それなりに講義も行うことになりますが、なるべく小グループ学習、参加型学習に重きを置くようにしたいと考えています。また、少人数制なので参加者と顔が見えるネットワーク作りをしたいと思います。
看護師はもちろんですが、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、歯科衛生士、歯科医師、医師、介護福祉士、社会福祉士など多職種の方に参加していただけるとありがたいです。よろしくお願い申し上げます。
以下、上記HPからの引用です。
開催日程
東京地区:
2011年4月17日(日)10:00~16:00
会場:フォーラムミカサ
名古屋地区:
2011年6月11日(土)10:00~16:00
会場:日総研G縁ビル研修室
大阪地区:
2011年7月10日(日)10:00~16:00
会場:田村駒ビル
参加料
一般:18,000円(1名につき・消費税込)
会員制・定期刊行物の年きめ購読者は
一般料金から3,000円offでご参加いただけます
ねらい
重度の栄養障害や不適切な栄養管理であることが認識されずに、積極的な筋力トレーニングや長時間の機能訓練が実施されて逆効果となっていることがあります。また飢餓状態で運動療法を行っても、栄養管理が不十分なら筋肉量はかえって減少し、ADLも低下したままとなります。病棟でのADL低下、易疲労性の原因の1つは栄養障害です。リハビリテーションはやみくもに行ってもかえって逆効果になることがあり、栄養管理の併用が必要です。
本セミナーでは、リハビリテーション栄養という新しい考え方と実践について、演習を交えながら紹介します。
プログラム
1.リハビリテーション栄養の基本概念
(リハビリテーションの基本知識・栄養の基本知識)
2.サルコペニア
(骨格筋減少症、筋肉減少症)の評価と介入
3.リハビリテーションで問題となる栄養不良
4.リハビリテーション栄養管理
5.リハビリテーション栄養における看護師の役割
6.NSTとリハビリテーション栄養
7.疾患別リハビリテーション栄養の実際
廃用症候群、脳卒中、脳外傷、脊髄損傷、脳性麻痺、
パーキンソン病、末梢神経障害、筋萎縮性側索硬化症、
多発性筋炎・皮膚筋炎、誤嚥性肺炎、褥瘡、肥満、糖尿病、
大腿骨頸部骨折、関節リウマチ、SLE・強皮症、変形性関節症、
がん、終末期がん、リンパ浮腫、慢性閉塞性肺疾患、
慢性心不全、肝不全、慢性腎不全、下肢切断、熱傷、
認知症、後期高齢者、神経性食思不振症
8. 演習
グループワークで、リハ栄養アセスメントとリハ栄養ケアプラン立案のケーススタディを行います。
リハビリテーション栄養がどのようなものか実際に体験していただきます。
http://www.nissoken.com/s/13076/index.html
参加料は正直安いとは言えませんが、リハ栄養に関してこれだけ体系的に学習できる機会は、現時点では他には全くないのが実情です。そのため、今回セミナーを担当させていただくことにしました。
それなりに講義も行うことになりますが、なるべく小グループ学習、参加型学習に重きを置くようにしたいと考えています。また、少人数制なので参加者と顔が見えるネットワーク作りをしたいと思います。
看護師はもちろんですが、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、歯科衛生士、歯科医師、医師、介護福祉士、社会福祉士など多職種の方に参加していただけるとありがたいです。よろしくお願い申し上げます。
以下、上記HPからの引用です。
開催日程
東京地区:
2011年4月17日(日)10:00~16:00
会場:フォーラムミカサ
名古屋地区:
2011年6月11日(土)10:00~16:00
会場:日総研G縁ビル研修室
大阪地区:
2011年7月10日(日)10:00~16:00
会場:田村駒ビル
参加料
一般:18,000円(1名につき・消費税込)
会員制・定期刊行物の年きめ購読者は
一般料金から3,000円offでご参加いただけます
ねらい
重度の栄養障害や不適切な栄養管理であることが認識されずに、積極的な筋力トレーニングや長時間の機能訓練が実施されて逆効果となっていることがあります。また飢餓状態で運動療法を行っても、栄養管理が不十分なら筋肉量はかえって減少し、ADLも低下したままとなります。病棟でのADL低下、易疲労性の原因の1つは栄養障害です。リハビリテーションはやみくもに行ってもかえって逆効果になることがあり、栄養管理の併用が必要です。
本セミナーでは、リハビリテーション栄養という新しい考え方と実践について、演習を交えながら紹介します。
プログラム
1.リハビリテーション栄養の基本概念
(リハビリテーションの基本知識・栄養の基本知識)
2.サルコペニア
(骨格筋減少症、筋肉減少症)の評価と介入
3.リハビリテーションで問題となる栄養不良
4.リハビリテーション栄養管理
5.リハビリテーション栄養における看護師の役割
6.NSTとリハビリテーション栄養
7.疾患別リハビリテーション栄養の実際
廃用症候群、脳卒中、脳外傷、脊髄損傷、脳性麻痺、
パーキンソン病、末梢神経障害、筋萎縮性側索硬化症、
多発性筋炎・皮膚筋炎、誤嚥性肺炎、褥瘡、肥満、糖尿病、
大腿骨頸部骨折、関節リウマチ、SLE・強皮症、変形性関節症、
がん、終末期がん、リンパ浮腫、慢性閉塞性肺疾患、
慢性心不全、肝不全、慢性腎不全、下肢切断、熱傷、
認知症、後期高齢者、神経性食思不振症
8. 演習
グループワークで、リハ栄養アセスメントとリハ栄養ケアプラン立案のケーススタディを行います。
リハビリテーション栄養がどのようなものか実際に体験していただきます。
2011年2月2日水曜日
Lカルニチンと悪液質
Lカルニチンと悪液質に関するレビュー論文を紹介します。
Renata Silvério, Alessandro Laviano, Filippo Rossi Fanelli, and Marília Seelaender: l-carnitine and cancer cachexia: Clinical and experimental aspects. Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle. DOI 10.1007/s13539-011-0017-7, Published online: 26 January 2011
下記HPで全文PDFファイルを見ることができます。
http://www.springerlink.com/content/22161240166555m0/fulltext.pdf
Lカルニチンに関しては、下記のHPに比較的詳しく解説されています。
食品成分有効性評価及び健康影響評価プロジェクト解説集 L-カルニチンについて
http://www.nih.go.jp/eiken/chosa/karuni.html
エビデンスとしてはまだ不十分ですが、Lカルニチンが疲労やQOLの改善に有効という予備研究の結果が出ています。 メカニズムとしては図のように抗酸化能力の炎症性サイトカインの改善が考えられています。
今後、さらなるエビデンスが出てくれば、悪液質の患者にLカルニチンを投与したほうがよいとなってくるかもしれません。現状で投与を検討するのは、エイコサペンタエン酸か六君子湯あたりでしょう。
Abstract
Cancer cachexia is a multifaceted syndrome characterized, among many symptoms, by extensive muscle wasting. Chronic systemic inflammation, partly triggered and sustained by cytokines, as well as increased oxidative stress contributes to the pathogenesis of this complex metabolic disorder. l-carnitine plays a central role in the metabolism of fatty acids and shows important antioxidant and anti-inflammatory properties. Systemic carnitine depletion has been described in several diseases, and it is characterized by fatigue, muscle weakness, and decreased tolerance to metabolic stress. In cachectic cancer patients, low serum carnitine levels have been reported, and this change has been suggested to play an important contributory role in the development of cachexia. Based on these data, carnitine supplementation has been tested in preliminary studies concerning human cachexia, resulting in improved fatigue and quality of life. We present here a review of clinical and experimental evidence regarding the use of carnitine supplementation in the management of cancer cachexia.
ドラッカー名言集・仕事の哲学
P・F・ドラッカー著/上田 惇生編訳、ドラッカー名言集・仕事の哲学-最高の成果をあげる、ダイヤモンド社を紹介します。下記のHPで立ち読みができます。
http://book.diamond.co.jp/cgi-bin/d3olp114cg?isbn=978-4-478-33103-3
アマゾンでは600円から中古品を購入できるようです。
ドラッカーの書籍で最もお勧めするのはあくまで「プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか」です。ただ、この書籍ではドラッカーは難しいという方には、ドラッカー名言集4部作のほうがわかりやすいと思います。ドラッカー名言集中では、「仕事の哲学」を最初にお勧めします。
もしドラがベストセラーになって以来、ドラッカーブームでドラッカーの解説書がたくさん出ていますが、基本的には解説書よりもドラッカーの書籍を読むことのほうが学びが多いです。ドラッカーの書籍で最もとっつきやすいのが、ドラッカー名言集4部作です。
1つ1つは2~5行程度の短い文章ですが、味わい深い言葉が多いです。私が講演でいつも紹介する「何によって人に憶えられたいか」だけでなく、「多くを求めるならば、何も達成しないものと同じ努力で巨人に成長する」、「自らの成長につながる最も効果的な方法は、自らの予期せぬ成功を見つけ、その予期せぬ成功を追求することである」など、宝のような名言が次々に出てきます。
マネジメントやドラッカーは医療人にとっても一般教養ですから、各職種の卒前・卒後・生涯教育でもっと取り上げるべきだと心底感じます。ドラッカーの名前を聞いたことがないという方や、名前は聞いたことがあるけれど難しそうで読んだことがないという方にお勧めします。
目次
成長
成果能力
貢献
強み
進むべき道
知識労働者
起業家精神
チームワーク
コミュニケーション
リーダーシップ
意思決定
優先順位
時間管理
第二の人生
http://book.diamond.co.jp/cgi-bin/d3olp114cg?isbn=978-4-478-33103-3
アマゾンでは600円から中古品を購入できるようです。
ドラッカーの書籍で最もお勧めするのはあくまで「プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか」です。ただ、この書籍ではドラッカーは難しいという方には、ドラッカー名言集4部作のほうがわかりやすいと思います。ドラッカー名言集中では、「仕事の哲学」を最初にお勧めします。
もしドラがベストセラーになって以来、ドラッカーブームでドラッカーの解説書がたくさん出ていますが、基本的には解説書よりもドラッカーの書籍を読むことのほうが学びが多いです。ドラッカーの書籍で最もとっつきやすいのが、ドラッカー名言集4部作です。
1つ1つは2~5行程度の短い文章ですが、味わい深い言葉が多いです。私が講演でいつも紹介する「何によって人に憶えられたいか」だけでなく、「多くを求めるならば、何も達成しないものと同じ努力で巨人に成長する」、「自らの成長につながる最も効果的な方法は、自らの予期せぬ成功を見つけ、その予期せぬ成功を追求することである」など、宝のような名言が次々に出てきます。
マネジメントやドラッカーは医療人にとっても一般教養ですから、各職種の卒前・卒後・生涯教育でもっと取り上げるべきだと心底感じます。ドラッカーの名前を聞いたことがないという方や、名前は聞いたことがあるけれど難しそうで読んだことがないという方にお勧めします。
目次
成長
成果能力
貢献
強み
進むべき道
知識労働者
起業家精神
チームワーク
コミュニケーション
リーダーシップ
意思決定
優先順位
時間管理
第二の人生
2011年2月1日火曜日
神奈川嚥下リハ研究会・第2回川崎地区研修会
3月13日に神奈川嚥下リハ研究会・第2回川崎地区研修会が下記のように開催されます。テーマは、COPDの摂食・嚥下 ~地域連携の現状と課題~です。私も「COPDによる摂食・嚥下障害とリハ栄養」の講演をしますので、お近くの方はぜひご参加ください。
【日時】 平成23年3月13日(日) 13:15~16:30
【受付開始】12:30~
【場所】 川崎市立多摩病院 2階講堂 川崎市多摩区宿河原1-30-37
【代表者】聖マリアンナ医科大学病院 摂食・嚥下障害看護認定看護師 大川 智恵子
【定員】100名(定員になり次第、締め切らせて頂きます)
【内容】
13:15~13:30 【ネスレ日本(株)インフォメーション】
13:30~13:35 【開会の挨拶】
13:35~14:35 【特別講演】
座長:甲斐 明美(日本医科大学多摩永山病院 摂食・嚥下障害看護認定看護師)
「COPDによる摂食・嚥下障害とリハビリテーション栄養」
若林 秀隆先生
(横浜市立大学付属市民総合医療センター リハビリテーション科 医師)
-休憩15分-
14:50~15:50 【パネルディスカッション】
座長:田中 弥生(駒沢女子大学 人間健康学部健康栄養学科 管理栄養士)
1.「COPD の摂食・嚥下~医師の立場から~」
相馬 啓子 先生 (日本鋼管病院 耳鼻咽喉科 医師)
2.「COPD の摂食・嚥下~言語聴覚士の立場から~」
牧口 寛子 先生 (川崎市立多摩病院 言語聴覚士)
3.「COPD の摂食・嚥下~理学療法士の立場から~」
廣田 千香 先生 (日本鋼管病院 理学療法士)
4.「老健における摂食・嚥下の問題点-高齢者と嚥下障害-」
後藤 毅 先生 (介護老人保健施設 千の風・川崎 施設長)
15:50~16:20 【ディスカッション】
16:20~16:30 【閉会の挨拶】
【参加費】 1000円
【申込】 HPの申込用紙にてFAX03-5769-6245 にお申し込み下さい
【受付締切】 3月10日(木)
【共催】 ネスレ日本(株)ネスレニュートリションカンパニー
登録:
投稿 (Atom)