昨日のブログで、週刊医学界新聞:虚弱高齢者と入院関連機能障害(Hospitalization-associated disability)について紹介しました。
Hospitalization-associated disabilityという用語は初めて聞いたのでJAMAの論文も少し読んでみました。JAMAの論文の中では以下のように紹介されています。
Covinsky KE, Pierluissi E, Johnston CB. Hospitalization-associated disability:
"She was probably able to ambulate, but I'm not sure". JAMA. 2011 Oct
26;306(16):1782-93.
Hospitalization-associated disability manifests as the loss of ability to complete1of the basic ADLs needed to live independently without assistance: bathing, dressing, rising from bed or a chair, using the toilet, eating, or walking across a room.
70歳以上の高齢者の少なくとも30%は、急性疾患で病院に入院すると退院時に何らかのADL低下を認めるという報告があります。また、高齢者の障害の約50%は、医学的入院のセッティングで生じているという報告もあります。
この定義であれば入院患者の廃用症候群とほぼ同義ではないかと思います。一方、リハの領域ではdisuse
syndrome, deconditioning, hospital-associated deconditioning, debilityという用語があります。特にhospital-associated deconditioningとHospitalization-associated disabilityはほとんど同義だと感じます。
日本語では廃用症候群のことを生活不活発病と呼ぶ方もいますが、廃用症候群は主に入院患者、生活不活発病は主に外来・在宅患者というイメージが私にはあります。
問題は日本語でも英語でも、用語、定義、診断基準の統一が得られていないことです。臨床現場にはサルコペニアと同様に、Hospitalization-associated disabilityの方はたくさんいますが、現状では見過ごされるリスクがあります。
また、私の研究では、廃用症候群患者の約90%は低栄養です。Hospitalization-associated disabilityの多くに低栄養が絡んでいることも間違いないと思います。
リハ医学は廃用症候群、老年医学は老年症候群、臨床栄養学は高齢者の低栄養と解釈している患者が、実は広義のサルコペニアであり、Hospitalization-associated disabilityであることが少なくありません。3者が一緒に臨床や研究を行うことが重要だと考えます。
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