本日、第19回日本摂食・嚥下リハ学会でシンポジウム3「サルコペニアと摂食嚥下リハ」の座長と発表をしてきました。
http://www.jsdr2013.jp/
事前にシンポジストと藤島一郎先生でメーリングリストで打ち合わせを行い、診断基準案を考えました。シンポジウムの最後で藤島先生が発表されましたが、口頭だけでしたので、ここに文章として記載しておきます。
サルコペニアの嚥下障害:診断基準案20130923
①嚥下障害が存在している
②全身のサルコペニアと診断されている(画像検査もしくは身体計測)
③画像検査で嚥下筋のサルコペニアがあると診断されている(これは現時点では困難です)
④嚥下障害の原因として、サルコペニア以外の疾患が存在しない(実際には高齢者では、潜在的なものも含めて脳卒中を合併することは多いですが)
⑤嚥下障害の原因として、サルコペニアが主要因と考えられる(サルコペニア以外の疾患が、嚥下障害の原因として存在してもよい)
Definite diagnosis:①、②、③、④
Probable diagnosis:①、②、④
Possible diagnosis:①、②、⑤
①、②は必須です。つまり、「サルコペニアの嚥下障害」という言葉では、全身にも嚥下筋にも筋肉量低下、筋力低下、機能低下があることを想定しています。嚥下筋のみの筋肉量低下、筋力低下による嚥下障害は、別の疾患(筋炎など)と考えます。
また「サルコペニアの嚥下障害」という言葉では、狭義のサルコペニアである「加齢による筋肉量低下」ではなく、広義のサルコペニアである「加齢以外の原因も含めた筋肉量低下、筋力低下、機能低下(嚥下では嚥下障害)」という意味とします。
ただし、広義のサルコペニアでも、疾患(特に神経筋疾患)のみで筋肉量低下、筋力低下、嚥下障害を生じている場合に「サルコペニアの嚥下障害」とは呼ばないほうがよいと考えます。加齢、活動、低栄養の要素のほうが大きい場合は別ですが。
①、②、④があれば⑤にも該当しますので、①、②、④がある場合には⑤を記載していません。ただ、①、②、③、⑤の場合と①、②、③の場合がありえますね。前者はProbable、後者はPossibleでしょうか。
ただ現時点では、画像検査(CT、MRI、エコー)で嚥下筋を評価するにしても、基準値がないので、③は困難です。ということでProbable diagnosis:①、②、④、Possible diagnosis :①、②、⑤が実用的となります。
臨床的には①、②、⑤でサルコペニアの嚥下障害の可能性があると評価することが、最も現実的です。もちろん他に嚥下障害の原因疾患がないかどうかの評価も重要ですが、Possible diagnosisでリハ栄養介入を行うという流れがよいと考えます。
本日のシンポジウムが終わりではなくスタートして、今後も今回のシンポジウムのメンバーを中心として、引き続き「サルコペニアの嚥下障害」について考え研究していきます。今後ともよろしくお願い申し上げます。
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