2012年12月30日日曜日

下流志向

内田樹著、下流志向―学ばない子どもたち 働かない若者たち、講談社文庫を紹介します。

http://www.bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2763990

なぜ日本の子どもたちは勉強を、若者は仕事をしなくなったのかについて、教育や労働を等価交換(ビジネスモデル、無時間モデル)で判断し、時間の中で自分自身が変化することを勘定に入れることができない思考である無知に固着する欲望が理由としています。

3年前に何をやっていた(どんな努力をしていた)かが今の自分を決める、今やっていることが3年後の自分を決める、という考え方とは対照的です。3年後どうなっているかは不明な点も多いですが、長期目標のイメージは重要だと感じています。

ちなみに私は3年前に「PT・OT・STのためのリハ栄養」を出版させていただき、このブログを始めました。それが3年経過した今の自分につながっていることは間違いありません。ただ、3年前に今こうなっているとは予測できていませんでした(笑)。

今日は第2章から「リスクテイク」と「リスクヘッジ」について紹介します。現在は自己決定・自己責任が求められる社会です。人生の2大選択である職業や結婚も含めて、自分が選択を失敗すれば無職や離婚などのリスクを自分が背負うことになります。

職業や結婚を自分であまり選択できない昔に戻りたいとは思いませんが、急速に自己決定・自己責任が求められる社会に移行したため、リスクの個人化も急速に進行したように感じます。リスクへの対処方法もあまり学習していないように思います。

リスクはテイクする場合とヘッジする場合があります。「リスクテイク」は見通しの不確定的な冒険的計画に踏み出すことです。「リスクテイク」する代償として、主体は意思決定の権利を確保し、計画が成功した場合に生じる利益の先有権を主張できます。

私はNo venture, no gloryという言葉をモットーにしていますが、これは「リスクテイク」の言葉です。私はこう見えても保守的になりがちな人間ですので、この言葉でバランスをとっているつもりです。

「リスクヘッジ」は賭け金を分散して損失を防ぐことです。「リスクヘッジ」の要諦は利益を上げることではなく、損失を出さないことにあります。リスク社会におけるもっとも賢明なふるまいは、できるだけ巧みに「リスクヘッジ」をすることです。

「リスクヘッジ」にはいろんな形があります。成否の判断をはっきりせずに決定を先送りすること(継続審議)、複数の決定を同時に下すこと(両論併記)、誰も利益を得ないようなソリューションを選択すること(三方一両損)です。

「リスクヘッジ」を心がける人は、自分が起案したプランAがうまくいかないのはどういう場合かをできるだけ網羅的にリストアップしておき、その場合に使える代替プラン(B、C…)をそろえておくことを優先的に配慮します。

失業するのも、ホームレスになるのも、病気になるのも、すべてはそのようなリスクのある生き方を選んでしまった自分自身の責任であるという言い方には、リスクというのは個人的なものだということを前提にしています。

「リスクヘッジ」というのは「集団として生き残る」という明確な目標を掲げ、そこで集団的に合意されたプランに従って、整然と行動する人々のみが享受できることなのです。「個人がそのリスクをヘッジする」ということは原理的に不可能だからです。

「リスク社会をどう生きるか?」という問いは、「決定の成否にかかわらずその結果責任をシェアできる相互扶助的集団をどのように構築することができるか?」という問いに書きかえられねばならない。

明治以来、近代化のプロセスの中で、日本人は「迷惑のかけ合い」という仕方でリスクをヘッジしてきました。行政には弱者救済の手をさしのべる余裕はないし、貧しいもの同士で相互扶助するしかない。

相互扶助・相互支援というのは、平たく言えば「迷惑をかけ、かけられる」ということなのだから、「迷惑をかけられる」ような他者との関係を原理的に排除すべきではないだろうということです。

現代日本人は「迷惑をかけられる」ことを恐怖する点において、少し異常なくらいに敏感ではないかと僕は思います。「迷惑をかけ、かけられる」ような双務的な関係でなければ、相互扶助・相互支援のネットワークとしては機能しません。

リスク社会にいるのは自己決定・自己責任の原理に忠実な弱者だけなのです。日本の教育行政もメディアも久しくこのような「迷惑をかける相手もかけられる相手も持つことができない」膨大な数の構造的弱者をつくり出しつつあるのです。

「リスクテイク」はよく知っていますが「リスクヘッジ」はあまり知りませんでしたので、詳しく引用紹介させていただきました。2年前に無縁社会という言葉が流行しましたが、無縁社会の背景にリスク社会の進行とリスクをヘッジできないことがあると感じます。

血縁・地縁・職縁?による共同体を復活させることは、あまり現実的ではないでしょう。しかし、リスク社会で生きていくためには、「リスクテイク」だけでなく「リスクヘッジ」できる新たな中間共同体の存在が求められます。

新たな中間共同体の候補の1つに、ネットの活用があると考えます。私が人並み以上にネット(特にフェイスブック)を活用しているのは、あまり意識していませんでしたがリスクをヘッジするためだったのかもしれません。

実際、フェイスブックを運営ツールとしている日本リハビリテーション栄養研究会では、多くの世話人や会員にMB(無茶ぶり)という名の迷惑をかけています(笑)。MBは研究会の文化です(笑)。でもこれがむしろよいのかもしれませんね。

「リスクテイク」だけもしくは「リスクヘッジ」だけでは、リスク社会を生きていくのはしんどいと思います。No venture, no gloryとともに中間共同体作りや個人でできる「リスクヘッジ」を意識した2013年にしたいと考えています。

目次
第1章 学びからの逃走(新しいタイプの日本人の出現
勉強を嫌悪する日本の子ども ほか)
第2章 リスク社会の弱者たち(パイプラインの亀裂
階層ごとにリスクの濃淡がある ほか)
第3章 労働からの逃走(自己決定の詐術
不条理に気づかない ほか)
第4章 質疑応答(アメリカン・モデルの終焉
子どもの成長を待てない親 ほか)

神経筋電気刺激とサルコペニア

神経筋電気刺激の歴史と痛みやサルコペニアに対する治療の現在の可能性についてのレビュー論文を紹介します。

Heidland A, Fazeli G, Klassen A, Sebekova K, Hennemann H, Bahner U, Di Iorio B. Neuromuscular electrostimulation techniques: historical aspects and current possibilities in treatment of pain and muscle waisting. Clin Nephrol. 2013 Sup;79(13):12-23.

神経筋電気刺激による疼痛管理としてTENS、PENS、SCSが有用ですが、2005年にhigh tone external muscle stimulation (HTEMS)が開発され、末梢神経障害の除痛に有用です。

神経筋電気刺激はサルコペニアの予防と治療にも応用されています。臨床での比較研究で、慢性心不全、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患、末期腎不全患者のサルコペニアに効果的という報告があります。

神経筋電気刺激によるサルコペニア治療は、何らかの理由でレジスタンストレーニングの実施が難しい方の場合に期待されます。基本は筋トレ+栄養療法ですが、神経筋電気刺激+栄養療法による治療という選択肢もありうるかと感じます。

Abstract

Application of electricity for pain treatment dates back to thousands of years BC. The Ancient Egyptians and later the Greeks and Romans recognized that electrical fishes are capable of generating electric shocks for relief of pain. In the 18th and 19th centuries these natural producers of electricity were replaced by man-made electrical devices. This happened in following phases. The first was the application of static electrical currents (called Franklinism), which was produced by a friction generator. Christian Kratzenstein was the first to apply it medically, followed shortly by Benjamin Franklin. The second phase was Galvanism. This method applied a direct electrical current to the skin by chemical means, applied a direct and pulsed electrical current to the skin. In the third phase the electrical current was induced intermittently and in alternate directions (called Faradism). The fourth stage was the use of high frequency currents (called d'Arsonvalisation). The 19th century was the "golden age" of electrotherapy. It was used for countless dental, neurological, psychiatric and gynecological disturbances. However, at beginning of the 20th century electrotherapy fell from grace. It was dismissed as lacking a scientific basis and being used also by quacks and charlatans for unserious aims. Furthermore, the development of effective analgesic drugs decreased the interest in electricity. In the second half of the 20th century electrotherapy underwent a revival. Based on animal experiments and clinical investigations, its neurophysiological mechanisms were elucidated in more details. The pain relieving action of electricity was explained in particular by two main mechanisms: first, segmental inhibition of pain signals to the brain in the dorsal horn of the spinal cord and second, activation of the descending inhibitory pathway with enhanced release of endogenous opioids and other neurochemical compounds (serotonin, noradrenaline, gamma aminobutyric acid (GABA), acetylcholine and adenosine). The modern electrotherapy of neuromusculo- skeletal pain is based in particular on the following types: transcutaneous electrical nerve stimulation (TENS), percutaneous electrical nerve stimulation (PENS or electro-acupuncture) and spinal cord stimulation (SCS). In mild to moderate pain, TENS and PENS are effective methods, whereas SCS is very useful for therapy of refractory neuropathic or ischemic pain. In 2005, high tone external muscle stimulation (HTEMS) was introduced. In diabetic peripheral neuropathy, its analgesic action was more pronounced than TENS application. HTEMS appeared also to have value in the therapy of symptomatic peripheral neuropathy in end-stage renal disease (ESRD). Besides its pain-relieving effect, electrical stimulation is of major importance for prevention or treatment of muscle dysfunction and sarcopenia. In controlled clinical studies electrical myostimulation (EMS) has been shown to be effective against the sarcopenia of patients with chronic congestive heart disease, diabetes, chronic obstructive pulmonary disease and ESRD.

2012年12月29日土曜日

サルコペニア―研究の現状と未来への展望―

日本老年医学会雑誌 Vol. 49(2012) No. 2 (第53回日本老年医学会学術集会記録)に、〈若手企画シンポジウム2:サルコペニア―研究の現状と未来への展望―〉の記録が掲載されています。

https://www.jstage.jst.go.jp/browse/geriatrics/49/2/_contents/-char/ja/

全文、上記HPから日本語の論文でPDFファイルで読めますので、日本でのサルコペニアの研究の現状と未来への展望の参考になるのではと思います。

日常生活機能と骨格筋量,筋力との関連
下方 浩史, 安藤 富士子

サルコペニアにおける骨格筋ミトコンドリア機能とMyokineの意義
杉本 研

必須アミノ酸によるサルコペニアの予防,治療
小林 久峰

サルコペニア予防のための包括的介入
金 憲経

Sarcopenic Obesity―代謝からみたサルコペニアの意義―
荒木 厚, 周 赫英, 森 聖二郎

2012年12月28日金曜日

2012年の振り返り

12月31日に仕事はあるのですが、今日の時点で2012年を振り返ってみたいと思います。

学会発表・講演筆頭演者 2011年8回 → 2012年18回

講演(大学講義なども含め) 2011年69回 → 2012年95回

書籍(編著) 2011年 1冊 リハビリテーション栄養ケーススタディ → 2012年 2冊
リハビリテーション栄養―栄養はリハのバイタルサイン.Medical Rehabilitation No143
②サルコペニアの摂食・嚥下障害-リハビリテーション栄養の可能性と実践

総説・書籍など依頼原稿 2011年19本 → 2012年27本 ツ・ナ・ガ・ルの連載などは含めていません。 

原著論文 2011年2本 → 2012年1本(筆頭ではありませんが) 

日本リハビリテーション栄養研究会会員数 2011年末574人 → 2012年12月28日1917人

ブログ執筆本数 2011年415本 → 2012年上半期367本

量的には、学会発表・講演、書籍、依頼原稿の執筆は過去最高でした。ただ、量が多ければ多いほどよいというものではないということを実感した1年でもあります。一方、質的には筆頭での原著論文が1本もなく、これではまったくダメです。投稿中の英語論文は1本ありますが、今後は量より質に移行します。

日本リハビリテーション栄養研究会の会員数が2000人近くになったことは、とても嬉しいことです。このペースで今後も増え続けていければありがたいです。来年はリハ栄養セミナーとは別に、リハ栄養フォーラムという新企画も全国10か所で開催しますので、よろしくお願い申し上げます。

来年は、「講演を減らして原著論文を増やすこと」を目標にします。来年度から大学院に進学することもあり、平日の講演はほとんどできなくなると予測しています。講演とその移動時間を少なくしてその分、研究(研究の学習も含めて)と論文執筆に時間とエネルギーを使いたいと考えています。

リハ栄養の伝道師は今年1年で全国に育ちましたので、リハ栄養の講演は私だけが行うのではなく、日本リハビリテーション栄養研究会の世話人を中心に、全国で多くの方に行っていただきたいと考えています。リハ栄養の講演を依頼したいときは、下記の役員一覧HPを参照してください(笑)。

https://sites.google.com/site/rehabnutrition/home/yakuin
多くの方に講演、執筆、研究会運営などで大変お世話になり、2012年を過ごすことができました。 皆様の支援に心よりお礼申し上げます。リハ栄養の臨床・教育・研究をさらに発展させていける2013年にしたいと考えていますので、来年も何卒よろしくお願い申し上げます。

以下、2012年の業績です。


(原著論文)

上島順子、谷口英喜、若林秀隆、望月弘彦:神奈川県下におけるNST加算制度の現状.静脈経腸栄養27(2)p 747-751, 20123

 

(総説)

若林秀隆:侵襲のリハビリテーション栄養.ニュートリションケア 6(1)p86-88, 201212

若林秀隆:低栄養患者における口から食べるメリット‐サルコペニアへの対応を含めて.日本歯科評論73(1)p128-136, 201212

若林秀隆:飢餓のリハビリテーション栄養.ニュートリションケア 5(12)p1213-1215, 201212

若林秀隆:栄養障害の病態とリハビリテーション栄養.ニュートリションケア 5(11)p1140-1142, 201211

若林秀隆:高齢者にみられるリハビリテーションの問題点‐廃用性変化、嚥下障害、栄養障害を中心に.PROGRESS IN MEDICINE 32(10)p2091-2094, 201210

若林秀隆:栄養障害の基本.月刊薬事54(11)p1775-1778, 201210

若林秀隆:メッツ・活動係数とリハビリテーション栄養.ニュートリションケア 5(10)p1005-1007, 201210

若林秀隆:サルコペニアとリハビリテーション栄養.臨床栄養121(4)p477-48120129

若林秀隆:食介護とサルコペニア.摂食・嚥下障害を考える‐口から食べる幸せつくり【第6集】p4-11, 20129

若林秀隆:高齢者における運動と栄養.地域リハビリテーション7(9)p721-724, 20129

若林秀隆:栄養と理学療法.理学療法ジャーナル46(9)p829-836, 20129

若林秀隆:リハビリテーション栄養のチーム医療.ニュートリションケア 5(9)p934-936, 20129

若林秀隆:リハビリテーション栄養とは.ニュートリションケア 5(8)p825-827, 20128

若林秀隆:QOLの観点から栄養を考える第14回:栄養状態の評価.RunUp 8(2)p6-7, 20127

若林秀隆:ナースが気づきたい!サルコペニア(骨格筋減少症)の見抜き方と臨床上の問題点.エキスパートナース28(7)p18-21, 20126

若林秀隆:がん悪液質の定義と分類:国際コンセンサス.日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌16(1)p86, 20124

若林秀隆:サルコペニアとリハビリテーション栄養.ヘルスケアレストラン20(5)p32-33, 20124

若林秀隆:PEM(たんぱく質・エネルギー栄養障害).ニュートリションケア 5(4)p356-357, 20124

若林秀隆:サルコペニア.ニュートリションケア 5(4)p358-359, 20124

若林秀隆:カヘキシア(悪液質).ニュートリションケア 5(4)p360-361, 20124

若林秀隆:摂食・嚥下障害患者への経管栄養 医療の実際.臨床看護38(4) p492-494, 20123

若林秀隆:栄養ケアによるサルコペニアの予防と治療.FOOD Style 21. 16(3) p29-31, 20123

 

(著書)

若林秀隆、藤本篤士:サルコペニアの摂食・嚥下障害-リハビリテーション栄養の可能性と実践.医歯薬出版、201211

若林秀隆:地域連携の実際①神奈川摂食・嚥下リハ研究会の紹介.小山珠美監修:ビジュアルでわかる早期経口摂取実践ガイド、日総研、pp22-2320128

若林秀隆:リハビリテーション栄養と摂食・嚥下障害.小山珠美監修:ビジュアルでわかる早期経口摂取実践ガイド、日総研、pp76-8020128

若林秀隆:サルコペニアの栄養ケアマネジメント.佐々木雅也・岩川裕美・本田佳子・河原和枝編「臨床栄養」別冊NCMシリーズ 栄養ケアマネジメント ファーストトレーニング3 呼吸器疾患,摂食・嚥下障害,褥瘡他、医歯薬出版、pp100-10520128

若林秀隆:食介護とサルコペニア.大越ひろ、渡邊昌、白澤卓二監修:高齢者用食品の開発と展望、シーエムシー出版、pp272-27620127

若林秀隆編:リハビリテーション栄養―栄養はリハのバイタルサイン.Medical Rehabilitation No143.全日本病院出版会、20124

 

(学会発表・講演)

Hidetaka Wakabayashi, Hironobu Sashika: Nutrition status and rehabilitation outcome in the disuse syndrome: a prospective cohort study. 34th Congress of the European Society of Clinical Nutrition and Metabolism, Barcelona, September 2012

Hidetaka Wakabayashi, Hironobu Sashika: Nutrional status and level of

activity of daily living in patients with disuse syndrome. 3rd Asia-Oceanian Conference of Physical and Rehabilitation Medicine. Bali, May 2012

若林秀隆:口腔のサルコペニアとリハビリテーション栄養.第57回日本口腔外科学会総会・学術大会・第6回歯科衛生士研究会,横浜201210

若林秀隆:リハビリテーション栄養とサルコペニア.リハビリテーション・ケア合同研究大会札幌2012,札幌,201210

若林秀隆:在宅における食とリハビリテーション栄養.第3回日本プライマリ・ケア連合学会,福岡,20129

若林秀隆:サルコペニアに対するリハビリテーション栄養.第3回日本プライマリ・ケア連合学会,福岡,20129

若林秀隆:ヨーロッパの摂食・嚥下分野における栄養管理の現況と課題.第17回・18回日本摂食・嚥下リハビリテーション学会,札幌,20128

若林秀隆:身体活動性の早期回復とリハビリテーション栄養.第49回日本外科代謝栄養学会,舞浜,20127

若林秀隆、佐鹿博信:低栄養が廃用症候群入院患者のADLの予後に与える影響:前向きコホート研究.第49回日本リハビリテーション医学会,福岡,20125

若林秀隆:サルコペニア・大腿骨頸部骨折に対するリハビリテーション栄養-栄養ケアがリハを変える.第49回日本リハビリテーション医学会,福岡,20125

若林秀隆:栄養アセスメントとリハビリテーション栄養.第35回日本栄養アセスメント研究会,大阪,20125

若林秀隆:リハビリテーションにおける栄養管理の重要性.日本リハビリテーション医学会専門医・認定臨床医生涯教育研修会北海道地方会,札幌,20123

若林秀隆:これからのリハNST―リハビリテーションと栄養療法の質向上のために.第27回日本静脈経腸栄養学会,神戸,20122

若林秀隆:リハビリテーション栄養とサルコペニア.27回日本静脈経腸栄養学会,神戸,20122

若林秀隆:栄養アセスメントによる廃用症候群の高齢入院患者のADL予後予測.第27回日本静脈経腸栄養学会,神戸,20122

若林秀隆:サルコペニアと摂食・嚥下障害.第27回日本静脈経腸栄養学会,神戸,20122

若林秀隆:食介護とサルコペニア.第6回食介護研究会,東京,20122

若林秀隆:廃用症候群の高齢入院患者のADL と栄養状態の関連:横断研究.第15回日本病態栄養学会,京都,20121

 

(研究助成金)

若林秀隆:地域・在宅高齢者における摂食嚥下・栄養障害に関する研究―特にそれが及ぼす在宅療養の非継続性と地域における介入システムの構築に向けて―.厚生労働科学研究費補助金(長寿科学総合事業)220万円、研究分担者

CLINICAL CALCIUM2013年1月号

CLINICAL CALCIUM 2013年1月号で、老化と生体運動機能について特集されています。

http://www.iyaku-j.com/index.php?main_page=index&cPath=5_1_18

筋肉の老化、サルコペニア、オートファジー、慢性炎症、ロコモティブシンドロームなどに関する原稿があります。日本語の文献ですので、気楽に読めると思います。

目次(一部抜粋)
Preface
・巻頭言~高齢期のQOL,ADL向上を目指して~
小川純人・大内尉義
Review
・骨の老化
池田恭治
・関節の老化
松井康素・原田 敦
・筋肉の老化
重本和宏・福永大地・森 秀一
Seminar
・サーチュイン・ファミリー:代謝・老化・寿命を結ぶ制御因子
今井眞一郎
・老化とオートファジー
ファム グェン クィー・水島 昇
・百寿者の身体機能,病歴と生命予後
新井康通・広瀬信義
Topics
・慢性炎症から見た老化制御
内藤篤彦・小室一成
・骨免疫から見た老化制御
松尾光一
・再生医療から見た老化制御~幹細胞老化と老化組織との関係性から~
藤田香里・妻木範行
Therapy
・骨粗鬆症に対するアプローチ
細井孝之
・ロコモティブシンドロームの予防・治療へのアプローチ
阿久根 徹
・サルコペニアに対するアプローチ
小川純人・大内尉義

2012年12月26日水曜日

CKD診療ガイド2012

CKD診療ガイド2012を日本腎臓学会の以下のHPよりダウンロードすることができます。ガイドラインは本来、このように公開すべきものだと私は思います。

http://www.jsn.or.jp/guideline/ckd2012.php

今回はステージ3がG3a(45~59)とG3b(30~44)に分類されたことと、蛋白尿を重視していることが大きな特徴です。以下、12-1生活指導・食事指導・成人から一部引用させていただきます。

・水分の過剰な摂取や極端な制限は有害である。
・食事摂取量の基本は3g/日以上6g/日未満である。
・摂取エネルギー量は25~35kcal/kg体重/日が推奨される。一方、肥満症例では体重に応じて20~25kcal/kg体重/日を指導してもよい。
・肥満の是正に努める(BMI25未満を目指す)。

・摂取たんぱく質量は、CKDステージG1~G2は、過剰にならないように注意する。
・ステージG3では0.8~1.0g/kg体重/日のたんぱく質摂取を推奨する。
・ステージG4~G5ではたんぱく質摂取を0.6~0.8g/kg体重/日に制限することで腎代替療法の導入が延長できる可能性がある。

・CKDの各ステージを通じて、過労を避けた十分な睡眠や休養は重要であるが、安静を強いる必要はない。
・個々の患者では、血圧、尿蛋白、腎機能などを詳細にみながら運動量を調節する必要がある。
・肥満では末期腎不全(EKSD)に至るリスクが高まる。

以上、引用です。運動に関してはコクランレビューで腎臓リハの有用性が報告されていますので、もう少し有用性に踏み込んだ内容が含まれると嬉しいのですが、なかなか難しいのですかね。

ただ回復期リハでは、以下のような糖尿病性腎症のCKDのG3症例も経験します。摂取エネルギー量は35kcal/kg体重/日、蛋白質は1.5g/kg体重/日で、ようやく体重維持可能でADLも十分改善しました。先日の湯布院厚生年金病院で行ったリハ栄養の症例検討の1例です。

72歳男性、脳梗塞(左放線冠)、右片麻痺

Br. Stage2-2-3と重度麻痺(退院時3-3-3

身長172cm、入院時体重67.5kgBMI22.8

HbA1c6.6%Cre1.4mg/dleGFR39.3(Ⅲb

14801680kcal:入院2ヶ月で5kg体重減少

2080kcal、蛋白95gで体重維持し自宅退院。

HbA1c6.1%Cre1.1mg/dleGFR51.2(Ⅲa)
 
糖尿病というとエネルギー制限、CKDというと蛋白制限となりがちです。しかし、回復期リハでは3時間の機能訓練+病棟でのADL訓練によるエネルギー消費量が多いため、ガイドラインの推奨どおりの栄養管理では体重・筋肉量とも減少して、十分な機能改善が得られない可能性があります。
 
この症例では摂取エネルギー量は35kcal/kg体重/日、蛋白質1.5g/kg体重/日で2-3カ月栄養管理を行いましたが、血糖や腎機能の悪化は認めませんでした。だから安全とはもちろん言えませんが、血糖や腎機能をモニタリングしながらの高エネルギー高蛋白食は、回復期リハではむしろ必要だと感じています。

サルコペニア:定義と診断に関する欧州関連学会のコンセンサスの監訳とQ&A

サルコペニア:定義と診断に関する欧州関連学会のコンセンサスの監訳とQ&Aの資料を、以下のHPでPDFで見ることができます。

http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/pdf/sarcopenia_EWGSOP_jpn-j-geriat2012.pdf

日本語訳が出るくらい、サルコペニアの論文の中でも重要なものの1つと言えると考えます。論文の日本語訳も参考になります(一次性サルコペニア、二次性サルコペニア、プレ・サルコペニア、サルコペニア、重症サルコペニア、カヘキシア、虚弱など)。

論文紹介後に、本論文に対するQ&Aという資料が掲載されていて、これも学習になります。例えばサルコペニア肥満は「SMI が若年成人の-2SD以下かつ体脂肪率が男性で25%,女性で30% 以上である場合をサルコペニア肥満とすることが適切であると思われます」とあります。

サルコペニアの一次性、二次性に関しては「筋肉の量や機能に及ぼす影響や評価方法については一次性と二次性サルコペニアの間に差を設ける必要はないと考えられますが,診断にあたってはこれらの鑑別診断が必要です」とあります。実際には複数合併していることがリハ栄養では多いです。

サルコペニア診断のカットオフ値について、握力は「簡便に測定できる筋力の指標としては握力が
あり,生活活動に何らかの支援を必要とするような障害を引き起こすリスクが高くなる握力のカットオフ値は男性で25 kg,女性で20 kg であると推定されます
」とあります。

歩行速度は「通常の歩行速度についてはADL の障害のない地域住民では0.8 m sec 以下の歩行速度である者はほとんど存在しません.日本人で要支援となるリスクを判定するためには,歩行速度1.0 m sec 以下を採用した方がよいかもしれません」とあります。

筋肉量は「筋量評価に関しては一般的に行われる検査のうち最も精度の高いのは,DXAによる評価指標です.その基準値は,その人種の若年成人の測定平均値(YAM)の-2SD とすべきであり,日本人では,男性6.87 kg m2,女性5.46 kg m2を用いるのがよいとされます」とあります。

日本語でサルコペニアを学習できるよい資料ですので、多くの方に読んでいただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。