今年のJSPENのNST専門療法士試験に合格されたPT・OT・ST・歯科衛生士の方たちはいらっしゃいますでしょうか。
私は3年前に神奈川NST専門療法士連絡会を立ち上げて、先週まで神奈川NST専門療法士連絡会の会長をしていました。また現在は、JSPEN首都圏支部NST専門療法士セミナー実行委員長として、来年4月16日(土)の第1回JSPEN首都圏支部NST専門療法士セミナーの企画を準備しています。
今度はPT・OT・ST・歯科衛生士のNST専門療法士が集まる場を、全国単位で作りたいと考えています。今回の試験で合格された方たちはモチベーションの高い人が多いはずです。ただ、どこにどんなPT・OT・ST・歯科衛生士のNST専門療法士がいるのかはほとんどわからないため、顔の見える関係作りが難しい状況です。
集まる場を作る目的としては、
・PT・OT・ST・歯科衛生士のNST専門療法士の顔の見えるネットワークつくり
・PT・OT・ST・歯科衛生士のNST専門療法士取得後の学習機会の作成
・リハ栄養に関する情報交換と学習
の3つを考えています。
できれば来年2月17-18日の名古屋でのJSPEN2011のときに、できる範囲でPT・OT・ST・歯科衛生士のNST専門療法士で集まりたいと考えています。もしコミュニティの中にPT・OT・ST・歯科衛生士のNST専門療法士の方がいらっしゃいましたら、私宛のメールかこのブログへのコメントという形で教えていただけると嬉しいです。
また、PT・OT・ST・歯科衛生士で来年、NST専門療法士を受験するつもりという方も、よろしければご連絡を頂けるとありがたいです。
栄養に関心を持つリハ関連職種のネットワークを作りたいと考えていますので、ご協力の程何卒よろしくお願い申し上げます。
2010年11月30日火曜日
サルコペニアとダイナペニア
サルコペニアsarcopeniaは以前から紹介しているように、狭義では加齢に伴う筋肉量の低下(age-related loss of muscle mass)、広義ではすべての原因による筋肉量と筋力の低下としています。
一方、ダイナペニアdynapeniaという言葉もあります。これは加齢に伴う筋力の低下(age-related loss of muscle strength)のことを言います。筋肉量だけでなく筋力も加齢とともに低下します。
筋力と筋断面積の相関は高いと言われていますが、狭義のサルコペニアとダイナペニアは異なる概念になります。狭義のサルコペニアよいもダイナペニアのほうが機能低下へのインパクトは大きいという意見もあります。
私は今のところ広義のサルコペニア(加齢、活動、疾患、栄養による筋肉量と筋力、身体機能の低下)を好んで使用しています。広義のサルコペニアの中にはダイナペニアも含まれますので、臨床現場では使いやすいと思います。
広義のダイナペニアという概念は、私は聞いたことがありません。ただ、加齢、活動、疾患、栄養を含めすべての原因による筋力低下のことを広義のダイナペニアと呼んでもよいのかもしれません。例えば握力で男性30kg未満、女性20kg未満なら、ダイナペニアの可能性があります。
現状ではサルコペニアやダイナペニアの統一した診断基準がありませんし、概念自体統一されていません。個人的には、用語が多いと混乱しやすいので、広義のサルコペニアの方向で統一化が進んでくれればと考えています。
一方、ダイナペニアdynapeniaという言葉もあります。これは加齢に伴う筋力の低下(age-related loss of muscle strength)のことを言います。筋肉量だけでなく筋力も加齢とともに低下します。
筋力と筋断面積の相関は高いと言われていますが、狭義のサルコペニアとダイナペニアは異なる概念になります。狭義のサルコペニアよいもダイナペニアのほうが機能低下へのインパクトは大きいという意見もあります。
私は今のところ広義のサルコペニア(加齢、活動、疾患、栄養による筋肉量と筋力、身体機能の低下)を好んで使用しています。広義のサルコペニアの中にはダイナペニアも含まれますので、臨床現場では使いやすいと思います。
広義のダイナペニアという概念は、私は聞いたことがありません。ただ、加齢、活動、疾患、栄養を含めすべての原因による筋力低下のことを広義のダイナペニアと呼んでもよいのかもしれません。例えば握力で男性30kg未満、女性20kg未満なら、ダイナペニアの可能性があります。
現状ではサルコペニアやダイナペニアの統一した診断基準がありませんし、概念自体統一されていません。個人的には、用語が多いと混乱しやすいので、広義のサルコペニアの方向で統一化が進んでくれればと考えています。
2010年11月29日月曜日
マッキンゼー流プレゼンテーションの技術
今日はジーン・ゼラズニー著「マッキンゼー流プレゼンテーションの技術」東洋経済新報社を紹介します。
http://www.toyokeizai.net/shop/books/detail/BI/905225706c39aa961fa6bcf17c0713f0/
アマゾンでは半額程度で中古品を入手できます。
最近、改めてプレゼンスキルを意識することが多くなりました。いろんな方の講演や発表を聞いていて、素晴らしいと思うことがある一方、改善の余地が少なくないなあと思うこともあります。プレゼンは中身が大事といっても、伝わらない話し方では意味がありません。
この書籍は2004年発刊ですので、PowerPointの作り方はそれほど参考になりませんが、プレゼンのスキルの学習には十分なります。目次を見ればわかりますが、この書籍でのプレゼンのポイントは3つです。
・状況を明確にする
・プレゼンテーションを設計する
・プレゼンテーションを実施する
当たり前ですが、実施する前に状況を明確にして、プレゼンを設計しなければ、よいプレゼンはできません。実施するまでにプレゼンの可否の半分以上は決まっているといえます。時間厳守など基本的な項目もありますが、基本の確認は大事ですし、プレゼンに自信、確信、熱意のいずれかが足りないと思っている方におすすめします。
最も参考になるのは、18-19ページの聞き手のための権利宣言ですので、これを引用紹介します。プレゼンの設計の段階で、これを繰り返し意識することで、より質の高いプレゼンが可能になります。私にも耳の痛い項目があります…。
目的
・プレゼンテーションの結果として、自分に何を行ってほしいのか、何を考えてほしいのかを知る権利。
・何故自分の関与が必要なのかという理由を知る権利。
・自分がプレゼンテーションを懸命に聞いている時間に相当する価値を受け取る権利。
尊敬
・知的な内容に貢献する権利、そして成果の割り当てを受け取る権利。
・瞬時の決断を迫られることなく、考える時間を与えてもらう権利。
・へりくだった話し方や見下した話し方をされることなく、同時に、自分の経験や知性や知識に敬意を払った話し方をしてもらう権利。
・自分の質問に答えられない場合には、その旨を正直に言ってもらう権利。
・(この権利を行使する人はほとんどいないが)退出することで不満を表し、熟慮の乏しいプレゼンテーションに対しては、退席をする権利。
タイミング
・プレゼンテーションにかかる時間を前もって知らせてもらう権利。
・忙しい日程を繰り合わせて出席するのだから、時間通りに開始し、時間通りに終了してもらう権利。
・時々休憩時間をもらう権利。生理的要求のためばかりとは限らない。
内容
・自分がどの方向に向かうのか、プレゼンテーションがどんな風に進行していくのかをあらかじめ知らせてもらう権利。
・未解決の懸案事項は何か、話し手の立場に対する論理的根拠、またこの論理を支える事実を知る権利。
・重要な情報を先に知る権利。予期せぬ結末はO・ヘンリに任せよう。
資料
・会場のどこに座っていようとも、オペラグラスなしでも示される資料の文字がすべて読める権利。
・複雑な資料については説明を受ける権利。
フレキシビリティ
・ディスカッションのためにプレゼンテーションを中断し、全員が共通の理解に達するまで補足する権利。
・「後ほど説明を」と延期されるのではなく、いつでも質問でき、質問をしたときに答えてもらう権利。
プレゼンテーションの実施
・部屋の後ろのほうにいてもプレゼンターの話を聞くことができる権利。
・派手な身振り手振りに気を散らされることなく、プレゼンテーションの内容をよく理解する権利。
・プレゼンターの後頭部だけでなく、顔も見る権利。プレゼンターはスクリーンに向かっていても、声が跳ね返って届くと思っているが・・・。
・言いたいことを述べる上で効果を上げ、聞き手の緊張を解きほぐし、両者が緊密な関係をつくる上で役立つ場合に限り、ユーモアのセンスを楽しませてもらう権利。
エンディング
・同意に達した事柄や次にくる事態を明示してもらう権利。
・何か意義あることを成し遂げたという実感をえる権利。
目次
第1章 状況を明確にする
1.なぜプレゼンテーションを行うのか?
2.説得したい相手は誰か?
3.持ち時間はどれだけあるのか?
4.どんな機材・媒体を使うべきか?
第2章 プレゼンテーションを設計する
1.メッセージを決定する
2.ストーリーラインを念入りにつくる
3.オープニングを書く
4.エンディングの計画をたてる
5.資料を活用する
6.ストーリーボードをつくる
第3章 プレゼンテーションを実施する
1.優れたプレゼンターは自信、確信、熱意をもっている
2.リハーサルを行う-欠点を捜し求める
3.設備や器具を準備する
4.実施の技術を駆使する
5.資料をうまく活用する
6.質問に答えることに慣れる
7.ユーモアを真面目に使う
8.沈黙に耳を傾けよ
まとめ プレゼンテーション・チェックリスト
状況を明確にする
プレゼンテーションを設計する
プレゼンテーションを実施する
付録 配付資料を効果的に利用する
ミーティングに向けて配付資料を準備する
配付資料を用いて議論をする
実施の技術を活用する
http://www.toyokeizai.net/shop/books/detail/BI/905225706c39aa961fa6bcf17c0713f0/
アマゾンでは半額程度で中古品を入手できます。
最近、改めてプレゼンスキルを意識することが多くなりました。いろんな方の講演や発表を聞いていて、素晴らしいと思うことがある一方、改善の余地が少なくないなあと思うこともあります。プレゼンは中身が大事といっても、伝わらない話し方では意味がありません。
この書籍は2004年発刊ですので、PowerPointの作り方はそれほど参考になりませんが、プレゼンのスキルの学習には十分なります。目次を見ればわかりますが、この書籍でのプレゼンのポイントは3つです。
・状況を明確にする
・プレゼンテーションを設計する
・プレゼンテーションを実施する
当たり前ですが、実施する前に状況を明確にして、プレゼンを設計しなければ、よいプレゼンはできません。実施するまでにプレゼンの可否の半分以上は決まっているといえます。時間厳守など基本的な項目もありますが、基本の確認は大事ですし、プレゼンに自信、確信、熱意のいずれかが足りないと思っている方におすすめします。
最も参考になるのは、18-19ページの聞き手のための権利宣言ですので、これを引用紹介します。プレゼンの設計の段階で、これを繰り返し意識することで、より質の高いプレゼンが可能になります。私にも耳の痛い項目があります…。
目的
・プレゼンテーションの結果として、自分に何を行ってほしいのか、何を考えてほしいのかを知る権利。
・何故自分の関与が必要なのかという理由を知る権利。
・自分がプレゼンテーションを懸命に聞いている時間に相当する価値を受け取る権利。
尊敬
・知的な内容に貢献する権利、そして成果の割り当てを受け取る権利。
・瞬時の決断を迫られることなく、考える時間を与えてもらう権利。
・へりくだった話し方や見下した話し方をされることなく、同時に、自分の経験や知性や知識に敬意を払った話し方をしてもらう権利。
・自分の質問に答えられない場合には、その旨を正直に言ってもらう権利。
・(この権利を行使する人はほとんどいないが)退出することで不満を表し、熟慮の乏しいプレゼンテーションに対しては、退席をする権利。
タイミング
・プレゼンテーションにかかる時間を前もって知らせてもらう権利。
・忙しい日程を繰り合わせて出席するのだから、時間通りに開始し、時間通りに終了してもらう権利。
・時々休憩時間をもらう権利。生理的要求のためばかりとは限らない。
内容
・自分がどの方向に向かうのか、プレゼンテーションがどんな風に進行していくのかをあらかじめ知らせてもらう権利。
・未解決の懸案事項は何か、話し手の立場に対する論理的根拠、またこの論理を支える事実を知る権利。
・重要な情報を先に知る権利。予期せぬ結末はO・ヘンリに任せよう。
資料
・会場のどこに座っていようとも、オペラグラスなしでも示される資料の文字がすべて読める権利。
・複雑な資料については説明を受ける権利。
フレキシビリティ
・ディスカッションのためにプレゼンテーションを中断し、全員が共通の理解に達するまで補足する権利。
・「後ほど説明を」と延期されるのではなく、いつでも質問でき、質問をしたときに答えてもらう権利。
プレゼンテーションの実施
・部屋の後ろのほうにいてもプレゼンターの話を聞くことができる権利。
・派手な身振り手振りに気を散らされることなく、プレゼンテーションの内容をよく理解する権利。
・プレゼンターの後頭部だけでなく、顔も見る権利。プレゼンターはスクリーンに向かっていても、声が跳ね返って届くと思っているが・・・。
・言いたいことを述べる上で効果を上げ、聞き手の緊張を解きほぐし、両者が緊密な関係をつくる上で役立つ場合に限り、ユーモアのセンスを楽しませてもらう権利。
エンディング
・同意に達した事柄や次にくる事態を明示してもらう権利。
・何か意義あることを成し遂げたという実感をえる権利。
目次
第1章 状況を明確にする
1.なぜプレゼンテーションを行うのか?
2.説得したい相手は誰か?
3.持ち時間はどれだけあるのか?
4.どんな機材・媒体を使うべきか?
第2章 プレゼンテーションを設計する
1.メッセージを決定する
2.ストーリーラインを念入りにつくる
3.オープニングを書く
4.エンディングの計画をたてる
5.資料を活用する
6.ストーリーボードをつくる
第3章 プレゼンテーションを実施する
1.優れたプレゼンターは自信、確信、熱意をもっている
2.リハーサルを行う-欠点を捜し求める
3.設備や器具を準備する
4.実施の技術を駆使する
5.資料をうまく活用する
6.質問に答えることに慣れる
7.ユーモアを真面目に使う
8.沈黙に耳を傾けよ
まとめ プレゼンテーション・チェックリスト
状況を明確にする
プレゼンテーションを設計する
プレゼンテーションを実施する
付録 配付資料を効果的に利用する
ミーティングに向けて配付資料を準備する
配付資料を用いて議論をする
実施の技術を活用する
2010年11月28日日曜日
第14回茨城県総合リハビリテーションケア学会学術集会
12月5日(日)に第14回茨城県総合リハビリテーションケア学会学術集会が茨城県立医療大学で開催されます。
http://st-ibaraki.web.infoseek.co.jp/care/
私は下記のようにランチョンセミナーで摂食・嚥下のリハ栄養の話をしてきます。茨城周辺の方はよかったら聞きに来て下さい。 よろしくお願いいたします。
11:50 ~ 12:50
ランチョンセミナー1 3F 135 会場
タイトル: 摂食・嚥下障害のリハビリテーション栄養
講師:若林 秀隆(横浜市立大学附属市民総合医療センター)
座長:白坂 誉子(地域貢献研究センター 認定看護師教育課程「摂食・嚥下障害看護」 専任教員
摂食・嚥下障害看護師)
協賛:(株)大塚製薬工場
抄録
摂食・嚥下障害の原因の1 つに,嚥下筋のサルコペニアがある。サルコペニアの定義は,狭義では加齢に伴う筋肉量の低下,広義ではすべての原因による筋肉量・筋力の低下となる。広義のサルコペニアの原因には,加齢,活動(廃用),疾患(侵襲,悪液質,原疾患),栄養(飢餓)がある。
高齢者では加齢に伴い嚥下筋のサルコペニアを認めることが増加する。廃用は活動性や運動量の低下し た状態の継続で生じる二次的障害である。絶食で嚥下筋の廃用性筋萎縮を認める。誤嚥性肺炎などの侵襲で嚥下筋も含めた筋蛋白の異化が亢進する。悪液質は,がん,結核,エイズ,関節リウマチ,慢性心不全,慢性腎不全,肝不全,慢性閉塞性肺疾患などで生じ,嚥下筋も含めた筋肉の喪失が特徴である。早期診断・介入のために前悪液質の概念がある(悪液質の原因となる慢性疾患の存在,6 ヶ月以内に5%以上の体重減少,慢性・再発性の全身炎症反応:CRP 陽性,食思不振の4 項目すべて該当で診断)。原疾患による筋萎縮には,多発性筋炎や筋萎縮性側索硬化症などがある。飢餓では嚥下筋も含めた筋蛋白が異化する。
サルコペニアによる摂食・嚥下障害に対しては,これらの原因の有無を判断した上で,栄養管理と嚥下筋のレジスタンストレーニング(頭部挙上訓練,舌筋力強化訓練)を適切に行う。加齢と廃用が原因の場合,栄養障害を認めなければ主な治療は嚥下筋のレジスタンストレーニングである。栄養障害を合併している場合には,適切な栄養管理を併用する。疾患が原因の場合,原疾患の治療が最も重要である。高度侵襲下では,適切な栄養管理とリハビリテーションを行っても摂食・嚥下機能の改善は難しい。悪液質の場合,エイコサペンタエン酸の投与と廃用や飢餓の予防を同時に行う。飢餓が原因の場合,主な治療はリハビリテーションではなく栄養改善である。栄養改善なしにレジスタンストレーニングを行うとかえって摂食・嚥下障害は悪化する。
http://st-ibaraki.web.infoseek.co.jp/care/
私は下記のようにランチョンセミナーで摂食・嚥下のリハ栄養の話をしてきます。茨城周辺の方はよかったら聞きに来て下さい。 よろしくお願いいたします。
11:50 ~ 12:50
ランチョンセミナー1 3F 135 会場
タイトル: 摂食・嚥下障害のリハビリテーション栄養
講師:若林 秀隆(横浜市立大学附属市民総合医療センター)
座長:白坂 誉子(地域貢献研究センター 認定看護師教育課程「摂食・嚥下障害看護」 専任教員
摂食・嚥下障害看護師)
協賛:(株)大塚製薬工場
抄録
摂食・嚥下障害の原因の1 つに,嚥下筋のサルコペニアがある。サルコペニアの定義は,狭義では加齢に伴う筋肉量の低下,広義ではすべての原因による筋肉量・筋力の低下となる。広義のサルコペニアの原因には,加齢,活動(廃用),疾患(侵襲,悪液質,原疾患),栄養(飢餓)がある。
高齢者では加齢に伴い嚥下筋のサルコペニアを認めることが増加する。廃用は活動性や運動量の低下し た状態の継続で生じる二次的障害である。絶食で嚥下筋の廃用性筋萎縮を認める。誤嚥性肺炎などの侵襲で嚥下筋も含めた筋蛋白の異化が亢進する。悪液質は,がん,結核,エイズ,関節リウマチ,慢性心不全,慢性腎不全,肝不全,慢性閉塞性肺疾患などで生じ,嚥下筋も含めた筋肉の喪失が特徴である。早期診断・介入のために前悪液質の概念がある(悪液質の原因となる慢性疾患の存在,6 ヶ月以内に5%以上の体重減少,慢性・再発性の全身炎症反応:CRP 陽性,食思不振の4 項目すべて該当で診断)。原疾患による筋萎縮には,多発性筋炎や筋萎縮性側索硬化症などがある。飢餓では嚥下筋も含めた筋蛋白が異化する。
サルコペニアによる摂食・嚥下障害に対しては,これらの原因の有無を判断した上で,栄養管理と嚥下筋のレジスタンストレーニング(頭部挙上訓練,舌筋力強化訓練)を適切に行う。加齢と廃用が原因の場合,栄養障害を認めなければ主な治療は嚥下筋のレジスタンストレーニングである。栄養障害を合併している場合には,適切な栄養管理を併用する。疾患が原因の場合,原疾患の治療が最も重要である。高度侵襲下では,適切な栄養管理とリハビリテーションを行っても摂食・嚥下機能の改善は難しい。悪液質の場合,エイコサペンタエン酸の投与と廃用や飢餓の予防を同時に行う。飢餓が原因の場合,主な治療はリハビリテーションではなく栄養改善である。栄養改善なしにレジスタンストレーニングを行うとかえって摂食・嚥下障害は悪化する。
口腔ケアの定義再考を:日本口腔ケア学会
昨日は、第7回日本口腔ケア学会のシンポジウムで、「口腔機能へのアプローチ-リハビリテーション栄養の視点から」という発表をしてきました。
・栄養ケアなくして口腔リハなし。
・口腔リハにとって栄養はバイタルサインである。
・栄養を評価できなければ、口腔機能訓練(筋トレなど)はやめてください(口腔清掃は可)。
をポイントとして、口腔のサルコペニアの話などをしました。
ただ同時に、口腔ケアの定義再考を、という問題提起もしてきました。その内容を記載します。
日本口腔ケア学会のHPを見ると、口腔ケアの定義として以下のように掲載されています。
口腔ケアとは、口腔の疾病予防、健康保持・増進、リハビリテーションによりQOLの向上をめざした科学であり技術です。具体的には、検診、口腔清掃、義歯の着脱と手入れ、咀嚼・摂食・嚥下のリハビリ、歯肉・頬部のマッサージ、食事の介護、口臭の除去、口腔乾燥予防などがあります。
リハを理解している人が見れば、この定義に疑問を感じますよね。口腔ケアの中に嚥下リハが入ってしまっています。
リハとは、機能障害の改善を目指すだけでなく、能力障害あるいは社会的不利を起こす諸条件の悪影響を軽減させ、障害者の社会統合を実現することをめざすあらゆる措置を含むものです。そうすると、
機能訓練はリハのごく一部でしかない。
口腔ケアもリハのごく一部でしかない。
ということになります。
摂食・嚥下リハの例として以下のようなものを紹介しました。
認知、頸部・体幹、呼吸機能を評価しこれらと摂食・嚥下障害を改善させる。
食事の時の姿勢を調整する。
嚥下調整食を作成して提供する。
嚥下調整食の配食サービスを行う。
これらは口腔ケアと言えるでしょうか。私は言えないと考えます。
したがって、日本口腔ケア学会の口腔ケアの定義は誤っていると言わざるをえません。というようなことを発表してきました。
その後、複数の方から口腔ケアの定義を作って下さいよと言われましたが、さすがに私にはできません(笑)。ただ、日本口腔ケア学会の定義から、私が不適切と思うところを削除すると以下のようになりました。異論は多々あるかと思いますが、ここに記載します。
口腔ケアとは、口腔の疾病予防、衛生状態保持・増進をめざした技術です。具体的には、検診、口腔清掃、義歯の着脱と手入れ、口腔機能訓練、歯肉・頬部のマッサージ、口臭の除去、口腔乾燥予防があります。
まずは口腔ケアと摂食・嚥下リハの違いを理解すること、リハ、栄養、リハ栄養の概念、考え方、重要性を理解することが大切だと私は考えています。ですので、多くの歯科医師、歯科衛生士に「リハビリテーション栄養ハンドブック」を読んで学習していただければと思います。
今度、12月1日(水)19時30分から大和歯科医師会会館(大和市深見西2-1-25)で「摂食・嚥下障害のリハビリテーションと栄養管理」という講演をしてきます。平日の夜ですが、多くの歯科医師、歯科衛生士の方に参加していただけるとありがたいです。よろしくお願い申し上げます。
・栄養ケアなくして口腔リハなし。
・口腔リハにとって栄養はバイタルサインである。
・栄養を評価できなければ、口腔機能訓練(筋トレなど)はやめてください(口腔清掃は可)。
をポイントとして、口腔のサルコペニアの話などをしました。
ただ同時に、口腔ケアの定義再考を、という問題提起もしてきました。その内容を記載します。
日本口腔ケア学会のHPを見ると、口腔ケアの定義として以下のように掲載されています。
口腔ケアとは、口腔の疾病予防、健康保持・増進、リハビリテーションによりQOLの向上をめざした科学であり技術です。具体的には、検診、口腔清掃、義歯の着脱と手入れ、咀嚼・摂食・嚥下のリハビリ、歯肉・頬部のマッサージ、食事の介護、口臭の除去、口腔乾燥予防などがあります。
リハを理解している人が見れば、この定義に疑問を感じますよね。口腔ケアの中に嚥下リハが入ってしまっています。
リハとは、機能障害の改善を目指すだけでなく、能力障害あるいは社会的不利を起こす諸条件の悪影響を軽減させ、障害者の社会統合を実現することをめざすあらゆる措置を含むものです。そうすると、
機能訓練はリハのごく一部でしかない。
口腔ケアもリハのごく一部でしかない。
ということになります。
摂食・嚥下リハの例として以下のようなものを紹介しました。
認知、頸部・体幹、呼吸機能を評価しこれらと摂食・嚥下障害を改善させる。
食事の時の姿勢を調整する。
嚥下調整食を作成して提供する。
嚥下調整食の配食サービスを行う。
これらは口腔ケアと言えるでしょうか。私は言えないと考えます。
したがって、日本口腔ケア学会の口腔ケアの定義は誤っていると言わざるをえません。というようなことを発表してきました。
その後、複数の方から口腔ケアの定義を作って下さいよと言われましたが、さすがに私にはできません(笑)。ただ、日本口腔ケア学会の定義から、私が不適切と思うところを削除すると以下のようになりました。異論は多々あるかと思いますが、ここに記載します。
口腔ケアとは、口腔の疾病予防、衛生状態保持・増進をめざした技術です。具体的には、検診、口腔清掃、義歯の着脱と手入れ、口腔機能訓練、歯肉・頬部のマッサージ、口臭の除去、口腔乾燥予防があります。
まずは口腔ケアと摂食・嚥下リハの違いを理解すること、リハ、栄養、リハ栄養の概念、考え方、重要性を理解することが大切だと私は考えています。ですので、多くの歯科医師、歯科衛生士に「リハビリテーション栄養ハンドブック」を読んで学習していただければと思います。
今度、12月1日(水)19時30分から大和歯科医師会会館(大和市深見西2-1-25)で「摂食・嚥下障害のリハビリテーションと栄養管理」という講演をしてきます。平日の夜ですが、多くの歯科医師、歯科衛生士の方に参加していただけるとありがたいです。よろしくお願い申し上げます。
2010年11月25日木曜日
肥満治療:高タンパク・低GIが減量維持のポイント
今日は、「内科開業医のお勉強日記」から、「肥満治療:高タンパク・低GIが減量維持のポイント」を引用させていただきます。
http://intmed.exblog.jp/11615075/
以下、引用です。
欧州8ヶ国、3.3MJ(800kcal)低カロリーダイエットで、最低8%体重減少した過体重成人で、以下の5つのアドリブ食で、26週の体重再増加予防を検討したもの
低タンパク・低GI食、低タンパク・高GI食、高タンパク・低GI食、高タンパク・低GIと、対照食比較
Diets with High or Low Protein Content and Glycemic Index for Weight-Loss Maintenance
N Engl J Med 2010; 363:2102-2113November 25, 2010
1209名の成人(平均年齢 41歳;BMI 34)をスクリーニングし、938名をこの研究の低カロリー食研究に参入した
5つの維持食事の一つをランダムに割り付け773名で研究を行い、介入完遂548名(71%)
ドロップアウトが少ないのは、高タンパク・低GI群で、低タンパク・高GI食比較で有意差がある (26.4% and 25.6%, vs. 37.4%; それぞれ対照群比較 P=0.02、 P=0.01 )
低カロリー食平均初期体重減少は11.0kg
研究完遂被験者解析にて、低タンパク・高GI食は、その後の有意体重再増加と関連(1.67 kg; 95% 信頼区間 [CI], 0.48 to 2.87)
ITT解析では、体重再増加は低タンパク食より高たんぱく食割り付け群で0.93kg(95% CI, 0.31 to 1.55) 減少。低GI 食割り付け群では、高GI割り付け群より、0.95Kg (95% CI, 0.33 to 1.57)減少(P=0.003)。
介入完遂被験者を含む解析でも同様な結果であった。
副事象に関して有意な差はない
以上、引用です。
肥満患者の減量後に体重を維持するためには、高蛋白・低GI食が有用という結論です。運動療法の記載がないので仮説でしかありませんが、高蛋白食にすることで筋肉量をより維持・改善することができ、その結果、太りにくい可能性があります。実際、肥満治療の運動療法ではレジスタンストレーニングと有酸素運動を併用しますし。低GI食に関しては食事療法単独の効果と思われます。
http://intmed.exblog.jp/11615075/
以下、引用です。
欧州8ヶ国、3.3MJ(800kcal)低カロリーダイエットで、最低8%体重減少した過体重成人で、以下の5つのアドリブ食で、26週の体重再増加予防を検討したもの
低タンパク・低GI食、低タンパク・高GI食、高タンパク・低GI食、高タンパク・低GIと、対照食比較
Diets with High or Low Protein Content and Glycemic Index for Weight-Loss Maintenance
N Engl J Med 2010; 363:2102-2113November 25, 2010
1209名の成人(平均年齢 41歳;BMI 34)をスクリーニングし、938名をこの研究の低カロリー食研究に参入した
5つの維持食事の一つをランダムに割り付け773名で研究を行い、介入完遂548名(71%)
ドロップアウトが少ないのは、高タンパク・低GI群で、低タンパク・高GI食比較で有意差がある (26.4% and 25.6%, vs. 37.4%; それぞれ対照群比較 P=0.02、 P=0.01 )
低カロリー食平均初期体重減少は11.0kg
研究完遂被験者解析にて、低タンパク・高GI食は、その後の有意体重再増加と関連(1.67 kg; 95% 信頼区間 [CI], 0.48 to 2.87)
ITT解析では、体重再増加は低タンパク食より高たんぱく食割り付け群で0.93kg(95% CI, 0.31 to 1.55) 減少。低GI 食割り付け群では、高GI割り付け群より、0.95Kg (95% CI, 0.33 to 1.57)減少(P=0.003)。
介入完遂被験者を含む解析でも同様な結果であった。
副事象に関して有意な差はない
以上、引用です。
肥満患者の減量後に体重を維持するためには、高蛋白・低GI食が有用という結論です。運動療法の記載がないので仮説でしかありませんが、高蛋白食にすることで筋肉量をより維持・改善することができ、その結果、太りにくい可能性があります。実際、肥満治療の運動療法ではレジスタンストレーニングと有酸素運動を併用しますし。低GI食に関しては食事療法単独の効果と思われます。
2010年11月24日水曜日
癌と臨床栄養
今日は丸山道生編著、癌と臨床栄養、日本医事新報社を紹介します。 今月発刊となった新しい書籍です。
http://www.jmedj.co.jp/detail.jsp?goods_id=1830
下記のHPで少し中身を見ることができます。
https://www.jmedj.co.jp/parapara/gan_eiyo.html
確かに今まで癌に関する基礎から臨床に至る代謝栄養をまとめた書籍はありませんでしたので、初めての教科書といえます。執筆陣も現場でNSTに積極的に取り組んでいる方が多く、実践的な内容となっています。
「癌患者は癌で看取る。栄養不良状態やトラブルでは看取らない」を合言葉にしているそうですが、これには共感できます。また、丸山先生が編集しているだけに在宅での癌の栄養管理やシームレスな地域連携に関する執筆は充実しています。
悪液質に関しては、このブログで紹介しているような悪液質、前悪液質に関する診断基準は掲載されていませんでしたが、癌の栄養管理を体系的に学習したい方にお勧めします。
目次
〔癌と栄養管理A to Z〕
第1章 癌と担癌生体の栄養代謝
1.癌細胞の栄養と代謝
2.担癌生体の栄養と代謝
3.癌悪液質の病態と管理
4.癌と注目される栄養素
第2章 癌の発生と栄養
1.癌の化学予防の現状
2.食による癌予防
第3章 癌患者の栄養管理
1.癌患者の栄養アセスメント
2.癌患者の経腸栄養
3.癌患者の静脈栄養
4.化学療法と栄養管理
5.化学療法時の食事
6.緩和医療としての栄養管理
7.緩和医療における食事
8.アミノ酸インバランスによる癌治療(RT療法と抗癌薬の併用療法)
9.癌の予防や治療に関するサプリメント
10.癌の補完代替医療(漢方)と栄養療法
11.癌患者のPEG
12.癌患者の在宅静脈栄養法
13.癌患者の在宅経腸栄養法
14.癌手術での周術期栄養管理
〔実践臨床Q&A〕
第1章 アセスメント
Q1.癌治療における栄養指標とは?
Q2.癌患者におけるNSTの役割とは?
第2章 癌手術および術後
Q3.胃癌術後の栄養代謝障害とは?
Q4.胃癌術後患者の食事は?
Q5.術後の窒素バランスとは?
Q6.癌患者のサプリメント相談への対応は?
Q7.癌術後患者に対する経口補助栄養(ONS)の有効性は?
第3章 化学療法
Q8.化学療法,放射線療法,化学放射線療法時の口腔粘膜炎への対処法は?
Q9.化学療法時の食欲不振,悪心・嘔吐への対処法は?
Q10.抗癌薬使用時の下痢への対処法は?
Q11.化学療法時の味覚障害とは?
Q12.化学療法時の経腸栄養の有用性は?
Q13.外来化学療法での栄養管理は?
第4章 癌治療各論
Q14.血液癌化学療法での栄養管理の特徴は?
Q15.肝癌治療時の栄養管理の特徴は?
Q16.口腔外科領域の癌の栄養療法は?
Q17.PTEGで管理する癌患者とは?
第5章 終末期
Q18.終末期癌患者の代謝の特徴は?
Q19.終末期癌患者におけるNSTの役割とは?緩和ケアNSTとは?
Q20.癌のるい痩に対する薬物療法は?
Q21.疼痛管理している患者の栄養管理上,注意すべき点は?
http://www.jmedj.co.jp/detail.jsp?goods_id=1830
下記のHPで少し中身を見ることができます。
https://www.jmedj.co.jp/parapara/gan_eiyo.html
確かに今まで癌に関する基礎から臨床に至る代謝栄養をまとめた書籍はありませんでしたので、初めての教科書といえます。執筆陣も現場でNSTに積極的に取り組んでいる方が多く、実践的な内容となっています。
「癌患者は癌で看取る。栄養不良状態やトラブルでは看取らない」を合言葉にしているそうですが、これには共感できます。また、丸山先生が編集しているだけに在宅での癌の栄養管理やシームレスな地域連携に関する執筆は充実しています。
悪液質に関しては、このブログで紹介しているような悪液質、前悪液質に関する診断基準は掲載されていませんでしたが、癌の栄養管理を体系的に学習したい方にお勧めします。
目次
〔癌と栄養管理A to Z〕
第1章 癌と担癌生体の栄養代謝
1.癌細胞の栄養と代謝
2.担癌生体の栄養と代謝
3.癌悪液質の病態と管理
4.癌と注目される栄養素
第2章 癌の発生と栄養
1.癌の化学予防の現状
2.食による癌予防
第3章 癌患者の栄養管理
1.癌患者の栄養アセスメント
2.癌患者の経腸栄養
3.癌患者の静脈栄養
4.化学療法と栄養管理
5.化学療法時の食事
6.緩和医療としての栄養管理
7.緩和医療における食事
8.アミノ酸インバランスによる癌治療(RT療法と抗癌薬の併用療法)
9.癌の予防や治療に関するサプリメント
10.癌の補完代替医療(漢方)と栄養療法
11.癌患者のPEG
12.癌患者の在宅静脈栄養法
13.癌患者の在宅経腸栄養法
14.癌手術での周術期栄養管理
〔実践臨床Q&A〕
第1章 アセスメント
Q1.癌治療における栄養指標とは?
Q2.癌患者におけるNSTの役割とは?
第2章 癌手術および術後
Q3.胃癌術後の栄養代謝障害とは?
Q4.胃癌術後患者の食事は?
Q5.術後の窒素バランスとは?
Q6.癌患者のサプリメント相談への対応は?
Q7.癌術後患者に対する経口補助栄養(ONS)の有効性は?
第3章 化学療法
Q8.化学療法,放射線療法,化学放射線療法時の口腔粘膜炎への対処法は?
Q9.化学療法時の食欲不振,悪心・嘔吐への対処法は?
Q10.抗癌薬使用時の下痢への対処法は?
Q11.化学療法時の味覚障害とは?
Q12.化学療法時の経腸栄養の有用性は?
Q13.外来化学療法での栄養管理は?
第4章 癌治療各論
Q14.血液癌化学療法での栄養管理の特徴は?
Q15.肝癌治療時の栄養管理の特徴は?
Q16.口腔外科領域の癌の栄養療法は?
Q17.PTEGで管理する癌患者とは?
第5章 終末期
Q18.終末期癌患者の代謝の特徴は?
Q19.終末期癌患者におけるNSTの役割とは?緩和ケアNSTとは?
Q20.癌のるい痩に対する薬物療法は?
Q21.疼痛管理している患者の栄養管理上,注意すべき点は?
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