2011年12月17日土曜日

日本緩和医療学会ニューズレター:緩和ケアと栄養

日本緩和医療学会ニューズレター第53号に「緩和ケアと栄養」の教育講演に関する報告がされています。演者は東口先生で座長・報告は岡田先生です。

http://www.jspm.ne.jp/newsletter/nl_53/nl530301.html

少し長くなりますが、上記HPから引用します。以下、引用です。

「実は終末期になると栄養障害から生じる免疫能の低下によって、がん自体ではなく感染症が直接的な死因となることが多いということが問題であると示された。そしてNST による適正な栄養管理が実践されると終末期がん患者の肺炎をはじめとする種々の感染や多発する褥瘡などの他疾患の合併が減少することも示された。間接熱量計を用いて終末期がん患者の代謝動態を検討した結果、臨床的な悪液質の出現時期とほぼ一致してエネルギー消費量が減少する。この時期がギアチェンジを全面的に実施すべき時期であり、栄養管理法もこの時点から変更すればいいということになる。臨床的な悪液質として「がん進展による高度全身衰弱あるいはコントロール不能な腹水、胸水、全身浮腫の発生」として示された。」

以上、引用です。確かに感染症が死因となることは少なくないと思います。ここでの「臨床的な悪液質」というのはFearonらの「不応性悪液質」に近いと私は解釈しています。Fearonらの「前悪液質」と「悪液質」の時期には、適正な栄養管理を実践することが重要で、「不応性悪液質」になったらギアチェンジすべきと考えます。

リハ栄養の立場でも、「前悪液質」と「悪液質」の時期には積極的な栄養管理が大切です。運動(有酸素運動の範囲内の歩行やレジスタンストレーニング)による悪液質への抗炎症作用を期待して運動指導しても、終末期のような1日200~600kcal程度の栄養管理では、運動は実施困難です。この鑑別診断が重要になりますね。

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