http://www.jsn.or.jp/guideline/ckd2012.php
今回はステージ3がG3a(45~59)とG3b(30~44)に分類されたことと、蛋白尿を重視していることが大きな特徴です。以下、12-1生活指導・食事指導・成人から一部引用させていただきます。
・水分の過剰な摂取や極端な制限は有害である。
・食事摂取量の基本は3g/日以上6g/日未満である。
・摂取エネルギー量は25~35kcal/kg体重/日が推奨される。一方、肥満症例では体重に応じて20~25kcal/kg体重/日を指導してもよい。
・肥満の是正に努める(BMI25未満を目指す)。
・摂取たんぱく質量は、CKDステージG1~G2は、過剰にならないように注意する。
・ステージG3では0.8~1.0g/kg体重/日のたんぱく質摂取を推奨する。
・ステージG4~G5ではたんぱく質摂取を0.6~0.8g/kg体重/日に制限することで腎代替療法の導入が延長できる可能性がある。
・CKDの各ステージを通じて、過労を避けた十分な睡眠や休養は重要であるが、安静を強いる必要はない。
・個々の患者では、血圧、尿蛋白、腎機能などを詳細にみながら運動量を調節する必要がある。
・肥満では末期腎不全(EKSD)に至るリスクが高まる。
以上、引用です。運動に関してはコクランレビューで腎臓リハの有用性が報告されていますので、もう少し有用性に踏み込んだ内容が含まれると嬉しいのですが、なかなか難しいのですかね。
ただ回復期リハでは、以下のような糖尿病性腎症のCKDのG3症例も経験します。摂取エネルギー量は35kcal/kg体重/日、蛋白質は1.5g/kg体重/日で、ようやく体重維持可能でADLも十分改善しました。先日の湯布院厚生年金病院で行ったリハ栄養の症例検討の1例です。
72歳男性、脳梗塞(左放線冠)、右片麻痺
Br. Stage2-2-3と重度麻痺(退院時3-3-3)
身長172cm、入院時体重67.5kg、BMI22.8
HbA1c6.6%、Cre1.4mg/dl、eGFR39.3(Ⅲb)
1480~1680kcal:入院2ヶ月で5kg体重減少
2080kcal、蛋白95gで体重維持し自宅退院。
HbA1c6.1%、Cre1.1mg/dl、eGFR51.2(Ⅲa)
糖尿病というとエネルギー制限、CKDというと蛋白制限となりがちです。しかし、回復期リハでは3時間の機能訓練+病棟でのADL訓練によるエネルギー消費量が多いため、ガイドラインの推奨どおりの栄養管理では体重・筋肉量とも減少して、十分な機能改善が得られない可能性があります。
この症例では摂取エネルギー量は35kcal/kg体重/日、蛋白質1.5g/kg体重/日で2-3カ月栄養管理を行いましたが、血糖や腎機能の悪化は認めませんでした。だから安全とはもちろん言えませんが、血糖や腎機能をモニタリングしながらの高エネルギー高蛋白食は、回復期リハではむしろ必要だと感じています。
私も同感です。糖尿病といってカロリー制限、CKDといってタンパク摂取制限していると回復期リハでは十分なリハビリができません。私の病棟の患者さんの多くは糖尿病でも急性期病院で行っていたようなカロリー制限はしていませんが、80~90%の方がHbA1cが正常化している印象です。また、CKDの患者さんにも血清Cre<3.0ぐらいならば敢えてタンパク制限はしていません。これは先輩の腎臓内科指導医(毎日120床以上の人工透析をしている臨床医)の先生の教えで、Creとタンパク尿の推移をきちんとモニターしていれば問題ないのではないかと感じています。
返信削除森川先生、コメントどうもありがとうございます。血糖値、HbA1c、BUN、Cre、タンパク尿でモニタリングしながらであれば、回復期リハ病棟入院中は私も問題ないと感じます。
返信削除安易なカロリー制限やタンパク制限をむしろ慎むべきだと思いますが、エビデンスがないとガイドラインには掲載されませんね。今後ともよろしくお願い申し上げます。