成人の重症疾患患者に対する早期静脈栄養(48時間以内)と後期静脈栄養(8日目以降)を比較した大規模ランダム化比較試験を紹介します。N Engl J Medです。
Michael P. Casaer, et al: Early versus Late Parenteral Nutrition in Critically Ill Adults. N Engl J Med. June 29, 2011 (10.1056/NEJMoa1102662)
成人の重症疾患患者に対してESPENは早期静脈栄養(48時間以内)開始を、ASPENは後期静脈栄養(8日目以降)開始をそれぞれのガイドラインで推奨しています。今回はESPEN対ASPENとも言えます。
結論として早期静脈栄養(48時間以内)より後期静脈栄養(8日目以降)のほうが回復が早く合併症が少ないとなっています。これだけみると前者(ESPENのガイドライン)より後者(ASPENのガイドライン)のほうが優れているように感じてしまいます。
ただし、ICU退室までの期間と病院退院までの期間のハザード比はいずれも1.06、95%信頼区間は1.00~1.13、P=0.04です。両者合わせて4640人という大規模ランダム化比較試験ですから統計学的有意差が出ましたが、これに臨床的有意差があると言えるでしょうか。私は微妙だと思います。
感染症に関しては(22.8% vs. 26.2%, P=0.008)、医療経済面に関しては後期静脈栄養(8日目以降)のほうが1600ドル安いという結果です。これらはICU退室や病院退院より臨床的にも有意な差かもしれません。
個人的にはこの論文でESPENのガイドラインは間違っているとまでは言えないと感じています。私がASPENよりESPENのほうに親しみを感じるというバイアスが入っている可能性はありますが(笑)。
Background
Controversy exists about the timing of the initiation of parenteral nutrition in critically ill adults in whom caloric targets cannot be met by enteral nutrition alone.
Methods
In this randomized, multicenter trial, we compared early initiation of parenteral nutrition (European guidelines) with late initiation (American and Canadian guidelines) in adults in the intensive care unit (ICU) to supplement insufficient enteral nutrition. In 2312 patients, parenteral nutrition was initiated within 48 hours after ICU admission (early-initiation group), whereas in 2328 patients, parenteral nutrition was not initiated before day 8 (late-initiation group). A protocol for the early initiation of enteral nutrition was applied to both groups, and insulin was infused to achieve normoglycemia.
Results
Patients in the late-initiation group had a relative increase of 6.3% in the likelihood of being discharged alive earlier from the ICU (hazard ratio, 1.06; 95% confidence interval [CI], 1.00 to 1.13; P=0.04) and from the hospital (hazard ratio, 1.06; 95% CI, 1.00 to 1.13; P=0.04), without evidence of decreased functional status at hospital discharge. Rates of death in the ICU and in the hospital and rates of survival at 90 days were similar in the two groups. Patients in the late-initiation group, as compared with the early-initiation group, had fewer ICU infections (22.8% vs. 26.2%, P=0.008) and a lower incidence of cholestasis (P<0.001). The late-initiation group had a relative reduction of 9.7% in the proportion of patients requiring more than 2 days of mechanical ventilation (P=0.006), a median reduction of 3 days in the duration of renal-replacement therapy (P=0.008), and a mean reduction in health care costs of €1,110 (about $1,600) (P=0.04).
Conclusions
Late initiation of parenteral nutrition was associated with faster recovery and fewer complications, as compared with early initiation. (Funded by the Methusalem program of the Flemish government and others; EPaNIC ClinicalTrials.gov number, NCT00512122.)
2011年6月30日木曜日
リハ栄養は美味しくなければいけない
リハ栄養の主な内容は、低栄養や不適切な栄養管理下におけるリスク管理、機能訓練の時間と内容が増加した状況での適切な栄養管理、筋力・持久力などの機能改善の3つと考えています。
リスク管理に関しては常に実践しているつもりですが、筋力・持久力などの機能改善に対する実践は今のところ不十分です。この実践として、PT、OT、STの直後に機能訓練室(病棟でのリハであれば病棟)で栄養剤を1本飲むという習慣を導入したいと考えています。
訓練直後にBCAAなどを含む栄養剤(スポーツ用やサルコペニア用がベストですが、通常の栄養剤でもよいと考えます。ゼリータイプでももちろん可です。)を飲むことで、より筋力増強の効果を高めることができるのではないかと思います。
ただ、この栄養剤は美味しくなければいけません。
「PT、OT、STをすると必ずまずい栄養剤を飲まされるので行きたくない」などと思われては、かえってPT、OT、STの効果も減弱してしまいます。
以前と比較して味が改善されてきていることは確かですが、まだまだ毎日飲みたくなる、食べたくなるような栄養剤はほとんどないのが現状です。
「PT、OT、STをすると必ず美味しい栄養剤を飲めるのでぜひ行きたい」となってこそ、リハ栄養の効果も最大限に増強できると考えます。
BCAA、n-3脂肪酸、微量元素などの量を増やすと味が悪くなるという宿命?はありますが、医療人も好んで飲みたくなるような栄養剤でなければ、リハ栄養で使用することはなかなか難しいと思います。
効果と味の絶妙なバランスは容易ではありませんが、自分が毎日飲みたくなる、食べたくなるような栄養剤が増えると嬉しいです。
リスク管理に関しては常に実践しているつもりですが、筋力・持久力などの機能改善に対する実践は今のところ不十分です。この実践として、PT、OT、STの直後に機能訓練室(病棟でのリハであれば病棟)で栄養剤を1本飲むという習慣を導入したいと考えています。
訓練直後にBCAAなどを含む栄養剤(スポーツ用やサルコペニア用がベストですが、通常の栄養剤でもよいと考えます。ゼリータイプでももちろん可です。)を飲むことで、より筋力増強の効果を高めることができるのではないかと思います。
ただ、この栄養剤は美味しくなければいけません。
「PT、OT、STをすると必ずまずい栄養剤を飲まされるので行きたくない」などと思われては、かえってPT、OT、STの効果も減弱してしまいます。
以前と比較して味が改善されてきていることは確かですが、まだまだ毎日飲みたくなる、食べたくなるような栄養剤はほとんどないのが現状です。
「PT、OT、STをすると必ず美味しい栄養剤を飲めるのでぜひ行きたい」となってこそ、リハ栄養の効果も最大限に増強できると考えます。
BCAA、n-3脂肪酸、微量元素などの量を増やすと味が悪くなるという宿命?はありますが、医療人も好んで飲みたくなるような栄養剤でなければ、リハ栄養で使用することはなかなか難しいと思います。
効果と味の絶妙なバランスは容易ではありませんが、自分が毎日飲みたくなる、食べたくなるような栄養剤が増えると嬉しいです。
2011年6月29日水曜日
高齢者の栄養スクリーニングツール MNAガイドブック
雨海照祥 監修/葛谷雅文 ほか編:高齢者の栄養スクリーニングツール MNAガイドブック、医歯薬出版を紹介します。
http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=705950
MNA(Mini Nutritional Assessment)は、リハ栄養でも臨床現場で使用しやすい栄養スクリーニング、栄養アセスメントツールだと私は感じています。ただ、実際の点数のつけ方で迷うことがないとはいえませんでした。
今回、MNAガイドブックが出版されたことで、高齢者における栄養管理やサルコペニアの重要性を学習できるだけでなく、実際の活用方法についても学習できますので、MNAをすでに使用されている方や今後使用してみたいという方におすすめできます。
欲を言えば第9章の施設別MNA®の活用で急性期病院と慢性期病院しか病院が挙げられていませんが、できれば回復期リハ病院での活用に関しても紹介していただけるとなおよかったと思います。回復期リハ病院には低栄養および低栄養のおそれありの方が多いですし、適切なリハ栄養管理を行っていれば、入院中にMNAの得点が改善してくることも実感できるはずです。
実際には私はもっぱらMNA-SFを使用しています。こちらから使い始めてMNAフルバージョンの使用も考えるという使い方がよいのではと思います。
目次
まえがき
1 高齢者と栄養
超高齢社会とは(雨海照祥)
わが国の高齢者福祉の動向(大竹輝臣)
加齢にともなう身体的,機能的,栄養学的変化とその原因(宮澤 靖)
栄養―負のスパイラルと正のスパイラル(雨海照祥)
高齢者における栄養アセスメントの意義(葛谷雅文)
コラム サルコペニア(葛谷雅文)
2 高齢者の栄養スクリーニングツール
SGA,MUST,MNA®の特徴(櫻井洋一)
3 MNA®とアウトカム―在宅高齢者の入院後のアウトカムに影響する因子群(雨海照祥)
4 MNA®の経済効果
急性期病院の場合(宮澤 靖)
高齢者の誤嚥性肺炎とMNA®(吉田貞夫)
5 MNA®の開発経緯(雨海照祥)
6 MNA®-SFの特徴(雨海照祥)
7 MNA®-SF 6項目の内容と意義
A.食事量の減少(宮澤 靖)
MNA®TIPS チューブ栄養のときのスコアは?(雨海照祥)
B.体重の減少(宮澤 靖)
C.運動能力(寝たきり,車椅子,自由に外出の可否)(吉田貞夫)
D.精神的ストレス・急性疾患(雨海照祥)
E.認知症・うつ(吉田貞夫)
MNA®TIPS 認知症の重症度はどう判断すればよいのか(葛谷雅文)
MNA®TIPS うつ状態かどうかの判断に迷ったら(吉田貞夫)
コラム 認知症の進行度と評価の重要性―FAST(Functional Assessment Staging)(濱中恵子)
F.BMI・CC(雨海照祥)
コラム CCメジャーのデザイン(下村義弘)
コラム CCの感受性(尾園千佳)
8 MNA®スコア別栄養ケア(吉田貞夫)
9 施設別MNA®の活用
病院
急性期病院(宮澤 靖)
慢性期病院(美濃良夫)
高齢者施設(介護施設)(葛谷雅文)
在宅(葛谷雅文)
10 職種別MNA®の活用
1.医師の立場から(藤井 真)
2.看護師の立場から(田中朋子)
3.栄養士の立場から―コミュニティにおけるMNA®の活用(真井睦子)
MNA®-SF 記載マニュアル
Appendix-1 MNA® Original Version
Appendix-2 MNA® Updated Version
MNA®-SF スターターキット説明書
http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=705950
MNA(Mini Nutritional Assessment)は、リハ栄養でも臨床現場で使用しやすい栄養スクリーニング、栄養アセスメントツールだと私は感じています。ただ、実際の点数のつけ方で迷うことがないとはいえませんでした。
今回、MNAガイドブックが出版されたことで、高齢者における栄養管理やサルコペニアの重要性を学習できるだけでなく、実際の活用方法についても学習できますので、MNAをすでに使用されている方や今後使用してみたいという方におすすめできます。
欲を言えば第9章の施設別MNA®の活用で急性期病院と慢性期病院しか病院が挙げられていませんが、できれば回復期リハ病院での活用に関しても紹介していただけるとなおよかったと思います。回復期リハ病院には低栄養および低栄養のおそれありの方が多いですし、適切なリハ栄養管理を行っていれば、入院中にMNAの得点が改善してくることも実感できるはずです。
実際には私はもっぱらMNA-SFを使用しています。こちらから使い始めてMNAフルバージョンの使用も考えるという使い方がよいのではと思います。
目次
まえがき
1 高齢者と栄養
超高齢社会とは(雨海照祥)
わが国の高齢者福祉の動向(大竹輝臣)
加齢にともなう身体的,機能的,栄養学的変化とその原因(宮澤 靖)
栄養―負のスパイラルと正のスパイラル(雨海照祥)
高齢者における栄養アセスメントの意義(葛谷雅文)
コラム サルコペニア(葛谷雅文)
2 高齢者の栄養スクリーニングツール
SGA,MUST,MNA®の特徴(櫻井洋一)
3 MNA®とアウトカム―在宅高齢者の入院後のアウトカムに影響する因子群(雨海照祥)
4 MNA®の経済効果
急性期病院の場合(宮澤 靖)
高齢者の誤嚥性肺炎とMNA®(吉田貞夫)
5 MNA®の開発経緯(雨海照祥)
6 MNA®-SFの特徴(雨海照祥)
7 MNA®-SF 6項目の内容と意義
A.食事量の減少(宮澤 靖)
MNA®TIPS チューブ栄養のときのスコアは?(雨海照祥)
B.体重の減少(宮澤 靖)
C.運動能力(寝たきり,車椅子,自由に外出の可否)(吉田貞夫)
D.精神的ストレス・急性疾患(雨海照祥)
E.認知症・うつ(吉田貞夫)
MNA®TIPS 認知症の重症度はどう判断すればよいのか(葛谷雅文)
MNA®TIPS うつ状態かどうかの判断に迷ったら(吉田貞夫)
コラム 認知症の進行度と評価の重要性―FAST(Functional Assessment Staging)(濱中恵子)
F.BMI・CC(雨海照祥)
コラム CCメジャーのデザイン(下村義弘)
コラム CCの感受性(尾園千佳)
8 MNA®スコア別栄養ケア(吉田貞夫)
9 施設別MNA®の活用
病院
急性期病院(宮澤 靖)
慢性期病院(美濃良夫)
高齢者施設(介護施設)(葛谷雅文)
在宅(葛谷雅文)
10 職種別MNA®の活用
1.医師の立場から(藤井 真)
2.看護師の立場から(田中朋子)
3.栄養士の立場から―コミュニティにおけるMNA®の活用(真井睦子)
MNA®-SF 記載マニュアル
Appendix-1 MNA® Original Version
Appendix-2 MNA® Updated Version
MNA®-SF スターターキット説明書
2011年6月28日火曜日
慢性呼吸不全に対する集学的栄養リハ
慢性呼吸不全に対する集学的栄養リハの効果をみたランダム化比較試験の論文を紹介します。
Christophe M Pison, et al: Multimodal nutritional rehabilitation improves clinical outcomes of malnourished patients with chronic respiratory failure: a randomised controlled trial. Thorax doi:10.1136/thx.2010.154922
下記のHPで全文PDFで見れます。
http://thorax.bmj.com/content/early/2011/06/23/thx.2010.154922.full.pdf
長期の酸素療法を行っている慢性呼吸不全患者を対象に、対照群は在宅での健康教育、介入群は集学的栄養リハとして、健康教育、経口栄養剤、運動、経口テストステロンを90日間行いました。
その結果、介入群で6分間歩行距離は改善しませんでしたが、BMI、除脂肪指数(fat-free mass index)、ヘモグロビン、最大作業負荷量、大腿四頭筋筋力、持久力が有意に改善しました。女性ではQOLが有意に改善しました。多変量解析ではリハのみが生命予後と関連していました。
以上より集学的栄養リハの有効性を結論付けています。慢性呼吸不全など悪液質をきたす疾患では、栄養、運動、薬剤などの包括的療法が重要だと考えられますし、それを裏付ける研究結果だと思います。その中ではリハが最も重要かもしれません。
また、栄養、運動、薬剤などの包括的療法をnutritional rehabilitationと呼んでいます。nutritional rehabilitationは途上国での栄養障害者(特に子供)の栄養改善の意味で使用されることが多いと感じていましたが、このような使い方もあるのだと感じました。呼吸リハ領域では「栄養リハ」という用語を用いてもよいのかなと思いました。いずれにしてもリハと栄養と同時に考えて実践することが大切です。
Abstract
Background In chronic respiratory failure (CRF), body composition strongly predicts survival.
Methods A prospective randomised controlled trial was undertaken in malnourished patients with CRF to evaluate the effects of 3 months of home rehabilitation on body functioning and composition. 122 patients with CRF on long-term oxygen therapy and/or non-invasive ventilation (mean (SD) age 66 (10) years, 91 men) were included from eight respiratory units; 62 were assigned to home health education (controls) and 60 to multimodal nutritional rehabilitation combining health education, oral nutritional supplements, exercise and oral testosterone for 90 days. The primary endpoint was exercise tolerance assessed by the 6-min walking test (6MWT). Secondary endpoints were body composition, quality of life after 3 months and 15-month survival.
Results Mean (SD) baseline arterial oxygen tension was 7.7 (1.2) kPa, forced expiratory volume in 1 s 31 (13)% predicted, body mass index (BMI) 21.5 (3.9) kg/m2 and fat-free mass index (FFMI) 15.5 (2.4) kg/m2. The intervention had no significant effect on 6MWT. Improvements (treatment effect) were seen in BMI (+0.56 kg/m2, 95% CI 0.18 to 0.95, p=0.004), FFMI (+0.60 kg/m2, 95% CI 0.15 to 1.05, p=0.01), haemoglobin (+9.1 g/l, 95% CI 2.5 to 15.7, p=0.008), peak workload (+7.2 W, 95% CI 3.7 to 10.6, p<0.001), quadriceps isometric force (+28.3 N, 95% CI 7.2 to 49.3, p=0.009), endurance time (+5.9 min, 95% CI 3.1 to 8.8, p<0.001) and, in women, Chronic Respiratory Questionnaire (+16.5 units, 95% CI 5.3 to 27.7, p=0.006). In a multivariate Cox analysis, only rehabilitation in a per-protocol analysis predicted survival (HR 0.27, 95% CI 0.07 to 0.95, p=0.042).
Conclusions Multimodal nutritional rehabilitation aimed at improving body composition increased exercise tolerance, quality of life in women and survival in compliant patients, supporting its incorporation in the treatment of malnourished patients with CRF.
Christophe M Pison, et al: Multimodal nutritional rehabilitation improves clinical outcomes of malnourished patients with chronic respiratory failure: a randomised controlled trial. Thorax doi:10.1136/thx.2010.154922
下記のHPで全文PDFで見れます。
http://thorax.bmj.com/content/early/2011/06/23/thx.2010.154922.full.pdf
長期の酸素療法を行っている慢性呼吸不全患者を対象に、対照群は在宅での健康教育、介入群は集学的栄養リハとして、健康教育、経口栄養剤、運動、経口テストステロンを90日間行いました。
その結果、介入群で6分間歩行距離は改善しませんでしたが、BMI、除脂肪指数(fat-free mass index)、ヘモグロビン、最大作業負荷量、大腿四頭筋筋力、持久力が有意に改善しました。女性ではQOLが有意に改善しました。多変量解析ではリハのみが生命予後と関連していました。
以上より集学的栄養リハの有効性を結論付けています。慢性呼吸不全など悪液質をきたす疾患では、栄養、運動、薬剤などの包括的療法が重要だと考えられますし、それを裏付ける研究結果だと思います。その中ではリハが最も重要かもしれません。
また、栄養、運動、薬剤などの包括的療法をnutritional rehabilitationと呼んでいます。nutritional rehabilitationは途上国での栄養障害者(特に子供)の栄養改善の意味で使用されることが多いと感じていましたが、このような使い方もあるのだと感じました。呼吸リハ領域では「栄養リハ」という用語を用いてもよいのかなと思いました。いずれにしてもリハと栄養と同時に考えて実践することが大切です。
Abstract
Background In chronic respiratory failure (CRF), body composition strongly predicts survival.
Methods A prospective randomised controlled trial was undertaken in malnourished patients with CRF to evaluate the effects of 3 months of home rehabilitation on body functioning and composition. 122 patients with CRF on long-term oxygen therapy and/or non-invasive ventilation (mean (SD) age 66 (10) years, 91 men) were included from eight respiratory units; 62 were assigned to home health education (controls) and 60 to multimodal nutritional rehabilitation combining health education, oral nutritional supplements, exercise and oral testosterone for 90 days. The primary endpoint was exercise tolerance assessed by the 6-min walking test (6MWT). Secondary endpoints were body composition, quality of life after 3 months and 15-month survival.
Results Mean (SD) baseline arterial oxygen tension was 7.7 (1.2) kPa, forced expiratory volume in 1 s 31 (13)% predicted, body mass index (BMI) 21.5 (3.9) kg/m2 and fat-free mass index (FFMI) 15.5 (2.4) kg/m2. The intervention had no significant effect on 6MWT. Improvements (treatment effect) were seen in BMI (+0.56 kg/m2, 95% CI 0.18 to 0.95, p=0.004), FFMI (+0.60 kg/m2, 95% CI 0.15 to 1.05, p=0.01), haemoglobin (+9.1 g/l, 95% CI 2.5 to 15.7, p=0.008), peak workload (+7.2 W, 95% CI 3.7 to 10.6, p<0.001), quadriceps isometric force (+28.3 N, 95% CI 7.2 to 49.3, p=0.009), endurance time (+5.9 min, 95% CI 3.1 to 8.8, p<0.001) and, in women, Chronic Respiratory Questionnaire (+16.5 units, 95% CI 5.3 to 27.7, p=0.006). In a multivariate Cox analysis, only rehabilitation in a per-protocol analysis predicted survival (HR 0.27, 95% CI 0.07 to 0.95, p=0.042).
Conclusions Multimodal nutritional rehabilitation aimed at improving body composition increased exercise tolerance, quality of life in women and survival in compliant patients, supporting its incorporation in the treatment of malnourished patients with CRF.
2011年6月26日日曜日
日本型キャリアデザインの方法 ─「筏下り」を経て「山登り」に至る14章
大久保幸夫著:日本型キャリアデザインの方法 ─「筏下り」を経て「山登り」に至る14章、日本経団連出版を紹介します。
http://www.keidanren-jigyoservice.or.jp/public/book/index.php?mode=show&seq=195&fl=
以前からビジネスパーソン(主にホワイトカラー)のあるべきキャリアとして、筏下り―山登り理論を提唱されていますが、この書籍ではその理論についてわかりやすく記載されています。
最後にプラクティスとして「実践のためのキャリアマップの作成」があり、自分の山登りの参考になります。5年後のキャリアビジョンを最後に埋めるように工夫されています。ちなみに5年後のキャリアをイメージできる人が38%という調査結果の割合は、書籍では38%しかいないと記載されていますが、私は高いと感じています。医療人で同じ調査をしたら38%もいるとは思いにくいです。
ビジネスパーソン向けの書籍ではありますが、この考え方は医療人のキャリア作りの参考にもなると私は考えています。筏下りだけ、一人前になるだけでその後、漂流してしまう医療人は少なくないと思います。特にキャリアの節目にあると感じている医療人に呼んでほしい書籍です。
〈おもな目次〉
Ⅰ キャリアデザインとは
○キャリアの節目に立ち止まる
○仕事に対する自己概念をつくる
○職業能力を育てる─基礎力と専門力
Ⅱ 「筏下り」の技法
○人事異動をキャリア形成に利用する
○成長実感を持ち続ける
○経験から学ぶリーダーシップ
Ⅲ 「山登り」の技法
○すべての人はプロフェッショナルを目指す
○プロになる過程─守・破・離
○山の向こう側にあるもの
http://www.keidanren-jigyoservice.or.jp/public/book/index.php?mode=show&seq=195&fl=
以前からビジネスパーソン(主にホワイトカラー)のあるべきキャリアとして、筏下り―山登り理論を提唱されていますが、この書籍ではその理論についてわかりやすく記載されています。
最後にプラクティスとして「実践のためのキャリアマップの作成」があり、自分の山登りの参考になります。5年後のキャリアビジョンを最後に埋めるように工夫されています。ちなみに5年後のキャリアをイメージできる人が38%という調査結果の割合は、書籍では38%しかいないと記載されていますが、私は高いと感じています。医療人で同じ調査をしたら38%もいるとは思いにくいです。
ビジネスパーソン向けの書籍ではありますが、この考え方は医療人のキャリア作りの参考にもなると私は考えています。筏下りだけ、一人前になるだけでその後、漂流してしまう医療人は少なくないと思います。特にキャリアの節目にあると感じている医療人に呼んでほしい書籍です。
〈おもな目次〉
Ⅰ キャリアデザインとは
○キャリアの節目に立ち止まる
○仕事に対する自己概念をつくる
○職業能力を育てる─基礎力と専門力
Ⅱ 「筏下り」の技法
○人事異動をキャリア形成に利用する
○成長実感を持ち続ける
○経験から学ぶリーダーシップ
Ⅲ 「山登り」の技法
○すべての人はプロフェッショナルを目指す
○プロになる過程─守・破・離
○山の向こう側にあるもの
心不全入院患者の低栄養と長期予後
心不全入院患者の低栄養と長期予後の関連をみた前向きコホート研究の論文を紹介します。
Bonilla-Palomas JL, et al: Impact of Malnutrition on Long-Term Mortality in Hospitalized Patients With Heart Failure. Rev Esp Cardiol. 2011. doi:10.101/j.recesp.2011.03.009
下記のHPで全文見ることができます。
http://www.revespcardiol.org/sites/default/files/elsevier/eop/S1885-5857(11)00294-5.pdf
心不全で入院した患者208人を対象に、退院前に栄養評価を行い、その後の経過を見ています。栄養評価は主にMNAで行っています。平均年齢73歳、女性46%、心不全の原因で最も多かったのは虚血性心疾患(41%)です。
MNAの結果、13%が低栄養、59.5%が低栄養のリスクあり、栄養状態良好は27.5%でした。中央値25ヶ月間のフォローアップの結果、死亡率はそれぞれ76%、35.9%、18.9%と有意差がありました。多変量解析でも低栄養のハザード比は3.75と有意に高値でした。
低栄養が心不全の独立した予後不良因子であることは今までにも言われてきましたが、約2年間のフォローでこれだけ大きな差が出るということには少し驚きました。また栄養状態良好が27.5%というのは、スペインの論文にしてはかなり低いと感じました。日本で同じ研究をしたら、栄養状態良好の割合はさらに低いと思います。
Introduction and objectives: The prevalence of malnutrition among patients with heart failure and the role it might play in prognosis is not currently known. The aim of this study was to analyse the prevalence and risk of malnutrition as well as its possible influence on long-term mortality in patients with heart failure.
Methods: A prospective analysis was conducted on 208 patients discharged consecutively from our centre between January 2007 and March 2008 after being hospitalised with heart failure. Before discharge, a complete nutritional assessment was performed and diagnosis of malnutrition and risk of malnutrition was done with the Mini Nutritional Assessment. Its possible independent association with mortality was assessed by a Cox multivariate analysis.
Results: The mean age of the patients was 73 ± 10 years, with 46% women; the most common aetiology of heart failure was ischaemia (41%). In addition, 13% were classified as malnourished, 59.5% at risk of malnutrition and 27.5% were well-nourished. At a median follow-up of 25 months, mortality in the three groups was 76%, 35.9% and 18.9%, respectively (log-rank, P < .001). In the Cox multivariate analysis, the malnutrition state was an independent predictor of mortality (hazard ratio 3.75, 95% confidence interval, 1.75-8.02, P = .001).
Conclusions: Malnutrition and the risk of malnutrition are highly prevalent in patients hospitalised for heart failure. Furthermore, we found that the state of malnutrition as defined by the Mini Nutritional Assessment survey is an independent predictor of mortality in these patients.
Bonilla-Palomas JL, et al: Impact of Malnutrition on Long-Term Mortality in Hospitalized Patients With Heart Failure. Rev Esp Cardiol. 2011. doi:10.101/j.recesp.2011.03.009
下記のHPで全文見ることができます。
http://www.revespcardiol.org/sites/default/files/elsevier/eop/S1885-5857(11)00294-5.pdf
心不全で入院した患者208人を対象に、退院前に栄養評価を行い、その後の経過を見ています。栄養評価は主にMNAで行っています。平均年齢73歳、女性46%、心不全の原因で最も多かったのは虚血性心疾患(41%)です。
MNAの結果、13%が低栄養、59.5%が低栄養のリスクあり、栄養状態良好は27.5%でした。中央値25ヶ月間のフォローアップの結果、死亡率はそれぞれ76%、35.9%、18.9%と有意差がありました。多変量解析でも低栄養のハザード比は3.75と有意に高値でした。
低栄養が心不全の独立した予後不良因子であることは今までにも言われてきましたが、約2年間のフォローでこれだけ大きな差が出るということには少し驚きました。また栄養状態良好が27.5%というのは、スペインの論文にしてはかなり低いと感じました。日本で同じ研究をしたら、栄養状態良好の割合はさらに低いと思います。
Introduction and objectives: The prevalence of malnutrition among patients with heart failure and the role it might play in prognosis is not currently known. The aim of this study was to analyse the prevalence and risk of malnutrition as well as its possible influence on long-term mortality in patients with heart failure.
Methods: A prospective analysis was conducted on 208 patients discharged consecutively from our centre between January 2007 and March 2008 after being hospitalised with heart failure. Before discharge, a complete nutritional assessment was performed and diagnosis of malnutrition and risk of malnutrition was done with the Mini Nutritional Assessment. Its possible independent association with mortality was assessed by a Cox multivariate analysis.
Results: The mean age of the patients was 73 ± 10 years, with 46% women; the most common aetiology of heart failure was ischaemia (41%). In addition, 13% were classified as malnourished, 59.5% at risk of malnutrition and 27.5% were well-nourished. At a median follow-up of 25 months, mortality in the three groups was 76%, 35.9% and 18.9%, respectively (log-rank, P < .001). In the Cox multivariate analysis, the malnutrition state was an independent predictor of mortality (hazard ratio 3.75, 95% confidence interval, 1.75-8.02, P = .001).
Conclusions: Malnutrition and the risk of malnutrition are highly prevalent in patients hospitalised for heart failure. Furthermore, we found that the state of malnutrition as defined by the Mini Nutritional Assessment survey is an independent predictor of mortality in these patients.
2011年6月24日金曜日
静脈栄養・PEGから経口摂取へ
吉田貞夫編:ナーシングMook65『静脈栄養、PEGから経口摂取へ』学研メディカル秀潤社を紹介します。
http://gakken-mesh.jp/book/detail/?g=498
「はじめに」などから吉田先生の思いを一部紹介させていただきます。
これから高齢社会はますます加速すると思われますが、それにともない、残念なことに、寝たきりで「胃瘻で生かされている高齢者」が増えることも危惧されます。倫理的、社会的な観点からも、高齢者が最後まで自分の口から食べられるケアが重要になってくると思われます。そのようなケアを目指すためには、看護師をはじめ、医師、栄養士、言語聴覚士、薬剤師などチームのメンバーが共通の認識で取り組まなければなりません。
今までの本では、栄養のところは栄養の専門の先生、嚥下のところは嚥下の専門の先生が執筆していたと思います。今回の企画では、静脈栄養から、経腸栄養へ移行し、さらに経口摂取をめざすという大きな一連の流れを、専門家のいない一般の病院でも取り組めるよう平易に解説するよう務めました。
私は「脳血管障害後、経口摂取が可能となった症例」を執筆させていただきました。当初は「脳血管障害後、静脈栄養、NGチューブによる経腸栄養などから経口摂取が可能となった症例」という依頼だったのですが、より平易にということでタイトルや内容も修正されていました。もちろん、サルコペニアによる嚥下障害についても記載しています。
わかりやすい内容ですので、NST専門療法士取得前の看護師を主に多職種にお勧めできる書籍です。
http://gakken-mesh.jp/book/detail/?g=498
「はじめに」などから吉田先生の思いを一部紹介させていただきます。
これから高齢社会はますます加速すると思われますが、それにともない、残念なことに、寝たきりで「胃瘻で生かされている高齢者」が増えることも危惧されます。倫理的、社会的な観点からも、高齢者が最後まで自分の口から食べられるケアが重要になってくると思われます。そのようなケアを目指すためには、看護師をはじめ、医師、栄養士、言語聴覚士、薬剤師などチームのメンバーが共通の認識で取り組まなければなりません。
今までの本では、栄養のところは栄養の専門の先生、嚥下のところは嚥下の専門の先生が執筆していたと思います。今回の企画では、静脈栄養から、経腸栄養へ移行し、さらに経口摂取をめざすという大きな一連の流れを、専門家のいない一般の病院でも取り組めるよう平易に解説するよう務めました。
私は「脳血管障害後、経口摂取が可能となった症例」を執筆させていただきました。当初は「脳血管障害後、静脈栄養、NGチューブによる経腸栄養などから経口摂取が可能となった症例」という依頼だったのですが、より平易にということでタイトルや内容も修正されていました。もちろん、サルコペニアによる嚥下障害についても記載しています。
わかりやすい内容ですので、NST専門療法士取得前の看護師を主に多職種にお勧めできる書籍です。
2011年6月23日木曜日
BMIより上腕周囲長と下腿周囲長が予後予測に有用
BMIよりも上腕周囲長(MAC)と下腿周囲長(CC)のほうが施設入所中の高齢者の健康状態と死亡リスクの予測に優れているという論文を紹介します。
Alan Chung-Hong Tsaia, Ming-Chen Lai, and Tsui-Lan Changa: Mid-arm and calf circumferences (MAC and CC) are better than body mass index (BMI) in predicting health status and mortality risk in institutionalized elderly Taiwanese. Archives of Gerontology and Geriatrics doi:10.1016/j.archger.2011.05.015
施設入所中の台湾の高齢者160人を対象に、BMI、MAC、CC、MNA、ADLを評価して、1年間フォローしています。平均値はBMI21.5、MAC24.8、CC28.3でした。
CC、MAC、BMIの順番で、12ヶ月後の栄養状態と健康状態を予測できるという結果でした。死亡リスクに関してはMACが最も正確に予測でき、BMIが最も不正確でした。
BMIは栄養指標の1つと考えていますが、施設では検査(BIAやDEXAなど)の使用は困難ですから、CCやMACも同時に評価したほうがよいかもしれません。
ただ、今回の研究では調査されていませんが、私は意図しない体重減少が、最も12ヶ月後の栄養状態、健康状態、死亡リスクを正確に予測できるのではないか考えています。
Abstract
The study was to compare the ability of BMI, MAC and CC in predicting nutritional status, functional ability and follow-up mortality risk of older adults. The study purposively recruited 160 of 320 residents of a nursing home in Central Taiwan to serve as subjects. Residents who were ≥65 years old, cognitively normal, without acute conditions and non-hospitalized were qualified to participate. All subjects signed an informed consent. Each was interviewed with a structured questionnaire for sociodemographic, lifestyle and health-related information; evaluated with the Mini Nutritional Assessment (MNA) and the Activities of Daily Living (ADL) scales; measured for weight, height, MAC and CC; and assayed for nutrition-related biochemical values. Results showed that CC was the best, followed by MAC and then BMI in predicting the nutritional status and health conditions. CC and MAC were also more effective than BMI in predicting 12-month follow-up mortality. Overall, CC is the most capable in predicting nutritional status, functional activity and general health conditions; MAC is the most capable in predicting 12-month follow-up mortality risk whereas BMI is the weakest in all functions. These results should have practical implication in geriatric health measurements.
Alan Chung-Hong Tsaia, Ming-Chen Lai, and Tsui-Lan Changa: Mid-arm and calf circumferences (MAC and CC) are better than body mass index (BMI) in predicting health status and mortality risk in institutionalized elderly Taiwanese. Archives of Gerontology and Geriatrics doi:10.1016/j.archger.2011.05.015
施設入所中の台湾の高齢者160人を対象に、BMI、MAC、CC、MNA、ADLを評価して、1年間フォローしています。平均値はBMI21.5、MAC24.8、CC28.3でした。
CC、MAC、BMIの順番で、12ヶ月後の栄養状態と健康状態を予測できるという結果でした。死亡リスクに関してはMACが最も正確に予測でき、BMIが最も不正確でした。
BMIは栄養指標の1つと考えていますが、施設では検査(BIAやDEXAなど)の使用は困難ですから、CCやMACも同時に評価したほうがよいかもしれません。
ただ、今回の研究では調査されていませんが、私は意図しない体重減少が、最も12ヶ月後の栄養状態、健康状態、死亡リスクを正確に予測できるのではないか考えています。
Abstract
The study was to compare the ability of BMI, MAC and CC in predicting nutritional status, functional ability and follow-up mortality risk of older adults. The study purposively recruited 160 of 320 residents of a nursing home in Central Taiwan to serve as subjects. Residents who were ≥65 years old, cognitively normal, without acute conditions and non-hospitalized were qualified to participate. All subjects signed an informed consent. Each was interviewed with a structured questionnaire for sociodemographic, lifestyle and health-related information; evaluated with the Mini Nutritional Assessment (MNA) and the Activities of Daily Living (ADL) scales; measured for weight, height, MAC and CC; and assayed for nutrition-related biochemical values. Results showed that CC was the best, followed by MAC and then BMI in predicting the nutritional status and health conditions. CC and MAC were also more effective than BMI in predicting 12-month follow-up mortality. Overall, CC is the most capable in predicting nutritional status, functional activity and general health conditions; MAC is the most capable in predicting 12-month follow-up mortality risk whereas BMI is the weakest in all functions. These results should have practical implication in geriatric health measurements.
臨床リハ2011年7月号
1週間ぶりの投稿です。今日から通常生活に戻りますので、また頑張ります。
臨床リハの2011年7月号に、リハ医のモヤモヤ解決! こんなときどうする?「ブログを設けたい」という記事を執筆しました。
http://www.ishiyaku.co.jp/magazines/cr/CRBookDetail.aspx?BC=082007
もちろんこのブログの紹介をしています(笑)。その他、ツイッターやフェイスブックとの比較についても自分なりに考えてみました。お手元に臨床リハがある方はよかったら気軽に見てくださいね。ちなみに臨床リハの8月号には、リハ栄養に関する自分の研究論文が掲載予定ですので、こちらもよろしくお願いいたします。
臨床リハの2011年7月号に、リハ医のモヤモヤ解決! こんなときどうする?「ブログを設けたい」という記事を執筆しました。
http://www.ishiyaku.co.jp/magazines/cr/CRBookDetail.aspx?BC=082007
もちろんこのブログの紹介をしています(笑)。その他、ツイッターやフェイスブックとの比較についても自分なりに考えてみました。お手元に臨床リハがある方はよかったら気軽に見てくださいね。ちなみに臨床リハの8月号には、リハ栄養に関する自分の研究論文が掲載予定ですので、こちらもよろしくお願いいたします。
2011年6月16日木曜日
第23回学生・研修医のための家庭医療学夏期セミナー
8月6-8日に筑波大学医学群で第23回学生・研修医のための家庭医療学夏期セミナーが開催されます。
http://family-s.umin.ac.jp/kasemi/index.html
私は8月6日に『家庭医に必要なリハビリテーション栄養の知識』という特別講演をさせていただきます。今年から医学生・研修医だけでなく、看護、薬学、リハビリ、福祉などコメディカル学生も参加対象になったということもあるのだと思います。
私は5年前(だったかな…)に越後湯沢で開催された家庭医療学夏期セミナーに参加したことがあります。このときはリハのセッションを担当させていただきましたが、参加者の熱意に圧倒された記憶があります。今回も熱意ある学生・研修医に負けないように頑張ります。
http://family-s.umin.ac.jp/kasemi/index.html
私は8月6日に『家庭医に必要なリハビリテーション栄養の知識』という特別講演をさせていただきます。今年から医学生・研修医だけでなく、看護、薬学、リハビリ、福祉などコメディカル学生も参加対象になったということもあるのだと思います。
私は5年前(だったかな…)に越後湯沢で開催された家庭医療学夏期セミナーに参加したことがあります。このときはリハのセッションを担当させていただきましたが、参加者の熱意に圧倒された記憶があります。今回も熱意ある学生・研修医に負けないように頑張ります。
2011年6月15日水曜日
レスベラトロールによる骨格筋萎縮の動物実験
レスベラトロールでがんによる骨格筋萎縮と心臓萎縮が抑制されたというマウスの動物実験の研究です。
Shadfar S, Couch ME, McKinney KA, Weinstein LJ, Yin X, Rodriguez JE, Guttridge DC, Willis M. Oral Resveratrol Therapy Inhibits Cancer-Induced Skeletal Muscle and Cardiac Atrophy In Vivo. Nutr Cancer. 2011 Jun 8:1. [Epub ahead of print]
レスベラトロールとは、ぶどうの皮や赤ワインに含まれる成分で、ポリフェノール、抗酸化物質の1つです。マウスによる動物実験レベルでは、レスベラトロールを毎日経口摂取することで、骨格筋萎縮と心臓萎縮が有意に抑制されました。
ヒトでの臨床研究はこれからのようですので、今すぐ赤ワインを毎日飲む必要はありません。ただ、抗炎症作用があるかもしれませんので、名前は覚えておいてもよいと思います。
Abstract
The mechanism by which cancer mediates muscle atrophy has been delineated in the past 3 decades and includes a prominent role of tumor-derived cytokines, such as IL-6, TNFα, and IL-1. These cytokines interact with their cognate receptors on muscle to activate the downstream transcription factor NF-κB and induce sarcomere proteolysis. Experimentally, inhibiting NF-κB signaling largely prevents cancer-induced muscle wasting, indicating its prominent role in muscle atrophy. Resveratrol, a natural phytoalexin found in the skin of grapes, has recently been shown to inhibit NF-κB in cancer cells, which led us to hypothesize that it might have a protective role in cancer cachexia. Therefore, we investigated whether daily oral resveratrol could protect against skeletal muscle loss and cardiac atrophy in an established mouse model. We demonstrate resveratrol inhibits skeletal muscle and cardiac atrophy induced by C26 adenocarcinoma tumors through its inhibition of NF-κB (p65) activity in skeletal muscle and heart. These studies demonstrate for the first time the utility of oral resveratrol therapy to provide clinical benefit in cancer-induced atrophy through the inhibition of NF-κB in muscle. These findings may have application in the treatment of diseases with parallel pathophysiologies such as muscular dystrophy and heart failure.
Shadfar S, Couch ME, McKinney KA, Weinstein LJ, Yin X, Rodriguez JE, Guttridge DC, Willis M. Oral Resveratrol Therapy Inhibits Cancer-Induced Skeletal Muscle and Cardiac Atrophy In Vivo. Nutr Cancer. 2011 Jun 8:1. [Epub ahead of print]
レスベラトロールとは、ぶどうの皮や赤ワインに含まれる成分で、ポリフェノール、抗酸化物質の1つです。マウスによる動物実験レベルでは、レスベラトロールを毎日経口摂取することで、骨格筋萎縮と心臓萎縮が有意に抑制されました。
ヒトでの臨床研究はこれからのようですので、今すぐ赤ワインを毎日飲む必要はありません。ただ、抗炎症作用があるかもしれませんので、名前は覚えておいてもよいと思います。
Abstract
The mechanism by which cancer mediates muscle atrophy has been delineated in the past 3 decades and includes a prominent role of tumor-derived cytokines, such as IL-6, TNFα, and IL-1. These cytokines interact with their cognate receptors on muscle to activate the downstream transcription factor NF-κB and induce sarcomere proteolysis. Experimentally, inhibiting NF-κB signaling largely prevents cancer-induced muscle wasting, indicating its prominent role in muscle atrophy. Resveratrol, a natural phytoalexin found in the skin of grapes, has recently been shown to inhibit NF-κB in cancer cells, which led us to hypothesize that it might have a protective role in cancer cachexia. Therefore, we investigated whether daily oral resveratrol could protect against skeletal muscle loss and cardiac atrophy in an established mouse model. We demonstrate resveratrol inhibits skeletal muscle and cardiac atrophy induced by C26 adenocarcinoma tumors through its inhibition of NF-κB (p65) activity in skeletal muscle and heart. These studies demonstrate for the first time the utility of oral resveratrol therapy to provide clinical benefit in cancer-induced atrophy through the inhibition of NF-κB in muscle. These findings may have application in the treatment of diseases with parallel pathophysiologies such as muscular dystrophy and heart failure.
運動制限を伴うサルコペニア:国際コンセンサス
運動制限を伴うサルコペニアの国際コンセンサスの論文を紹介します。
Morley JE, Abbatecola AM, Argiles JM, Baracos V, Bauer J, Bhasin S, Cederholm T, Stewart Coats AJ, Cummings SR, Evans WJ, Fearon K, Ferrucci L, Fielding RA, Guralnik JM, Harris TB, Inui A, Kalantar-Zadeh K, Kirwan BA, Mantovani G, Muscaritoli M, Newman AB, Rossi-Fanelli F, Rosano GM, Roubenoff R, Schambelan M, Sokol GH, Storer TW, Vellas B, von Haehling S, Yeh SS, Anker SD; the Society on Sarcopenia, Cachexia and Wasting Disorders Trialist Workshop. Sarcopenia with Limited Mobility: An International Consensus. J Am Med Dir Assoc. 2011 Jun 2. [Epub ahead of print]
運動制限(身体機能低下)の定義として、歩行速度が1m/s以下もしくは6分間歩行距離が400m以下(360秒で400mですから、これですと1m/s強でも該当する計算になりますが…)としています。ただし、運動制限の原因として、明らかに別の疾患が考えられる場合には該当とすべきではないとのことです。
臨床的に意味のある運動制限の改善は、6分間歩行距離の50m以上の改善もしくは歩行速度の0.1m/s以上の改善としています。
このように定義することで、臨床研究は進めやすくなると思います。統計学的有意差はあっても臨床的には…という臨床研究がしばしばありますが、6分間歩行距離の50m以上の改善、歩行速度の0.1m/s以上の改善を目安に判断すればよいということになります。
Abstract
A consensus conference convened by the Society of Sarcopenia, Cachexia and Wasting Disorders has concluded that "Sarcopenia, ie, reduced muscle mass, with limited mobility" should be considered an important clinical entity and that most older persons should be screened for this condition. "Sarcopenia with limited mobility" is defined as a person with muscle loss whose walking speed is equal to or less than 1 m/s or who walks less than 400 m during a 6-minute walk, and who has a lean appendicular mass corrected for height squared of 2 standard deviations or more below the mean of healthy persons between 20 and 30 years of age of the same ethnic group. The limitation in mobility should not clearly be a result of otherwise defined specific diseases of muscle, peripheral vascular disease with intermittent claudication, central and peripheral nervous system disorders, or cachexia. Clinically significant interventions are defined as an increase in the 6-minute walk of at least 50 meters or an increase of walking speed of at least 0.1 m/s.
Morley JE, Abbatecola AM, Argiles JM, Baracos V, Bauer J, Bhasin S, Cederholm T, Stewart Coats AJ, Cummings SR, Evans WJ, Fearon K, Ferrucci L, Fielding RA, Guralnik JM, Harris TB, Inui A, Kalantar-Zadeh K, Kirwan BA, Mantovani G, Muscaritoli M, Newman AB, Rossi-Fanelli F, Rosano GM, Roubenoff R, Schambelan M, Sokol GH, Storer TW, Vellas B, von Haehling S, Yeh SS, Anker SD; the Society on Sarcopenia, Cachexia and Wasting Disorders Trialist Workshop. Sarcopenia with Limited Mobility: An International Consensus. J Am Med Dir Assoc. 2011 Jun 2. [Epub ahead of print]
運動制限(身体機能低下)の定義として、歩行速度が1m/s以下もしくは6分間歩行距離が400m以下(360秒で400mですから、これですと1m/s強でも該当する計算になりますが…)としています。ただし、運動制限の原因として、明らかに別の疾患が考えられる場合には該当とすべきではないとのことです。
臨床的に意味のある運動制限の改善は、6分間歩行距離の50m以上の改善もしくは歩行速度の0.1m/s以上の改善としています。
このように定義することで、臨床研究は進めやすくなると思います。統計学的有意差はあっても臨床的には…という臨床研究がしばしばありますが、6分間歩行距離の50m以上の改善、歩行速度の0.1m/s以上の改善を目安に判断すればよいということになります。
Abstract
A consensus conference convened by the Society of Sarcopenia, Cachexia and Wasting Disorders has concluded that "Sarcopenia, ie, reduced muscle mass, with limited mobility" should be considered an important clinical entity and that most older persons should be screened for this condition. "Sarcopenia with limited mobility" is defined as a person with muscle loss whose walking speed is equal to or less than 1 m/s or who walks less than 400 m during a 6-minute walk, and who has a lean appendicular mass corrected for height squared of 2 standard deviations or more below the mean of healthy persons between 20 and 30 years of age of the same ethnic group. The limitation in mobility should not clearly be a result of otherwise defined specific diseases of muscle, peripheral vascular disease with intermittent claudication, central and peripheral nervous system disorders, or cachexia. Clinically significant interventions are defined as an increase in the 6-minute walk of at least 50 meters or an increase of walking speed of at least 0.1 m/s.
6th ISPRMとリハ栄養
私は一昨日から6th ISPRM(第6回国際リハ医学会)のために、プエルトリコに来ています。
http://www.isprm2011.org/
そのためブログの更新頻度がしばらく少なくなることをご了承ください。
抄録集は下記のJournal of REHABILITATION MEDICINE Supplement No. 49 July 2011
http://www.isprm2011.org/JRM_ISPRM2011_Puerto_Rico.pdf
で見ることができます。実は、ブログを書くのに学会HPにアクセスして、今抄録集が学会HPで見れることを知りました(笑)。ちなみに私の手元には抄録集はありません…。抄録集を配布しない学会も初めてです…。余談ですが、こんなに事前と当日の準備がいい加減な学会は、日本ではありえません。これもラテン系といえばそれまでかもしれませんが…。その代わりパーティー類には大変、気合いが入っています(笑)。
私の発表演題、Frequency and cause of malnutrition in disuse syndromeはNo32で、14-15ページに掲載されています。
今回、リハ栄養関連の発表はレクチャーや一般演題の口演にはなく、ポスター発表で私の演題以外に3つのみありました。
Comparing of Characteristic of Body Composition of Different event excellent Athletes.
Relationship between sarcopenia ad physical performance: is it the same in older adults with weak muscle strength?
Disability and diabetes: The National Health and Nutrition Survey 2006 (Mexico
私が一通りプログラムを読んで気付いたのは、この3演題のみです。つまり、国際的にもリハの世界では栄養はまだまだニッチということです。国内的にも十分ニッチですが…。私としてはまずは国内でのリハ栄養の考え方の普及を目指します。
最後に私の発表の抄録を掲載しておきます。
Objective: The purpose of this study is to determine the frequency
and cause of malnutrition in disuse syndrome. Method: A crossstional
study was performed in 127 patients admitted to university
medical center and diagnosed disuse syndrome by physiatrists
between April and November 2010. All patients were prescribed
physical therapy at bedside or gymnasium. Nutrition status at referral
was assessed by Mini Nutritional Assessment Short Form (MNASF).
Cause of malnutrition was classified starvation (less energy
intake than basal energy expenditure), invasion, and pre-cachexia
(underlying chronic disease, unintentional weight loss more than
5% of usual body weight during the last 6 months, chronic systemic
inflammatory response, anorexia). Feeding route, body mass index,
hemoglobin, serum albumin, total lymphocyte count (TLC), Onodera’s
prognostic nutritional index (PNI; serum albumin x 10 + TLC
x 0.005), and difference in nutrition status by setting of physical
therapy were assessed. Results: There were 79 men and 48 women
with a mean age 72.6 years. Mean duration between admission and
referral was 22 days. Seventy-three patients were prescribed physical
therapy at bedside, 54 were at gymnasium. Based on MNA-SF, no
patient was evaluated for normal nutritional status, 20 were at risk
of malnutrition, and 107 were malnourished. Invasion was the most
frequent cause of malnutrition and at risk (107), then starvation (57)
and pre-cachexia (37) (overlapping). Seventy-eight patients were
oral intake, 30 were enteral feeding, and 80 were parenteral feeding
(overlapping). Mean BMI was 20.7. Mean hemoglobin (9.52
g/dl), mean serum albumin (2.61 g/dl), mean TLC (935), and mean
PNI (30.7) were below the lower normal. There was no significant
difference in nutrition status between bedside and gymnasium. Implications/
Impact on Rehabilitation: Most of patients with disuse
syndrome are malnourished because of invasion. Nutrition assessment
is necessary for patients with disuse syndrome regardless of
setting of physical therapy.
http://www.isprm2011.org/
そのためブログの更新頻度がしばらく少なくなることをご了承ください。
抄録集は下記のJournal of REHABILITATION MEDICINE Supplement No. 49 July 2011
http://www.isprm2011.org/JRM_ISPRM2011_Puerto_Rico.pdf
で見ることができます。実は、ブログを書くのに学会HPにアクセスして、今抄録集が学会HPで見れることを知りました(笑)。ちなみに私の手元には抄録集はありません…。抄録集を配布しない学会も初めてです…。余談ですが、こんなに事前と当日の準備がいい加減な学会は、日本ではありえません。これもラテン系といえばそれまでかもしれませんが…。その代わりパーティー類には大変、気合いが入っています(笑)。
私の発表演題、Frequency and cause of malnutrition in disuse syndromeはNo32で、14-15ページに掲載されています。
今回、リハ栄養関連の発表はレクチャーや一般演題の口演にはなく、ポスター発表で私の演題以外に3つのみありました。
Comparing of Characteristic of Body Composition of Different event excellent Athletes.
Relationship between sarcopenia ad physical performance: is it the same in older adults with weak muscle strength?
Disability and diabetes: The National Health and Nutrition Survey 2006 (Mexico
私が一通りプログラムを読んで気付いたのは、この3演題のみです。つまり、国際的にもリハの世界では栄養はまだまだニッチということです。国内的にも十分ニッチですが…。私としてはまずは国内でのリハ栄養の考え方の普及を目指します。
最後に私の発表の抄録を掲載しておきます。
Objective: The purpose of this study is to determine the frequency
and cause of malnutrition in disuse syndrome. Method: A crossstional
study was performed in 127 patients admitted to university
medical center and diagnosed disuse syndrome by physiatrists
between April and November 2010. All patients were prescribed
physical therapy at bedside or gymnasium. Nutrition status at referral
was assessed by Mini Nutritional Assessment Short Form (MNASF).
Cause of malnutrition was classified starvation (less energy
intake than basal energy expenditure), invasion, and pre-cachexia
(underlying chronic disease, unintentional weight loss more than
5% of usual body weight during the last 6 months, chronic systemic
inflammatory response, anorexia). Feeding route, body mass index,
hemoglobin, serum albumin, total lymphocyte count (TLC), Onodera’s
prognostic nutritional index (PNI; serum albumin x 10 + TLC
x 0.005), and difference in nutrition status by setting of physical
therapy were assessed. Results: There were 79 men and 48 women
with a mean age 72.6 years. Mean duration between admission and
referral was 22 days. Seventy-three patients were prescribed physical
therapy at bedside, 54 were at gymnasium. Based on MNA-SF, no
patient was evaluated for normal nutritional status, 20 were at risk
of malnutrition, and 107 were malnourished. Invasion was the most
frequent cause of malnutrition and at risk (107), then starvation (57)
and pre-cachexia (37) (overlapping). Seventy-eight patients were
oral intake, 30 were enteral feeding, and 80 were parenteral feeding
(overlapping). Mean BMI was 20.7. Mean hemoglobin (9.52
g/dl), mean serum albumin (2.61 g/dl), mean TLC (935), and mean
PNI (30.7) were below the lower normal. There was no significant
difference in nutrition status between bedside and gymnasium. Implications/
Impact on Rehabilitation: Most of patients with disuse
syndrome are malnourished because of invasion. Nutrition assessment
is necessary for patients with disuse syndrome regardless of
setting of physical therapy.
2011年6月11日土曜日
SLEとRAの身体組成の比較
SLEとRAの身体組成を比較検討した論文を紹介します。
Santos MJ, Vinagre F, Canas da Silva J, Gil V, Fonseca JE. Body composition phenotypes in systemic lupus erythematosus and rheumatoid arthritis: a comparative study of Caucasian female patients. Clin Exp Rheumatol. 2011 May 31. [Epub ahead of print]
SLEとRAではコントロール(炎症性疾患のない方)と比較して、同じようなBMIにもかかわらず身体組成の異常をより多く認めました。RAでは過脂肪と中心性肥満がより多く、SLEではサルコペニアがより多いという結果でした。
サルコペニア肥満はSLEで6.5%、RAで5.6%に認めましたが、コントロールには認めませんでした。体脂肪率と関連し手痛因子は、SLEでは喫煙、疾患の活動度、CRPで、RAでは教育、疾患の活動度、ステロイドの使用量でした。
SLEやRAのような膠原病ではサルコペニアと肥満を認めやすいですが、その原因の一部は疾患による炎症(悪液質)と治療(ステロイド使用)によるものと考えられました。言い方を変えると加齢や活動(廃用)によるサルコペニアの要素は少ないといえます。栄養によるサルコペニア(飢餓)も少ないのかもしれません。
サルコペニアの診断は、やせている場合には容易ですが、やせていない場合には身体計測のみでは容易ではありません。BIA、DEXA、CT、MRIで筋肉量を評価しないと判断できないこともあります。少なくとも膠原病の方では、やせていなくてもサルコペニアや悪液質の可能性を疑うことが必要だと考えます。
Abstract
OBJECTIVES: The amount and distribution of fat and lean mass have important implications for health and systemic inflammation may represent a risk for altered body composition. The aim of this study was to analyse whether changes in body composition are similarly associated with systemic lupus erythematosus (SLE) and rheumatoid arthritis (RA), two inflammatory conditions of different pathogenesis.
METHODS: Body mass index (BMI), waist circumference, fat mass (FM) and fat-free mass (FFM) were measured in 92 women with SLE, 89 with RA and 107 controls. Results were compared among the 3 groups and correlations of FM percentage were explored within SLE and RA.
RESULTS: Abnormal body composition was more frequent in women with SLE and RA than in non-inflammatory controls, despite having a similar BMI. RA diagnosis was significantly associated with overfat (OR=2.782, 95%CI 1.470-5.264; p=0.002) and central obesity (OR=2.998, 95%CI 1.016-8.841; p=0.04), while sarcopenia was more common among SLE (OR=3.003; 95%CI 1.178-7.676; p=0.01). Sarcopenic obesity, i.e. the coexistence of overfat with sarcopenia, was present in 6.5% of SLE and 5.6% of RA women, but no controls. Independent correlations of FM percentage in women with SLE included smoking, disease activity and CRP. In RA, education, disease activity and cumulative corticosteroid dose were identified as independent predictors of FM percentage.
CONCLUSIONS: Women with SLE or RA diagnosis are more likely to have abnormal body composition phenotype, with some differences existing between these two conditions. Changes in body composition are partly explained by the inflammatory burden of disease and its treatment.
Santos MJ, Vinagre F, Canas da Silva J, Gil V, Fonseca JE. Body composition phenotypes in systemic lupus erythematosus and rheumatoid arthritis: a comparative study of Caucasian female patients. Clin Exp Rheumatol. 2011 May 31. [Epub ahead of print]
SLEとRAではコントロール(炎症性疾患のない方)と比較して、同じようなBMIにもかかわらず身体組成の異常をより多く認めました。RAでは過脂肪と中心性肥満がより多く、SLEではサルコペニアがより多いという結果でした。
サルコペニア肥満はSLEで6.5%、RAで5.6%に認めましたが、コントロールには認めませんでした。体脂肪率と関連し手痛因子は、SLEでは喫煙、疾患の活動度、CRPで、RAでは教育、疾患の活動度、ステロイドの使用量でした。
SLEやRAのような膠原病ではサルコペニアと肥満を認めやすいですが、その原因の一部は疾患による炎症(悪液質)と治療(ステロイド使用)によるものと考えられました。言い方を変えると加齢や活動(廃用)によるサルコペニアの要素は少ないといえます。栄養によるサルコペニア(飢餓)も少ないのかもしれません。
サルコペニアの診断は、やせている場合には容易ですが、やせていない場合には身体計測のみでは容易ではありません。BIA、DEXA、CT、MRIで筋肉量を評価しないと判断できないこともあります。少なくとも膠原病の方では、やせていなくてもサルコペニアや悪液質の可能性を疑うことが必要だと考えます。
Abstract
OBJECTIVES: The amount and distribution of fat and lean mass have important implications for health and systemic inflammation may represent a risk for altered body composition. The aim of this study was to analyse whether changes in body composition are similarly associated with systemic lupus erythematosus (SLE) and rheumatoid arthritis (RA), two inflammatory conditions of different pathogenesis.
METHODS: Body mass index (BMI), waist circumference, fat mass (FM) and fat-free mass (FFM) were measured in 92 women with SLE, 89 with RA and 107 controls. Results were compared among the 3 groups and correlations of FM percentage were explored within SLE and RA.
RESULTS: Abnormal body composition was more frequent in women with SLE and RA than in non-inflammatory controls, despite having a similar BMI. RA diagnosis was significantly associated with overfat (OR=2.782, 95%CI 1.470-5.264; p=0.002) and central obesity (OR=2.998, 95%CI 1.016-8.841; p=0.04), while sarcopenia was more common among SLE (OR=3.003; 95%CI 1.178-7.676; p=0.01). Sarcopenic obesity, i.e. the coexistence of overfat with sarcopenia, was present in 6.5% of SLE and 5.6% of RA women, but no controls. Independent correlations of FM percentage in women with SLE included smoking, disease activity and CRP. In RA, education, disease activity and cumulative corticosteroid dose were identified as independent predictors of FM percentage.
CONCLUSIONS: Women with SLE or RA diagnosis are more likely to have abnormal body composition phenotype, with some differences existing between these two conditions. Changes in body composition are partly explained by the inflammatory burden of disease and its treatment.
2011年6月10日金曜日
活動係数とリハビリテーション
今日は活動係数とリハビリテーションについて考える機会がいくつかありました。
①回復期リハ病棟に入院中の患者で、全粥食を全量経口摂取していても体重が減少している方やかなりやせている方がいました。エネルギーバランスは計算上プラスになっているのですが、活動係数が1.3で計算されていました。
ベッド外活動の活動係数は確かに1.3ですが、回復期リハ病棟で質・量ともに本格的なPT・OT・STを行っている場合、1.3では足りないと思われました。1.4もしくは1.5で計算すべきだと改めて感じました。ただ、これらの活動係数も仮説ですので、栄養モニタリングは必須です。
このことに気づけたのは、リハカンファレンスに管理栄養士が参加してくれたからです。やっぱりリハカンファレンスに管理栄養士は参加すべきだと強く感じました。回復期リハ病棟に専属の管理栄養士はもちろんリハカンファレンスに参加していると思いますが、専属でなくてもぜひ参加してほしいと思います。
②長期入院中の患者で、食事は1000kcal、経管栄養は800kcal摂取していますが、著明なるいそうで易疲労がとても目立つ方がいました。易疲労で積極的なPT・OT・STは全くできない状況でした。がんなどの疾患を合併している可能性も、もちろんあります。ただ少なくとも、侵襲の異化期ではないと判断できる状況でした。
しかし、車椅子座位の様子を診察してみると、両下肢はほぼ常に動かしていて(不随意の要素あり)、両上肢は常に緊張していました。臥位での様子をPT・OT・STに聞くと、臥位では座位のときよりもよく四肢を動かしているとのことでした。
要するに睡眠時以外は1日中運動していることになります。つまり、活動係数は1.3や1.5どころではなく、1.7~2.0ではないかと考えました。そうすると、1800kcal摂取していてもエネルギー消費量が多いために栄養改善が得られないという仮説になります。そこで経管栄養でさらに400Kcal追加することを提案しました。
この方の場合、廃用や疾患による易疲労も否定できませんが、低栄養と過活動による易疲労と判断しました。リハ栄養の視点で考えないと、このような仮説には到達しにくいと思います。仮説なので間違っているかもしれませんが、リハを行っている患者では活動係数を最大2.0にしたほうがよいと考えました。活動係数はあくまで仮説ですが、奥が深いかもしれません。
①回復期リハ病棟に入院中の患者で、全粥食を全量経口摂取していても体重が減少している方やかなりやせている方がいました。エネルギーバランスは計算上プラスになっているのですが、活動係数が1.3で計算されていました。
ベッド外活動の活動係数は確かに1.3ですが、回復期リハ病棟で質・量ともに本格的なPT・OT・STを行っている場合、1.3では足りないと思われました。1.4もしくは1.5で計算すべきだと改めて感じました。ただ、これらの活動係数も仮説ですので、栄養モニタリングは必須です。
このことに気づけたのは、リハカンファレンスに管理栄養士が参加してくれたからです。やっぱりリハカンファレンスに管理栄養士は参加すべきだと強く感じました。回復期リハ病棟に専属の管理栄養士はもちろんリハカンファレンスに参加していると思いますが、専属でなくてもぜひ参加してほしいと思います。
②長期入院中の患者で、食事は1000kcal、経管栄養は800kcal摂取していますが、著明なるいそうで易疲労がとても目立つ方がいました。易疲労で積極的なPT・OT・STは全くできない状況でした。がんなどの疾患を合併している可能性も、もちろんあります。ただ少なくとも、侵襲の異化期ではないと判断できる状況でした。
しかし、車椅子座位の様子を診察してみると、両下肢はほぼ常に動かしていて(不随意の要素あり)、両上肢は常に緊張していました。臥位での様子をPT・OT・STに聞くと、臥位では座位のときよりもよく四肢を動かしているとのことでした。
要するに睡眠時以外は1日中運動していることになります。つまり、活動係数は1.3や1.5どころではなく、1.7~2.0ではないかと考えました。そうすると、1800kcal摂取していてもエネルギー消費量が多いために栄養改善が得られないという仮説になります。そこで経管栄養でさらに400Kcal追加することを提案しました。
この方の場合、廃用や疾患による易疲労も否定できませんが、低栄養と過活動による易疲労と判断しました。リハ栄養の視点で考えないと、このような仮説には到達しにくいと思います。仮説なので間違っているかもしれませんが、リハを行っている患者では活動係数を最大2.0にしたほうがよいと考えました。活動係数はあくまで仮説ですが、奥が深いかもしれません。
2011年6月9日木曜日
強皮症の栄養評価・介入
強皮症の栄養評価・介入のエキスパートオピニオンの論文を紹介します。
Baron M, Bernier P, Côté LF, Delegge MH, Falovitch G, Friedman G, Gornitsky M, Hoffer J, Hudson M, Khanna D, Paterson WG, Schafer D, Toskes PP, Wykes L. Screening and therapy for malnutrition and related gastro-intestinal disorders in systemic sclerosis: recommendations of a North American expert panel. Clin Exp Rheumatol. 2010 Mar-Apr;28(2 Suppl 58):S42-6.
下記のHPで全文PDFを見れます。
http://www.clinexprheumatol.org/article.asp?a=932
またこの論文に限らず、強皮症を特集しているこの号すべてを全文PDFで見れるようです。
http://www.clinexprheumatol.org/a.asp?IDArchivio=108
Canadian Scleroderma Research Groupによる栄養評価・介入のエキスパートオピニオンです。
強皮症のすべての患者に栄養スクリーニングが必要です。消化器症状に関する質問も必要です。栄養スクリーニングで引っかかる場合には、栄養士と消化器科医師へのコンサルトを行います。患者支援グループの紹介も検討します。
口腔に問題がある場合には、強皮症治療の経験がある歯科医師にコンサルトします。すべての強皮症患者は月1回の体重測定と体重変化の報告が必要です。リウマチ科医師による年1回の低栄養のチェックも必要です。
強皮症で最重度の低栄養を認めた患者さんを何人かみたことがあります。そうなる前に適切な栄養管理ができていればよかったのですが、膠原病・リウマチ疾患による低栄養や悪液質に対する関心は低いのが現状です。膠原病・リウマチ疾患に対する適切なリハ栄養管理を、日本でも普及させないといけません。
Abstract
OBJECTIVES: To develop a set of recommendations for clinicians caring for patients with systemic sclerosis (SSc) to guide their approach to the patient with malnutrition and possible malabsorption.
METHODS: The Canadian Scleroderma Research Group convened a meeting of experts in the areas of nutrition, speech pathology, oral health in SSc, SSc and gastroenterology to discuss the nutrition-GI paradigm in SSc. This meeting generated a set of recommendations based on expert opinion.
RESULTS: Physicians should screen ALL patients with SSc for malnutrition. The physician should ask a series of questions that pertain to GI involvement. Patients who screen positive for malnutrition should be referred to a dietitian and gastroenterologist. Referral to a patient support group should be considered and if screening reveals oral health problems, referral to a dentist, preferably with expertise in treating patients with SSc, should be done. All SSc patients should weigh themselves monthly and report any sudden significant changes in weight. They should be assessed by a rheumatologist once a year for signs of malnutrition.
CONCLUSIONS: Malnutrition may be common in SSc and a multidisciplinary approach is important.
Baron M, Bernier P, Côté LF, Delegge MH, Falovitch G, Friedman G, Gornitsky M, Hoffer J, Hudson M, Khanna D, Paterson WG, Schafer D, Toskes PP, Wykes L. Screening and therapy for malnutrition and related gastro-intestinal disorders in systemic sclerosis: recommendations of a North American expert panel. Clin Exp Rheumatol. 2010 Mar-Apr;28(2 Suppl 58):S42-6.
下記のHPで全文PDFを見れます。
http://www.clinexprheumatol.org/article.asp?a=932
またこの論文に限らず、強皮症を特集しているこの号すべてを全文PDFで見れるようです。
http://www.clinexprheumatol.org/a.asp?IDArchivio=108
Canadian Scleroderma Research Groupによる栄養評価・介入のエキスパートオピニオンです。
強皮症のすべての患者に栄養スクリーニングが必要です。消化器症状に関する質問も必要です。栄養スクリーニングで引っかかる場合には、栄養士と消化器科医師へのコンサルトを行います。患者支援グループの紹介も検討します。
口腔に問題がある場合には、強皮症治療の経験がある歯科医師にコンサルトします。すべての強皮症患者は月1回の体重測定と体重変化の報告が必要です。リウマチ科医師による年1回の低栄養のチェックも必要です。
強皮症で最重度の低栄養を認めた患者さんを何人かみたことがあります。そうなる前に適切な栄養管理ができていればよかったのですが、膠原病・リウマチ疾患による低栄養や悪液質に対する関心は低いのが現状です。膠原病・リウマチ疾患に対する適切なリハ栄養管理を、日本でも普及させないといけません。
Abstract
OBJECTIVES: To develop a set of recommendations for clinicians caring for patients with systemic sclerosis (SSc) to guide their approach to the patient with malnutrition and possible malabsorption.
METHODS: The Canadian Scleroderma Research Group convened a meeting of experts in the areas of nutrition, speech pathology, oral health in SSc, SSc and gastroenterology to discuss the nutrition-GI paradigm in SSc. This meeting generated a set of recommendations based on expert opinion.
RESULTS: Physicians should screen ALL patients with SSc for malnutrition. The physician should ask a series of questions that pertain to GI involvement. Patients who screen positive for malnutrition should be referred to a dietitian and gastroenterologist. Referral to a patient support group should be considered and if screening reveals oral health problems, referral to a dentist, preferably with expertise in treating patients with SSc, should be done. All SSc patients should weigh themselves monthly and report any sudden significant changes in weight. They should be assessed by a rheumatologist once a year for signs of malnutrition.
CONCLUSIONS: Malnutrition may be common in SSc and a multidisciplinary approach is important.
2011年6月8日水曜日
施設入所高齢者の栄養状態とADL
施設入所高齢者の栄養状態とADLを調査した横断研究を紹介します。
Cereda E, Valzolgher L, Pedrolli C. Mini nutritional assessment is a good predictor of functional status in institutionalised elderly at risk of malnutrition. Clin Nutr. 2008 Oct;27(5):700-5.
対象は施設入所高齢者でMNAで低栄養、もしくは低栄養の恐れありと判定された123人です。172人にMNAを行い、35人が低栄養、88人が低栄養の恐れあり、49人が栄養状態良好という結果でした。ADLはBarthel Indexで評価しています。
単変量解析では、MNAとBarthel Indexには有意な関連を認めました(r=0.55; p<0.0001)。年齢と性別で調整した多変量解析でも、最初はMNAとBarthel Indexには有意な関連を認めました。
しかし、MNAを従属変数として、体重減少、上腕筋面積、経口摂取を独立変数として多変量解析に入れると、これら3項目は有意ですが、MNAとBarthel Indexの関連は有意でなくなりました。一方、Barthel Indexを従属変数とした多変量解析では、上腕筋面積、経口摂取の2項目が有意で、Barthel IndexとMNAの関連は有意でなくなりました。
これより、栄養状態とADLに関連を認めますが、その中身として体重減少、上腕筋面積(サルコペニアのマーカーとして)、経口摂取が重要です。経口摂取量が少なくなると筋肉量が減少してその結果、ADLが低下して低栄養になるという仮説が成立します。
経口摂取量が少なくなるきっかけとして、侵襲、炎症、悪液質が考えられます。これらの場合、食欲が低下して経口摂取量が減少するだけでなく蛋白異化も亢進しますので、単純な飢餓の場合よりさらに筋肉量減少が進行して、サルコペニアとなりADLも栄養状態も悪化すると思われます。
Abstract
BACKGROUND & AIMS: To possibly validate the use of Mini Nutritional Assessment (MNA) with respect to functional status in institutionalised elderly.
METHODS: One hundred twenty-three long-term care resident elderly (85.3+/-8.4 years) were recruited. Nutritional and functional states were assessed by MNA and Barthel Index (BI), respectively. Main inclusion criterion was a MNA<23.5. Anthropometric, biochemical data and oral intake (percentage of food consumed to that delivered) were evaluated.
RESULTS: MNA significantly correlated with BI (r=0.55; p<0.0001). Malnutrition (MNA<17) was characterized by lower BMI, muscle mass, poor nutritional habits and higher weight loss and disability. Similarly, poorer functional status was associated with low BMI, sarcopenia and reduced oral intake. The interrelationship between MNA and BI were investigated by multiple regression models with progressive inclusion of variables (one/analysis). The initial association between MNA and BI (p<0.0001) was masked by weight loss (p<0.02), muscle mass (p<0.03) and oral intake (p<0.05). However, when BI was included as dependent variable the association with MNA depended on sarcopenia (p<0.05) and reduced food consumption (p<0.001).
CONCLUSIONS: MNA reliably identifies at-risk institutionalised elderly needing higher standards of care, particularly related to eating. Routine documentation of oral intakes and feeding assistance might be useful to prevent weight loss, sarcopenia and functional status deterioration.
Cereda E, Valzolgher L, Pedrolli C. Mini nutritional assessment is a good predictor of functional status in institutionalised elderly at risk of malnutrition. Clin Nutr. 2008 Oct;27(5):700-5.
対象は施設入所高齢者でMNAで低栄養、もしくは低栄養の恐れありと判定された123人です。172人にMNAを行い、35人が低栄養、88人が低栄養の恐れあり、49人が栄養状態良好という結果でした。ADLはBarthel Indexで評価しています。
単変量解析では、MNAとBarthel Indexには有意な関連を認めました(r=0.55; p<0.0001)。年齢と性別で調整した多変量解析でも、最初はMNAとBarthel Indexには有意な関連を認めました。
しかし、MNAを従属変数として、体重減少、上腕筋面積、経口摂取を独立変数として多変量解析に入れると、これら3項目は有意ですが、MNAとBarthel Indexの関連は有意でなくなりました。一方、Barthel Indexを従属変数とした多変量解析では、上腕筋面積、経口摂取の2項目が有意で、Barthel IndexとMNAの関連は有意でなくなりました。
これより、栄養状態とADLに関連を認めますが、その中身として体重減少、上腕筋面積(サルコペニアのマーカーとして)、経口摂取が重要です。経口摂取量が少なくなると筋肉量が減少してその結果、ADLが低下して低栄養になるという仮説が成立します。
経口摂取量が少なくなるきっかけとして、侵襲、炎症、悪液質が考えられます。これらの場合、食欲が低下して経口摂取量が減少するだけでなく蛋白異化も亢進しますので、単純な飢餓の場合よりさらに筋肉量減少が進行して、サルコペニアとなりADLも栄養状態も悪化すると思われます。
Abstract
BACKGROUND & AIMS: To possibly validate the use of Mini Nutritional Assessment (MNA) with respect to functional status in institutionalised elderly.
METHODS: One hundred twenty-three long-term care resident elderly (85.3+/-8.4 years) were recruited. Nutritional and functional states were assessed by MNA and Barthel Index (BI), respectively. Main inclusion criterion was a MNA<23.5. Anthropometric, biochemical data and oral intake (percentage of food consumed to that delivered) were evaluated.
RESULTS: MNA significantly correlated with BI (r=0.55; p<0.0001). Malnutrition (MNA<17) was characterized by lower BMI, muscle mass, poor nutritional habits and higher weight loss and disability. Similarly, poorer functional status was associated with low BMI, sarcopenia and reduced oral intake. The interrelationship between MNA and BI were investigated by multiple regression models with progressive inclusion of variables (one/analysis). The initial association between MNA and BI (p<0.0001) was masked by weight loss (p<0.02), muscle mass (p<0.03) and oral intake (p<0.05). However, when BI was included as dependent variable the association with MNA depended on sarcopenia (p<0.05) and reduced food consumption (p<0.001).
CONCLUSIONS: MNA reliably identifies at-risk institutionalised elderly needing higher standards of care, particularly related to eating. Routine documentation of oral intakes and feeding assistance might be useful to prevent weight loss, sarcopenia and functional status deterioration.
外来リハ患者の栄養状態
外来リハ患者の栄養状態を横断研究で調査した論文を紹介します。
Kaur S, Miller MD, Halbert J, Giles LC, Crotty M. Nutritional status of adults participating in ambulatory rehabilitation. Asia Pac J Clin Nutr. 2008;17(2):199-207.
対象は総合病院(急性期リハあり)を退院した後に外来リハを行っている患者229人です。MNAで調査したところ、5%が低栄養、58%が低栄養の恐れありと判定されました。疾患別に脳卒中、待機的整形外科手術後、その他に分類すると、「その他」がもっとも栄養状態が悪いという結果でした。
私は「その他」の中に、廃用症候群の患者が少なからず含まれていると推測しています。つまり、脳卒中や整形外科術後の患者より廃用症候群の患者で、低栄養がより問題になるという考えです。
身体機能は、低栄養、低栄養の恐れあり、栄養状態良好で明らかな差はありませんでした。しかし、SF-36の精神面の得点は、栄養状態良好の群で有意に高い結果でした。
以上の結果より、外来リハ患者でも低栄養の問題が大きいと言えます。入院リハ患者ほどではありませんが、外来リハ患者でもリハ栄養管理(MNA-SFによるスクリーニング、リハ栄養評価)を行い、必要な患者にはリハと同時に栄養介入を行うことが必要だと思います。
Abstract
AIMS: To assess the overall nutritional status of older adults participating in ambulatory rehabilitation and determine its association with relevant outcomes including physical function and quality of life.
DESIGN: Cross-sectional.
SETTING: Ambulatory rehabilitation service in the Southern region of Adelaide, Australia.
SUBJECTS: A total of 229 participants recruited as part of a RCT between June 2005 and June 2006, stroke (n=83), elective orthopedic procedure (n=44) and other medical condition (n=102).
METHODS: Nutritional status was measured using Mini Nutritional Assessment (MNA), Simplified Nutrition Appetite Questionnaire (SNAQ) and Body Mass Index. Functional performance was assessed using the Modified Barthel Index (MBI) and quality of life was measured using the Short Form-36 (SF-36).
RESULTS: Sixty-three percent of participants were malnourished or at risk of malnutrition according to the MNA and a third had a risk of >or= 5% weight loss in the subsequent six months, according to the SNAQ. Participants with a diagnosis other than stroke or elective orthopedic procedure were the most vulnerable, with 53% (n=74/140) classified as at risk of malnutrition or malnourished and a longer length of stay in hospital. Functional performance was no different for participants assessed as at risk of malnutrition or malnourished compared to the well nourished, but the SF-36 mental component score was significantly higher for those who were well nourished (p=0.003).
CONCLUSION: Findings emphasise the magnitude of the malnutrition problem in ambulatory rehabilitation settings. Further research is required to evaluate the resource implications against expected benefits of providing nutrition interventions at this point.
Kaur S, Miller MD, Halbert J, Giles LC, Crotty M. Nutritional status of adults participating in ambulatory rehabilitation. Asia Pac J Clin Nutr. 2008;17(2):199-207.
対象は総合病院(急性期リハあり)を退院した後に外来リハを行っている患者229人です。MNAで調査したところ、5%が低栄養、58%が低栄養の恐れありと判定されました。疾患別に脳卒中、待機的整形外科手術後、その他に分類すると、「その他」がもっとも栄養状態が悪いという結果でした。
私は「その他」の中に、廃用症候群の患者が少なからず含まれていると推測しています。つまり、脳卒中や整形外科術後の患者より廃用症候群の患者で、低栄養がより問題になるという考えです。
身体機能は、低栄養、低栄養の恐れあり、栄養状態良好で明らかな差はありませんでした。しかし、SF-36の精神面の得点は、栄養状態良好の群で有意に高い結果でした。
以上の結果より、外来リハ患者でも低栄養の問題が大きいと言えます。入院リハ患者ほどではありませんが、外来リハ患者でもリハ栄養管理(MNA-SFによるスクリーニング、リハ栄養評価)を行い、必要な患者にはリハと同時に栄養介入を行うことが必要だと思います。
Abstract
AIMS: To assess the overall nutritional status of older adults participating in ambulatory rehabilitation and determine its association with relevant outcomes including physical function and quality of life.
DESIGN: Cross-sectional.
SETTING: Ambulatory rehabilitation service in the Southern region of Adelaide, Australia.
SUBJECTS: A total of 229 participants recruited as part of a RCT between June 2005 and June 2006, stroke (n=83), elective orthopedic procedure (n=44) and other medical condition (n=102).
METHODS: Nutritional status was measured using Mini Nutritional Assessment (MNA), Simplified Nutrition Appetite Questionnaire (SNAQ) and Body Mass Index. Functional performance was assessed using the Modified Barthel Index (MBI) and quality of life was measured using the Short Form-36 (SF-36).
RESULTS: Sixty-three percent of participants were malnourished or at risk of malnutrition according to the MNA and a third had a risk of >or= 5% weight loss in the subsequent six months, according to the SNAQ. Participants with a diagnosis other than stroke or elective orthopedic procedure were the most vulnerable, with 53% (n=74/140) classified as at risk of malnutrition or malnourished and a longer length of stay in hospital. Functional performance was no different for participants assessed as at risk of malnutrition or malnourished compared to the well nourished, but the SF-36 mental component score was significantly higher for those who were well nourished (p=0.003).
CONCLUSION: Findings emphasise the magnitude of the malnutrition problem in ambulatory rehabilitation settings. Further research is required to evaluate the resource implications against expected benefits of providing nutrition interventions at this point.
高齢入院患者の栄養状態とADL・APDLの関連
高齢入院患者の栄養状態とADL・APDLの関連を横断研究でみた論文を紹介します。
Oliveira MR, Fogaça KC, Leandro-Merhi VA. Nutritional status and functional capacity of hospitalized elderly. Nutr J. 2009 Nov 17;8:54.
下記のHPで全文PDFで見れます。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2781024/pdf/1475-2891-8-54.pdf
栄養状態とADLの関連をみた論文はいくつかありますが、APDLも調査している論文は知りませんでした。60歳以上の入院患者で、入院後24-72時間以内に調査しています。入院後早期の調査なので、廃用症候群の要素は少ないと考えます。
高齢入院患者240人の栄養状態をMNAで調査した結果、33.8%が栄養状態良好、37.1%が低栄養の恐れあり、29.1%が低栄養と判定されました。低栄養の患者ほど、ADLとAPDLのすべての項目で自立度が低いという結果でした。食事動作が全介助もしくは一部介助だったのは、栄養状態良好で2.5%、低栄養の恐れありで13.4%、低栄養で半数以上(55.7%)でした。
これより栄養状態とADL・APDLの低下に関連があるといえます。栄養状態が悪いからADL・APDLが低下する、ADL・APDLの自立度が低いから栄養状態が悪化する、どちらもありえます。ただもっともありそうなのは、入院に至った原因疾患が重症のため、栄養状態もADL・APDLも低いという関連です。
Abstract
BACKGROUND: The nutritional status of the aging individual results from a complex interaction between personal and environmental factors. A disease influences and is influenced by the nutritional status and the functional capacity of the individual. We asses the relationship between nutritional status and indicators of functional capacity among recently hospitalized elderly in a general hospital.
METHODS: A cross-sectional study was done with 240 elderly (women, n = 127 and men, n = 113) hospitalized in a hospital that provides care for the public and private healthcare systems. The nutritional status was classified by the MNA (Mini Nutritional Assessment) into: malnourished, risk of malnutrition and without malnutrition (adequate). The functional autonomy indicators were obtained by the self-reported Instrumental Activity of Daily Living (IADL) and Activity of Daily Living (ADL) questionnaire. The chi-square test was used to compare the proportions and the level of significance was 5%.
RESULTS: Among the assessed elderly, 33.8% were classified as adequate regarding nutritional status; 37.1% were classified as being at risk of malnutrition and 29.1% were classified as malnourished. All the IADL and ADL variables assessed were significantly more deteriorated among the malnourished individuals. Among the ADL variables, eating partial (42.9%) or complete (12.9%) dependence was found in more than half of the malnourished elderly, in 13.4% of those at risk of malnutrition and in 2.5% of those without malnutrition.
CONCLUSION: There is an interrelationship between the nutritional status of the elderly and reduced functional capacity.
Oliveira MR, Fogaça KC, Leandro-Merhi VA. Nutritional status and functional capacity of hospitalized elderly. Nutr J. 2009 Nov 17;8:54.
下記のHPで全文PDFで見れます。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2781024/pdf/1475-2891-8-54.pdf
栄養状態とADLの関連をみた論文はいくつかありますが、APDLも調査している論文は知りませんでした。60歳以上の入院患者で、入院後24-72時間以内に調査しています。入院後早期の調査なので、廃用症候群の要素は少ないと考えます。
高齢入院患者240人の栄養状態をMNAで調査した結果、33.8%が栄養状態良好、37.1%が低栄養の恐れあり、29.1%が低栄養と判定されました。低栄養の患者ほど、ADLとAPDLのすべての項目で自立度が低いという結果でした。食事動作が全介助もしくは一部介助だったのは、栄養状態良好で2.5%、低栄養の恐れありで13.4%、低栄養で半数以上(55.7%)でした。
これより栄養状態とADL・APDLの低下に関連があるといえます。栄養状態が悪いからADL・APDLが低下する、ADL・APDLの自立度が低いから栄養状態が悪化する、どちらもありえます。ただもっともありそうなのは、入院に至った原因疾患が重症のため、栄養状態もADL・APDLも低いという関連です。
Abstract
BACKGROUND: The nutritional status of the aging individual results from a complex interaction between personal and environmental factors. A disease influences and is influenced by the nutritional status and the functional capacity of the individual. We asses the relationship between nutritional status and indicators of functional capacity among recently hospitalized elderly in a general hospital.
METHODS: A cross-sectional study was done with 240 elderly (women, n = 127 and men, n = 113) hospitalized in a hospital that provides care for the public and private healthcare systems. The nutritional status was classified by the MNA (Mini Nutritional Assessment) into: malnourished, risk of malnutrition and without malnutrition (adequate). The functional autonomy indicators were obtained by the self-reported Instrumental Activity of Daily Living (IADL) and Activity of Daily Living (ADL) questionnaire. The chi-square test was used to compare the proportions and the level of significance was 5%.
RESULTS: Among the assessed elderly, 33.8% were classified as adequate regarding nutritional status; 37.1% were classified as being at risk of malnutrition and 29.1% were classified as malnourished. All the IADL and ADL variables assessed were significantly more deteriorated among the malnourished individuals. Among the ADL variables, eating partial (42.9%) or complete (12.9%) dependence was found in more than half of the malnourished elderly, in 13.4% of those at risk of malnutrition and in 2.5% of those without malnutrition.
CONCLUSION: There is an interrelationship between the nutritional status of the elderly and reduced functional capacity.
リハマインドを持って仕事しよう
今日はある病院で「リハマインドを持って仕事しよう」という講演をしてきます。
リハマインドの定義は簡単ではありませんが、「障害者や高齢者の機能、活動、参加、QOLを最大限発揮できるような取り組みを考えること」としてみました。そして特に、回復期リハ病棟では、他の病院・病棟と比較してリハマインドをすべての職種が持つことが大切だと考えます。PT、OT、STに限らず全職種がリハスタッフと言えます。
管理栄養士がリハマインドを持って仕事をすれば、リハ栄養につながります。ただ、卒前・卒後・生涯教育で管理栄養士がリハやICF(国際生活機能分類)について学習する機会は、極めて少ないと思います。私も学習機会を作る努力をしますが、「リハビリテーション栄養ハンドブック」でリハの基本知識について学習してほしいですね(笑)。
ただ管理栄養士に限らず、リハ専門医、リハ看護師、PT、OT、ST以外でICFを知っている医療人は少数です。ICFを知れば「リハ=機能訓練」という誤解もなくなるはずですが、ICFがリハ関係者以外にあまり広まっていないのが現状です。これは私も含めてリハ関係者の努力不足と判断しています。リハ栄養の考え方を通じて、ICFも広めたいと考えています。
一方、リハ専門医、リハ看護師、PT、OT、STでもICFを理解していない人が実はいます。そのため、医師、看護師、PT、OT、STの仕事はしているかもしれないが、「リハはしていない」という悲しいこともあります。PT=リハ、OT=リハ、ST=リハではありませんが、リハマインドを持つことは必須だと私は思います。
昨日のブログで紹介させていただいたPTの千夏さんは、素晴らしいリハマインドの持ち主でもあったと感じています。私たちはこのマインドや志を忘れてはいけないと痛感します。
東日本大震災リハネットワークより:魂の叫び
http://rehabnutrition.blogspot.com/2011/06/blog-post_07.html
リハマインドの定義は簡単ではありませんが、「障害者や高齢者の機能、活動、参加、QOLを最大限発揮できるような取り組みを考えること」としてみました。そして特に、回復期リハ病棟では、他の病院・病棟と比較してリハマインドをすべての職種が持つことが大切だと考えます。PT、OT、STに限らず全職種がリハスタッフと言えます。
管理栄養士がリハマインドを持って仕事をすれば、リハ栄養につながります。ただ、卒前・卒後・生涯教育で管理栄養士がリハやICF(国際生活機能分類)について学習する機会は、極めて少ないと思います。私も学習機会を作る努力をしますが、「リハビリテーション栄養ハンドブック」でリハの基本知識について学習してほしいですね(笑)。
ただ管理栄養士に限らず、リハ専門医、リハ看護師、PT、OT、ST以外でICFを知っている医療人は少数です。ICFを知れば「リハ=機能訓練」という誤解もなくなるはずですが、ICFがリハ関係者以外にあまり広まっていないのが現状です。これは私も含めてリハ関係者の努力不足と判断しています。リハ栄養の考え方を通じて、ICFも広めたいと考えています。
一方、リハ専門医、リハ看護師、PT、OT、STでもICFを理解していない人が実はいます。そのため、医師、看護師、PT、OT、STの仕事はしているかもしれないが、「リハはしていない」という悲しいこともあります。PT=リハ、OT=リハ、ST=リハではありませんが、リハマインドを持つことは必須だと私は思います。
昨日のブログで紹介させていただいたPTの千夏さんは、素晴らしいリハマインドの持ち主でもあったと感じています。私たちはこのマインドや志を忘れてはいけないと痛感します。
東日本大震災リハネットワークより:魂の叫び
http://rehabnutrition.blogspot.com/2011/06/blog-post_07.html
2011年6月7日火曜日
握力測定の標準化
握力測定の標準化に向けたレビュー論文を紹介します。
Roberts HC, Denison HJ, Martin HJ, Patel HP, Syddall H, Cooper C, Sayer AA. A review of the measurement of grip strength in clinical and epidemiological studies: towards a standardised approach. Age Ageing. 2011 May 30. [Epub ahead of print]
握力はEWGSOPのサルコペニアの診断基準に含まれてたり、栄養指標として使用されることが増えたり、臨床栄養の世界で改めて注目されつつあります。私も診察で握力を評価する機会が増えました。ただし、標準的な測定方法はまだ定義されていません。
握力の測定方法を記載してある論文をレビューした結果、ばらつきが大きいことが明らかになりました。最大値か平均値か、1回か2回か3回か、両側か片側か、測定時のポジションなど、いろんな方法があります。
臨床で使用する分には、最大値、1回、両側で構わないと私は思っています。研究で使用するためには信頼性、妥当性のある評価方法にしなければいけないので、標準化された測定方法の開発が望まれます。
Abstract
BACKGROUND: the European Working Group on Sarcopenia in Older People has developed a clinical definition of sarcopenia based on low muscle mass and reduced muscle function (strength or performance). Grip strength is recommended as a good simple measure of muscle strength when 'measured in standard conditions'. However, standard conditions remain to be defined.
METHODS: a literature search was conducted to review articles describing the measurement of grip strength listed in Medline, Web of Science and Cochrane Library databases up to 31 December 2009.
RESULTS: there is wide variability in the choice of equipment and protocol for measuring grip strength. The Jamar hand dynamometer is the most widely used instrument with established test-retest, inter-rater and intra-rater reliability. However, there is considerable variation in how it is used and studies often provide insufficient information on the protocol followed making comparisons difficult. There is evidence that variation in approach can affect the values recorded. Furthermore, reported summary measures of grip strength vary widely including maximum or mean value, from one, two or three attempts, with either hand or the dominant hand alone.
CONCLUSIONS: there is considerable variation in current methods of assessing grip strength which makes comparison between studies difficult. A standardised method would enable more consistent measurement of grip strength and better assessment of sarcopenia. Our approach is described.
Roberts HC, Denison HJ, Martin HJ, Patel HP, Syddall H, Cooper C, Sayer AA. A review of the measurement of grip strength in clinical and epidemiological studies: towards a standardised approach. Age Ageing. 2011 May 30. [Epub ahead of print]
握力はEWGSOPのサルコペニアの診断基準に含まれてたり、栄養指標として使用されることが増えたり、臨床栄養の世界で改めて注目されつつあります。私も診察で握力を評価する機会が増えました。ただし、標準的な測定方法はまだ定義されていません。
握力の測定方法を記載してある論文をレビューした結果、ばらつきが大きいことが明らかになりました。最大値か平均値か、1回か2回か3回か、両側か片側か、測定時のポジションなど、いろんな方法があります。
臨床で使用する分には、最大値、1回、両側で構わないと私は思っています。研究で使用するためには信頼性、妥当性のある評価方法にしなければいけないので、標準化された測定方法の開発が望まれます。
Abstract
BACKGROUND: the European Working Group on Sarcopenia in Older People has developed a clinical definition of sarcopenia based on low muscle mass and reduced muscle function (strength or performance). Grip strength is recommended as a good simple measure of muscle strength when 'measured in standard conditions'. However, standard conditions remain to be defined.
METHODS: a literature search was conducted to review articles describing the measurement of grip strength listed in Medline, Web of Science and Cochrane Library databases up to 31 December 2009.
RESULTS: there is wide variability in the choice of equipment and protocol for measuring grip strength. The Jamar hand dynamometer is the most widely used instrument with established test-retest, inter-rater and intra-rater reliability. However, there is considerable variation in how it is used and studies often provide insufficient information on the protocol followed making comparisons difficult. There is evidence that variation in approach can affect the values recorded. Furthermore, reported summary measures of grip strength vary widely including maximum or mean value, from one, two or three attempts, with either hand or the dominant hand alone.
CONCLUSIONS: there is considerable variation in current methods of assessing grip strength which makes comparison between studies difficult. A standardised method would enable more consistent measurement of grip strength and better assessment of sarcopenia. Our approach is described.
東日本大震災リハネットワークより:魂の叫び
東日本大震災リハネットワーク~FACE TO FACE~という、震災関連のリハ支援ネットワークがあります。そこのブログに「魂の叫び」という新人PTの手記が紹介されています。
http://rehanetwork.jugem.jp/?day=20110604
私はツイッターで縁がありましたが、素晴らしい行動力や考え方に正直、脱帽していました。私にはないものをたくさん持っている方でした。
この新人PTさんが亡くなったと聞いて、大変ショックを受けています。泣けます…。
多くのPT、リハスタッフ、医療人にこの方の存在や活動を知ってほしいと思い紹介しました。
上記のブログと彼女のツイッター(@cocoro0608)を見ていただきたいと思います。
自分の生き方も再考します。
http://rehanetwork.jugem.jp/?day=20110604
私はツイッターで縁がありましたが、素晴らしい行動力や考え方に正直、脱帽していました。私にはないものをたくさん持っている方でした。
この新人PTさんが亡くなったと聞いて、大変ショックを受けています。泣けます…。
多くのPT、リハスタッフ、医療人にこの方の存在や活動を知ってほしいと思い紹介しました。
上記のブログと彼女のツイッター(@cocoro0608)を見ていただきたいと思います。
自分の生き方も再考します。
2011年6月6日月曜日
高齢の大腸がん患者の長期予後を改善する周術期の評価と介入
高齢の大腸がん患者の長期予後を改善する周術期の評価と介入に関するレビュー論文を紹介します。
Cheema FN, Abraham NS, Berger DH, Albo D, Taffet GE, Naik AD. Novel approaches to perioperative assessment and intervention may improve long-term outcomes after colorectal cancer resection in older adults. Ann Surg. 2011 May;253(5):867-74.
高齢の大腸がん患者では様々なリスクを有していることがあります。そのためにCGA:comprehensive Geriatric Assessment高齢者総合機能評価による評価が重要としています。この中に栄養評価や身体機能評価も、もちろん含まれます。CGAの詳細は下記のHPを参照してください。
http://hosp.nms.ac.jp/shinryo/elderly/kinohyoka.html
周術期の介入としてリハはとても重要です。先行研究の多くは術後の早期リハに関するものですが、最近ではprehabilitationに関する研究もいくつか行われています。整形外科領域のprehabilitationに関する研究が多いのが現状ですが、有効という報告もいくつか見られています。また、prehabilitationの一部では、運動(有酸素運動+レジスタンストレーニング)と栄養療法を併用しています。
CGAで評価して必要な場合にprehabilitation(運動+栄養)を行うという流れが、長期予後を改善させる術前評価と介入になるかもしれません。ただし、周術時期を遅らせることによる害とprehabilitationの益のバランスを考慮することが必要です。
この論文では主に術前の評価と介入に重きが置かれていますが、これとERAS:Enhanced Recovery After Surgery術後回復力増強プログラムを組み合わせることが、周術期リハ栄養プログラムとしてベストだと感じています。
Abstract
Colorectal cancer (CRC) is common among older adults and surgical resection with curative intent is the primary treatment of CRC. Despite the changing demographics of CRC patients and increasing prevalence of multiple comorbidities, surgery is increasingly performed in this complex aging population. Clinically important short-term outcomes have improved for this population, but little is known about long-term outcomes. We review the literature to evaluate trends in CRC surgery in the geriatric population and the outcomes of surgical treatment. We explore the specific gaps in understanding longitudinal patient-centered outcomes of CRC treatment. We then propose adaptations from the geriatrics literature to better predict both short and long-term outcomes after CRC surgery. Interventions, such as prehabilitation, coupled with comprehensive geriatric assessment may be important future strategies for identifying vulnerable older patients, ameliorating the modifiable causes of vulnerability, and improving patient-centered longitudinal outcomes. Further research is needed to determine relevant aspects of geriatric assessments, identify effective intervention strategies, and demonstrate their validity in improving outcomes for at-risk older adults.
Cheema FN, Abraham NS, Berger DH, Albo D, Taffet GE, Naik AD. Novel approaches to perioperative assessment and intervention may improve long-term outcomes after colorectal cancer resection in older adults. Ann Surg. 2011 May;253(5):867-74.
高齢の大腸がん患者では様々なリスクを有していることがあります。そのためにCGA:comprehensive Geriatric Assessment高齢者総合機能評価による評価が重要としています。この中に栄養評価や身体機能評価も、もちろん含まれます。CGAの詳細は下記のHPを参照してください。
http://hosp.nms.ac.jp/shinryo/elderly/kinohyoka.html
周術期の介入としてリハはとても重要です。先行研究の多くは術後の早期リハに関するものですが、最近ではprehabilitationに関する研究もいくつか行われています。整形外科領域のprehabilitationに関する研究が多いのが現状ですが、有効という報告もいくつか見られています。また、prehabilitationの一部では、運動(有酸素運動+レジスタンストレーニング)と栄養療法を併用しています。
CGAで評価して必要な場合にprehabilitation(運動+栄養)を行うという流れが、長期予後を改善させる術前評価と介入になるかもしれません。ただし、周術時期を遅らせることによる害とprehabilitationの益のバランスを考慮することが必要です。
この論文では主に術前の評価と介入に重きが置かれていますが、これとERAS:Enhanced Recovery After Surgery術後回復力増強プログラムを組み合わせることが、周術期リハ栄養プログラムとしてベストだと感じています。
Abstract
Colorectal cancer (CRC) is common among older adults and surgical resection with curative intent is the primary treatment of CRC. Despite the changing demographics of CRC patients and increasing prevalence of multiple comorbidities, surgery is increasingly performed in this complex aging population. Clinically important short-term outcomes have improved for this population, but little is known about long-term outcomes. We review the literature to evaluate trends in CRC surgery in the geriatric population and the outcomes of surgical treatment. We explore the specific gaps in understanding longitudinal patient-centered outcomes of CRC treatment. We then propose adaptations from the geriatrics literature to better predict both short and long-term outcomes after CRC surgery. Interventions, such as prehabilitation, coupled with comprehensive geriatric assessment may be important future strategies for identifying vulnerable older patients, ameliorating the modifiable causes of vulnerability, and improving patient-centered longitudinal outcomes. Further research is needed to determine relevant aspects of geriatric assessments, identify effective intervention strategies, and demonstrate their validity in improving outcomes for at-risk older adults.
2011年6月4日土曜日
サルコペニアのphase IIb研究のデザイン
サルコペニアのphase IIb研究のデザインに関する国際サルコペニアワーキンググループの論文を紹介します。
Chumlea WC, Cesarit M, Evans WJ, Ferrucci L, Fielding RA, Pahor M, Studenski S, Vellas B. Sarcopenia: designing phase IIb trials: international working group on sarcopenia. J Nutr Health Aging. 2011;15(6):450-5.
今までの研究で除脂肪量(fat-free mass)は身体活動や栄養介入によって短期間で反応することがわかっています。しかし、薬物療法では有意な効果を示すことができていません。治療効果、サンプルサイズ、一次アウトカムが適切なサルコペニア研究は少ないのが現状です。
DEXAは除脂肪量の測定に有効ですが、正確かつ信頼できる変化を観察するにはかなりの時間が必要です。臨床、基礎、疫学の研究に有用なサルコペニアの診断方法の確立が必要です。
リハやNSTの臨床ではどんな診断基準であれ、サルコペニアに間違いないという方が少なからずいます。サルコペニア肥満の方を見落としている可能性があるかもしれませんが。正確な定義と診断基準ができるまで何年も待っている猶予は、臨床にはありません。
機能訓練室で運動を行った直後に、サルコペニアに効果的と思われる栄養材を飲む(運動中でも構いませんが)というリハ栄養文化を、早く日本に定着させたいと思っています。
abstract
Sarcopenia is the age-related involuntary loss of skeletal muscle mass and functionality that can lead to the development of disability, frailty and increased health care costs. The development of interventions aimed at preventing and/or treating sarcopenia is complex, requiring the adoption of assumptions and standards that are not well established scientifically or clinically. A number of investigators and clinicians (both from academia and industry) met in Rome (Italy) in 2009 to develop a consensus definition of sarcopenia. Subsequently, in Albuquerque (New Mexico, USA) in 2010, the same group met again to consider the complex issues necessary for designing Phase II clinical trials for sarcopenia. Current clinical trial data indicate that fat-free mass (FFM) parameters are responsive to physical activity/nutritional treatment modalities over short time periods, but pharmacological trials of sarcopenia have yet to show significant efficacy. In order to conduct a clinical trial within a reasonable time frame, groups that model or display accelerated aging and loss of FFM are necessary. Few studies have used acceptable designs for testing treatment effects, sample sizes or primary outcomes that could provide interpretable findings or effects across studies. Dual energy x-ray absorptiometry (DXA) is the measure of choice for assessing FFM, but sufficient time is needed for changes to be detected accurately and reliably. A tool set that would allow clinical, basic and epidemiological research on sarcopenia to advance rapidly toward diagnosis and treatment phases should be those reflecting function and strength.
Chumlea WC, Cesarit M, Evans WJ, Ferrucci L, Fielding RA, Pahor M, Studenski S, Vellas B. Sarcopenia: designing phase IIb trials: international working group on sarcopenia. J Nutr Health Aging. 2011;15(6):450-5.
今までの研究で除脂肪量(fat-free mass)は身体活動や栄養介入によって短期間で反応することがわかっています。しかし、薬物療法では有意な効果を示すことができていません。治療効果、サンプルサイズ、一次アウトカムが適切なサルコペニア研究は少ないのが現状です。
DEXAは除脂肪量の測定に有効ですが、正確かつ信頼できる変化を観察するにはかなりの時間が必要です。臨床、基礎、疫学の研究に有用なサルコペニアの診断方法の確立が必要です。
リハやNSTの臨床ではどんな診断基準であれ、サルコペニアに間違いないという方が少なからずいます。サルコペニア肥満の方を見落としている可能性があるかもしれませんが。正確な定義と診断基準ができるまで何年も待っている猶予は、臨床にはありません。
機能訓練室で運動を行った直後に、サルコペニアに効果的と思われる栄養材を飲む(運動中でも構いませんが)というリハ栄養文化を、早く日本に定着させたいと思っています。
abstract
Sarcopenia is the age-related involuntary loss of skeletal muscle mass and functionality that can lead to the development of disability, frailty and increased health care costs. The development of interventions aimed at preventing and/or treating sarcopenia is complex, requiring the adoption of assumptions and standards that are not well established scientifically or clinically. A number of investigators and clinicians (both from academia and industry) met in Rome (Italy) in 2009 to develop a consensus definition of sarcopenia. Subsequently, in Albuquerque (New Mexico, USA) in 2010, the same group met again to consider the complex issues necessary for designing Phase II clinical trials for sarcopenia. Current clinical trial data indicate that fat-free mass (FFM) parameters are responsive to physical activity/nutritional treatment modalities over short time periods, but pharmacological trials of sarcopenia have yet to show significant efficacy. In order to conduct a clinical trial within a reasonable time frame, groups that model or display accelerated aging and loss of FFM are necessary. Few studies have used acceptable designs for testing treatment effects, sample sizes or primary outcomes that could provide interpretable findings or effects across studies. Dual energy x-ray absorptiometry (DXA) is the measure of choice for assessing FFM, but sufficient time is needed for changes to be detected accurately and reliably. A tool set that would allow clinical, basic and epidemiological research on sarcopenia to advance rapidly toward diagnosis and treatment phases should be those reflecting function and strength.
2011年6月3日金曜日
いしかわ地域リハビリテーション研究会
7月9日(土)14時から金沢市の近江町交流プラザ集会室で、いしかわ地域リハビリテーション研究会主催の講演会「リハビリテーション栄養の考え方と実践 ~QOL 向上に、リハビリ栄養ケアプラン!~」が開催されます。
http://ishireha.yokochou.com/infohistory/20110709/20110709tirashi.pdf
以下、上記HPからの引用です。
私たちが支援し、ケアをしている人の中で、栄養状態が不良で栄養管理が不適切な人が少なくありません。このような人に積極的な機能訓練や活動を行うと栄養状態が悪化して、筋力、持久力もかえって低下する可能性があります。という視点から若林先生は、リハビリと栄養管理を併用するリハビリ栄養ケアプランは、訓練・活動単独の場合よりもADL やQOL の向上が期待できることについて講演されます。この機会に、低栄養状態による筋肉量の低下について知識を深め、栄養と運動・活動について一緒に考えてみましょう。
金沢周辺の方はよかったらご参加ください。申し込み先も上記HPを参照してください。
http://ishireha.yokochou.com/infohistory/20110709/20110709tirashi.pdf
以下、上記HPからの引用です。
私たちが支援し、ケアをしている人の中で、栄養状態が不良で栄養管理が不適切な人が少なくありません。このような人に積極的な機能訓練や活動を行うと栄養状態が悪化して、筋力、持久力もかえって低下する可能性があります。という視点から若林先生は、リハビリと栄養管理を併用するリハビリ栄養ケアプランは、訓練・活動単独の場合よりもADL やQOL の向上が期待できることについて講演されます。この機会に、低栄養状態による筋肉量の低下について知識を深め、栄養と運動・活動について一緒に考えてみましょう。
金沢周辺の方はよかったらご参加ください。申し込み先も上記HPを参照してください。
第1回日本リハ栄養研究会まであと半年
2011年12月3日(土)に神奈川歯科大学附属横浜クリニック7階大会議室で、第1回日本リハビリテーション栄養研究会を開催します。今日で開催まであと半年になりました。
目的は、リハビリテーション栄養学の研究、教育、臨床での普及と発展を図ることと、リハビリテーション栄養に関心を持つ人たちの学習、成長、交流を図ることの2つです。
リハ栄養に関心を持って下さる方は少しずつ増えている印象はあります。しかし、ごく少数派、ニッチであることは確かです。今年のリハ関連学会で臨床栄養関連の演題はPT学会では10弱ありますが、OT学会では1つもありません。11月2-3日に延期となったリハ医学会でも栄養のセッションはなくなってしまいました。
そこでリハ栄養に関心を持つ人たちのコミュニティを作りたいと考えて、今年立ち上げることに決めました。学術的にはまったくこれからの領域ですので、当分の間は学会ではなく研究会として活動していくつもりです。
研究会の組織つくり、12月3日の研究会準備、その前の9月23-24日の第1回リハ栄養合宿(こちらは身内?のみで開催して、目的はリハ栄養普及のコアになる人材発掘・交流と学習です)と、今年はリハ栄養研究会の準備、企画、運営にかなりのエネルギーを注ぐことになります。すでに一部の方からはかなりの支援をいただいていて、本当にありがたく思っています。
まだまだ準備中で具体的な内容について公開できる状態ではありませんが、ある程度まとまりましたら、このブログだけでなく日本リハ栄養研究会HPでもきちんと案内をさせていただきます。皆様のご参加の程よろしくお願い申し上げます。
ということで最近改めて、ドラッカーの「非営利組織の経営」を読みなおしています。この通りにはとてもできませんが、少しでも近付けるように頑張ります。資金源開拓は研究会の場合、会員開拓ですね。研究会と会員の成果を何とするかは、定量化できるものとできないものの両方を考えています。
http://www.diamond.co.jp/book/9784478307052.html
目次
日本版へのまえがき
まえがき
第1部 ミッションとリーダーシップ
第1章 ミッション
ミッションは行動本位
ミッションの具体化
ミッションの三本柱
第2章 イノベーションとリーダーシップ
変化は機会
イノベーションを成功させるために
リーダーを見つける
リーダーの役割
リーダーは自らをつくりあげる
バランスをとる
リーダーがしてはならないこと
第3章 目標の設定 ヘッセルバインとの対話
機会のターゲット
ボランティアのトレーニング
人口構造の変化を先取りする
第4章 リーダーの責任 マックス・ドプリーとの対話
人の可能性を引き出す
機会を提供する
チームづくり
第5章 リーダーであるということ まとめとしてのアクション・ポイント
ミッションを見直す
長期目標からスタートする
成果を中心に据える
組織の模範となる
市民社会をつくる
第2部 マーケティング、イノベーション、資金源開拓
第1章 マーケティングと資金源開拓
非営利組織のマーケティング
資金源開拓の戦略
第2章 成功する戦略
行動志向の戦略
改善のための戦略
定性的な目標設定
戦略のステップ
気をつけるべきこと
イノベーションの機会
イノベーションの条件
犯しやすい間違い
第3章 非営利組織のマーケティング戦略 フィリップ・コトラーとの対話
マーケティングと販売の違い
マーケティングの三つのステップ
非営利組織のニッチ戦略
マーケティングが求められる理由
マーケティングの成果を測る
第4章 資金源の開拓 ダトレイ・ハフナーとの対話
気にかけてくれる人たち
募金を集める名人
長期的な関係を築く
マーケットごとの戦略
ボランティアという基盤
第5章 非営利組織の戦略 まとめとしてのアクション・ポイント
戦略の重要性を知る
人をトレーニングする
廃棄のシステムをつくる
第3部 非営利組織の成果
第1章 非営利組織にとっての成果
成果を定義する
多様な関係者
長期の目標への合意
大義と経済性
第2章 「してはならないこと」と「しなければならないこと」
してはならないこと
しなければならないこと
権限委譲のルール
基準の設定
人を活かす
第3章 成果をあげるための意思決定
何のための決定か
意思決定のリスク
真摯な不同意
意見の対立を利用する
決定が意図に終わる四つの原因
第4章 学校の改革 アルバート・シャンカーとの対話
生徒がどう学ぶべきか
公立学校を救う
長期の目標と短期の目標
第5章 成果が評価基準 まとめとしてのアクション・ポイント
成果のあるところに資源を投入する
成果を明らかにする
成果に責任をもつ
第4部 ボランティアと理事会
第1章 人事と組織
人事の原則
人を育てる
強みに焦点を合わせる
ミッションを感じさせる
リーダーを育てる
チームを編成する
トップの継承
第2章 理事会とコミュニティ
非営利組織の理事会
ツーウェイ・リレーション
第3章 ボランティアから無給のスタッフへの変身 レオ・バーテルとの対話
パートナーとしてのボランティア
動機づけ
理事会の活性化
人としての尊厳
第4章 理事会の役割 デヴィッド・ハバードとの対話
理事の役割
CEOの仕事
強力な理事会をもつ
第5章人のマネジメント まとめとしてのアクション・ポイント
非営利組織に特有の問題
仕事と成果を明確にする
トップの仕事を知る
第5部 自己開発
第1章 自らの成長
責任ある仕事
成果をもたらすもの
第2章 何によって憶えられたいか
働く環境を知る
所を得る
強みを生かす─
成長の原理
「何によって憶えられたいか」という問いかけ
第3章 第二の人生としての非営利組織 ロバート・バフォードとの対話
季節の変化
世界を広げる
第4章_ 非営利組織における女性の活躍 ロクサンヌ・スピッツァーレーマンとの対話
男性社会での女性役員
成果の評価
自己開発に力を貸す
第5章 自らを成長させるということ まとめとしてのアクション・ポイント
自ら自分の人生を設計する
能力向上の方法を知る
訳者あとがき
索引
目的は、リハビリテーション栄養学の研究、教育、臨床での普及と発展を図ることと、リハビリテーション栄養に関心を持つ人たちの学習、成長、交流を図ることの2つです。
リハ栄養に関心を持って下さる方は少しずつ増えている印象はあります。しかし、ごく少数派、ニッチであることは確かです。今年のリハ関連学会で臨床栄養関連の演題はPT学会では10弱ありますが、OT学会では1つもありません。11月2-3日に延期となったリハ医学会でも栄養のセッションはなくなってしまいました。
そこでリハ栄養に関心を持つ人たちのコミュニティを作りたいと考えて、今年立ち上げることに決めました。学術的にはまったくこれからの領域ですので、当分の間は学会ではなく研究会として活動していくつもりです。
研究会の組織つくり、12月3日の研究会準備、その前の9月23-24日の第1回リハ栄養合宿(こちらは身内?のみで開催して、目的はリハ栄養普及のコアになる人材発掘・交流と学習です)と、今年はリハ栄養研究会の準備、企画、運営にかなりのエネルギーを注ぐことになります。すでに一部の方からはかなりの支援をいただいていて、本当にありがたく思っています。
まだまだ準備中で具体的な内容について公開できる状態ではありませんが、ある程度まとまりましたら、このブログだけでなく日本リハ栄養研究会HPでもきちんと案内をさせていただきます。皆様のご参加の程よろしくお願い申し上げます。
ということで最近改めて、ドラッカーの「非営利組織の経営」を読みなおしています。この通りにはとてもできませんが、少しでも近付けるように頑張ります。資金源開拓は研究会の場合、会員開拓ですね。研究会と会員の成果を何とするかは、定量化できるものとできないものの両方を考えています。
http://www.diamond.co.jp/book/9784478307052.html
目次
日本版へのまえがき
まえがき
第1部 ミッションとリーダーシップ
第1章 ミッション
ミッションは行動本位
ミッションの具体化
ミッションの三本柱
第2章 イノベーションとリーダーシップ
変化は機会
イノベーションを成功させるために
リーダーを見つける
リーダーの役割
リーダーは自らをつくりあげる
バランスをとる
リーダーがしてはならないこと
第3章 目標の設定 ヘッセルバインとの対話
機会のターゲット
ボランティアのトレーニング
人口構造の変化を先取りする
第4章 リーダーの責任 マックス・ドプリーとの対話
人の可能性を引き出す
機会を提供する
チームづくり
第5章 リーダーであるということ まとめとしてのアクション・ポイント
ミッションを見直す
長期目標からスタートする
成果を中心に据える
組織の模範となる
市民社会をつくる
第2部 マーケティング、イノベーション、資金源開拓
第1章 マーケティングと資金源開拓
非営利組織のマーケティング
資金源開拓の戦略
第2章 成功する戦略
行動志向の戦略
改善のための戦略
定性的な目標設定
戦略のステップ
気をつけるべきこと
イノベーションの機会
イノベーションの条件
犯しやすい間違い
第3章 非営利組織のマーケティング戦略 フィリップ・コトラーとの対話
マーケティングと販売の違い
マーケティングの三つのステップ
非営利組織のニッチ戦略
マーケティングが求められる理由
マーケティングの成果を測る
第4章 資金源の開拓 ダトレイ・ハフナーとの対話
気にかけてくれる人たち
募金を集める名人
長期的な関係を築く
マーケットごとの戦略
ボランティアという基盤
第5章 非営利組織の戦略 まとめとしてのアクション・ポイント
戦略の重要性を知る
人をトレーニングする
廃棄のシステムをつくる
第3部 非営利組織の成果
第1章 非営利組織にとっての成果
成果を定義する
多様な関係者
長期の目標への合意
大義と経済性
第2章 「してはならないこと」と「しなければならないこと」
してはならないこと
しなければならないこと
権限委譲のルール
基準の設定
人を活かす
第3章 成果をあげるための意思決定
何のための決定か
意思決定のリスク
真摯な不同意
意見の対立を利用する
決定が意図に終わる四つの原因
第4章 学校の改革 アルバート・シャンカーとの対話
生徒がどう学ぶべきか
公立学校を救う
長期の目標と短期の目標
第5章 成果が評価基準 まとめとしてのアクション・ポイント
成果のあるところに資源を投入する
成果を明らかにする
成果に責任をもつ
第4部 ボランティアと理事会
第1章 人事と組織
人事の原則
人を育てる
強みに焦点を合わせる
ミッションを感じさせる
リーダーを育てる
チームを編成する
トップの継承
第2章 理事会とコミュニティ
非営利組織の理事会
ツーウェイ・リレーション
第3章 ボランティアから無給のスタッフへの変身 レオ・バーテルとの対話
パートナーとしてのボランティア
動機づけ
理事会の活性化
人としての尊厳
第4章 理事会の役割 デヴィッド・ハバードとの対話
理事の役割
CEOの仕事
強力な理事会をもつ
第5章人のマネジメント まとめとしてのアクション・ポイント
非営利組織に特有の問題
仕事と成果を明確にする
トップの仕事を知る
第5部 自己開発
第1章 自らの成長
責任ある仕事
成果をもたらすもの
第2章 何によって憶えられたいか
働く環境を知る
所を得る
強みを生かす─
成長の原理
「何によって憶えられたいか」という問いかけ
第3章 第二の人生としての非営利組織 ロバート・バフォードとの対話
季節の変化
世界を広げる
第4章_ 非営利組織における女性の活躍 ロクサンヌ・スピッツァーレーマンとの対話
男性社会での女性役員
成果の評価
自己開発に力を貸す
第5章 自らを成長させるということ まとめとしてのアクション・ポイント
自ら自分の人生を設計する
能力向上の方法を知る
訳者あとがき
索引
2011年6月2日木曜日
第3回神奈川NST合宿のご案内
10月8日(土)12:30から10月9日(日)13:40まで第3回神奈川NST合宿が、KKR江ノ島ニュー向洋で開催されます。
これは神奈川NST専門療法士連絡会が企画している、NST専門療法士取得後の学習、成長、交流の機会です。そのため、参加資格はNST専門療法士取得者に限定されます。昨年の第2回は全国からNST専門療法士の参加がありました。今回まだ、若干参加枠が残っています。私は10月8日の夕方から参加予定です。プログラムは下記のポスターを参照してください。
参加希望の方は、
http://bit.ly/kBe8D5
にアクセス後、全項目ご入力ください。申し込み後に下記に指定させていただいた振込口座に入金していただき、入金が確認された時点で、申し込みは確定となります。
◆振込先 ゆうちょ銀行 店名: 〇五八店 店番: 058 口座番号: 普通預金6877216
口座名義:「神奈川NST専門療法士連絡会」( カナガワエヌエスティーセンモンリョウホウシレンラクカイ)
NST専門療法士の皆様のご参加の程、よろしくお願いいたします。
ESPEN-LLLに学ぶ
日本静脈経腸栄養学会の学会誌「静脈経腸栄養」の前号と最新号で「ESPEN-LLLに学ぶ前編・後編」という特集記事が組まれています。前編はJ-stageで全文PDFファイルで見ることができます。後編もいずれ見れるようになるはずです。
http://www.jstage.jst.go.jp/browse/jjspen/26/2/_contents/-char/ja/
ESPENのLLLは臨床栄養の学習ツールとしてとても有用ですが、英語のHPしかないことがやや難点でした。
http://lllnutrition.com/
今回、一部のTopicだけですが日本語で読むことができますので、他の教材では学ぶことが難しい最新の臨床栄養の知識を知ることができます。後編ではこのブログでもよく取り上げているサルコペニアや悪液質、前悪液質に関する記載もあります。ぜひ多くの方に読んでいただきたいと思います。
前編のみ目次を掲載しておきます。
特集:ESPEN-LLLに学ぶ(前編)
ESPEN-LLLプログラムについて 648-650
谷口 正哲
Topic 8 成人における経口摂取と経腸栄養 651-675
福島 亮治, 佐々木 雅也, Johann OCKENGA, Kristina NORMAN, Luzia VALENTINI
Topic 9 静脈栄養入門 677-702
竹山 廣光, 谷口 正哲, Federico BOZZETTI, Andre Van GOSSUM, Asuncion BALLARIN, Viviane LIEVIN, Stefan MÜHLEBACH, Alessandro LAVIANO, Alessio MOLFINO
Topic 13 肝疾患に対する栄養サポート 703-711
石橋 生哉, Jens KONDRUP
Topic 14 膵疾患の栄養管理 713-722
栗山 とよ子, Rémy MEIER, Johann OCKENGA
Topic 17 周術期の栄養管理 723-735
小山 諭, 森 直治, Olle LJUNGQVIST, Ken FEARON, Mattias SOOP, CHC DEJONG
http://www.jstage.jst.go.jp/browse/jjspen/26/2/_contents/-char/ja/
ESPENのLLLは臨床栄養の学習ツールとしてとても有用ですが、英語のHPしかないことがやや難点でした。
http://lllnutrition.com/
今回、一部のTopicだけですが日本語で読むことができますので、他の教材では学ぶことが難しい最新の臨床栄養の知識を知ることができます。後編ではこのブログでもよく取り上げているサルコペニアや悪液質、前悪液質に関する記載もあります。ぜひ多くの方に読んでいただきたいと思います。
前編のみ目次を掲載しておきます。
特集:ESPEN-LLLに学ぶ(前編)
ESPEN-LLLプログラムについて 648-650
谷口 正哲
Topic 8 成人における経口摂取と経腸栄養 651-675
福島 亮治, 佐々木 雅也, Johann OCKENGA, Kristina NORMAN, Luzia VALENTINI
Topic 9 静脈栄養入門 677-702
竹山 廣光, 谷口 正哲, Federico BOZZETTI, Andre Van GOSSUM, Asuncion BALLARIN, Viviane LIEVIN, Stefan MÜHLEBACH, Alessandro LAVIANO, Alessio MOLFINO
Topic 13 肝疾患に対する栄養サポート 703-711
石橋 生哉, Jens KONDRUP
Topic 14 膵疾患の栄養管理 713-722
栗山 とよ子, Rémy MEIER, Johann OCKENGA
Topic 17 周術期の栄養管理 723-735
小山 諭, 森 直治, Olle LJUNGQVIST, Ken FEARON, Mattias SOOP, CHC DEJONG
2011年6月1日水曜日
ALS診断時の栄養状態は生存期間の予測因子
ALS:筋萎縮性側策硬化症診断時の栄養状態は生存期間の予測因子となるという論文を紹介します。
Marin B, et al: Alteration of nutritional status at diagnosis is a prognostic factor for survival of amyotrophic lateral sclerosis patients. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2011 Jun;82(6):628-34.
下記のHPで全文PDFで見ることができます。
http://jnnp.bmj.com/content/82/6/628.full.pdf
ALS診断時に5%以上の体重減少や1以上のBMI低下を認める場合には、生命予後が有意に短いという結果です。それ以上の体重減少やBMI低下では、さらに予後が悪くなります。経過中の低栄養を認める場合も、生命予後が短くなります。
低栄養の場合に予後が悪いことは多くの疾患で明らかになっていますが、ALSでも同様でした。今後は栄養介入で生命予後が改善するかどうかの介入研究が望まれます。ただ、ALS患者でのランダム化比較試験は、倫理面も考慮すると容易ではないと思います。
Abstract
Objectives The aims were to analyse changes in nutritional parameters from diagnosis of amyotrophic lateral sclerosis (ALS) to death and to assess their relationships with survival at the time of diagnosis and during follow-up.
Methods 92 ALS patients were included and clinically assessed every 3months (ALS functional rating scale, manual muscular testing, forced vital capacity, weight, BMI, percentage weight loss). Bioimpedance was performed to evaluate body composition (fat-free mass, fat mass and hydration status) and phase angle. Survival analyses were performed from diagnosis to death or censoring date using a Cox model.
Results The evolution of nutritional parameters in ALS patients was marked by significant decreases in weight, BMI, fat-free mass and phase angle, and increased fat mass. The authors identified an adjusted 30% increased risk of death for a 5% decrease from usual weight at time of diagnosis (RR 1.30; 95% CI 1.08 to 1.56). During follow-up, the authors identified adjusted 34% (95% CI 18% to 51%) and 24% (95% CI 13% to 36%) increased risks of death associated with each 5% decrease in usual weight and each unit decrease in usual BMI, respectively (p<0.0001). Malnutrition during the course was related to a shorter survival (p=0.01), and fat mass level was associated with a better outcome (RR 0.90 for each 2.5kg fat mass increment).
Conclusions Nutritional parameters of ALS patients worsened during evolution of the disease, and worse nutritional status (at time of diagnosis or during the course) was associated with a higher mortality. This study offers some justification for studying the use of therapeutic nutritional intervention to modify the survival of ALS patients.
Marin B, et al: Alteration of nutritional status at diagnosis is a prognostic factor for survival of amyotrophic lateral sclerosis patients. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2011 Jun;82(6):628-34.
下記のHPで全文PDFで見ることができます。
http://jnnp.bmj.com/content/82/6/628.full.pdf
ALS診断時に5%以上の体重減少や1以上のBMI低下を認める場合には、生命予後が有意に短いという結果です。それ以上の体重減少やBMI低下では、さらに予後が悪くなります。経過中の低栄養を認める場合も、生命予後が短くなります。
低栄養の場合に予後が悪いことは多くの疾患で明らかになっていますが、ALSでも同様でした。今後は栄養介入で生命予後が改善するかどうかの介入研究が望まれます。ただ、ALS患者でのランダム化比較試験は、倫理面も考慮すると容易ではないと思います。
Abstract
Objectives The aims were to analyse changes in nutritional parameters from diagnosis of amyotrophic lateral sclerosis (ALS) to death and to assess their relationships with survival at the time of diagnosis and during follow-up.
Methods 92 ALS patients were included and clinically assessed every 3months (ALS functional rating scale, manual muscular testing, forced vital capacity, weight, BMI, percentage weight loss). Bioimpedance was performed to evaluate body composition (fat-free mass, fat mass and hydration status) and phase angle. Survival analyses were performed from diagnosis to death or censoring date using a Cox model.
Results The evolution of nutritional parameters in ALS patients was marked by significant decreases in weight, BMI, fat-free mass and phase angle, and increased fat mass. The authors identified an adjusted 30% increased risk of death for a 5% decrease from usual weight at time of diagnosis (RR 1.30; 95% CI 1.08 to 1.56). During follow-up, the authors identified adjusted 34% (95% CI 18% to 51%) and 24% (95% CI 13% to 36%) increased risks of death associated with each 5% decrease in usual weight and each unit decrease in usual BMI, respectively (p<0.0001). Malnutrition during the course was related to a shorter survival (p=0.01), and fat mass level was associated with a better outcome (RR 0.90 for each 2.5kg fat mass increment).
Conclusions Nutritional parameters of ALS patients worsened during evolution of the disease, and worse nutritional status (at time of diagnosis or during the course) was associated with a higher mortality. This study offers some justification for studying the use of therapeutic nutritional intervention to modify the survival of ALS patients.
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