2012年5月11日金曜日

COPDの骨格筋に対する薬物療法

COPDの骨格筋に対する薬物療法の展望に関するレビュー論文を紹介します。

Michael C Steiner, Ronenn Roubenoff, Ruth Tal-Singer, Michael I Polkey. Prospects for the development of effective pharmacotherapy targeted at the skeletal muscles in chronic obstructive pulmonary disease: a translational review. Thorax doi:10.1136/thoraxjnl-2012-201765

ただ、このブログで紹介するのは二次性サルコペニア(ミオペニア)の評価、鑑別の重要性の部分だけです。
COPDでは上記の図のように、筋肉量や筋力が時間の経過とともに低下することが多いです。
Aは加齢によるサルコペニアの影響です。Bは加齢によるサルコペニアに加え、身体活動が少ない場合の経過です。加齢+活動(廃用)のサルコペニアともいえます。

CはCOPDで悪液質になった場合の経過です。全身炎症を認めるため、筋肉量と筋力低下が加速します。疾患(悪液質)のサルコペニアといえます。DはCOPDの急性増悪や誤嚥性肺炎などのイベントを繰り返すことで筋肉量と筋力低下が進行します。侵襲・活動・栄養が重複したサルコペニアともいえます。

Eはもともと筋肉量・筋力が少なく、疾患による影響をあまり受けない場合です。問題は、Xの時点で筋肉量・筋力を1回評価しただけでは、A~E(C~E)のどのタイプかを鑑別できないということです。そのためより正確な診断とバイオマーカーが重要となります。

二次性サルコペニア(ミオペニア)の評価、鑑別の重要性について、これだけ具体的に執筆してある論文は少ないと思います。現時点では医療面接、診察、検査で、筋肉量・筋力・身体機能とともに病歴、疾患の状態、栄養状態などを評価することで鑑別しています。実際には重複が多いですが。

筋肉量の評価はDEXA、CT、MRI、BIAで可能ですが、筋肉量低下の原因までわかる検査機器やバイオマーカーが開発されれば、リハ栄養をかなり実践しやすくなると思います。そういった研究も重要ですね。私はできませんが…。

Abstract
Skeletal muscle dysfunction is a prevalent and clinically important systemic manifestation of chronic obstructive pulmonary disease (COPD) that predicts morbidity and mortality. Skeletal muscle retains its plasticity in response to anabolic stimuli such as exercise in COPD and is therefore a promising target for novel pharmacological therapies aimed at reducing disability and healthcare utilisation and improving mortality. In this article, we outline the steps the academic and pharmaceutical communities need to undertake for such therapeutic advances to be realised.

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