週刊医学界新聞の第2976号・2012年05月07日に、患者の「多様性」「個別性」に応える高齢者糖尿病のマネジメント、という座談会記事が掲載されています。
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02976_01
この中にサルコペニアに関する記載がありましたので、一部引用、紹介いたします。以下、引用です。
横野 高齢者の耐糖能低下や糖尿病は,加齢に伴って出現するインスリン分泌不全とインスリン抵抗性が要因です。最近では,加齢に伴う筋力低下や筋肉量減少を指す「サルコペニア(sarcopenia)」,さらに内臓脂肪が相対的に増加した「サルコペニック・オベシティ(sarcopenic obesity)」によってインスリン抵抗性が惹起されることも主因のひとつとして考えられていますね。
荒木 確かに欧米のデータでは,サルコペニック・オベシティや筋力低下がインスリン抵抗性や糖尿病と関連するという報告があります。しかし,それが日本人で本当に当てはまるかどうかは今後検討すべき課題だと思います。
われわれが行った高齢糖尿病患者の調査では,DXA法で評価した筋肉量の低下とインスリン抵抗性との直接の関連は見られません。ただし,糖尿病患者は非糖尿病患者と比して,筋力や身体能力が低下しやすいことがわかりました。療養指導の上でも注意すべきことでしょう。
以上、引用です。糖尿病患者の筋力や身体能力が低下しやすいのは、糖尿病性神経障害や糖尿病性筋萎縮症によるのでしょうか。糖尿病性筋萎縮症は神経障害によって生じるという記載が多いですが、糖尿病の慢性炎症による悪液質・サルコペニアでも生じえます。
糖尿病の運動療法として、従来は有酸素運動がもっぱら行われてきましたが、最近ではレジスタンストレーニングも有酸素運動と同程度有用と言われつつあります。サルコペニアの改善という点では、有酸素運動もよいですがレジスタンストレーニングをメインにすべきかと思います。
Frailty(虚弱)に関して紹介されている部分も引用します。以下、引用です。
横野 「虚弱」はどのように評価すればよいでしょうか。
荒木 明確な定義は定まっていませんが,Friedらは(1)体重減少,(2)疲労感,(3)握力の低下,(4)歩行速度の低下,(5)活動度の低下,の5項目を挙げ,そのうち3項目以上当てはまる場合に「虚弱」に該当するとしています。
「虚弱」はもともと低栄養,サルコペニア,心理状態の悪化を含む概念ですが,最近では,認知機能低下,社会的サポート不足,多剤併用などを含めた多次元的な「虚弱」の概念が提唱され,それが1年間の死亡率を最もよく予測すると言われています。
以上、引用です。虚弱の概念は老年医学の世界以外ではあまり知られていないようです。でもサルコペニアや低栄養との関連がある重要な概念です。リハでもDisability(障害)の前段階として、この時点でのリハ栄養介入が重要だと考えます。
2012年5月7日月曜日
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