2012年2月2日木曜日

回復期リハ病棟でのリハNST

最近、回復期リハ病院・病棟でNSTを立ち上げたという話をいくつか聞きます。回復期リハ病棟の入院患者の栄養管理をNSTで考えることで、栄養管理の質がより向上すると考えます。PT・OT・STが栄養に関心をもつきっかけにもなります。回復期リハ病棟でもNSTは重要です。

しかし、急性期病院(特に大病院)と同じシステムのNSTを、回復期リハ病棟に導入するのがベストでしょうか。また、リハ栄養的にはNSTよりリハNSTを回復期リハの現場で実践してほしいと考えます。

リハNSTの内容の重要なポイントは、下記の2点です。

①現在のリハの内容やサルコペニアを考慮して、エネルギー消費量や栄養ゴールの設定を行い、エネルギー必要量や摂取方法を決める。(リハからみた栄養)

②現在の栄養状態と栄養管理を考慮して、リハのゴールを設定し、機能訓練の内容、質と量を決める。 (栄養からみたリハ)

NSTでは①は当然検討しますが、残念ながら②を検討することはほとんどないと思います。②は栄養療法ではなくリハを検討するので、NSTではなくリハチームのリハカンファレンスで行っていることです。

リハNSTは①、②の両方を行うことが必要です。そのためには、リハチームに管理栄養士もしくはNST専門療法士が参加して、リハカンファレンスで①、②とも検討するのが現状ではベストだと私は考えます。

回復期リハ病棟では、医師、看護師、PT・OT・STが最初から病棟専属のことが多いです。そのため急性期病院に多い院内遊軍的なNSTのメンバーと比べると、担当病棟の患者をよく理解しています。改めてチーム全員で入院患者のところに回診する必要も少ないです。

ここに管理栄養士もしくはNST専門療法士が参加してリハカンファレンスを行えば、栄養とリハのゴールを共有し、リハからみた栄養と、栄養からみたリハのプランをそれぞれ決めることが可能です。実際、朝倉病院ではそのようなリハ栄養カンファレンスを行っています。NST専門療法士はいませんが…。

回復期リハ病棟では、NSTを立ち上げるよりも従来からあるリハカンファレンスに管理栄養士が参加して、リハ栄養カンファレンスとするほうが容易だと思います。まずはここから始めて、次にNSTではなくリハNSTを立ち上げるという順番でいかがでしょうか。

PT・OT・STで栄養に関心をもち学習するきっかけとしてNSTは有用です。一部のPT・OT・STにはNST専門療法士を目指してほしいです。NST専門療法士を取得したPT・OT・STがリハチーム、リハカンファレンスに参加することで、リハ栄養の質は向上するはずです。

一方、回復期リハ病棟に勤務する管理栄養士には、リハカンファレンスに呼ばれなくても、すべてのリハカンファレンスに押しかけて参加するくらいの積極性を望みます。PT・OT・STでどのくらいエネルギーを消費しているかを熟慮したうえで、最適な栄養ケアプランを立案できる管理栄養士はどのくらいいるでしょうか。

機能訓練室での栄養投与を積極的に進めている管理栄養士はもっと少ないでしょう。急性期病院での栄養管理と、回復期リハ病棟でのリハ栄養管理は別物です。管理栄養士のほうからリハ栄養に参画しなければ、今後はPT・ST・OTがリハ栄養に参画していきます。PT・ST・OTのNST専門療法士も増えてきます。

そうなったら、回復期リハ病棟で管理栄養士は、給食管理と栄養指導だけすれば十分という時代になるかもしれません。管理栄養士がリハ栄養カンファレンスに参加しなくても、①と②を実践できるようになりますので。それでよいのでしょうか。一部の管理栄養士には、危機感が足りない気がします。

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