梅田 望夫著:ウェブ進化論─本当の大変化はこれから始まる、ちくま新書を紹介します。
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480062857/
5年前のベストセラー書籍ですが、今読んでも5年前と比較して、本当の大変化が起こりつつあることを認識できます。5年前にはメール、ML、ブログはありましたが、SNSはこれからという時期でした。もちろんツイッターもフェイスブックもありません。次の5年間もきっと大きな変化が起こるだろうということが推測されます。
「インターネットの普及がもたらした学習の高速道路と大渋滞」という理論にはなるほどと感じました。どの領域であってもネットを使用して集中的に学習することで、短期間でプロの一歩手前までは行くことができる時代になりました。これは自分がリハ栄養とサルコペニアの学習をネットで行っていても実感します。
問題はプロの一歩手前からどう抜け出すかというところにある、というのが大渋滞という意味です。「大渋滞を抜け出すためには何が必要なのか」が次のブレイクスルーにつながるそうです。その方法の一つとして、異質なものと異質なものを組み合わせていけば、「個」にとってはさらに無限の可能性が広がるとあります。
医療人の場合、主要な領域であればおそらくどこでも、情報に関してはネットで短期間に集中して学習することが可能です。いわゆる「物知り」になることはできるはずです。なかにはどの領域の「学習の高速道路」を走り抜ければよいのかがわからずに、高速道路の入り口で立ち止まっている人もいるかもしれませんが・・・。領域の選択は難しい課題ですが、なかなか選択できない場合には、走りながら考えてもよいと思います。
大渋滞から抜け出して医療人としてプロになるには、経験学習が大きいと私は感じています。経験学習モデルをきちんと数多く回すこと(質・量ともに)、その中で学習の高速道路を走り続けることがそろえば、プロになれるはずです。そのためには自分のいる場所・環境を考慮しなければいけません。領域にあわせて環境を変えるもよし、環境にあわせて領域を変えるもよし。
「大きく異なる日米ブログ文化」では、日本の専門家はおそろしく物知りで、その代わりアウトプットが少ないとあります。一方、米国の専門家はあんまりモノを知らないが、どんどんアウトプットを出してくるそうです。
これはブログだけでなく、研究発表・論文でも言える可能性があります。少なくとも日本の医療人のアウトプットは、平均でみると少ない印象です。一部の医療人だけが数多くのアウトプットを出しています。私は米国流であまりモノを知らなくてもアウトプットを出す方向でいきたいと思います。
目次
序章 ウェブ社会―本当の大変化はこれから始まる
第1章 「革命」であることの真の意味
第2章 グーグル―知の世界を再編成する
第3章 ロングテールとWeb2.0
第4章 ブログと総表現社会
第5章 オープンソース現象とマス・コラボレーション
第6章 ウェブ進化は世代交代によって
終章 脱エスタブリッシュメントへの旅立ち
0 件のコメント:
コメントを投稿