2011年11月24日木曜日

自己実現系ワーカホリック

大野正和氏のブログ「草食系」のための日本的経営論を紹介します。

http://www.geocities.jp/japankaroshi/index.html

過労死問題などを研究テーマとされていた方ですが、昨年50歳で急逝されたそうです。とても残念です。

この中に「自己実現系ワーカホリック」分析と「やりたいこと」言説の抜書きシリーズがあります。このうち、その1の中にある「自己実現系ワーカホリック」について引用します。以下、引用です。

「自己実現系ワーカホリック」
個人性が強い「自由闊達」な仕事でありながら、いや、むしろそうであるがゆえに、「働きすぎ」が生じる
1. 趣味性:「好きなこと」=趣味を仕事にもち込んでいる
「好きなこと」や「やりたいこと」を仕事にすることが望ましい
2. ゲーム性:仕事における裁量性や自律性の高さ(しばしば疑似的)に基づいて「ゲーム」に没入していく
裁量性や創意工夫の余地がある仕事は希少価値をもつものとして憧憬の対象
3. 奉仕性:顧客への最大限の奉仕という気高い動機自体が、「働きすぎ」を生み出す
自分の生きる意味を他者からの承認によって見出し、「人の役に立つこと」を求める
4. サークル性・カルト性:仕事の意義についてハイテンションな、しばしば疑似宗教的な意味づけがなされ、高揚した雰囲気の中で仕事にのめり込む
「夢の実現」などの価値に向かって、瞬発的なハイテンションにもっていく
日本企業は、安定雇用の保障や高賃金という代価なしに、労働者から高水準のエネルギー・能力・時間を動員したいという動機を強く有している
その実現のために、「自己実現系ワーカホリック」を生み出すことが、きわめて好都合
以上、引用です。

日本企業によって生み出された「自己実現系ワーカホリック」であれば、過労死につながる恐れが少なからずあります。企業はかなり上手に労働者を働かせているという印象があります。当然かもしれませんが…。ただ、医療人も「自己実現系ワーカホリック」になりやすい環境にあると思います。

趣味性:やりたいことを仕事にしていることが少なくありません。
ゲーム性:職種によりますが、裁量性や創意工夫の余地は比較的あるほうです。
奉仕性:医療人に奉仕性がないわけがありません。
サークル性・カルト性:これは病院・施設や学会・研究会によりけりですが、一部の組織は高揚した雰囲気を持っています。

振り返ってみると自分も「自己実現系ワーカホリック」という気もします。上記の4つの要素はすべて持っています。ただ、4つの要素が揃っていることが問題ではなく、ワーカホリックになってしまうことが問題です。4要素を持ちつつも、ワークライフバランスをしっかり保つ心の工夫が重要だと感じますが、容易ではないかもしれません。まずはこの言葉を知って自覚します。

「自己実現系ワーカホリック」をトリアージすると、休みや趣味を楽しんでいる時は仕事を忘れるのが緑信号、休みや趣味を楽しんでいる時も仕事のことを考えるのは黄信号、休みや趣味のときに早く仕事に行きたいと考えて仕事に行ってしまうときもあるのは赤信号、休みや趣味がなく人生は仕事と睡眠・食事のみというのは黒信号です。

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