2011年11月14日月曜日

脳卒中回復期患者経口摂取例のREE

リハ栄養に関連するエネルギー消費量の論文を検索しているのですが、なかなかよい論文が見つかりません。そこでまずはJJRMに掲載された論文を紹介します。

川上 途行他:脳卒中回復期患者経口摂取例における安静時エネルギー消費量The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine Vol. 48 (2011) , No. 9 pp.623-627

脳卒中回復期患者で経口摂取されている方の場合、ハリス・ベネディクトの式より算出した基礎エネルギー量と簡易熱量計で計測した安静時エネルギー消費量には有意な差はないという論文です。つまり、簡易熱量計がなくても70歳以上の方であっても、ハリス・ベネディクト式で計算して大きな問題はないといえます。

回復期ではストレス係数は1.0のことが多いと思われますので、あとは活動係数をいくつにすればよいかの目安がきちんとできれば、脳卒中回復期患者経口摂取例では適切な栄養管理ができると考えます。

以前の書籍では機能訓練室でリハをしている患者の活動係数は1.3~1.5と書きましたが、今は1.3~1.7くらいかと思っています。軽労働で1.5、中労働で1.7くらいですので、患者によっては中労働程度の機能訓練をされている方もいるのではないかと推測しています。現状では体重などで栄養モニタリングしていくしかありませんが。

要旨:
【目的】脳卒中患者の回復期での栄養療法の基準に関する報告は少ない.今回我々は回復期リハビリテーション目的で入院した初回脳卒中患者の安静時エネルギー消費量 (以下REE) を測定し,ハリス・ベネディクトの式より算出した基礎エネルギー量 (以下BEE) と比較した.【対象ならびに方法】対象は当院に入院した初回脳卒中患者76 名 (年齢45~95 歳,平均69.1±11.9 歳)である.性別,病型,麻痺側,発症からREE測定日までの期間,嚥下障害の有無,麻痺の重症度を診療録より後方視的に調査した.REEは携帯用簡易熱量計を用い,2 時間の安静後3 分間の測定を計3 回行い,平均値を算出し,BEEと比較した.【結果】REEの平均値は1231.3±245.7 kcal/day,計算上のBEEの平均は1185.6±177.7 kcal/dayであり,両者に有意な差を認めなかった (paired t-test).REEをBEEで割った値の平均は104.3±16.4%であった.男性と女性,脳出血と脳梗塞,テント上とテント下,右片麻痺と左片麻痺,嚥下障害の有無の比較では,REE/BEEは有意な差を認めなかった.麻痺の重症度,ADLの介助量での層別化でも同様であった.【考察】回復期患者のREEは計算上のBEEはほぼ同等であり,これは回復期の脳卒中患者の栄養量,ストレス係数を決定する上で参考となる結果と考えられた.

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