2012年4月23日月曜日

在宅療養における栄養と筋肉量の指標に関する検討

一昨日、名古屋で開催された第4回多職種連携在宅医療研究会に参加、講演してきました。そこで大幸砂田橋クリニックの前田憲志先生より、「在宅療養における栄養と筋肉量の指標に関する検討」という特別講演がありました。

前田先生は腎臓、透析、在宅などの世界でとても高名な先生で現在、日本在宅医学会の代表理事をされています。

日本在宅医学会HP
http://www.zaitakuigakkai.org/

前田先生の特別講演で、学びになることが多かったので、一部紹介させていただきます。

・在宅医療では「体力を増強」して生命力を引き出す「基盤整備」が、多くの病態の治療効果を高める上で重要である。

・計算による栄養素の投与のみではなく、「実際に摂取された蛋白量」「筋肉量の変化」「エネルギー消費量(関節熱量測定)」を実測し。その成績を基に「リハビリ」「補気・補血薬」などで体力増強を図ることが在宅治療の第一歩である。

・保冷24時間畜尿検査(10度以下に保冷して保存しないと尿中の尿素窒素の分解が増えて正確な計測が困難になるため)による「尿中排泄量」から「蛋白摂取量」「筋肉量の指標」などを正確に実測し多職種で共有する。

・保冷24時間畜尿検査で、1日蛋白摂取量、%クレアチニン産生速度(筋肉量の指標として)、尿量、1日食塩尿中排泄量、1日K尿中排泄量、1日リン尿中排泄量、1日Mg尿中排泄量、1日尿蛋白量、内因性クレアチニンクリアランスがわかる。

・食欲の増進として六君子湯(食欲増進ホルモンであるグレリンの分泌を期待)、ペリアクチン(抗セロトニン作用による食欲増進を期待)の使用を検討する。

・「栄養補給」がおこなわれ、「気力を強め」、「摂取蛋白の体蛋白への移行」が促進され易い状況を作り、更に「エネルギー産生を高める」基礎的条件を整備して行うリハビリテーションの効果は大きい。

・蛋白摂取量、代謝量、筋肉量の指標(%クレアチニン産生速度)を測定して、効果を確認・共有する。

腎臓・透析・在宅の視点からのリハ栄養の実践といえるお話でした。リハ栄養は本当に学際的で、多職種、多くの視点で進めれば進めるほど、より多くの成果が臨床・研究・教育で得られると改めて感じました。

日本リハビリテーション栄養研究会の会員数もおかげさまで、昨日で1000人を超えました。より多職種、多くの視点が研究会にほしいので、ぜひ多くの方に参加していただきたいと思います。こちらもよろしくお願いいたします。

日本リハビリテーション栄養研究会HP
https://sites.google.com/site/rehabnutrition/

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