2012年3月25日日曜日

骨格筋の神経栄養因子の役割

Facebookで宇野さんに教えていただいた論文を紹介します。骨格筋における神経栄養因子の役割のレビュー論文です。

Kunihiro Sakuma and Akihiko Yamaguchi: The Recent Understanding of the Neurotrophin's Role in Skeletal Muscle Adaptation. Journal of Biomedicine and BiotechnologyVolume 2011 (2011), Article ID 201696, 12 pages doi:10.1155/2011/201696

豊橋技術科学大学の佐久間邦弘先生の論文です。佐久間先生の最近の実績は、佐久間研究室のHPの最新情報で確認できます。ここに掲載されている論文も順番に読んでいきたいですね。

http://www.health.tut.ac.jp/sakuma/news.html

論文自体は下記のHPで全文見ることができます。

http://www.hindawi.com/journals/jbb/2011/201696/

神経栄養因子は運動ニューロンの生存や機能だけでなく、筋芽細胞や筋線維の発達と分化にも関与しています。運動など筋肉収縮はBNDF(脳由来神経栄養因子)のmRNAと蛋白を骨格筋で産生します。BNDFは糖代謝を強化したり、ミオカインとして脳疾患(アルツハイマー病やうつ病)を改善させたりする役割をもつ可能性があります。

神経筋疾患の成人では、神経栄養因子の発現の変化を認め、こういった疾患における神経栄養因子の役割も解明されはじめています。サルコペニアと神経栄養因子に関する記載も本文にあります。また、学習と記憶におけるBNDFの役割への関心も高まっています。

基礎医学の論文を読むのは相変わらず苦手ですが、少しずつ慣れなければと感じています。BNDFについては、以下の日本語論文もわかりやすいかと思います。

野藤 悠,諏訪雅貴,佐々木 悠,熊谷秋三:脳由来神経栄養因子(BDNF)の役割と運動の影響.健康科学 31、p49-59

https://qir.kyushu-u.ac.jp/dspace/bitstream/2324/13951/1/p049.pdf

Abstract
This paper summarizes the various effects of neurotrophins in skeletal muscle and how these proteins act as potential regulators of the maintenance, function, and regeneration of skeletal muscle fibers. Increasing evidence suggests that this family of neurotrophic factors influence not only the survival and function of innervating motoneurons but also the development and differentiation of myoblasts and muscle fibers. Muscle contractions (e.g., exercise) produce BDNF mRNA and protein in skeletal muscle, and the BDNF seems to play a role in enhancing glucose metabolism and may act for myokine to improve various brain disorders (e.g., Alzheimer's disease and major depression). In adults with neuromuscular disorders, variations in neurotrophin expression are found, and the role of neurotrophins under such conditions is beginning to be elucidated. This paper provides a basis for a better understanding of the role of these factors under such pathological conditions and for treatment of human neuromuscular disease.

8 件のコメント:

  1. 佐久間邦弘3/25/2012

    若林先生 私の論文を今回もご紹介頂き、ありがとうございます。ある程度の予備情報があると、読んでみようかな。。という気持ちになる方おられると感じます。前回紹介して頂いたJ Cachexia Sarcopenla Muscle のレビュー論文は、ダウンロード回数でトップになることできました。先生が紹介してくださったおかげて、特に日本国内からのアクセス数が増えたのではないかと予想してます。今後ともよろしくお願いします。

    返信削除
  2. 佐久間先生、今回も早々にコメントをくださり、どうもありがとうございます。Facebookでも紹介させていただきましたが、少なからず「いいね!」をいただいています。
    J Cachexia Sarcopenla Muscleのレビュー論文が、ダウンロード回数でトップというのは素晴らしいですね。この雑誌には読み応えのある論文が少なからず掲載されていますので。
    こちらこそ今後ともよろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。

    返信削除
    返信
    1. 佐久間邦弘3/25/2012

      若林先生 Facebookでもご紹介いただいてましたか。。重ね重ねありがとうございます。横浜市立大医学部って横浜市にあるんですか?今度パシフィコ横浜である日本抗加齢医学会総会のシンポジストにたまたま呼ばれ、6月22日(金曜)に行く予定です!先生は関連の学会では無かったでしょうか?J Cachexia Sarcopenia Muscleの件は、本当ラッキーでした。そのうち首位から陥落するのでは無いかと思いますが、次の投稿がしやすくなり良かったです(笑)

      削除
  3. 佐久間先生、どうもありがとうございます。
    横浜市立大医学部はもちろん横浜市にあります。八景島シーパラダイスのすぐ近くという絶好?のロケーションです(笑)。

    今年の日本抗加齢医学会総会はパシフィコ横浜だったのですね。参加したことはまだないのですが、今年のプログラムはかなり興味深いですね。6月22日の午後だけでも参加できるように調整してみます。貴重な情報をどうもありがとうございました。

    返信削除
  4. 若林先生 市立大だから横浜にあるに決まってますよね。相当ぼけた質問申し訳ありません。八景島ということは理学部と同じ場所なんですね。抗加齢医学会の件は、無理なさらないで下さいね。。。先生は僕とは違い、かなり多忙な印象があります。確定はしてませんが、僕の講演時間も25分程度だと思いますし。もし若林先生の関連学会だったら現地でお会いできるかも?と思っての発言ですから。

    返信削除
  5. 佐久間先生、どうもありがとうございます。理学系のキャンパスは金沢八景駅の近くにあり、医学部のキャンパスは福浦という八景島の近くになります。遠くはないのですが、別の場所です。
    抗加齢医学会の件ですが、せっかく近くで開催されますので、午前は病院で仕事、午後は学会参加のつもりで考えています。Autophagyも聞ければと思いましたので。よろしくお願い申し上げます。

    返信削除
    返信
    1. 佐久間邦弘3/27/2012

      若林先生 理学系のキャンパスとはちょっと違う場所にあるのですね。理学部に運動生理学関連講座があり、約12年ほど前に呼ばれて講演したことを覚えてます。
      抗加齢医学会のシンポは、主催者側が話して欲しい内容が具体的な予防法みたいなんですよね。。。
      もしオートファジーのことをあまり触れられない場合は、PPTを準備して個人的に先生へ説明させて頂きますね(笑)

      削除
  6. 佐久間先生、嬉しいお返事をどうもありがとうございます。
    抗加齢医学会のシンポジウムの件で、誤解を与えてしまい申し訳ありませんでした。

    佐久間先生が発表されるシンポジウムは「6.少年老い易く学成り難し~テストステロン医学の最先端2012」6月22日(金) 16:00~17:30の最初で「筋肉の抗加齢」というテーマですよね。

    この前に「5.三尺流れれば水清し~autophagyと老化」というシンポジウムが同じ会場(第3会場302)で14:30~16:00まであります。このシンポジウムを聞いてから佐久間先生の発表を拝聴できればという意味でした。大変失礼いたしました。

    返信削除