障害に関連した低エネルギー消費量・廃用症候群(DALEEDS)に関するレビュー論文を紹介します。
Rimmer, James H: Effects of Disability-Associated Low Energy Expenditure Deconditioning Syndrome (DALEEDS). Exercise and sport sciences reviews DOI: 10.1097/JES.0b013e31823b8b82
廃用症候群をより包括的に評価しようという考え方の下で、DALEEDSという新しい概念を提唱しています。図を提示できないので、言葉で説明してみます。
最初に障害を個人因子と環境因子にわけて(ICFでの使い方とはやや異なります)、個人因子は機能障害(麻痺、痙性、バランス)、二次障害(疼痛、疲労、うつ、体重増加、褥瘡)、雇用状態、その他としています。
それらの結果、身体不活動がおこり、サルコペニアや肥満が増えて、エネルギー消費量の低下が生じ、さらにサルコペニアや肥満になりやすくなるという悪循環が提示されています。また、サルコペニアや肥満の結果、体力低下や心臓代謝のリスク(インスリン感受性の低下など)が生じ、さらに身体機能や心機能が低下して、安静時間が増えてエネルギー消費量が低下します。
これらの悪循環の結果、ADL、参加、QOLなどが低下する一連のすべてをDALEEDSとしています。つまり、安静臥床=廃用というほど単純ではなく、より多くの要因が廃用に関連していて、特に江ネギ―消費量の低下を問題視しています。こう考えると対応としては運動(有酸素運動、筋トレ)や参加の機会を増やすことが重要となります。
ただし、この論文ではサルコペニアはもっぱら肥満と一緒に取り上げられています。日本の廃用症候群患者でもサルコペニア肥満を認めることはありますが、むしろ低栄養・るいそうを伴うサルコペニアのほうが問題となることが多いです。そのため、単純に運動、参加の機会を増やすだけでなく、栄養改善と同時に進めることが重要と考えます。
Abstract
People with neuromuscular disabilities have high rates of sedentary behavior predisposing them to severe deconditioning and significant health risk. We describe this as Disability-Associated Low Energy Expenditure Deconditioning Syndrome or DALEEDS, and propose new approaches for promoting light to moderate intensity physical activity in people with disabilities
2011年10月25日火曜日
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