週刊医学界新聞 第2971号 2012年03月26日で、今日から使える医療統計学講座【Lesson11】同等性・非劣性の解析の記事が掲載されています。
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02971_04
統計学的検定で統計学的有意差を検証するには、 p<0.05が1つの目安になります。一方、統計学的に同等であることを検証するには、p>0.05は目安になりません。これはあくまで統計学的有意差を検証できなかっただけであり、これで両群が同等かどうかはまったくわかりません。
今回は、同等性・非劣性の解析についてわかりやすく紹介されています。上記HPより引用です。「同等性を示すためにP値を用いることは禁じられています。"十分なサンプル数"で正確に同等だというために,同等性の解析にはP値ではなく信頼区間を用いる必要があります。」とあります。
ただし、このためには十分なサンプル数を確保することが必要になります。それは臨床研究を実施するうえでなかなか大変となるため、同等性研究の代替案として非劣性試験が行われるようになっています。以下、少し長いですが引用です。
「"非劣性"とは,すでに有効な治療薬が存在し,新薬は副作用が少ないなど既存薬よりも利点があるといった場合,既存薬に対し有効性において優越性が証明できなくても,劣っていないことが証明できればそれでよし,といった研究に使われます。同等性を示すマージンが両側であるのに対し,非劣性試験では,新薬が既存薬より劣っていないかどうかのみに注目し,新薬が既存薬より優れているという優越性が成り立っても成り立たなくてもよいので,信頼区間の片側のみに注目します。」
非劣性試験では、以下の3つを見ることができます。
優越性:"違いがない"という値(この場合はゼロ)を含まない。
同等性:臨床的に意味のある差の下限と上限(両側)のマージンの中にすべて入る。
非劣性:信頼区間の片方が非劣性マージン(片側)より小さい。
「優越性を目的として始められた研究であるのに,優越性が出なかったからと言って,途中から解釈が非劣性に変わっている研究をよく目にしますが,それはタブーです。」とあります。このような学会発表をよく見かけるのは私だけでしょうか。統計的有意差なし≠同等性だけでも、肝に銘じておきたいですね。
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