2015年11月25日水曜日

モダンフィジシャン:高齢者の摂食嚥下サポート

雑誌「モダンフィジシャン」の最新号(2015年12月号)で高齢者の摂食嚥下サポートの特集を企画しました。脳卒中モデルから高齢者モデルへのパラダイムシフトが必要です。執筆してくださった皆様に深謝いたします。多くの方に読んでほしいです。
http://shinkoh-igaku.jp/magazine/index.html
企画・編集:若林 秀隆 高齢者の摂食嚥下サポート
巻頭言(若林 秀隆)
■老嚥と摂食嚥下障害の原因
1.フレイルとサルコペニア(荒井 秀典)
2.老嚥(金久 弥生)
3.オーラルフレイル(糸田 昌隆)
4.サルコペニアの摂食嚥下障害(前田 圭介)
5.認知症の摂食嚥下障害(平野 浩彦)
6.薬剤性の摂食嚥下障害―味覚障害も含めて―(東 敬一朗)
■診察時にできる老嚥と摂食嚥下障害の評価
1.診察時にできる摂食嚥下スクリーニングテスト(石井 良昌他)
2.診察時にできる老嚥の評価:EAT-10(栢下 淳)
3.診察時にできる口腔機能と口腔環境の評価(貴島真佐子)
4.診察時にできるサルコペニアの摂食嚥下障害の評価(吉村 芳弘)
5.診察時にできる認知症の摂食嚥下障害の評価(枝広あや子)
■老嚥と摂食嚥下障害のリハビリテーション
1.診察時にできる老嚥に対する摂食嚥下訓練(上野理美子)
2.診察時にできるオーラルフレイルに対する口腔ケアと訓練(白石 愛)
3.診察時にできる摂食嚥下障害患者に対する薬剤調整(長谷川 聰)
4.診察時にできる摂食嚥下障害に対する嚥下調整食指導(園井 みか)
5.サルコペニアの摂食嚥下障害とリハビリテーション栄養(西岡 心大)
6.誤嚥性肺炎に対する早期リハビリテーション(百崎 良)
7.誤嚥性肺炎に対する早期経口摂取(小山 珠美)
8.認知症の摂食嚥下障害に対するリハビリテーション(山田 律子)
9.摂食嚥下障害に対する歯科治療(藤本 篤士)

2015年11月24日火曜日

地域包括ケア病棟とリハ栄養

昨日は第1回地域包括ケア病棟研究大会でリハ栄養の講演をしてきました。約300人の参加で盛会でした。地域包括ケア病棟でリハ栄養を浸透させることの大切さを再認識しました。
先日、地域包括ケア病棟協会で行ったアンケートに「リハ栄養実施の有無」が含まれていました。あり13、なし30、予定8ということで約1/4の地域包括ケア病棟ではすでにリハ栄養を実践しているという結果でした。講演の最初に参加者に聞いてみても同じ結果でした。質の差はあるにせよ、すでに1/4の施設でリハ栄養が実践されていることに驚きました。私が驚いてはいけませんが(笑)。
地域包括ケア病棟入院患者の半数はポストアキュート、つまり急性期病院での初期加療後です。となると地域包括ケア病棟におけるリハ栄養の役割はかなり大きいと言えます。今まで回復期リハ病棟でのリハ栄養を主に考えてきましたが、今後は地域包括ケア病棟でのリハ栄養も主に考えるべきだと実感しました。
地域包括ケア病棟では平均2単位以上のリハが実施されていますし、NSTも7割の施設であります。でもリハ+NST=リハ栄養ではありません。病棟もしくはNSTでリハ栄養カンファレンスを行うことが必要ですし、リハから見た栄養、栄養から見たリハの両者を考慮することも必要です。
芳珠記念病院の地域包括ケア病棟では多職種(管理栄養士・医師・薬剤師・看護師・介護士・リハスタッフ)でリハ栄養カンファレンスを毎週、実施しています。サルコペニアと診断された患者(9-10月で全体の28%)にBCAA配合ドリンクを提供しています。栄養状態にあわせ運動負荷量を調整しています。
約1/4の地域包括ケア病棟でリハ栄養が実践されていますので、今後は実践の質をより高めることができるような支援が必要です。地域包括ケア病棟でのリハ栄養実践報告、エビデンス創出も大切です。リハ栄養ガイドラインの作成も、地域包括ケア病棟でのリハ栄養実践に役立つでしょう。
地域包括ケア病棟でのリハ栄養の現状と今後の展望を考える貴重な機会となりました。このような機会を作ってくださった大会長の加藤章信先生と、地域包括ケア病棟協会会長の仲井培雄先生に深謝いたします。第2回は地域包括ケア病棟研究大会は来年6月頃に四国で開催されるようです。