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2014年5月1日木曜日

効果10倍の教える技術

少し古い(2006年)ですが、吉田新一郎著、効果10倍の教える技術、PHP新書を紹介します。

https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-64846-0

これまでの教え方・学び方は「工場モデル」でしたが、これからの教え方・学び方は楽しくエキサイティングで、楽しむ部分と真面目な部分の両方だ大切です。

どのくらい身に付くか(忘れないか)を数字で表すと、以下のようになるそうです。科学的根拠はない数字かもしれませんが…。

聞いたことは10%
見たことは15%
聞いて見たときは20%
話し合ったときは40%
体験したときは80%
教えたときは90%

これは私が研修会に参加する側になったときの実感と大差ありません。一方的な講義でしかも面白くない講義だと0%と言っても過言ではありません。話し合いも有用ですが、体験や教えることには敵いませんね。

悪い研修会の例として以下のような紹介がされています(p47)。

眠い、だるい、退屈、おもしろくない、感動できない、講義のみ、座りっぱなし、講師が口ベタ、講師の自慢話、講師が威張っている、講師のひとりよがり、講師に魅力がない、欠席が許されない(強制的な参加)、受講者にやる気がない、魅力的な異性がいない、笑いがない、テーマがはっきりしない、発言者の論旨が不明、一般論ばかり、話が難しすぎる、ドキドキしない、新鮮味がなく内容がマンネリ化している、堅苦しい、役に立つことがない、早く家に帰りたいと思う、レポートを書かせる、時間が長い、時間を守らない、休憩がない、時間が遅くなる、宿題がたくさんある、発言に気をつかう、自分の発言で評価される、話し合う時間がない(少ない)、参加者同士が知り合えない、無駄な時間を過ごしたと感じる、疲れがどっと出る

自分で書いていても耳が痛い部分がいくつもあります(苦笑)。確かにこんな研修会には参加したくないですが、こんな研修会を企画したり講義したりしている自分がいることも認識させられます。一方、いい研修会の例として以下のような紹介がされています(p47)。

楽しい、ワクワクする、夢中になれる、興奮する、満足感を味わう、知らないことを知る、知識が広がる、発想が広がる、眼からウロコが落ちる、成果がみんなのもの、いい講師、明日から使える、時間が短く感じる、人と知り合える、互いを理解し合える、仲間ができる、興味ややる気がある人の集まり、意欲がわく、技術の習得、参加することにより成長する、もう一度やりたいと思う、終わった後のビールがうまい、家に帰り家族・友人に話したくなる、一生の財産になる、自由に発言できる、形式的でない、活動的なプログラム

これを全部満たすのはとても無理ですが、1つでも悪い研修会の要素を少なくして、いい研修会の要素を増やせるようにしないとなあと感じました。いい研修会の要素として、以下のよな紹介もあります(p50)。

①会の雰囲気がいい
②得るものがある
③発見や出会いがある
④参加者の主体的な参加
⑤講師ではなくコーディネーターの存在
⑥振り返りがある
⑦目的の共有と達成が図れる
⑧動きのある学び
⑨実践できる研修
⑩研修で終わらず、つながる・広がる
⑪参加しやすい条件

このうち、⑩に関してはFacebookやITを研修会前後に活用できれば、比較的実現可能ではと感じます。講義・講演スタイルの研修会でも、振り返りの時間を作ることは可能かと思います。体験までは容易ではありませんが、少なくとも話し合う機会の多い講義・講演をしたいですね。

学びの原則に従った教え方として9つ紹介されています(p60)。

①人は皆、常に学んでいる
②安心して学べる環境が大切である
③積極的に参加できるとよく学べる
④意味のある内容や中身を扱うことでよく学べる
⑤選択できるとよく学べる
⑥十分な時間があるとよく学べる
⑦協力できるとよく学べる
⑧振り返りとフィードバックがあるとよく学べる
⑨互いに讃え合ったり、教え合える機会があるとよく学べる

これらは自分が学ぶときのことを考えると共感できます。個人的には常には学んでいないですが(苦笑)。幸か不幸か教える側にまわる機会が多いので、こういったことを意識して、研修会や講義・講演をしていくようにしたいと思います。

2013年5月1日水曜日

実践コミュニティ

エティエンヌ・ウェインガー、リチャード・マクダーモット、ウィリアム・M・スナイダー(野村恭彦監修、野中郁次郎解説、櫻井祐子訳):コミュニティ・オブ・プラクティス―ナレッジ社会の新たな知識形態の実践.翔泳社;2002、を紹介します。

http://books.shoeisha.co.jp/book/b72796.html

医療人は多くの学会や研究会に参加、所属していますが、これらは実践コミュニティといえます。特に私の場合、日本リハビリテーション栄養研究会を始めいくつかの研究会を運営しているため、活気のある学習する組織を運営できればと思い、内容をまとめてみました。

実践コミュニティを発展させることに目を向けがちですが、5段階の発展モデルでは最後に変容として、どんなに健全なコミュニティでも、寿命を迎えるとあります。振り返ってみれば寿命を迎えてしまった組織もありました。これもある程度はやむをえないのかと感じています。以下、まとめです。

 実践コミュニティ(コミュニティ・オブ・プラクティス)とは、「あるテーマに関する関心や問題、熱意などを共有し、その分野の知識や技能を、持続的な相互交流を通じて深めていく人々の集団」である。この言葉が最初に登場したのは、書籍「状況に埋め込まれた学習―正統的周辺参加」の中である。この書籍では、仕立て屋を例に挙げて伝統的な徒弟制度における学習の多くは、職人や上級徒弟の間の相互交流で行われていると分析し、「学習はコミュニティ・オブ・プラクティスへの参加の過程である」とした。ここでの学習とは、個人が知能や技能を習得することではなく、実践コミュニティへの参加を通して得られる役割の変化や過程そのものである。

 実践コミュニティはどこにでもあり、誰もが職場や学校、家庭、趣味などを通じて、いくつかの実践コミュニティに所属しており、目新しいものではない。しかし、実践コミュニティは、学習する組織を実現させるための具体的な組織基盤を提供する。実践コミュニティの基本的な構造は「領域」、「コミュニティ」、「実践」という3つの基本要素の組み合わせである。一連の問題を定義する知識の領域(ドメイン)、この領域に関心をもつ人々のコミュニティ(人々の集まり)、この領域内で効果的に仕事をするために生み出す共通の実践(プラクティス)で構成される。これら3つの要素がうまくかみ合って初めて、実践コミュニティは知識を生み出し、共有する責任を担うことのできる社会的枠組となる。

 実践コミュニティは自然に発展を遂げるが、適切な設計を行えばコミュニティを大きく発展させることができる。なぜならメンバーは設計することを通じて、発展の触媒となるような知識やイベント、役割を特定できるからである。組織にある情熱や人間関係、自発的な活動の大切さを十分認識するような形で、組織をも設計する。実践コミュニティの育成には、経験から引き出された以下の7原則がある。
①進化を前提とした設計を行う。
②内部と外部それぞれの視点を取り入れる。
③さまざまなレベルの参加を奨励する。
④公と私それぞれのコミュニティ空間を作る。
⑤価値に焦点をあてる。
⑥親近感と刺激を組み合わせる。
⑦コミュニティのリズムを生み出す。

 実践コミュニティの発展には、5つの段階がある。潜在、結託、成熟、維持・向上、変容である。コミュニティがこれらの段階を経て進化するにつれ、コミュニティを発展させるために必要な活動もまた変わっていく。
①潜在
 コミュニティの発展は、すでに存在する社会的ネットワークから始まる。重要な問題に関心を持つ人々が非公式な集団を形成し、これらの人々がネットワーク作りを始めることが多い。潜在的なコミュニティは発展したコミュニティの基本要素をすでにいくつか備えており、発展する可能性を十分に秘めている。
②結託
 コミュニティの構築は、計画段階の人脈作りからすでに始まってはいるが、コミュニティ・イベントの開催をもって結託し、正式に立ち上げられる。この時期に、メンバー間の結びつきや信頼を築き、共通の関心や必要性に対する認識を高めるような活動を行うことが、特に重要である。
③成熟
 成熟段階の間にコミュニティが直面する主な課題は、その価値を確立することから、コミュニティの焦点、役割および境界をはっきりさせることへと移っていく。しばしばこの段階で、領域とコミュニティ(人数)と実践が同時に拡大する。この段階での主要な課題は、次のとおりである。
 領域:領域が組織で果たす役割や、他の領域との関係を明らかにすること。
 コミュニティ:もはや単なる専門家の友人ネットワークではないコミュニティの境界を管理すること。
 実践:コミュニティの知識を体系化し、知識の世話人としての役割を真剣に受け止める。コミュニティ内部にある知識の格差に気付き、知識の最前線がどこにあるかを知るようになり、より体系的なやり方でコミュニティの中核的な実践を定義する必要を感じ始める。
④維持・向上
 成熟したコミュニティにとって主要な課題は、実践、メンバー、技術、組織などとの関係が成長に伴って自然に変化する中で、いかにして勢いを持続させるかということである。時には活力の低下が悪循環を引き起こすこともある。この段階での主要な課題は、次のとおりである。
 領域:領域の有用性を保ち、組織での影響力を高める。
 コミュニティ:コミュニティの雰囲気と知的焦点を、活気に満ちた魅力的なものにする。
 実践:コミュニティを常に最先端の状態にとどめておく。
⑤変容
 コミュニティの劇的な変容や突然の死は、誕生、成長、寿命などと同じように自然な出来事である。どんなに健全なコミュニティでも、寿命を迎える。コミュニティが変容する方法には、衰弱する、社交クラブとなる、分裂や合併、制度化がある。コミュニティがはかない存在だからこそ、メンバーは今コミュニティで経験していること―活気、深いかかわり合い、仲間意識など―の進化を認めることができる。

目次
 第1章 実践コミュニティについて―今なぜ重要なのか
 第2章 実践コミュニティとその構成要素
 第3章 実践コミュニティ育成の七原則
 第4章 発展の初期段階―実践コミュニティの計画と立ち上げ
 第5章 発展の成熟段階―実践コミュニティを成長させ、維持する
 第6章 分散型コミュニティという挑戦
 第7章 実践コミュニティのマイナス面
 第8章 価値創造の評価と管理
 第9章 コミュニティを核とした知識促進活動
 第10章 世界の再構築―組織を超えたコミュニティ

2012年12月30日日曜日

下流志向

内田樹著、下流志向―学ばない子どもたち 働かない若者たち、講談社文庫を紹介します。

http://www.bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2763990

なぜ日本の子どもたちは勉強を、若者は仕事をしなくなったのかについて、教育や労働を等価交換(ビジネスモデル、無時間モデル)で判断し、時間の中で自分自身が変化することを勘定に入れることができない思考である無知に固着する欲望が理由としています。

3年前に何をやっていた(どんな努力をしていた)かが今の自分を決める、今やっていることが3年後の自分を決める、という考え方とは対照的です。3年後どうなっているかは不明な点も多いですが、長期目標のイメージは重要だと感じています。

ちなみに私は3年前に「PT・OT・STのためのリハ栄養」を出版させていただき、このブログを始めました。それが3年経過した今の自分につながっていることは間違いありません。ただ、3年前に今こうなっているとは予測できていませんでした(笑)。

今日は第2章から「リスクテイク」と「リスクヘッジ」について紹介します。現在は自己決定・自己責任が求められる社会です。人生の2大選択である職業や結婚も含めて、自分が選択を失敗すれば無職や離婚などのリスクを自分が背負うことになります。

職業や結婚を自分であまり選択できない昔に戻りたいとは思いませんが、急速に自己決定・自己責任が求められる社会に移行したため、リスクの個人化も急速に進行したように感じます。リスクへの対処方法もあまり学習していないように思います。

リスクはテイクする場合とヘッジする場合があります。「リスクテイク」は見通しの不確定的な冒険的計画に踏み出すことです。「リスクテイク」する代償として、主体は意思決定の権利を確保し、計画が成功した場合に生じる利益の先有権を主張できます。

私はNo venture, no gloryという言葉をモットーにしていますが、これは「リスクテイク」の言葉です。私はこう見えても保守的になりがちな人間ですので、この言葉でバランスをとっているつもりです。

「リスクヘッジ」は賭け金を分散して損失を防ぐことです。「リスクヘッジ」の要諦は利益を上げることではなく、損失を出さないことにあります。リスク社会におけるもっとも賢明なふるまいは、できるだけ巧みに「リスクヘッジ」をすることです。

「リスクヘッジ」にはいろんな形があります。成否の判断をはっきりせずに決定を先送りすること(継続審議)、複数の決定を同時に下すこと(両論併記)、誰も利益を得ないようなソリューションを選択すること(三方一両損)です。

「リスクヘッジ」を心がける人は、自分が起案したプランAがうまくいかないのはどういう場合かをできるだけ網羅的にリストアップしておき、その場合に使える代替プラン(B、C…)をそろえておくことを優先的に配慮します。

失業するのも、ホームレスになるのも、病気になるのも、すべてはそのようなリスクのある生き方を選んでしまった自分自身の責任であるという言い方には、リスクというのは個人的なものだということを前提にしています。

「リスクヘッジ」というのは「集団として生き残る」という明確な目標を掲げ、そこで集団的に合意されたプランに従って、整然と行動する人々のみが享受できることなのです。「個人がそのリスクをヘッジする」ということは原理的に不可能だからです。

「リスク社会をどう生きるか?」という問いは、「決定の成否にかかわらずその結果責任をシェアできる相互扶助的集団をどのように構築することができるか?」という問いに書きかえられねばならない。

明治以来、近代化のプロセスの中で、日本人は「迷惑のかけ合い」という仕方でリスクをヘッジしてきました。行政には弱者救済の手をさしのべる余裕はないし、貧しいもの同士で相互扶助するしかない。

相互扶助・相互支援というのは、平たく言えば「迷惑をかけ、かけられる」ということなのだから、「迷惑をかけられる」ような他者との関係を原理的に排除すべきではないだろうということです。

現代日本人は「迷惑をかけられる」ことを恐怖する点において、少し異常なくらいに敏感ではないかと僕は思います。「迷惑をかけ、かけられる」ような双務的な関係でなければ、相互扶助・相互支援のネットワークとしては機能しません。

リスク社会にいるのは自己決定・自己責任の原理に忠実な弱者だけなのです。日本の教育行政もメディアも久しくこのような「迷惑をかける相手もかけられる相手も持つことができない」膨大な数の構造的弱者をつくり出しつつあるのです。

「リスクテイク」はよく知っていますが「リスクヘッジ」はあまり知りませんでしたので、詳しく引用紹介させていただきました。2年前に無縁社会という言葉が流行しましたが、無縁社会の背景にリスク社会の進行とリスクをヘッジできないことがあると感じます。

血縁・地縁・職縁?による共同体を復活させることは、あまり現実的ではないでしょう。しかし、リスク社会で生きていくためには、「リスクテイク」だけでなく「リスクヘッジ」できる新たな中間共同体の存在が求められます。

新たな中間共同体の候補の1つに、ネットの活用があると考えます。私が人並み以上にネット(特にフェイスブック)を活用しているのは、あまり意識していませんでしたがリスクをヘッジするためだったのかもしれません。

実際、フェイスブックを運営ツールとしている日本リハビリテーション栄養研究会では、多くの世話人や会員にMB(無茶ぶり)という名の迷惑をかけています(笑)。MBは研究会の文化です(笑)。でもこれがむしろよいのかもしれませんね。

「リスクテイク」だけもしくは「リスクヘッジ」だけでは、リスク社会を生きていくのはしんどいと思います。No venture, no gloryとともに中間共同体作りや個人でできる「リスクヘッジ」を意識した2013年にしたいと考えています。

目次
第1章 学びからの逃走(新しいタイプの日本人の出現
勉強を嫌悪する日本の子ども ほか)
第2章 リスク社会の弱者たち(パイプラインの亀裂
階層ごとにリスクの濃淡がある ほか)
第3章 労働からの逃走(自己決定の詐術
不条理に気づかない ほか)
第4章 質疑応答(アメリカン・モデルの終焉
子どもの成長を待てない親 ほか)

2012年9月15日土曜日

仕事と人生を楽しむために必要なこと

梶山寿子著、仕事と人生を楽しむために必要なこと―チェンジメーカー21人に学ぶ「幸福な働き方」、PHP研究所を紹介します。

http://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-77940-9

あとがきより、必要と思われそうなことを引用します。以下、引用です。

仕事のやりがい。人の役に立ち、社会に貢献しているという充実感。ともに働く仲間とのつながり。仕事を通じて成長できたという達成感。
そんな無形の”報酬”こそが、明日を生きる希望やエネルギーとなり、私たちを幸せにするのではないか。

以上、引用です。医療系の仕事に従事していると、このような無形の報酬を比較的得やすいと感じています。この点ではよいのですが、一方でこの書籍に出てくるようなチェンジメーカーとして活躍している医療人は少数かと思います。

私自身、この書籍に登場するチェンジメーカーのような大きな変革を起こすことは難しいです。ただ、自分にできる範囲でできるところから少しずつ、さざ波程度でもリハ栄養で変革を起こしていければと考えています。

目次
はじめに
第1章 愛のある働き方、愛のある人生 1 「仕事をたのしむ」ということ 2 「コウノトリ育む農法」を広め、命を守る 3 ソーシャル・デザインという道に「愛」を見つける
第2章 「これが自分のやるべきこと」だと信じて 1 知的障害者とつくるワインと「働く幸せ」 2 投資というお金の力で社会を変える 3 「アイガモ農法」でアジアの暮らしを守る 
第3章 目の前のことに熱中する 1 気がつけば、ふるさと活性のカリスマに  2 オーガニックコットンの普及という「気持ちのいい仕事」 3 「何もない」北国の山村で、奇跡の町おこし 
第4章 新しい時代の「幸せな働き方」を見つける 1 ほしいのは心を満たしてくれるもの  2 「世の中を変えたい」。そう思うから強くなれる 3 「自分ならできる!」が不可能を可能にする 4 新たな時代の幸福論「MERRY主義」
第5章 社会起業家という生き方 1 誰もがチェンジメーカーになる時代  2 介護保険制度のモデルをつくる 3 有機野菜宅配のパイオニア 4 病児保育を広げ、働く親をサポートする
第6章 組織に留まるチェンジメーカー 1 公務員と社会起業家。「雨水博士」ふたつの顔 2 会社員だからこそできることを探す 3 授業をアートに変える型破りな公立小教員
第7章 お金より大事なもの 1 さらばマイクロソフト、さらばマッキンゼー  2 みんなが幸せになる道具づくりを 3 チャーミングな広告で、平和構築をめざす
おわりに

2012年8月29日水曜日

人生の五計:教師憲章

安岡正篤著、人生の五計 困難な時代を生き抜く「しるべ」、PHP文庫を紹介します。

http://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-66386-9

五計とは、いかに生き(生計)、身を立て(身計)、家庭を築き(家計)、歳を重ね(老計)、そして死を迎えるか(死計)です。人生に対する五計が重要であり、歴史からの教訓が数多く紹介されています。身に染みる部分も少なからずありました。

この中でも「身計」の教師憲章が気になりましたので、引用紹介させていただきます。以下、97頁からの引用です。

「教師憲章」

1、教育は職業的・社会的成功を目的とする手段ではなく、真の人間を造ることを使命とする。

2、子弟が将来いかなる地位に就いても人から信用せられ、いかなる仕事に当たっても容易に習熟する用意のできておる、そういう人間を造ることが教育の主眼である。

3、将来を担う子弟が、明日の行路を誤たず、信念と勇気をもって進むために要するものは、単なる知識・理論や技術ではなく、人間の歴史的・恒久的な原理であり、典型である。

4、教師は漫りに人を教える者ではなく、まず自ら善く学ぶ者でなければならぬ。

5、教師は一宗一派の理論や信仰を偏執して、之を子弟に鼓吹してはならない。

6、教師は学校と教壇をなおざりにして、政治的・社会的活動をしてはならない。

7、現代が経験している科学・技術・産業に於ける諸革命と相応する理性的・精神的・道義的革命が達成されねば、この文明は救われない。この「革命への参加」は、教師において、いかなる階級の奪権闘争でもなく、もっと内面的・霊的な創造でなければならぬ。

以上、引用です。医療系の講師をしていますので、教育というと専門教育、職業的教育、社会的教育になりがちでした。しかし、1から3をみると、職業教育の前提として人間教育が必要であることが明らかにされています。教育そのものが職業教育だと思ったら大きな間違いだそうです。

4に関してはまったく同感です。「人は教えるときにもっともよく学ぶ」といいますし、学生以上に学ばなければ本来、教えることなどできるわけがありません。

5は、教育の仕事というものは、自分の好きな菊や蘭を作るのと違って、これはいろいろな農作物(米、麦、菜っ葉、大根、蕪、人参など)を作るのと同じことだとあります。世界に一つだけの花に似ていますね。

7はやや難しいですが、104ページには以下のような記載があります。これを実践しなさいという意味に私は解釈しています。

志のある者が、それぞれの場において、自ら信じるところを実践するよりほかに世の中を良くする道はないのであります。伝教大師のいわゆる「一灯一隅を照らす」と言う、自ら一灯となって、自らの坐しておる一隅を照らす。

つまり、一燈照隅、万燈照国ですね。教育現場で学生をみていると、理想と現実は程遠いと感じることもありますが、それでも少しでも教師憲章に近づけるようにしないといけないと思います。来週から医学生の実習が再開しますので、少しでも実践できるよう頑張ります。

2012年8月20日月曜日

先哲が説く指導者の条件

安岡正篤著、現代活学講話選集6 先哲が説く指導者の条件 『水雲問答』『熊沢蕃山語録』に学ぶ、PHP文庫を紹介します。

http://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-66460-6

歴史からリーダーの条件を学ぶことが重要だと感じさせられた1冊です。まさに「往聖のために絶学を継ぐ」という書籍です。これは世に埋もれてしまった先哲の学問、絶えてしまった思想に光をあて、現代の息吹をふきこみ、活学として甦らせることです。

177ページより人間を観る四つの見方を紹介・引用させていただきます。以下、引用です。

まず人間の人間たる本質的要素は何と言うても「徳性」というものである。これに属性・付属的要素として「知性・知能」と「技能」がある。もう1つは「徳性」に準じてよい大事な「習慣」というものがある。この四つの観点から人間を考察すると、一番よく把握できる。

以上、引用です。これを2つに要約すれば、「徳」(特性と習慣)と「才」(知性・知能と技能)になります。どちらも大事ではありますが、より大事なのは「徳」というのが、安岡正篤師の一貫した主張です。

一方、ドラッカーはマネジメントの大家であり、マネジメントは重要な技能の1つといえます。しかし、『現代の経営』[上]で以下のようなことも言っています。以下、引用です。

真摯さは習得できない。仕事についたときにもっていなければ、あとで身につけることはできない。真摯さはごまかしがきかない。一緒に働けば、その者が真摯であるかどうかは数週間でわかる。部下たちは、無能、無知、頼りなさ、無作法など、ほとんどのことは許す。しかし、真摯さの欠如だけは許さない。そして、そのような者を選ぶマネジメントを許さない。

以上、引用です。真摯さはintegrityの日本語訳ですが、これは「徳性」ともいえるのではないかと考えます。そしてよいマネジメントの必要条件であるという点で、真摯さは個々のマネジメントスキルよりも重要です。

真面目に知性・知能と技能を身につけたり磨いたりする学習をしていても、それだけでは真摯さ、「徳性」があるとはいえません。ドラッカーは真摯さは習得できないと言っていますが、安岡正篤師は学習(知性・知能と技能ではなく人間学)で習得は可能と考えています。

知性・知能と技能の学習も重要ですが、「徳性」を学ぶ人間学も重要だということを、最近改めて実感します。言うは易く行うは難しですが…。でも医療人で知性・知能と技能はあっても真摯さや「徳性」がない人を反面教師にしているので、地道に頑張ります。

2012年7月26日木曜日

安岡正篤 人間学

神渡良平著、安岡正篤 人間学、講談社+α文庫を紹介します。

http://www.bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=256663X

アマゾンでは中古書が7円からありました。安岡正篤氏を知っている医療人は少ないかと思います。どれだけ影響力のある方であったかは、Wikipediaをみるだけでもわかりますので、興味のある方は見てください。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89%E5%B2%A1%E6%AD%A3%E7%AF%A4

安岡正篤氏の書籍はやや難しいのですが、この書籍はエッセンスについてわかりやすく解説されていますので、読みやすいと感じます。読むは易く行うは難しですが…。私自身、まったく出来ていませんが、読んでいて気になったところを数か所、紹介します。実践できるように頑張ります。

人間学のニ条件(p22)より。

安岡正篤は学問を二つに分けている。一つは「知識の学問」、もう一つは「知慧の学問」である。機械的知識をいう「知識の学問」に対して、「知慧の学問」は経験を積み、思索反省を重ね、人徳を練る中から湧き出てきたもので、体験の中からにじみ出てきたもっと直観的な、人格的な学問のことを言う。

リハ栄養やサルコペニアは、もちろん「知識の学問」です。「知識の学問」も重要なことは言うまでもありませんが、それだけでは薄っぺらかもしれません。私もですが…。人間である以上、迷いや心配事、窮することは避けられませんが、「知慧の学問」を深く学べば、精神的にまいってしまうことはないそうです。

一隅を照らす(p150)より。

好転させていくには、それぞれの持ち分において、「一隅を照らす」努力を重ねていく以外にない。「言葉」だけではなく「行為」だ。それぞれの一燈が一隅を照らし、それが万燈となり、あまねく世の中を照らすようになる。生前、安岡正篤が率いた全国師友協会が「一燈照隅、万燈照国」というスローガンを掲げたのもそういう理由からである。

一燈照隅、万燈照国は、私も大好きな言葉です。一人は一燈であり隅を照らす以上のことは難しいですが(隅を照らすことも難しいですが…)、燈がたくさん集まることで国を照らすことができます。私はリハ栄養の一燈として隅を照らしていけるように頑張りますが、たくさんのリハ栄養の燈が集まれば嬉しいですね。

名を成す(p182より)

人間というものは、たとえいかなる地位、境遇にあろうとも、四十五十になってその人となりに人間ができてくると、必ずそのおるところ、おる範囲において、人の目につくものである。評判になるものである。だからその年になって存在がわからないような人間は、畏敬するに足らない。

「四十になったら自分の顔に責任を持て」という言葉もあります。その人のいる範囲で知られる存在になることは目的ではなく結果ですが、結果がその人の実力を物語っているのかもしれません。40代になってから頑張るのではなく、20代、30代の過ごし方がその人の40代を決めるのでしょう。

最後に、「有名無力、無名有力」(p52)という言葉があります。40代で無名無力ではいけませんが、有名有力というわけにはなかなかいかないようです。

君たちは決して有名になろうとしてはいけない。有名は多く無力になる。そうではなく、無名にして有力な人になることを考えなければなけない。本当に有力な人になろうと思ったら、なるべく無名でおることを考えなければならない。

2012年5月4日金曜日

カンブリア宮殿 村上龍×経済人2

村上龍著、テレビ東京報道局編、カンブリア宮殿 村上龍×経済人2 できる社長の思考とルール、日本経済新聞出版社を紹介します。

http://www.tv-tokyo.co.jp/book/product/item68655.html

カンブリア宮殿は御存知の方も多いと思いますが、村上龍と主に経済人が対談する経済番組です。数少ない私の好きなテレビ番組の1つです。その対談を文庫化したものです。詳細は下記番組HPを参照してください。

http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/index.html

この書籍で学べることはいろいろありますが、もっとも気になった一点だけ紹介します。まずはまえがきより一部引用します。以下、引用です。

この本に登場する人たち全員は、宝石のような貴重な言葉を獲得するために、気が遠くなるような努力を日々繰り返してきて今も継続させている。そのようなミもフタもない事実を、言葉ではなく文脈から読み取っていただきたい。自分が全力で取り組める一生の仕事を持っているかどうか、人生はその一点にかかっている。

もう1つ106ページより引用します。以下、引用です。

一つのことに長期にわたって科学的努力を傾注すると必ず何事かをなし得ることができる、(中略)決定的に重要なのは、科学的な努力を長期にわたって傾注する何かと出会えるかどうかという一点なのだ。ほとんどの人はそういう対象に出会うことがなく、あるいは出会っても気づかずに通り過ぎてしまう

以上、引用です。医療人は何らかの資格を有して、その資格でずっと仕事していくことが多いため、多くの医療人が「全力で一つのことに科学的努力を傾注する仕事を持っている」と思われがちな気がします。しかし、「努力を傾注する仕事」と「全力で一つのことに科学的努力を傾注する仕事」は異なります。

「努力を傾注する仕事」は筏下りをしている医療人、「全力で一つのことに科学的努力を傾注する仕事」は山登りをしている医療人といえます。医療人で仕事に努力を傾注していないようでは問題ですが、それだけでも問題があると私は考えます。

私は今はもちろんリハ栄養の山登りをしていて「全力で一つのことに科学的努力を傾注する仕事」を持っています。しかし、リハ栄養の山登りをするまでは「全力で一つのことに科学的努力を傾注する仕事」を持っていませんでした。「努力を傾注する仕事」を10年以上していました。この違いは極めて大きいです。

今はリハ栄養関連の最先端の資料(ほとんどが英語の論文ですが)をチェックしています。理系研究者であればこんなことは当然です。自分の狭い専門領域で情報を知らないわけにはいきませんし。でも私がそんな当然のことを始めたのは、ほんの数年前からです。

いろんなことに「努力を傾注する仕事」は医療人になって最初の3~10年程度、必要です。その間に「全力で一つのことに科学的努力を傾注する仕事」に出会い、実際に一つのことに科学的努力を傾注すればよいのですが、これができている医療人は少数です。

すべての医療人が何事かをなし得る必要はないかもしれません。私もまだ何事かをなし得たとは言えません。でも「全力で一つのことに科学的努力を傾注する仕事」に出会うかどうかで、人生はかなり変わります。多くの医療人に「出会い」を意識して仕事してほしいと思います。

【目次】
1 安全でおいしい食(田中邦彦・くらコーポレーション社長/伊勢彦信・イセグループ会長 ほか)/
2 新しい技術と価値(篠原欣子・テンプスタッフ社長/中村義一・三鷹光器会長 ほか)/
3 挫折からの挑戦(出井伸之・元ソニー最高顧問/池森賢二・ファンケル名誉会長 ほか)/
4 伝統からの脱却(小仲正久・日本香堂会長/鈴木敬一・築地魚市場社長 ほか)/
5 危機感をキープするメジャー企業(木瀬照雄・TOTO会長/加藤壹康・キリンホールディングス会長 ほか)

2012年4月19日木曜日

理系のためのクラウド知的生産術

堀正岳著、理系のためのクラウド知的生産術、ブルーバックス1753を紹介します。

http://www.bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2577534

ブルーバックスの上記書籍紹介よりも、下記のブログ解説のほうが詳しいです。

http://lifehacking.jp/2012/01/researchers-cloud-hacks/

医療人はクラウドサービスの活用があまり得意ではありません。メール処理や学会発表・論文執筆の準備・作成にかなりの時間を注いでいる医療人も少なくないのではと思います。私も例外ではありませんが…。しかし、メール処理=仕事の成果とは限りません。

この書籍ではGメール、ドロップボックス、エバーノートの3点を中心に、無料でも活用できるクラウドサービスを紹介しています。これらを上手に活用することで、メール処理や論文執筆などにかける時間を大幅に削減することが可能です。文献管理クラウドサービスのメンデレイなども紹介されています。

全体に初心者~初級者向けにわかりやすく解説されていますので、クラウドサービスが苦手な医療人でもとっつきやすく、おすすめです。時間管理はとても重要です。ネット対応にかける時間を少なくすることでできた時間を、仕事やプライベートに回せば成果やQOLが上がると思います。

ただ、一度にいくつものクラウドサービスを導入するのは難しいです。これらのクラウドサービスを活用していない方は、Gメール、ドロップボックス(私はシュガーシンクですが)、エバーノート、メンデレイの順番に1つずつ導入してみてはいかがでしょうか。私はエバーノート以外使っていますので、エバーノートに挑戦してみます。

目次
第1章 クラウドサービスを使った仕事環境
第2章 メールに振り回されない環境をつくる
第3章 手間をかけない論文管理法
第4章 アイデアをなくさない情報整理法
第5章 クラウド上で論文を書く
第6章 時間も空間も超えるコラボレーション術
第7章 細かい時間を稼ぐテクニック集

2012年4月11日水曜日

経験学習力チェックリスト

先日、ブログで松尾睦著、職場が生きる 人が育つ 「経験学習」入門、ダイヤモンド社を紹介しました。

http://rehabnutrition.blogspot.jp/2012/04/blog-post_06.html

今日はその中で、第6章:学ぶ力を高めるツールにある経験学習力チェックリストを紹介します。下記の図は下記HPからの引用です。

http://diamond.jp/articles/-/16300?page=2




キーメッセージは「適切な「思い」と「つながり」を大切にし、「挑戦し、振り返り、楽しみながら」仕事をするとき、ビジネスパーソンは経験から多くのことを学ぶことができる。」です。この5項目に関して実際に経験から学ぶ力があるかどうかを評価します。

チェック1つが1点で、各項目が2~3点であればOKですが、1点以下の場合には経験から学ぶ力に問題があるそうです。これを自己診断だけでなく身近な他者に評価してもらい、結果を比較することで自分に見えていない問題と強みが理解できます。

自己評価してみると、ストレッチ、思い、つながりの3項目は2~3点ですが、リフレクションとエンジョイメントは1点以下でした。他者評価でもリフレクションが弱いと言われました(苦笑)。経験学習が重要と言いながら…。半年~1年後に再評価したいと思います。

2012年4月9日月曜日

チームマネジメントの知識とスキル

篠田道子著:多職種連携を高める チームマネジメントの知識とスキル、医学書院を紹介します。

http://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=81113

FD関連の書籍は数多くありますが、医療系に特化したFDの書籍は少ないのが現状です。その中でこの書籍は、よりよい成果を出せる医療チームに重要なマネジメント能力、コミュニケーション能力について、わかりやすく紹介されています。

この書籍ではICF(国際生活機能分類)を重視しています。「ICFの3つの生活機能と2つの背景因子を、生活モデルの枠組みとするなど、ケアマネジメントや多職種連携のツールとして活用する。」とあります。リハ栄養でもICFを多職種連携のツールとしていますので共感できます。まだ認知度が高いとはいえませんが…。

メインは第2章のチームマネジメントを高める技術です。「対人関係とチームマネジメントの両方を高めるスキルとして、カンファレンス、ファシリテーション、コンフリクト・マネジメント、参加型事例検討がある。これらの共通点は「実践知」を高める教育方法である。」とあります。

確かにいずれも有用なスキルですし、神奈川NST専門療法士連絡会の勉強会でもFDとして取り入れています。欲をいえば、カンファレンス、ファシリテーション、コンフリクト・マネジメント、参加型事例検討の実際の様子に関する原稿があれば、よりわかりやすいと感じました。

FDには関心があってもビジネス本にはとっつきにくいという方には、この書籍をお勧めします。一方、すでにビジネス本などでマネジメント、ファシリテーション、ケースメソッドなどを学習している方には、やや物足りないかもしれません。

目次
はじめに

第1章 チームマネジメントの基礎知識
1 チームマネジメントが求められる背景
 1.チームマネジメントの発展の経緯
 2.診療報酬からみたチームマネジメント
 3.介護報酬からみたチームマネジメント
 4.チームマネジメントの今日的な課題
2 チームマネジメントと関連用語の整理
 1.本書で使用するチームマネジメントと関連用語
 2.本書が考えるチームマネジメント
3 チームの類型(モデル)
 1.多職種によるチームの類型
 2.本書で扱う3つの類型
4 医学モデルと生活(社会)モデル
 1.医学モデル
 2.生活(社会)モデル
 3.生物・心理・社会モデルとしてのICF
5 医療・福祉分野に求められるリーダーシップとメンバーシップ
 1.リーダーシップの2つのタイプ
 2.専門職種を束ねるジェネラルマネジャーが必要
 3.専門性と連携を両立させるメンバーシップ
 4.役割の重なりは無駄ではない
6 チームマネジメントの課題と対応策
 1.チームマネジメントの誤解
 2.階層構造
 3.セクショナリズムと非干渉
 4.組織やチームに対する低いコミットメント
 5.スペシャリストとジェネラリスト
 6.患者・家族の消費者意識の高まり
 7.チームマネジメントの限界
 8.医師・看護師中心に限定した評価である
7 チームマネジメントの評価
 1.チームマネジメントの有効性
 2.チームマネジメントの評価の視点
8 専門職連携教育としてのケースメソッド教育
9 チームマネジメントと個人情報の取り扱い

第2章 チームマネジメントを高める技術
1 チームづくりの場としてのカンファレンス
 1.カンファレンスの定義・目的・機能
 2.カンファレンスの種類
 3.カンファレンスの構成要素(体制,過程,結果)
2 ファシリテーション技術によるチーム力の向上
 1.ファシリテーションとは
 2.関係性と問題解決を両立させるファシリテーション
 3.ファシリテーション技術はチームづくりに有効
3 チームの危機を乗り切るコンフリクト・マネジメント
 1.コンフリクトとは
 2.コンフリクト・マネジメントとは
 3.コンフリクトへの対処行動はチームを成長させる
 4.コンフリクトの予防対策
4 実践知を磨き,チームをつくる参加型事例検討
 1.参加型事例検討はチームで実践知をつくり上げる
 2.参加型事例検討に必要な条件
 3.参加型事例検討の進め方のポイント
 4.事例検討でケアの質の改善を
5 チームと知的資産のメンテナンス
 1.チームは時間とともに変化する生き物
 2.人材と知的資産のマネジメントでチームを活性化

第3章 病院(施設)・チームの機能に応じたチームマネジメント
1 本書が取り扱うチームマネジメントの対象・タイプ
2 亜急性期・回復期におけるチームマネジメント
  在宅復帰支援担当者を中心にした多職種チーム
 1.亜急性期病床とは
 2.調査データからみた亜急性期病床の実態
 3.回復期リハビリテーション病棟とは
 4.調査データからみた回復期リハビリテーション病棟の実態
 5.在宅復帰支援担当者を中心にしたチームマネジメント
3 急性期病床におけるチームマネジメント
 1.急性期病床はチームマネジメントが機能しにくい
 2.短期決戦チームは最初のコンセンサスづくりが重要
 3.チームはルーチンワークで成り立つ
 4.包括的指示を拡大し,専門職の自律性を高める
4 長期療養施設におけるチームマネジメント 終末期ケアに焦点を当てて
 1.長期療養施設のチームマネジメントの現状
 2.高齢者の終末期の3つのパターン
 3.認知症の終末期が最重要課題
 4.看護・介護職を中心とした多職種チーム
 5.医療・ケアチームでのインフォームド・コンセントの推奨
 6.相談・助言機能を強化して意思決定を支える
 7.質の高い終末期ケアの4つの条件とチームマネジメント
5 退院支援におけるチームマネジメント 集中的かつ重層的なケアマネジメント
 1.退院支援とは
 2.退院支援は3つのチームによる協働活動
 3.退院支援におけるチームマネジメントの進め方
 4.入院医療の延長線上としての在宅ケア
 5.医学モデルから生活モデルへのチェンジ
 6.退院支援計画に有効なフレームワーク
6 コンサルテーション型チーム
 1.コンサルテーション型チームとは
 2.NST
 3.緩和ケアチーム
 4.呼吸ケアチーム
 5.コンサルテーション型チームとの連携のポイント
7 災害時における医療・福祉チームマネジメント
 1.災害時における医療チーム
 2.阪神・淡路大震災
 3.地下鉄サリン事件-情報のハブ拠点が活躍
 4.事例から学ぶ災害時のチームマネジメント

索引

2012年4月6日金曜日

職場が生きる 人が育つ 「経験学習」入門

松尾睦著、職場が生きる 人が育つ 「経験学習」入門、ダイヤモンド社を紹介します。

http://www.diamond.co.jp/book/9784478017296.html

以前、このブログでコルブの経験学習モデルを紹介しました。
http://rehabnutrition.blogspot.jp/2009/12/blog-post_04.html

これを含めて、よりわかりやすく解説した書籍です。キーメッセージは「適切な「思い」と「つながり」を大切にし、「挑戦し、振り返り、楽しみながら」仕事をするとき、ビジネスパーソンは経験から多くのことを学ぶことができる。」です。もちろんビジネスパーソンだけでなく、医療人も同様です。

キーワードはストレッチ、リフレクション、エンジョイメントの3つとされていますが、日本語でいえば「挑戦し、振り返り、楽しむ」です。確かに挑戦するような経験・行動なしに経験学習モデルをまわしても、学習と成長が少ないことは確かでしょう。ただ、エンジョイメントがなければ苦行になりがちです。

そこでエンジョイメントとして「仕事自体に関心を持ち、やりがいや面白さを感じることで意欲が高まっている状態、および仕事をやりきることで達成感や成長感を感じている状態」が必要としています。「ストレッチとリフレクションが自転車の両輪だとしたら、エンジョイメントはそれらをつなぐチェーン」だそうです。

70:20:10の法則があるそうです。これは成人における学びの70%は自分の仕事経験から、20%は他者の観察やアドバイスから、10%は本を読んだり研修を受けたりすることから得ているという法則です。

確かに今の自分を振り返っても、学生時代の膨大な講義より、自分の仕事経験からの学びが断然多いです。学生時代の膨大な講義は成人学習とは言えませんので、当てはまらないかもしれませんが…。また、他者の貴重な経験(広義の歴史)から、あたかも自分が経験したかのように学ぶことも大事です。

成長の5段階モデルとして「初心者→見習い→一人前→中堅→熟達者」という5つのステップがあります。これは看護領域でも聞きますし、医療人にも当てはまります。問題は、組織に中堅(職場の中核メンバー)は約3割、熟達者(外部でも名が知られる組織内のエース)は約1割しかいないそうです。

つまり、約6割の人は一人前以下ということになります。つまり、一人前から中堅へ移行する第一の壁と、中堅から熟達者へ移行する第二の壁があるといえます。この壁を乗り越えるためには、経験学習が重要だそうです。特に30代以降では成長が止まりがちですので、質の高い経験をできるだけ多く積んで学習することが大切です。

経験学習の入門書ですので、すでに経験学習の知識がある方にはおすすめしません。コルブの経験学習モデルも聞いたことがないという方にはおすすめできる書籍です。そのうち、建宮さんと熊谷さんに、経験学習のワークショップも企画してほしいなあと思っています(笑)。

目次

はじめに
序章 経験から学べる人、学べない人
第1章 成長とは何か
能力的成長と精神的成長
能力的成長とは
精神的成長とは
プレイヤーとしての成長、マネジャーとしての成長
時代に合わせた「学びほぐし」
第2章 経験から学ぶ
70:20:10の法則
一皮むけた経験
コラム 守・破・離の考え方
自ら経験を創り出す
経験学習のサイクル
「よく考えられた実践」でサイクルを回す
コラム 学びにくくなっている日本の職場
第3章 経験から学ぶための三つの力
根っこを育てる
経験から学ぶ力の三要素
(ストレッチ系の学ぶ力)
なぜストレッチが必要か
方略1 挑戦するための土台をつくる
方略2 信頼を得てストレッチ経験を呼び込む
方略3 できることをテコにして挑戦を広げる
まとめ ストレッチの足場を作る
コラム 自分の頭で考える「ノウイング」
(リフレクション系の学ぶ力)
なぜリフレクションが重要なのか
方略1 行為の中で内省する
方略2 他者からフィードバックを求める
方略3 批判にオープンになり未来につなげる
まとめ 進行形で内省する
コラム 持論を問い直す「内省的実践」
(エンジョイメント系の学ぶ力)
なぜエンジョイメントが必要なのか
方略1 集中し、面白さの兆候を見逃さない
方略2 仕事の背景を考え、意味を見いだす
方略3 達観して、後から来る喜びを待つ
まとめ 仕事の意味を発見する
コラム 仕事に関心を持つ「内発的動機づけ」
第4章 「思い」と「つながり」
(思い)
適切な「思い」が成長を決める
自分への思い、他者への思い
経験から学ぶ力のドライバー
顧客のために働くこと
成長したいという思い
二つの思いを融合する
コラム 利己と利他
(つながり)
発達的なつながり
発達的な「つながり」を構築する方法
職場外から率直な意見を聞く
人を選び、誠実につきあう
自ら発信し、相手を受け入れる
コラム 発達的ネットワーク
(「経験から学ぶ力」のまとめ)
第5章 学ぶ力を育てるOJT
OJTのサイクル
コラム 「育て上手のOJT指導者」調査の概要
調査でわかったこと
目標をストレッチする
進捗を確認し相談をうながす
内省をうながす
ポジティブ・フィードバック
年次により指導方法を変える
人材をつぶす指導者の特徴
OJT力をアップする
コラム 伝統的なOJTの手法
第6章 学ぶ力を高めるツール
三種類の診断ツール
ツール1 経験学習力チェックリスト
ツール2 経験学習カルテ
ツール3 経験キャリアシート
職場でワークショップを開く
マニュアルや事例集を作成する
おわりに

2012年2月20日月曜日

図解で身につく!ドラッカーの理論

久恒啓一著、図解で身につく!ドラッカーの理論、中経文庫を紹介します。

http://www.chukei.co.jp/bunko/detail.php?id=9784806137702

私は講演でいつもドラッカーの「プロフェッショナルの条件」をお勧めしています。しかし、「難しすぎる」「途中で辞めてしまった」などの声を少なからず聞きます。確かにドラッカーは簡単ではありませんし、繰り返し読まないと理解が深まりません。個人的には第3章から読むほうがよいと思っています。

ただ、「プロフェッショナルの条件」を繰り返し読むのが難しい方には、この書籍をおすすめします。図解してあることで、かなりわかりやすくなっています。また、図解する、考えることの学習本としてもわかりやすいと思います。私ももう少し考えて図解しないと…と反省しています。

内容的には、ドラッカーの個人、組織、社会の順番に解説しています。この順番も書籍をわかりやすくしていると感じます。ただ、この書籍だけでドラッカーは十分ということは全くありません。もしドラ同様、この書籍をきっかけとして、次は「プロフェッショナルの条件」などに再挑戦してほしいと思います。

ドラッカーブームは冷めてきましたが、ドラッカーはブームで終わらせてはいけない存在です。ドラッカーを繰り返し読んでいても失敗の多い人生を私は送っています。しかし、ドラッカーを読んでいなかったら、失敗も成功もないという最大の失敗の人生を送っていたと思います。ドラッカーは難しいという方限定で、この書籍をおすすめします。

目次
プロローグ ドラッカー理論の前に図解の基本を理解する  
・「図読」でドラッカーを読み解く
第1章 「プロフェッショナル」をめざす  
・仕事ができる人は時間管理が上手、リーダーシップにカリスマ性は必要ない
第2章 組織と個人の関係を押さえる  ・フラットな組織が会社を活性化する、組織が個人の強みを引き出す
第3章 マネジメントの本質を知る  
・マネジメントは人と組織を成長させる哲学、集団マネジメント体制を整備する
第4章 企業社会の論理と倫理に注目する  
・企業の最終目的は「金儲け」ではない、成功する「人事」の原則
第5章 ネクスト・ソサエティを展望する  
・個人と社会は補い合う関係、イノベーションは「仕事」である

2011年12月26日月曜日

ロールモデル思考法

梅田望夫著、ウェブ時代をゆく‐いかに働き、いかに学ぶか、ちくま新書687のより、第4章のロールモデル思考法を紹介します。

http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480063878/

目次
序章 混沌として面白い時代
第1章 グーグルと「もうひとつの地球」
第2章 新しいリーダーシップ
第3章 「高速道路」と「けものみち」
第4章 ロールモデル思考法
第5章 手ぶらの知的生産
第6章 大組織vs.小組織
第7章 新しい職業
終章 ウェブは自ら助くる者を助く

まず、ロールモデル思考法について、斎藤孝×梅田望夫対談「大人の作法」前編のHPより引用します。このHPも面白いです。
http://www.chikumashobo.co.jp/new_chikuma/saitou_umeda/01_3.html

梅田 『ウェブ時代をゆく』では、これまで僕自身が実践してきた考え方を「ロールモデル思考法」と名付けて詳述しました。自分が生きていく上で、自分と合った信号をいろんなところから受け取りながら自分の行く道を決めていく。ロールモデルを常に設定しながら生きていくことによって、自分のやりたいことや好きなこと、個性を見いだしていこう、という考え方です。

以上、引用です。 キャリアを考える上で、できること、やりたいこと、やるべきこと(価値あること)の3つが重なった山を登ればよいといいますが、やりたいこと探しはなかなか大変です。一定の経験は必要ですし、考えることも必要です。考えてばかりで経験を積まないとそもそもキャリアを歩めませんし、経験ばかりで振り返ったり考えたりしないと漂流しがちです。

そこで、「ある人の生き方のある部分」「ある仕事に流れるこんな時間」「誰かの時間の使い方」「誰かの生活の場面」など、人生のありとあらゆる局面に関するたくさんの情報から、自分と波長の合うロールモデルを丁寧に収集します。そしてなぜその対象に惹かれたのかを考え続ける。それを繰り返していくと、たくさんのロールモデルを発見することが、すなわち自分を見つけることなのだとだんだんわかってくるそうです。

振り返ってみれば自分も何人かロールモデルとなる方を決めて、その方に近づけるように努力してきたところが大きいです。ロールモデルを設定して考えて行動して振り返って、また新たなロールモデルを設定するという経験学習モデルをまわし続けることが、やりたいこと探しの近道だなと感じました。今度のキャリアデザインワークショップで使おうと思います。

ちなみに私のロールモデルの共通点をいくつか考えてみると、

・講演や話が面白い
・その道(専門)に関して第一人者である
・講演や執筆・著書が多い
・美味い食事と酒をよく知っている
・コメディカルを大切にしている
・異性にモテる
・大学病院に勤務していない

ですね(笑)。そう思うと、私はロールモデルに程遠いです…。

第4章の最後の言葉もなかなかよいので引用させていただきます。言うは易く、行うは難しですが、以下引用です。

物事がうまくいかず、悔しい思いをすることも人生では多々ある。そんなときは「いずれ幸福に暮らすことが最高の復讐だ」「幸福とは、いつか自分が好きを貫いて生きている状態になることだ」とでも思って「負のエネルギー」を「正のエネルギー」に変え。「好きを貫く」長期戦を生きてほしいと思う。

2011年11月19日土曜日

ドラゴンフライ エフェクト ソーシャルメディアで世界を変える

ジェニファー・アーカー,アンディ・スミス著,阿久津 聡監修,黒輪 篤嗣訳、ドラゴンフライ エフェクト ソーシャルメディアで世界を変える、翔泳社を紹介します。

http://books.shoeisha.co.jp/book/b88805.html

FacebookやTwitterのマニュアル本ではなく、これらを使用してどのように社会的にインパクトのある目標を達成するかを解説した書籍です。

ポイントは、焦点、注目、魅了、行動の4つです。これら4つがすべてそろわないと目標達成は難しいようです。ぞれぞれのデザイン原則は以下の通りです。

焦点(Focus):焦点を絞るためのデザイン原則
 1)人間的(Humanistic)
 2)実行可能(Actionable)
 3)検証可能(Testable)
 4)明確(Clarity)
 5)幸福(Happiness)

注目(Grab Attention):注意を引くためのデザイン原則
 1)私的に
 2)驚きのあることを言う
 3)メッセージを視覚化する
 4)感覚に訴える

魅了(Engage):魅了するためのデザイン原則
 1)ストーリー(物語)を語る
 2)共感する
 3)信頼を得る
 4)メディアを組み合わせる

行動(Take Action):行動を起こさせるためのデザイン原則
 1)簡単にする
 2)楽しくする
 3)相手に合わせる
 4)オープンにする

自分に当てはめて考えてみると、「日本リハビリテーション栄養研究会」でどのようにソーシャルメディアを上手に活用して世界を変えるか、ということになります。今のところ、焦点、注目、魅了、行動の4つとも皆無ではないにせよ不足していますので、それぞれの次の一手を考えで行動しなければと再認識しました。

ただ、ソーシャルメディアを活用して「日本リハビリテーション栄養研究会」を立ち上げて世界を変えることなど、数年前にはまったく考えられませんでした。いろんな意味で厳しい時代ですしリスクはありますが、同時に挑戦する人にはチャンスも多い時代なのだと感じます。研究会運営の参考にしたいと思います。

目次
序章 ドラゴンフライの胴体
飛び続けるためのシステム

第1の羽 焦点を絞る
有効な目標の立て方

第2の羽 注意を引く
おびただしい数の人や意見や雑音に埋もれず、目立つためにはどうするべきか

第3の羽 魅了する
人々をどのように自分の目標に結びつけるか

第4の羽 行動を起こさせる
いかに人々に力を与え、運動を発展させるか

終章 前進し、上昇しよう
飛べた!次にすることは?

2011年9月12日月曜日

iCloudとクラウドメディアの夜明け

本田雅一著、iCloudとクラウドメディアの夜明け、ソフトバンク新書を紹介します。

http://www.sbcr.jp/products/4797367003.html

個人が使えるクラウドサービスのハウツー本ではありませんが、クラウドメディアが今後どのような流れで進んでいくかを知るには参考になる書籍です。この流れは今後、学会・研究会でも同様になると感じています。

ダウンロードもしくは本・雑誌・CD・DVD・ブルーレイなどでソフト(音楽、映画、書籍、ゲームなど)を購入する時代から、ソフトはクラウド側にあってダウンロードしないで、好きな時に好きなものを見る・聞くという時代に変わりつつあるようです。もしくはダウンロードしてもクラウド側とすぐに同期できる仕組みになるようです。

ですのでネットにアクセスできれば、○○プレーヤーといったものはそもそも必要なくなるということになります。パソコン中心ではなく、クラウド中心でパソコンもスマートフォンもiPadも同じ立ち位置になるようです。

自分の身の回りで置き換えて考えてみると、

・学会誌や抄録集を紙ベースで作成して郵送するのではなく、学会員であればいつでもすべての学会誌に掲載された論文にアクセスできる。

・学会のときはノートパソコンかスマートフォンかiPadか何かを1つ持ち歩けば、そこで学会のプログラム、抄録集をすべて見れるので、重い抄録集を持ち歩く必要はない。

・自分の関心のある文献をパソコン内の文献管理ソフトで管理するのではなく、クラウド側で管理・整理できるようになる。一部有料ではあっても、いつでもアクセスできる。

・学会の一般口演スライド、ポスター原稿は、学会員であれば学会場に行かなくても、ネットで見ることができる(学会期間中だけにするか、いつでも可にするかは要課題ですが)。

・学会のすべての発表をUstreamで生中継する。学会員であれば、学会場にいなくてもすべての発表を見ることができる(学会員でなくても見れるのは一部に限定してもよいかもしれません)。

などが予測されます。急には変わらないかもしれませんが、5年、10年たったらこのようなことが当たり前になっているのでは、と感じさせてくれる書籍です。

目次
序章 クラウドメディアの時代へ
第一章 新たなる戦場
第二章 ソニー――栄光を取り戻すための挑戦
第三章 アップル――イノベーションのその先を目指して
第四章 ビジネスのルールが変わる
第五章 クラウドメディアのアキレス腱
終章 これから何が起きるのか

2011年8月22日月曜日

これから始めるクラウド入門2010年度版

リブロワークス著、これから始めるクラウド入門2010年度版―あなたも使えるITの先進技術、ブルーバックスを紹介します。

http://www.bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2576996


タイトル通りクラウドって何?という入門~初級レベルの書籍です。といってもこの書籍の中で私が使いこなしているのはGoogleのクラウドの一部とファイル保管・転送系クラウド(つい最近SugarSyncを始めたくらいです)だけで、私も初級者です。初級者には十分おすすめできる書籍です。

Gmail、Googleカレンダー、Googleドキュメント、Evernote、Windows Live(Sky Drive)、Dropbox、Remember the milk、ネットプリントなどのクラウドサービスがわかりやすく紹介されています。いきなりすべてを使いこなすのは難しいので、1つずつ活用していくのがよいと思います。

私の場合、To do listやEvernoteに関しては、まだ手書きのほうが使いやすいように感じています。まあ始めてみたらやみつきになる可能性もありますが(笑)。まずはGoogleカレンダー、ネットプリントあたりから始めてみたいと考えています。

ネットプリントは初めて聞きましたが、プリンターが手元にない時に、セブンイレブンのプリンターで印刷できるツールです。普段から使用するものではないと思いますが、いざというときにセブンイレブンが近くにあれば便利なツールだと思います。興味のある方はぜひご登録ください。

http://www.printing.ne.jp/

目次
1章 クラウドとは何か
2章 まずはこれから始める Googleのクラウド
3章 思いついたら書き留める ノート系クラウド
4章 出先があなたのオフィスに MS-Officeのクラウド
5章 ファイルの保存や移動をネットで ファイル保管・転送系クラウド
6章 大事な用件を忘れない ToDo系クラウド
7章 職場の必需品を代用 Fax・プリント系クラウド

2011年8月15日月曜日

知がめぐり、人がつながる場のデザイン

中原淳著、知がめぐり、人がつながる場のデザイン―働く大人が学び続ける”ラーニングバー”というしくみ、英治出版を紹介します。

http://www.eijipress.co.jp/book/book.php?epcode=2097

アマゾンでは一部立ち読みできます。

ラーニングバーとは、即興性を重視しつつも、音楽や飲食物に工夫を凝らし、ダイアローグやリフレクションなどを組み入れた「学びの理論に基づく計算を施した場のデザイン」のことです。単なる一方的な講演と比較して、学習効率はずっと高く、参加者同士の交流もできますので、学びの場としてかなり有用だと考えています。

3つのお願いはきちんと紹介、意識しておくと、これだけでも変わってくると思います。
①満員御礼。椅子を詰めてお座りください。
②食べ物・飲み物をご自由にお取りください。
③近くの方とのディスカッションの時間がございます。前後左右の方と名刺交換・自己紹介をお願いします。

全体の流れはざっくり以下のようになっています。交流の時間はもちろんですが、内省の時間を十分作ることが重要だと感じています。

イントロダクション
目的
当日の参加人数を発表
コンセプトの説明
対話のルール 「私」を主語に語る あえて判断を保留する
テーマを問いかけ、講師を紹介する

講演(1) 30分

ゆるゆるネットワーキング 30分

講演(2)30分

リフレクティブ・ダイアローグ 30分~

Q&Aタイム 20分

ラップ・アップ(まとめ)10分

9月23-24日のリハ栄養合宿では、23日にこのようなラーニングバーをやってみたいと考えています(申し訳ありませんが、参加登録はすでに締め切っています)。いきなりうまくできるとは思っていませんが、失敗も学習だと考えて取り組んでみたいと思います。

目次
第一章 【ルポ】ラーニングバー・エクスペリエンス
第二章 ラーニングバーの誕生前夜
第三章 メイキング・オブ・ラーニングバー 当日までになすべきこと
第四章 メイキング・オブ・ラーニングバー 開催日当日
第五章 ラーニングバーから生まれた変化
第六章 他者の目から見たラーニングバー
最終章 学ぶことの意味、そして未来へ
おわりに

2011年8月11日木曜日

ウェブ進化論─本当の大変化はこれから始まる

梅田 望夫著:ウェブ進化論─本当の大変化はこれから始まる、ちくま新書を紹介します。

http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480062857/

5年前のベストセラー書籍ですが、今読んでも5年前と比較して、本当の大変化が起こりつつあることを認識できます。5年前にはメール、ML、ブログはありましたが、SNSはこれからという時期でした。もちろんツイッターもフェイスブックもありません。次の5年間もきっと大きな変化が起こるだろうということが推測されます。

「インターネットの普及がもたらした学習の高速道路と大渋滞」という理論にはなるほどと感じました。どの領域であってもネットを使用して集中的に学習することで、短期間でプロの一歩手前までは行くことができる時代になりました。これは自分がリハ栄養とサルコペニアの学習をネットで行っていても実感します。

問題はプロの一歩手前からどう抜け出すかというところにある、というのが大渋滞という意味です。「大渋滞を抜け出すためには何が必要なのか」が次のブレイクスルーにつながるそうです。その方法の一つとして、異質なものと異質なものを組み合わせていけば、「個」にとってはさらに無限の可能性が広がるとあります。

医療人の場合、主要な領域であればおそらくどこでも、情報に関してはネットで短期間に集中して学習することが可能です。いわゆる「物知り」になることはできるはずです。なかにはどの領域の「学習の高速道路」を走り抜ければよいのかがわからずに、高速道路の入り口で立ち止まっている人もいるかもしれませんが・・・。領域の選択は難しい課題ですが、なかなか選択できない場合には、走りながら考えてもよいと思います。

大渋滞から抜け出して医療人としてプロになるには、経験学習が大きいと私は感じています。経験学習モデルをきちんと数多く回すこと(質・量ともに)、その中で学習の高速道路を走り続けることがそろえば、プロになれるはずです。そのためには自分のいる場所・環境を考慮しなければいけません。領域にあわせて環境を変えるもよし、環境にあわせて領域を変えるもよし。

「大きく異なる日米ブログ文化」では、日本の専門家はおそろしく物知りで、その代わりアウトプットが少ないとあります。一方、米国の専門家はあんまりモノを知らないが、どんどんアウトプットを出してくるそうです。

これはブログだけでなく、研究発表・論文でも言える可能性があります。少なくとも日本の医療人のアウトプットは、平均でみると少ない印象です。一部の医療人だけが数多くのアウトプットを出しています。私は米国流であまりモノを知らなくてもアウトプットを出す方向でいきたいと思います。

目次
序章 ウェブ社会―本当の大変化はこれから始まる
第1章 「革命」であることの真の意味
第2章 グーグル―知の世界を再編成する
第3章 ロングテールとWeb2.0
第4章 ブログと総表現社会
第5章 オープンソース現象とマス・コラボレーション
第6章 ウェブ進化は世代交代によって
終章 脱エスタブリッシュメントへの旅立ち

2011年8月10日水曜日

フューチャリスト宣言

梅田望夫、茂木健一郎:フューチャリスト宣言、ちくま新書を紹介します。下記のHPに刊行記念特別対談の記事や一部立ち読みできる部分も掲載されています。

http://www.chikumashobo.co.jp/special/futurist/

インターネットのホームページやブログが、これから名刺代わりになるということは私も同感です。このブログはできのよい名刺ではないかもしれませんが…。この書籍は2007年刊行ですので、2011年の名刺代わりになるものはブログだけでなく、FacebookとTwitterも含まれます。これら両方ともやっていないという方は、どちらか1つは名刺代わりに始めることをおすすめします。

ネットへのアクセスは基本的人権という考え方にもなるほどと思いました。現代でネットにアクセスできなければ情報格差はかなり大きくなってしまいます。ネット以外の既存のメディアや郵送されてくるものだけが情報源という昭和時代は懐かしいですが、あの頃に戻るわけにはいかないですし、英語とネットとマネジメントは現代の一般教養だとつくづく感じます。

MITの研究のやり方が「Web2.0」的という記載も参考になりました。MITでは博士課程の学生が何から何まで一人で研究するのではなくて、それぞれいろんな分野に長けた学生たちを集め、組織化するそうです。大成する研究者は、自分一人で研究を掘り下げるのではなくて、ビジョンを出す。その上で、「Web2.0」的に皆でワーッと研究をやるそうです。

アメリカの研究資源があらゆる面で日本より格段に豊富なことは知っていましたが、このような研究のやり方は知りませんでした。まずは学生が一分野に長けなければこのような方法は難しい気もしますが。リハ栄養の研究もこれからは一人で掘り下げるのではなくて、リハ栄養研究会の仲間と一緒に掘り下げることができるような場作りをしたいと考えます。

日本リハ栄養研究会はFacebookに実名で登録していなければ入会できないというシステムにしました。そして入会していなければ、日本リハ栄養研究会が企画する研究会、合宿、セミナーにも参加できないということにしました。その代わり入会費、年会費はありません。これがこれからの研究会の形だと信じています。

リハ栄養に関心があってまだFacebookに登録していない方は、まずFacebookに登録されることをおすすめします。近日中に12月3日の第1回日本リハ栄養研究会の参加登録を開始する予定です。ここでもFacebookの「日本リハ栄養研究会」グループへの参加(=入会)を必須としていますので、よろしくお願いいたします。

目次

はじめに(茂木健一郎)

第1章 黒船がやってきた!

媒体を自分で持てる快感/グーグルの画面は深い思想に基づいている/ウィキペディアが日本から出なかったのはなぜか/公共性と利他性がインターネットの特質/ネットがセレンディピティを促進する/ウェブは脳の報酬系を活性化させる/シリコンバレーのルーツは反権威/世界史の四つ目のリンゴ/ヒューマン・ネイチャーを理解する/アメリカの社会風土がそもそも2・0的/リアルがかかわった途端にスピードが遅れる/新しいものを賞賛する精神が社会にあるかないか

第2章 クオリアとグーグル

アメリカにいるときは弱者の視点/ネットで情報を集めるのはアスリート的/ユーチューブは確信犯/最初から完璧さを求めない姿勢/ポスト・グーグルは何なのか/サーチとチョイス/グーグルとクオリアは二つの別の世界/コンテンツ側は消費されていく?/ネットとの付き合い方がその人の個性 /ネット時代のリテラシーは感情の技術

第3章 フューチャリスト同盟だ!

大学で教えるエネルギーをブログにかけたい/大学はもう終わっている/たった一人の狂気で世の中が動く/何を志向できるかが勝負/ダーウィンはインターネット時代の人に近い/楽しくてしょうがないという人しか勝てない/組織に所属するのでなくてアフィリエイトする/そうか、「フューチャリスト同盟」だ!

第4章 ネットの側に賭ける

負け犬たち、一匹狼たちが幸せになれる/ネットへのアクセスは基本的人権/「怒り」が大事/自らが補助線になるということ/ロングテールの意味は「人間はすべて違う」/日本の外に開かれた偶有性に身をさらす/実験は大事だ!/「本」とは錨をおろすポイント/インターネットは「言語以来」/「談合社会相対化」が共通ミッション/無料とはfreeである/過去の思想でいま起こっていることは語れない/ネット以前・以後は「相転移」/生命原理に反することはうまくいかない

梅田望夫特別授業「もうひとつの地球」

コンピュータとの出会い/「もうひとつの地球」とは/一億人から三秒を集める/世界の謎、オープンソース/未来は予想するものではなくて創造するもの/「好きなこと」を見つけて貫くこと

茂木健一郎特別授業「脳と仕事力」

青春の一ページ/ギャップイヤー/創造性とコミュニケーション/強化学習のメカニズム/プロとは自分のやっていることに快楽を感じる人/自己批評は大事だ/弱点が最大のチャンス

おわりに──フューチャリストとは何か(梅田望夫)