内田樹著、下流志向―学ばない子どもたち 働かない若者たち、講談社文庫を紹介します。
http://www.bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2763990
なぜ日本の子どもたちは勉強を、若者は仕事をしなくなったのかについて、教育や労働を等価交換(ビジネスモデル、無時間モデル)で判断し、時間の中で自分自身が変化することを勘定に入れることができない思考である無知に固着する欲望が理由としています。
3年前に何をやっていた(どんな努力をしていた)かが今の自分を決める、今やっていることが3年後の自分を決める、という考え方とは対照的です。3年後どうなっているかは不明な点も多いですが、長期目標のイメージは重要だと感じています。
ちなみに私は3年前に「PT・OT・STのためのリハ栄養」を出版させていただき、このブログを始めました。それが3年経過した今の自分につながっていることは間違いありません。ただ、3年前に今こうなっているとは予測できていませんでした(笑)。
今日は第2章から「リスクテイク」と「リスクヘッジ」について紹介します。現在は自己決定・自己責任が求められる社会です。人生の2大選択である職業や結婚も含めて、自分が選択を失敗すれば無職や離婚などのリスクを自分が背負うことになります。
職業や結婚を自分であまり選択できない昔に戻りたいとは思いませんが、急速に自己決定・自己責任が求められる社会に移行したため、リスクの個人化も急速に進行したように感じます。リスクへの対処方法もあまり学習していないように思います。
リスクはテイクする場合とヘッジする場合があります。「リスクテイク」は見通しの不確定的な冒険的計画に踏み出すことです。「リスクテイク」する代償として、主体は意思決定の権利を確保し、計画が成功した場合に生じる利益の先有権を主張できます。
私はNo venture, no gloryという言葉をモットーにしていますが、これは「リスクテイク」の言葉です。私はこう見えても保守的になりがちな人間ですので、この言葉でバランスをとっているつもりです。
「リスクヘッジ」は賭け金を分散して損失を防ぐことです。「リスクヘッジ」の要諦は利益を上げることではなく、損失を出さないことにあります。リスク社会におけるもっとも賢明なふるまいは、できるだけ巧みに「リスクヘッジ」をすることです。
「リスクヘッジ」にはいろんな形があります。成否の判断をはっきりせずに決定を先送りすること(継続審議)、複数の決定を同時に下すこと(両論併記)、誰も利益を得ないようなソリューションを選択すること(三方一両損)です。
「リスクヘッジ」を心がける人は、自分が起案したプランAがうまくいかないのはどういう場合かをできるだけ網羅的にリストアップしておき、その場合に使える代替プラン(B、C…)をそろえておくことを優先的に配慮します。
失業するのも、ホームレスになるのも、病気になるのも、すべてはそのようなリスクのある生き方を選んでしまった自分自身の責任であるという言い方には、リスクというのは個人的なものだということを前提にしています。
「リスクヘッジ」というのは「集団として生き残る」という明確な目標を掲げ、そこで集団的に合意されたプランに従って、整然と行動する人々のみが享受できることなのです。「個人がそのリスクをヘッジする」ということは原理的に不可能だからです。
「リスク社会をどう生きるか?」という問いは、「決定の成否にかかわらずその結果責任をシェアできる相互扶助的集団をどのように構築することができるか?」という問いに書きかえられねばならない。
明治以来、近代化のプロセスの中で、日本人は「迷惑のかけ合い」という仕方でリスクをヘッジしてきました。行政には弱者救済の手をさしのべる余裕はないし、貧しいもの同士で相互扶助するしかない。
相互扶助・相互支援というのは、平たく言えば「迷惑をかけ、かけられる」ということなのだから、「迷惑をかけられる」ような他者との関係を原理的に排除すべきではないだろうということです。
現代日本人は「迷惑をかけられる」ことを恐怖する点において、少し異常なくらいに敏感ではないかと僕は思います。「迷惑をかけ、かけられる」ような双務的な関係でなければ、相互扶助・相互支援のネットワークとしては機能しません。
リスク社会にいるのは自己決定・自己責任の原理に忠実な弱者だけなのです。日本の教育行政もメディアも久しくこのような「迷惑をかける相手もかけられる相手も持つことができない」膨大な数の構造的弱者をつくり出しつつあるのです。
「リスクテイク」はよく知っていますが「リスクヘッジ」はあまり知りませんでしたので、詳しく引用紹介させていただきました。2年前に無縁社会という言葉が流行しましたが、無縁社会の背景にリスク社会の進行とリスクをヘッジできないことがあると感じます。
血縁・地縁・職縁?による共同体を復活させることは、あまり現実的ではないでしょう。しかし、リスク社会で生きていくためには、「リスクテイク」だけでなく「リスクヘッジ」できる新たな中間共同体の存在が求められます。
新たな中間共同体の候補の1つに、ネットの活用があると考えます。私が人並み以上にネット(特にフェイスブック)を活用しているのは、あまり意識していませんでしたがリスクをヘッジするためだったのかもしれません。
実際、フェイスブックを運営ツールとしている日本リハビリテーション栄養研究会では、多くの世話人や会員にMB(無茶ぶり)という名の迷惑をかけています(笑)。MBは研究会の文化です(笑)。でもこれがむしろよいのかもしれませんね。
「リスクテイク」だけもしくは「リスクヘッジ」だけでは、リスク社会を生きていくのはしんどいと思います。No venture, no gloryとともに中間共同体作りや個人でできる「リスクヘッジ」を意識した2013年にしたいと考えています。
目次
第1章 学びからの逃走(新しいタイプの日本人の出現
勉強を嫌悪する日本の子ども ほか)
第2章
リスク社会の弱者たち(パイプラインの亀裂
階層ごとにリスクの濃淡がある ほか)
第3章 労働からの逃走(自己決定の詐術
不条理に気づかない
ほか)
第4章 質疑応答(アメリカン・モデルの終焉
子どもの成長を待てない親 ほか)
2012年12月30日日曜日
神経筋電気刺激とサルコペニア
神経筋電気刺激の歴史と痛みやサルコペニアに対する治療の現在の可能性についてのレビュー論文を紹介します。
Heidland A, Fazeli G, Klassen A, Sebekova K, Hennemann H, Bahner U, Di Iorio B. Neuromuscular electrostimulation techniques: historical aspects and current possibilities in treatment of pain and muscle waisting. Clin Nephrol. 2013 Sup;79(13):12-23.
神経筋電気刺激による疼痛管理としてTENS、PENS、SCSが有用ですが、2005年にhigh tone external muscle stimulation (HTEMS)が開発され、末梢神経障害の除痛に有用です。
神経筋電気刺激はサルコペニアの予防と治療にも応用されています。臨床での比較研究で、慢性心不全、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患、末期腎不全患者のサルコペニアに効果的という報告があります。
神経筋電気刺激によるサルコペニア治療は、何らかの理由でレジスタンストレーニングの実施が難しい方の場合に期待されます。基本は筋トレ+栄養療法ですが、神経筋電気刺激+栄養療法による治療という選択肢もありうるかと感じます。
Heidland A, Fazeli G, Klassen A, Sebekova K, Hennemann H, Bahner U, Di Iorio B. Neuromuscular electrostimulation techniques: historical aspects and current possibilities in treatment of pain and muscle waisting. Clin Nephrol. 2013 Sup;79(13):12-23.
神経筋電気刺激による疼痛管理としてTENS、PENS、SCSが有用ですが、2005年にhigh tone external muscle stimulation (HTEMS)が開発され、末梢神経障害の除痛に有用です。
神経筋電気刺激はサルコペニアの予防と治療にも応用されています。臨床での比較研究で、慢性心不全、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患、末期腎不全患者のサルコペニアに効果的という報告があります。
神経筋電気刺激によるサルコペニア治療は、何らかの理由でレジスタンストレーニングの実施が難しい方の場合に期待されます。基本は筋トレ+栄養療法ですが、神経筋電気刺激+栄養療法による治療という選択肢もありうるかと感じます。
Abstract
Application of electricity for pain treatment dates back to thousands of years BC. The Ancient Egyptians and later the Greeks and Romans recognized that electrical fishes are capable of generating electric shocks for relief of pain. In the 18th and 19th centuries these natural producers of electricity were replaced by man-made electrical devices. This happened in following phases. The first was the application of static electrical currents (called Franklinism), which was produced by a friction generator. Christian Kratzenstein was the first to apply it medically, followed shortly by Benjamin Franklin. The second phase was Galvanism. This method applied a direct electrical current to the skin by chemical means, applied a direct and pulsed electrical current to the skin. In the third phase the electrical current was induced intermittently and in alternate directions (called Faradism). The fourth stage was the use of high frequency currents (called d'Arsonvalisation). The 19th century was the "golden age" of electrotherapy. It was used for countless dental, neurological, psychiatric and gynecological disturbances. However, at beginning of the 20th century electrotherapy fell from grace. It was dismissed as lacking a scientific basis and being used also by quacks and charlatans for unserious aims. Furthermore, the development of effective analgesic drugs decreased the interest in electricity. In the second half of the 20th century electrotherapy underwent a revival. Based on animal experiments and clinical investigations, its neurophysiological mechanisms were elucidated in more details. The pain relieving action of electricity was explained in particular by two main mechanisms: first, segmental inhibition of pain signals to the brain in the dorsal horn of the spinal cord and second, activation of the descending inhibitory pathway with enhanced release of endogenous opioids and other neurochemical compounds (serotonin, noradrenaline, gamma aminobutyric acid (GABA), acetylcholine and adenosine). The modern electrotherapy of neuromusculo- skeletal pain is based in particular on the following types: transcutaneous electrical nerve stimulation (TENS), percutaneous electrical nerve stimulation (PENS or electro-acupuncture) and spinal cord stimulation (SCS). In mild to moderate pain, TENS and PENS are effective methods, whereas SCS is very useful for therapy of refractory neuropathic or ischemic pain. In 2005, high tone external muscle stimulation (HTEMS) was introduced. In diabetic peripheral neuropathy, its analgesic action was more pronounced than TENS application. HTEMS appeared also to have value in the therapy of symptomatic peripheral neuropathy in end-stage renal disease (ESRD). Besides its pain-relieving effect, electrical stimulation is of major importance for prevention or treatment of muscle dysfunction and sarcopenia. In controlled clinical studies electrical myostimulation (EMS) has been shown to be effective against the sarcopenia of patients with chronic congestive heart disease, diabetes, chronic obstructive pulmonary disease and ESRD.2012年12月29日土曜日
サルコペニア―研究の現状と未来への展望―
日本老年医学会雑誌 Vol. 49(2012) No. 2 (第53回日本老年医学会学術集会記録)に、〈若手企画シンポジウム2:サルコペニア―研究の現状と未来への展望―〉の記録が掲載されています。
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/geriatrics/49/2/_contents/-char/ja/
全文、上記HPから日本語の論文でPDFファイルで読めますので、日本でのサルコペニアの研究の現状と未来への展望の参考になるのではと思います。
日常生活機能と骨格筋量,筋力との関連
下方 浩史, 安藤 富士子
サルコペニアにおける骨格筋ミトコンドリア機能とMyokineの意義
杉本 研
必須アミノ酸によるサルコペニアの予防,治療
小林 久峰
サルコペニア予防のための包括的介入
金 憲経
Sarcopenic Obesity―代謝からみたサルコペニアの意義―
荒木 厚, 周 赫英, 森 聖二郎
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/geriatrics/49/2/_contents/-char/ja/
全文、上記HPから日本語の論文でPDFファイルで読めますので、日本でのサルコペニアの研究の現状と未来への展望の参考になるのではと思います。
日常生活機能と骨格筋量,筋力との関連
下方 浩史, 安藤 富士子
サルコペニアにおける骨格筋ミトコンドリア機能とMyokineの意義
杉本 研
必須アミノ酸によるサルコペニアの予防,治療
小林 久峰
サルコペニア予防のための包括的介入
金 憲経
Sarcopenic Obesity―代謝からみたサルコペニアの意義―
荒木 厚, 周 赫英, 森 聖二郎
2012年12月28日金曜日
2012年の振り返り
12月31日に仕事はあるのですが、今日の時点で2012年を振り返ってみたいと思います。
学会発表・講演筆頭演者 2011年8回 → 2012年18回
講演(大学講義なども含め) 2011年69回 → 2012年95回
書籍(編著) 2011年 1冊 リハビリテーション栄養ケーススタディ → 2012年 2冊
①リハビリテーション栄養―栄養はリハのバイタルサイン.Medical Rehabilitation No143
②サルコペニアの摂食・嚥下障害-リハビリテーション栄養の可能性と実践
総説・書籍など依頼原稿 2011年19本 → 2012年27本 ツ・ナ・ガ・ルの連載などは含めていません。
原著論文 2011年2本 → 2012年1本(筆頭ではありませんが)
日本リハビリテーション栄養研究会会員数 2011年末574人 → 2012年12月28日1917人
ブログ執筆本数 2011年415本 → 2012年上半期367本
量的には、学会発表・講演、書籍、依頼原稿の執筆は過去最高でした。ただ、量が多ければ多いほどよいというものではないということを実感した1年でもあります。一方、質的には筆頭での原著論文が1本もなく、これではまったくダメです。投稿中の英語論文は1本ありますが、今後は量より質に移行します。
日本リハビリテーション栄養研究会の会員数が2000人近くになったことは、とても嬉しいことです。このペースで今後も増え続けていければありがたいです。来年はリハ栄養セミナーとは別に、リハ栄養フォーラムという新企画も全国10か所で開催しますので、よろしくお願い申し上げます。
来年は、「講演を減らして原著論文を増やすこと」を目標にします。来年度から大学院に進学することもあり、平日の講演はほとんどできなくなると予測しています。講演とその移動時間を少なくしてその分、研究(研究の学習も含めて)と論文執筆に時間とエネルギーを使いたいと考えています。
リハ栄養の伝道師は今年1年で全国に育ちましたので、リハ栄養の講演は私だけが行うのではなく、日本リハビリテーション栄養研究会の世話人を中心に、全国で多くの方に行っていただきたいと考えています。リハ栄養の講演を依頼したいときは、下記の役員一覧HPを参照してください(笑)。
https://sites.google.com/site/rehabnutrition/home/yakuin
多くの方に講演、執筆、研究会運営などで大変お世話になり、2012年を過ごすことができました。 皆様の支援に心よりお礼申し上げます。リハ栄養の臨床・教育・研究をさらに発展させていける2013年にしたいと考えていますので、来年も何卒よろしくお願い申し上げます。
以下、2012年の業績です。
学会発表・講演筆頭演者 2011年8回 → 2012年18回
講演(大学講義なども含め) 2011年69回 → 2012年95回
書籍(編著) 2011年 1冊 リハビリテーション栄養ケーススタディ → 2012年 2冊
①リハビリテーション栄養―栄養はリハのバイタルサイン.Medical Rehabilitation No143
②サルコペニアの摂食・嚥下障害-リハビリテーション栄養の可能性と実践
総説・書籍など依頼原稿 2011年19本 → 2012年27本 ツ・ナ・ガ・ルの連載などは含めていません。
原著論文 2011年2本 → 2012年1本(筆頭ではありませんが)
日本リハビリテーション栄養研究会会員数 2011年末574人 → 2012年12月28日1917人
ブログ執筆本数 2011年415本 → 2012年上半期367本
量的には、学会発表・講演、書籍、依頼原稿の執筆は過去最高でした。ただ、量が多ければ多いほどよいというものではないということを実感した1年でもあります。一方、質的には筆頭での原著論文が1本もなく、これではまったくダメです。投稿中の英語論文は1本ありますが、今後は量より質に移行します。
日本リハビリテーション栄養研究会の会員数が2000人近くになったことは、とても嬉しいことです。このペースで今後も増え続けていければありがたいです。来年はリハ栄養セミナーとは別に、リハ栄養フォーラムという新企画も全国10か所で開催しますので、よろしくお願い申し上げます。
来年は、「講演を減らして原著論文を増やすこと」を目標にします。来年度から大学院に進学することもあり、平日の講演はほとんどできなくなると予測しています。講演とその移動時間を少なくしてその分、研究(研究の学習も含めて)と論文執筆に時間とエネルギーを使いたいと考えています。
リハ栄養の伝道師は今年1年で全国に育ちましたので、リハ栄養の講演は私だけが行うのではなく、日本リハビリテーション栄養研究会の世話人を中心に、全国で多くの方に行っていただきたいと考えています。リハ栄養の講演を依頼したいときは、下記の役員一覧HPを参照してください(笑)。
https://sites.google.com/site/rehabnutrition/home/yakuin
多くの方に講演、執筆、研究会運営などで大変お世話になり、2012年を過ごすことができました。 皆様の支援に心よりお礼申し上げます。リハ栄養の臨床・教育・研究をさらに発展させていける2013年にしたいと考えていますので、来年も何卒よろしくお願い申し上げます。
以下、2012年の業績です。
(原著論文)
上島順子、谷口英喜、若林秀隆、望月弘彦:神奈川県下におけるNST加算制度の現状.静脈経腸栄養27(2)p
747-751, 2012年3月
(総説)
若林秀隆:侵襲のリハビリテーション栄養.ニュートリションケア 6(1)p86-88, 2012年12月
若林秀隆:低栄養患者における口から食べるメリット‐サルコペニアへの対応を含めて.日本歯科評論73(1)p128-136, 2012年12月
若林秀隆:飢餓のリハビリテーション栄養.ニュートリションケア 5(12)p1213-1215, 2012年12月
若林秀隆:栄養障害の病態とリハビリテーション栄養.ニュートリションケア 5(11)p1140-1142, 2012年11月
若林秀隆:高齢者にみられるリハビリテーションの問題点‐廃用性変化、嚥下障害、栄養障害を中心に.PROGRESS IN MEDICINE 32(10)p2091-2094, 2012年10月
若林秀隆:栄養障害の基本.月刊薬事54(11)p1775-1778, 2012年10月
若林秀隆:メッツ・活動係数とリハビリテーション栄養.ニュートリションケア 5(10)p1005-1007, 2012年10月
若林秀隆:サルコペニアとリハビリテーション栄養.臨床栄養121(4)p477-481,2012年9月
若林秀隆:食介護とサルコペニア.摂食・嚥下障害を考える‐口から食べる幸せつくり【第6集】p4-11, 2012年9月
若林秀隆:高齢者における運動と栄養.地域リハビリテーション7(9)p721-724, 2012年9月
若林秀隆:栄養と理学療法.理学療法ジャーナル46(9)p829-836, 2012年9月
若林秀隆:リハビリテーション栄養のチーム医療.ニュートリションケア 5(9)p934-936, 2012年9月
若林秀隆:リハビリテーション栄養とは.ニュートリションケア 5(8)p825-827, 2012年8月
若林秀隆:QOLの観点から栄養を考える第14回:栄養状態の評価.Run&Up 8(2)p6-7,
2012年7月
若林秀隆:ナースが気づきたい!サルコペニア(骨格筋減少症)の見抜き方と臨床上の問題点.エキスパートナース28(7)p18-21, 2012年6月
若林秀隆:がん悪液質の定義と分類:国際コンセンサス.日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌16(1)p86, 2012年4月
若林秀隆:サルコペニアとリハビリテーション栄養.ヘルスケアレストラン20(5)p32-33, 2012年4月
若林秀隆:PEM(たんぱく質・エネルギー栄養障害).ニュートリションケア 5(4)p356-357, 2012年4月
若林秀隆:サルコペニア.ニュートリションケア 5(4)p358-359, 2012年4月
若林秀隆:カヘキシア(悪液質).ニュートリションケア 5(4)p360-361, 2012年4月
若林秀隆:摂食・嚥下障害患者への経管栄養 医療の実際.臨床看護38(4) p492-494, 2012年3月
若林秀隆:栄養ケアによるサルコペニアの予防と治療.FOOD Style 21. 16(3) p29-31, 2012年3月
(著書)
若林秀隆、藤本篤士:サルコペニアの摂食・嚥下障害-リハビリテーション栄養の可能性と実践.医歯薬出版、2012年11月
若林秀隆:地域連携の実際①神奈川摂食・嚥下リハ研究会の紹介.小山珠美監修:ビジュアルでわかる早期経口摂取実践ガイド、日総研、pp22-23、2012年8月
若林秀隆:リハビリテーション栄養と摂食・嚥下障害.小山珠美監修:ビジュアルでわかる早期経口摂取実践ガイド、日総研、pp76-80、2012年8月
若林秀隆:サルコペニアの栄養ケアマネジメント.佐々木雅也・岩川裕美・本田佳子・河原和枝編「臨床栄養」別冊NCMシリーズ 栄養ケアマネジメント ファーストトレーニング3 呼吸器疾患,摂食・嚥下障害,褥瘡他、医歯薬出版、pp100-105、2012年8月
若林秀隆:食介護とサルコペニア.大越ひろ、渡邊昌、白澤卓二監修:高齢者用食品の開発と展望、シーエムシー出版、pp272-276、2012年7月
若林秀隆編:リハビリテーション栄養―栄養はリハのバイタルサイン.Medical Rehabilitation No143.全日本病院出版会、2012年4月
(学会発表・講演)
Hidetaka Wakabayashi, Hironobu
Sashika: Nutrition status and rehabilitation outcome in the disuse
syndrome: a prospective cohort study. 34th Congress of the European Society of
Clinical Nutrition and Metabolism, Barcelona, September 2012
Hidetaka Wakabayashi, Hironobu
Sashika: Nutrional status and level of
activity of daily living in patients
with disuse syndrome. 3rd Asia-Oceanian Conference of Physical and
Rehabilitation Medicine. Bali, May 2012
若林秀隆:口腔のサルコペニアとリハビリテーション栄養.第57回日本口腔外科学会総会・学術大会・第6回歯科衛生士研究会,横浜,2012年10月
若林秀隆:リハビリテーション栄養とサルコペニア.リハビリテーション・ケア合同研究大会札幌2012,札幌,2012年10月
若林秀隆:在宅における食とリハビリテーション栄養.第3回日本プライマリ・ケア連合学会,福岡,2012年9月
若林秀隆:サルコペニアに対するリハビリテーション栄養.第3回日本プライマリ・ケア連合学会,福岡,2012年9月
若林秀隆:ヨーロッパの摂食・嚥下分野における栄養管理の現況と課題.第17回・18回日本摂食・嚥下リハビリテーション学会,札幌,2012年8月
若林秀隆:身体活動性の早期回復とリハビリテーション栄養.第49回日本外科代謝栄養学会,舞浜,2012年7月
若林秀隆、佐鹿博信:低栄養が廃用症候群入院患者のADLの予後に与える影響:前向きコホート研究.第49回日本リハビリテーション医学会,福岡,2012年5月
若林秀隆:サルコペニア・大腿骨頸部骨折に対するリハビリテーション栄養-栄養ケアがリハを変える.第49回日本リハビリテーション医学会,福岡,2012年5月
若林秀隆:栄養アセスメントとリハビリテーション栄養.第35回日本栄養アセスメント研究会,大阪,2012年5月
若林秀隆:リハビリテーションにおける栄養管理の重要性.日本リハビリテーション医学会専門医・認定臨床医生涯教育研修会北海道地方会,札幌,2012年3月
若林秀隆:これからのリハNST―リハビリテーションと栄養療法の質向上のために.第27回日本静脈経腸栄養学会,神戸,2012年2月
若林秀隆:リハビリテーション栄養とサルコペニア.第27回日本静脈経腸栄養学会,神戸,2012年2月
若林秀隆:栄養アセスメントによる廃用症候群の高齢入院患者のADL予後予測.第27回日本静脈経腸栄養学会,神戸,2012年2月
若林秀隆:サルコペニアと摂食・嚥下障害.第27回日本静脈経腸栄養学会,神戸,2012年2月
若林秀隆:食介護とサルコペニア.第6回食介護研究会,東京,2012年2月
若林秀隆:廃用症候群の高齢入院患者のADL と栄養状態の関連:横断研究.第15回日本病態栄養学会,京都,2012年1月
(研究助成金)
若林秀隆:地域・在宅高齢者における摂食嚥下・栄養障害に関する研究―特にそれが及ぼす在宅療養の非継続性と地域における介入システムの構築に向けて―.厚生労働科学研究費補助金(長寿科学総合事業)220万円、研究分担者
CLINICAL CALCIUM2013年1月号
CLINICAL CALCIUM 2013年1月号で、老化と生体運動機能について特集されています。
http://www.iyaku-j.com/index.php?main_page=index&cPath=5_1_18
筋肉の老化、サルコペニア、オートファジー、慢性炎症、ロコモティブシンドロームなどに関する原稿があります。日本語の文献ですので、気楽に読めると思います。
目次(一部抜粋)
Preface
・巻頭言~高齢期のQOL,ADL向上を目指して~
小川純人・大内尉義
Review
・骨の老化
池田恭治
・関節の老化
松井康素・原田 敦
・筋肉の老化
重本和宏・福永大地・森 秀一
Seminar
・サーチュイン・ファミリー:代謝・老化・寿命を結ぶ制御因子
今井眞一郎
・老化とオートファジー
ファム グェン クィー・水島 昇
・百寿者の身体機能,病歴と生命予後
新井康通・広瀬信義
Topics
・慢性炎症から見た老化制御
内藤篤彦・小室一成
・骨免疫から見た老化制御
松尾光一
・再生医療から見た老化制御~幹細胞老化と老化組織との関係性から~
藤田香里・妻木範行
Therapy
・骨粗鬆症に対するアプローチ
細井孝之
・ロコモティブシンドロームの予防・治療へのアプローチ
阿久根 徹
・サルコペニアに対するアプローチ
小川純人・大内尉義
http://www.iyaku-j.com/index.php?main_page=index&cPath=5_1_18
筋肉の老化、サルコペニア、オートファジー、慢性炎症、ロコモティブシンドロームなどに関する原稿があります。日本語の文献ですので、気楽に読めると思います。
2012年12月26日水曜日
CKD診療ガイド2012
CKD診療ガイド2012を日本腎臓学会の以下のHPよりダウンロードすることができます。ガイドラインは本来、このように公開すべきものだと私は思います。
http://www.jsn.or.jp/guideline/ckd2012.php
今回はステージ3がG3a(45~59)とG3b(30~44)に分類されたことと、蛋白尿を重視していることが大きな特徴です。以下、12-1生活指導・食事指導・成人から一部引用させていただきます。
・水分の過剰な摂取や極端な制限は有害である。
・食事摂取量の基本は3g/日以上6g/日未満である。
・摂取エネルギー量は25~35kcal/kg体重/日が推奨される。一方、肥満症例では体重に応じて20~25kcal/kg体重/日を指導してもよい。
・肥満の是正に努める(BMI25未満を目指す)。
・摂取たんぱく質量は、CKDステージG1~G2は、過剰にならないように注意する。
・ステージG3では0.8~1.0g/kg体重/日のたんぱく質摂取を推奨する。
・ステージG4~G5ではたんぱく質摂取を0.6~0.8g/kg体重/日に制限することで腎代替療法の導入が延長できる可能性がある。
・CKDの各ステージを通じて、過労を避けた十分な睡眠や休養は重要であるが、安静を強いる必要はない。
・個々の患者では、血圧、尿蛋白、腎機能などを詳細にみながら運動量を調節する必要がある。
・肥満では末期腎不全(EKSD)に至るリスクが高まる。
以上、引用です。運動に関してはコクランレビューで腎臓リハの有用性が報告されていますので、もう少し有用性に踏み込んだ内容が含まれると嬉しいのですが、なかなか難しいのですかね。
ただ回復期リハでは、以下のような糖尿病性腎症のCKDのG3症例も経験します。摂取エネルギー量は35kcal/kg体重/日、蛋白質は1.5g/kg体重/日で、ようやく体重維持可能でADLも十分改善しました。先日の湯布院厚生年金病院で行ったリハ栄養の症例検討の1例です。
http://www.jsn.or.jp/guideline/ckd2012.php
今回はステージ3がG3a(45~59)とG3b(30~44)に分類されたことと、蛋白尿を重視していることが大きな特徴です。以下、12-1生活指導・食事指導・成人から一部引用させていただきます。
・水分の過剰な摂取や極端な制限は有害である。
・食事摂取量の基本は3g/日以上6g/日未満である。
・摂取エネルギー量は25~35kcal/kg体重/日が推奨される。一方、肥満症例では体重に応じて20~25kcal/kg体重/日を指導してもよい。
・肥満の是正に努める(BMI25未満を目指す)。
・摂取たんぱく質量は、CKDステージG1~G2は、過剰にならないように注意する。
・ステージG3では0.8~1.0g/kg体重/日のたんぱく質摂取を推奨する。
・ステージG4~G5ではたんぱく質摂取を0.6~0.8g/kg体重/日に制限することで腎代替療法の導入が延長できる可能性がある。
・CKDの各ステージを通じて、過労を避けた十分な睡眠や休養は重要であるが、安静を強いる必要はない。
・個々の患者では、血圧、尿蛋白、腎機能などを詳細にみながら運動量を調節する必要がある。
・肥満では末期腎不全(EKSD)に至るリスクが高まる。
以上、引用です。運動に関してはコクランレビューで腎臓リハの有用性が報告されていますので、もう少し有用性に踏み込んだ内容が含まれると嬉しいのですが、なかなか難しいのですかね。
ただ回復期リハでは、以下のような糖尿病性腎症のCKDのG3症例も経験します。摂取エネルギー量は35kcal/kg体重/日、蛋白質は1.5g/kg体重/日で、ようやく体重維持可能でADLも十分改善しました。先日の湯布院厚生年金病院で行ったリハ栄養の症例検討の1例です。
72歳男性、脳梗塞(左放線冠)、右片麻痺
Br. Stage2-2-3と重度麻痺(退院時3-3-3)
身長172cm、入院時体重67.5kg、BMI22.8
HbA1c6.6%、Cre1.4mg/dl、eGFR39.3(Ⅲb)
1480~1680kcal:入院2ヶ月で5kg体重減少
2080kcal、蛋白95gで体重維持し自宅退院。
HbA1c6.1%、Cre1.1mg/dl、eGFR51.2(Ⅲa)
糖尿病というとエネルギー制限、CKDというと蛋白制限となりがちです。しかし、回復期リハでは3時間の機能訓練+病棟でのADL訓練によるエネルギー消費量が多いため、ガイドラインの推奨どおりの栄養管理では体重・筋肉量とも減少して、十分な機能改善が得られない可能性があります。
この症例では摂取エネルギー量は35kcal/kg体重/日、蛋白質1.5g/kg体重/日で2-3カ月栄養管理を行いましたが、血糖や腎機能の悪化は認めませんでした。だから安全とはもちろん言えませんが、血糖や腎機能をモニタリングしながらの高エネルギー高蛋白食は、回復期リハではむしろ必要だと感じています。
サルコペニア:定義と診断に関する欧州関連学会のコンセンサスの監訳とQ&A
サルコペニア:定義と診断に関する欧州関連学会のコンセンサスの監訳とQ&Aの資料を、以下のHPでPDFで見ることができます。
http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/pdf/sarcopenia_EWGSOP_jpn-j-geriat2012.pdf
日本語訳が出るくらい、サルコペニアの論文の中でも重要なものの1つと言えると考えます。論文の日本語訳も参考になります(一次性サルコペニア、二次性サルコペニア、プレ・サルコペニア、サルコペニア、重症サルコペニア、カヘキシア、虚弱など)。
論文紹介後に、本論文に対するQ&Aという資料が掲載されていて、これも学習になります。例えばサルコペニア肥満は「SMI が若年成人の-2SD以下かつ体脂肪率が男性で25%,女性で30% 以上である場合をサルコペニア肥満とすることが適切であると思われます」とあります。
サルコペニアの一次性、二次性に関しては「筋肉の量や機能に及ぼす影響や評価方法については一次性と二次性サルコペニアの間に差を設ける必要はないと考えられますが,診断にあたってはこれらの鑑別診断が必要です」とあります。実際には複数合併していることがリハ栄養では多いです。
サルコペニア診断のカットオフ値について、握力は「簡便に測定できる筋力の指標としては握力が
あり,生活活動に何らかの支援を必要とするような障害を引き起こすリスクが高くなる握力のカットオフ値は男性で25 kg,女性で20 kg であると推定されます」とあります。
歩行速度は「通常の歩行速度についてはADL の障害のない地域住民では0.8 m sec 以下の歩行速度である者はほとんど存在しません.日本人で要支援となるリスクを判定するためには,歩行速度1.0 m sec 以下を採用した方がよいかもしれません」とあります。
筋肉量は「筋量評価に関しては一般的に行われる検査のうち最も精度の高いのは,DXAによる評価指標です.その基準値は,その人種の若年成人の測定平均値(YAM)の-2SD とすべきであり,日本人では,男性6.87 kg m2,女性5.46 kg m2を用いるのがよいとされます」とあります。
日本語でサルコペニアを学習できるよい資料ですので、多くの方に読んでいただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/pdf/sarcopenia_EWGSOP_jpn-j-geriat2012.pdf
日本語訳が出るくらい、サルコペニアの論文の中でも重要なものの1つと言えると考えます。論文の日本語訳も参考になります(一次性サルコペニア、二次性サルコペニア、プレ・サルコペニア、サルコペニア、重症サルコペニア、カヘキシア、虚弱など)。
論文紹介後に、本論文に対するQ&Aという資料が掲載されていて、これも学習になります。例えばサルコペニア肥満は「SMI が若年成人の-2SD以下かつ体脂肪率が男性で25%,女性で30% 以上である場合をサルコペニア肥満とすることが適切であると思われます」とあります。
サルコペニアの一次性、二次性に関しては「筋肉の量や機能に及ぼす影響や評価方法については一次性と二次性サルコペニアの間に差を設ける必要はないと考えられますが,診断にあたってはこれらの鑑別診断が必要です」とあります。実際には複数合併していることがリハ栄養では多いです。
サルコペニア診断のカットオフ値について、握力は「簡便に測定できる筋力の指標としては握力が
あり,生活活動に何らかの支援を必要とするような障害を引き起こすリスクが高くなる握力のカットオフ値は男性で25 kg,女性で20 kg であると推定されます」とあります。
歩行速度は「通常の歩行速度についてはADL の障害のない地域住民では0.8 m sec 以下の歩行速度である者はほとんど存在しません.日本人で要支援となるリスクを判定するためには,歩行速度1.0 m sec 以下を採用した方がよいかもしれません」とあります。
筋肉量は「筋量評価に関しては一般的に行われる検査のうち最も精度の高いのは,DXAによる評価指標です.その基準値は,その人種の若年成人の測定平均値(YAM)の-2SD とすべきであり,日本人では,男性6.87 kg m2,女性5.46 kg m2を用いるのがよいとされます」とあります。
日本語でサルコペニアを学習できるよい資料ですので、多くの方に読んでいただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
2012年12月23日日曜日
訪問栄養指導で機能と栄養状態改善
高齢患者の自宅退院後に管理栄養士が訪問栄養指導すると機能と栄養状態が改善するというRCTを紹介します。
Beck AM, Kjær S, Hansen BS, Storm RL, Thal-Jantzen K, Bitz C. Follow-up home visits with registered dietitians have a positive effect on the functional and nutritional status of geriatric medical patients after discharge: a randomized controlled trial. Clin Rehabil. 2012 Dec 20. [Epub ahead of print]
リサーチクエスチョンは以下の通りです。
P:65歳以上で自宅退院した栄養リスクのある患者に
I:総合診療医の3回の訪問診療+管理栄養士の3回の訪問栄養指導を行うと
C:総合診療医の3回の訪問診療のみと比較して
O:退院後半年間の再入院が減少する
D:ランダム化比較試験
結果ですが、一次アウトカムについては再入院のオッズ比1.62 (95%信頼区間0.85 to 3.10)、死亡のオッズ比0.60 (95%信頼区間0.17 to 2.13)と統計学的有意差を認めませんでした。
しかし二次アウトカムでは、訪問栄養指導群で機能(移動能力など)、栄養状態(体重、エネルギー摂取量、蛋白摂取量)が有意に改善しました。これより栄養リスクのある高齢者に対する自宅退院後の訪問栄養指導は機能と栄養状態を改善させるとおう結論です。
二次アウトカムですので参考程度の解釈にとどめるべきですが、栄養リスクのある高齢者に3回、管理栄養士が訪問栄養指導を行うことで機能と栄養状態によい影響を与えるというのは意味があります。継続介入するとどうかも知りたいですね。
Beck AM, Kjær S, Hansen BS, Storm RL, Thal-Jantzen K, Bitz C. Follow-up home visits with registered dietitians have a positive effect on the functional and nutritional status of geriatric medical patients after discharge: a randomized controlled trial. Clin Rehabil. 2012 Dec 20. [Epub ahead of print]
リサーチクエスチョンは以下の通りです。
P:65歳以上で自宅退院した栄養リスクのある患者に
I:総合診療医の3回の訪問診療+管理栄養士の3回の訪問栄養指導を行うと
C:総合診療医の3回の訪問診療のみと比較して
O:退院後半年間の再入院が減少する
D:ランダム化比較試験
結果ですが、一次アウトカムについては再入院のオッズ比1.62 (95%信頼区間0.85 to 3.10)、死亡のオッズ比0.60 (95%信頼区間0.17 to 2.13)と統計学的有意差を認めませんでした。
しかし二次アウトカムでは、訪問栄養指導群で機能(移動能力など)、栄養状態(体重、エネルギー摂取量、蛋白摂取量)が有意に改善しました。これより栄養リスクのある高齢者に対する自宅退院後の訪問栄養指導は機能と栄養状態を改善させるとおう結論です。
二次アウトカムですので参考程度の解釈にとどめるべきですが、栄養リスクのある高齢者に3回、管理栄養士が訪問栄養指導を行うことで機能と栄養状態によい影響を与えるというのは意味があります。継続介入するとどうかも知りたいですね。
Abstract
Objective:To assess the additional benefits of individualized nutritional counselling by a registered dietitian in geriatric patients' home after discharge from hospital, in relation to risk of re-admissions, functional status, nutritional status, use of social services and mortality.Design:Twelve-week single-blind randomized controlled study.Setting and subjects:Geriatric medical patients (65+ years) at nutritional risk.Interventions:Participants were randomly allocated to receive a visit in their homes, either three individualized nutritional counselling by a registered dietitian complemented with three follow-up visits by general practitioners or three follow-up visits by general practitioners alone.Main measures:Primary outcome was risk of re-admissions. Secondary outcomes were functional status (hand grip strength, chair stand, mobility, disability and tiredness in daily activities, rehabilitation capacity), nutritional status (weight, BMI, energy and protein intake), need of social services (home care, home nursing, meals-on-wheels) and mortality.Results:One hundred and fifty-two patients were included; 132 (87%) completed the first and 124 (82%) the second data collection after 12 weeks. Ten per cent of the participants had three contacts with their general practitioner, while compliance with the dietetic intervention was almost 100%. Odds ratio for re-admission and mortality after 26 weeks was 1.62 (95% confidence interval (CI) 0.85 to 3.10) and 0.60 (95% CI 0.17 to 2.13). The intervention had a positive effect on functional status (i.e. mobility, P = 0.029), and nutritional status (i.e. weight, P = 0.035; energy intake, P < 0.001; protein intake, P = 0.001) and the use of meals-on wheels was reduced (P = 0.084).Conclusion:Follow-up home visits with registered dietitians have a positive effect on the functional and nutritional status of geriatric medical patients after discharge.2012年12月20日木曜日
PDN通信
2007年のPDN通信に掲載された「摂食・嚥下リハビリテーションとは?1.リハビリテーションとは障害を持ちながら生活していく手段の獲得」の記事が、PDNのHPに掲載されました。あの頃は若かったですね(笑)。
http://www.peg.or.jp/paper/article/enge_kinou/2-1.html
他にも胃瘻と摂食・嚥下に関するPDN通信記事のバックナンバーが公開されています。多くの方に見ていただければと思います。よろしくお願い申し上げます。
http://www.peg.or.jp/paper/article/enge_kinou/index.html
http://www.peg.or.jp/paper/article/enge_kinou/2-1.html
他にも胃瘻と摂食・嚥下に関するPDN通信記事のバックナンバーが公開されています。多くの方に見ていただければと思います。よろしくお願い申し上げます。
http://www.peg.or.jp/paper/article/enge_kinou/index.html
栄養と高齢者の筋肉量・筋力・身体機能
栄養が高齢者の筋肉量、筋力、身体機能に与える影響に関するレビュー論文を紹介します。
Mithal A, Bonjour JP, Boonen S, Burckhardt P, Degens H, El Hajj Fuleihan G, Josse R, Lips P, Morales Torres J, Rizzoli R, Yoshimura N, Wahl DA, Cooper C, Dawson-Hughes B; for the IOF CSA Nutrition Working Group. Impact of nutrition on muscle mass, strength, and performance in older adults. Osteoporos Int. 2012 Dec 18. [Epub ahead of print]
蛋白質、酸塩基平衡、ビタミンD・カルシウム、ビタミンB群など微量栄養素とサルコペニアについてレビューされています。高齢者では1日1.0-1.2g/kgの蛋白質摂取が最適とされています。ビタミンDの血中濃度と筋力に関連があります。
acid-producing diets(酸を産生する食事:肉、穀物など)を慢性的に継続していると筋機能への悪影響があるようです。特に肉・穀物が多くアルカリ性の食事(野菜や果物)の摂取が少ないと、骨にも筋肉にも悪いようです。
ビタミンB12と葉酸の減少もホモシステインを通して筋機能を障害する可能性があります。適切な栄養摂取と酸塩基平衡のとれた食事が、加齢時の筋肉量・筋力の保持に重要という結論です。
食事の酸性、アルカリ性、アシドーシスに関しては、以下のブログでも記載しています。特に果物と野菜と魚油を十分に摂取しましょうという推奨です。
栄養とサルコペニアのレビュー
http://rehabnutrition.blogspot.jp/2012/03/blog-post_27.html
まだ論文は十分読みこめていませんが、よいレビュー論文だと思いますので、酸塩基平衡のとれた食事についてしっかり学習してみます。あと高齢者の1日蛋白質摂取量は0.8g/kgより1.0-1.2g/kgが望ましいのは確かなようですね。
Mithal A, Bonjour JP, Boonen S, Burckhardt P, Degens H, El Hajj Fuleihan G, Josse R, Lips P, Morales Torres J, Rizzoli R, Yoshimura N, Wahl DA, Cooper C, Dawson-Hughes B; for the IOF CSA Nutrition Working Group. Impact of nutrition on muscle mass, strength, and performance in older adults. Osteoporos Int. 2012 Dec 18. [Epub ahead of print]
蛋白質、酸塩基平衡、ビタミンD・カルシウム、ビタミンB群など微量栄養素とサルコペニアについてレビューされています。高齢者では1日1.0-1.2g/kgの蛋白質摂取が最適とされています。ビタミンDの血中濃度と筋力に関連があります。
acid-producing diets(酸を産生する食事:肉、穀物など)を慢性的に継続していると筋機能への悪影響があるようです。特に肉・穀物が多くアルカリ性の食事(野菜や果物)の摂取が少ないと、骨にも筋肉にも悪いようです。
ビタミンB12と葉酸の減少もホモシステインを通して筋機能を障害する可能性があります。適切な栄養摂取と酸塩基平衡のとれた食事が、加齢時の筋肉量・筋力の保持に重要という結論です。
食事の酸性、アルカリ性、アシドーシスに関しては、以下のブログでも記載しています。特に果物と野菜と魚油を十分に摂取しましょうという推奨です。
栄養とサルコペニアのレビュー
http://rehabnutrition.blogspot.jp/2012/03/blog-post_27.html
まだ論文は十分読みこめていませんが、よいレビュー論文だと思いますので、酸塩基平衡のとれた食事についてしっかり学習してみます。あと高齢者の1日蛋白質摂取量は0.8g/kgより1.0-1.2g/kgが望ましいのは確かなようですね。
Abstract
Muscle strength plays an important role in determining risk for falls, which result in fractures and other injuries. While bone loss has long been recognized as an inevitable consequence of aging, sarcopenia-the gradual loss of skeletal muscle mass and strength that occurs with advancing age-has recently received increased attention. A review of the literature was undertaken to identify nutritional factors that contribute to loss of muscle mass. The role of protein, acid-base balance, vitamin D/calcium, and other minor nutrients like B vitamins was reviewed. Muscle wasting is a multifactorial process involving intrinsic and extrinsic alterations. A loss of fast twitch fibers, glycation of proteins, and insulin resistance may play an important role in the loss of muscle strength and development of sarcopenia. Protein intake plays an integral part in muscle health and an intake of 1.0-1.2 g/kg of body weight per day is probably optimal for older adults. There is a moderate inverse relationship between vitamin D status and muscle strength. Chronic ingestion of acid-producing diets appears to have a negative impact on muscle performance, and decreases in vitamin B(12) and folic acid intake may also impair muscle function through their action on homocysteine. An adequate nutritional intake and an optimal dietary acid-base balance are important elements of any strategy to preserve muscle mass and strength during aging.2012年12月18日火曜日
急性リンパ性白血病
急性リンパ性白血病の小児のサルコペニアを調査した論文を紹介します。
Rayar Meera, et al. Sarcopenia in Children With Acute Lymphoblastic Leukemia. Journal of Pediatric Hematology/Oncology, doi: 10.1097/MPH.0b013e318279eea2
対象は91人の急性リンパ性白血病の小児で、筋肉量はDEXAで評価しています。結果ですが、6か月の治療後に筋肉量は低下し、診断後1-2年で部分的に回復しました。血清クレアチニンには変化を認めませんでした。早期治療時の筋肉量低下は入院期間と関連していました。
抄録しか読めていないので詳細不明ですが、広義のサルコペニアで考えれば、小児でもサルコペニアという言葉を使用することができます。広義のサルコペニアは高齢者だけの問題ではありません。診断基準はそのまま用いるわけにはいかないので、なかなか難しいかもしれませんが。
Abstract
Children with acute lymphoblastic leukemia experience musculoskeletal morbidity during therapy. We examined the patterns of change in skeletal muscle mass (SMM) and the relationship between change in SMM and the burden of illness as reflected in days of hospitalization. Ninety-one children had dual energy x-ray absorptiometry (DXA scans) during treatment, yielding the sum of lean tissue mass in all 4 limbs; the appendicular lean mass. SMM was derived from appendicular lean mass. The number of inpatient days was recorded. DXA scans at 5 time points showed a profile of change in SMM characterized by a drop in the mean Z score from -0.18 at diagnosis to -1.08 after 6 months of therapy, with a partial recovery 12 to 24 months after diagnosis. Levels of serum creatinine, a surrogate measure of SMM, were mainly unchanged. The extent of the drop in SMM during early therapy was associated with the duration of hospitalization (r=0.31, P<0 .05=".05" a="a" acute="acute" and="and" associated="associated" burden="burden" children="children" degree="degree" determine="determine" early="early" efficacy.="efficacy." experience="experience" findings="findings" for="for" illness.="illness." in="in" incomplete="incomplete" intervention="intervention" is="is" its="its" leukemia="leukemia" loss="loss" lymphoblastic="lymphoblastic" measure="measure" notable="notable" of="of" p="p" provide="provide" recovery.="recovery." reduction="reduction" smm="smm" target="target" the="the" therapeutic="therapeutic" these="these" to="to" treatment="treatment" with="with">0>
Rayar Meera, et al. Sarcopenia in Children With Acute Lymphoblastic Leukemia. Journal of Pediatric Hematology/Oncology, doi: 10.1097/MPH.0b013e318279eea2
対象は91人の急性リンパ性白血病の小児で、筋肉量はDEXAで評価しています。結果ですが、6か月の治療後に筋肉量は低下し、診断後1-2年で部分的に回復しました。血清クレアチニンには変化を認めませんでした。早期治療時の筋肉量低下は入院期間と関連していました。
抄録しか読めていないので詳細不明ですが、広義のサルコペニアで考えれば、小児でもサルコペニアという言葉を使用することができます。広義のサルコペニアは高齢者だけの問題ではありません。診断基準はそのまま用いるわけにはいかないので、なかなか難しいかもしれませんが。
Abstract
Children with acute lymphoblastic leukemia experience musculoskeletal morbidity during therapy. We examined the patterns of change in skeletal muscle mass (SMM) and the relationship between change in SMM and the burden of illness as reflected in days of hospitalization. Ninety-one children had dual energy x-ray absorptiometry (DXA scans) during treatment, yielding the sum of lean tissue mass in all 4 limbs; the appendicular lean mass. SMM was derived from appendicular lean mass. The number of inpatient days was recorded. DXA scans at 5 time points showed a profile of change in SMM characterized by a drop in the mean Z score from -0.18 at diagnosis to -1.08 after 6 months of therapy, with a partial recovery 12 to 24 months after diagnosis. Levels of serum creatinine, a surrogate measure of SMM, were mainly unchanged. The extent of the drop in SMM during early therapy was associated with the duration of hospitalization (r=0.31, P<0 .05=".05" a="a" acute="acute" and="and" associated="associated" burden="burden" children="children" degree="degree" determine="determine" early="early" efficacy.="efficacy." experience="experience" findings="findings" for="for" illness.="illness." in="in" incomplete="incomplete" intervention="intervention" is="is" its="its" leukemia="leukemia" loss="loss" lymphoblastic="lymphoblastic" measure="measure" notable="notable" of="of" p="p" provide="provide" recovery.="recovery." reduction="reduction" smm="smm" target="target" the="the" therapeutic="therapeutic" these="these" to="to" treatment="treatment" with="with">0>
終末期がんへの栄養サポート
緩和ケア病棟における終末期がん患者への栄養サポートの効果に関する日本からの論文を紹介します。
Koji Amano, et al. Effect of Nutritional Support on Terminally Ill Patients With Cancer in a Palliative Care Unit. AM J HOSP PALLIAT CARE, Published online before print December 12, 2012, doi: 10.1177/1049909112469273
個別の栄養サポートを行った患者22人とその他の患者41人を、後ろ向きコホート研究(かな?)で比較検討しています。結果ですが、栄養サポート群で褥瘡が有意に少なく、浮腫と抗生剤使用が少ない傾向にありました。栄養サポートが有用な終末期がん患者もいる可能性があるという結論です。
リハよりも栄養サポートの効果を出しにくいセッティングで、こうして論文をまとめるのは素晴らしいと思います。ただ、対照群で褥瘡が多かったのは、対照群にPSが3の方がより多かったせいかもしれません。リハ栄養でもこうして成果を出していければと感じます。
Abstract
The role of nutritional support on terminally ill patients with cancer in a palliative care unit has not been clarified. A total of 63 patients were retrospectively investigated; the patients receiving individualized nutritional support (intervention group [n = 22]) were compared to the others (control group [n = 41]). The intervention group received individualized nutritional support. There were no significant differences in the characteristics of patients between the groups. The prevalence of bedsores was significantly lower in the intervention group (14% vs 46%, P = .012). The prevalence of edema and the use of antibiotic therapies tended to be lower in the intervention group than in the control group (36% vs 54%, P = .19; 14% vs 27%, P = .34, respectively). Some terminally ill patients with cancer in a palliative care unit might benefit from nutritional support.
Koji Amano, et al. Effect of Nutritional Support on Terminally Ill Patients With Cancer in a Palliative Care Unit. AM J HOSP PALLIAT CARE, Published online before print December 12, 2012, doi: 10.1177/1049909112469273
個別の栄養サポートを行った患者22人とその他の患者41人を、後ろ向きコホート研究(かな?)で比較検討しています。結果ですが、栄養サポート群で褥瘡が有意に少なく、浮腫と抗生剤使用が少ない傾向にありました。栄養サポートが有用な終末期がん患者もいる可能性があるという結論です。
リハよりも栄養サポートの効果を出しにくいセッティングで、こうして論文をまとめるのは素晴らしいと思います。ただ、対照群で褥瘡が多かったのは、対照群にPSが3の方がより多かったせいかもしれません。リハ栄養でもこうして成果を出していければと感じます。
Abstract
The role of nutritional support on terminally ill patients with cancer in a palliative care unit has not been clarified. A total of 63 patients were retrospectively investigated; the patients receiving individualized nutritional support (intervention group [n = 22]) were compared to the others (control group [n = 41]). The intervention group received individualized nutritional support. There were no significant differences in the characteristics of patients between the groups. The prevalence of bedsores was significantly lower in the intervention group (14% vs 46%, P = .012). The prevalence of edema and the use of antibiotic therapies tended to be lower in the intervention group than in the control group (36% vs 54%, P = .19; 14% vs 27%, P = .34, respectively). Some terminally ill patients with cancer in a palliative care unit might benefit from nutritional support.
2012年12月13日木曜日
高齢者の低栄養とQOL:メタ解析
高齢者の低栄養とQOLの関係をみたメタ解析を紹介します。
Solah Rasheed, Robert Thomas Woods. Malnutrition and quality of life in older people: a systematic review and meta-analysis. Ageing Research Reviews, http://dx.doi.org/10.1016/j.arr.2012.11.003
高齢者の低栄養とQOLを調査したコホート研究と介入研究の系統的レビューとメタ解析です。結果ですが、低栄養の場合にQOLが低いことが多い(オッズ比2.85; 95%信頼区間:2.20~3.70)でした。栄養改善によって、身体的QOLと精神的QOLに有意な改善を認めました。
以上より、低栄養はQOL低下と関連し、栄養改善によってQOLの身体的側面と精神的側面の両者を改善できるという結論です。ただし、研究の質が低く、栄養とQOLの評価方法が異なるため、結論の解釈には留意が必要です。
栄養改善で身体的QOLと精神的QOLを改善できるのであれば、より高齢者の低栄養を見逃さずに早期発見、早期介入することが望まれます。問題は栄養改善しにくい侵襲や悪液質といった炎症が原因の低栄養に対して、どう早期から評価、介入、改善していくかだと感じます。
Solah Rasheed, Robert Thomas Woods. Malnutrition and quality of life in older people: a systematic review and meta-analysis. Ageing Research Reviews, http://dx.doi.org/10.1016/j.arr.2012.11.003
高齢者の低栄養とQOLを調査したコホート研究と介入研究の系統的レビューとメタ解析です。結果ですが、低栄養の場合にQOLが低いことが多い(オッズ比2.85; 95%信頼区間:2.20~3.70)でした。栄養改善によって、身体的QOLと精神的QOLに有意な改善を認めました。
以上より、低栄養はQOL低下と関連し、栄養改善によってQOLの身体的側面と精神的側面の両者を改善できるという結論です。ただし、研究の質が低く、栄養とQOLの評価方法が異なるため、結論の解釈には留意が必要です。
栄養改善で身体的QOLと精神的QOLを改善できるのであれば、より高齢者の低栄養を見逃さずに早期発見、早期介入することが望まれます。問題は栄養改善しにくい侵襲や悪液質といった炎症が原因の低栄養に対して、どう早期から評価、介入、改善していくかだと感じます。
Abstract
Although the effects of malnutrition on morbidity and mortality of older people is well established, there has been little work done to investigate the relationship between malnutrition and quality of life(QoL) in this population. In order to facilitate further research and to aggregate existing evidence into a clear overview, a systematic review was conducted. The objective was to identify the literature on the topic, review the findings systematically, and assess the association between nutritional status and QoL. MEDLINE, EMBASE, CINAHL and Web of Science were searched for relevant studies published up to April 2011. References within identified studies also searched. The primary author extracted all data using a purpose-built form, and evaluated the quality of the studies using a published checklist. A second reviewer checked a random sample of articles independently.
Evidence in the current review comes from both cohort studies and intervention trials. Results from the former suggested that individuals with malnutrition are more likely to experience poor QoL (OR: 2.85; 95% CI: 2.20 - 3.70, p < 0.001). Consistent with this, interventions designed to improve nutritional status can also lead to significant improvements in QoL, both physical (standard mean difference 0.23, CI: 0.08 to 0.38, p = 0.002) and mental aspects (standard mean difference 0.24, CI: 0.11 to 0.36, p < 0.001). However, the results should be interpreted with caution in view of the poor quality of the included studies and the heterogeneity of methods employed in the assessment of both nutritional status and QoL. Future studies should carefully characterise their participants and use standardised parameters for nutritional and QoL assessments in order to achieve better evaluation and comparability of study results.
Highlights
► Malnutrition is common in older people, frequently over looked and results in poorer quality of life. ► Nutrition support for older people enhances both physical and mental aspects of their quality of life. ► More research is required to confirm the effects of nutrition support on quality of life. ► Opportunities exist to improve, standardise and evaluate nutritional and quality of life measures. ► Standardised use of assessments is essential for evaluation and comparison of studies better.
高齢女性のサルコペニアと認知障害
高齢女性でサルコペニアと認知障害の関連を調査した論文を紹介します。
Abellan van Kan G, Cesari M, Gillette-Guyonnet S, Dupuy C, Nourhashémi F, Schott AM, Beauchet O, Annweiler C, Vellas B, Rolland Y. Sarcopenia and cognitive impairment in elderly women: results from the EPIDOS cohort. Age Ageing. 2012 Dec 7. [Epub ahead of print]
サルコペニアの診断は、Baumgartner、Delmonico、Newman、IWGS、SIG、EWGSOPの6つの基準を用いています。これだけでサルコペニアの診断方法の学習になりますね(笑)。筋肉量はDEXAで評価しています。
認知機能は、Short Portable Mental Status Questionnaire (SPMSQ)という10項目の質問票で評価しています。8点以上なら認知機能正常と判定します。
対象は2つのコホートに所属する高齢女性で、80歳以上と80歳未満が約半数ずつです。
結果ですが、サルコペニアの有病割合は3.3~18.8%でした。どの方法で診断しても、認知障害との関連は多変量解析で認めませんでした。ただし、握力と歩行速度はそれぞれ認知障害と有意な関連を認めました。
以上より、サルコペニアと認知障害には有意な関連を認めず、身体機能低下と認知機能障害の関連はサルコペニアを介していないと考えられるという結論です。
恥ずかしながら、握力低下と歩行速度低下が、認知機能障害とよく関連していることを知りませんでした…。筋肉量低下は認知機能障害と関連しないようですね。筋肉量も重要ですが、筋力や身体機能のほうがより重要であることを示唆しているように思えます。
Abellan van Kan G, Cesari M, Gillette-Guyonnet S, Dupuy C, Nourhashémi F, Schott AM, Beauchet O, Annweiler C, Vellas B, Rolland Y. Sarcopenia and cognitive impairment in elderly women: results from the EPIDOS cohort. Age Ageing. 2012 Dec 7. [Epub ahead of print]
サルコペニアの診断は、Baumgartner、Delmonico、Newman、IWGS、SIG、EWGSOPの6つの基準を用いています。これだけでサルコペニアの診断方法の学習になりますね(笑)。筋肉量はDEXAで評価しています。
認知機能は、Short Portable Mental Status Questionnaire (SPMSQ)という10項目の質問票で評価しています。8点以上なら認知機能正常と判定します。
対象は2つのコホートに所属する高齢女性で、80歳以上と80歳未満が約半数ずつです。
結果ですが、サルコペニアの有病割合は3.3~18.8%でした。どの方法で診断しても、認知障害との関連は多変量解析で認めませんでした。ただし、握力と歩行速度はそれぞれ認知障害と有意な関連を認めました。
以上より、サルコペニアと認知障害には有意な関連を認めず、身体機能低下と認知機能障害の関連はサルコペニアを介していないと考えられるという結論です。
恥ずかしながら、握力低下と歩行速度低下が、認知機能障害とよく関連していることを知りませんでした…。筋肉量低下は認知機能障害と関連しないようですね。筋肉量も重要ですが、筋力や身体機能のほうがより重要であることを示唆しているように思えます。
Abstract
BACKGROUND:
common pathophysiological pathways are shared between age-related body composition changes and cognitive impairment.OBJECTIVE:
evaluate whether current operative sarcopenia definitions are associated with cognition in community-dwelling older women.DESIGN:
cross-sectional analyses.SUBJECTS:
a total of 3,025 women aged 75 years and older.MEASUREMENTS:
body composition (assessed by dual energy X-ray absorptiometry) and cognition (measured by short portable mental status questionnaire) were obtained in all participants. Multivariate logistic regression models assessed the association of six operative definitions of sarcopenia with cognitive impairment. Gait speed (GS, measured over a 6-meter track at usual pace) and handgrip strength (HG, measured by a hand-held dynamometer) were considered additional factors of interest.RESULTS:
a total of 492 (16.3%) women were cognitively impaired. The prevalence of sarcopenia ranged from 3.3 to 18.8%. No sarcopenia definition was associated with cognitive impairment after controlling for potential confounders. To proof consistency, the analyses were performed using GS and HG, two well-established predictors of cognitive impairment. Low GS [odds ratio (OR) 2.42, 95% confidence interval (CI) 1.72-3.40] and low HG (OR: 1.81, 95% CI: 1.33-2.46) were associated with cognitive impairment.CONCLUSION:
no significant association was evidenced between different operative sarcopenia definitions and cognitive impairment. The study suggests that the association between physical performance and cognitive impairment in not mediated by sarcopenia.2012年12月12日水曜日
sarcopenic dysphagia
sarcopenic dysphagiaに関する日本からのレター論文を紹介します。
Kuroda Y, Kuroda R. Relationship between thinness and swallowing function in Japanese older adults: implications for sarcopenic dysphagia. J Am Geriatr Soc. 2012;60(9):1785-6. doi: 10.1111/j.1532-5415.2012.04123.x.
レター論文なので抄録はありません。以下論文を紹介します。対象は65歳以上で嚥下障害が疑われる入院患者55人で、悪性腫瘍患者は除外されています。疾患は肺炎28人、消化器疾患11人、心疾患5人、整形疾患5人、その他6人です。55人中40人に認知症を認めます。
るいそうの評価として、BMIではなく上腕周囲長(MUAC)を用いています。ねたきり患者では体重測定より容易であり、BMIとの相関が報告されているためです。
嚥下機能の評価として、graded water-swallowing test (GWST)を用いています。これは2ml、3ml、5mlの水とトロミ水を飲んでいただき、0点(2mlのトロミで異常)から6点(5mlの水で正常)の6段階で評価しています。
身体活動は6段階で0(完全に寝たきり)から5(介助なしで歩行可能)で評価しています。コミュニケーション能力は10段階で0(完全に不可能)から10(全く支障なし)で評価しています。血清アルブミンも調査しています。
結果ですが、上腕周囲長の平均は19.4cm(11.2~26.2)でJARD2001の同年代、性別と比較して、40%が2SD以下でした。血清アルブミンの平均は2.7g/dl(1.5~4.1)、GWSTは平均4.1点(0~6)。身体活動は平均1.3点(0~5)。コミュニケーション能力の平均は3.9(0~10)でした。
認知症の有無でGWSTと上腕周囲長に有意差を認めませんでした。GWSTは上腕周囲長とのみ有意な相関を認め(相関係数0.48)、他の項目とは有意な相関を認めませんでした。
ほとんどの患者にるいそうや身体活動制限を認め、GWSTは上腕周囲長とのみ有意な相関を認めました。これより嚥下障害はるいそうと関連し、Frailtyや認知症の有無とは関連しないことが示唆されます。
この結果をもっともよく説明できる考え方は、嚥下筋も含めた除脂肪体重の全般的な減少が、上腕周囲長と嚥下機能低下の関連の原因であり、日本の高齢者におけるsarcopenic dysphagiaの存在が考えられます。
限界として、上腕周囲長は筋肉量減少を正確に反映していないこと、嚥下筋の筋肉量と筋力を測定していないこと、GWSTによる嚥下評価の妥当性が検証されていないこと、サルコペニアの診断をしていないことがあります。さらなる研究が必要です。
以上、論文の紹介です。sarcopenic dysphagiaというサルコペニアの摂食・嚥下障害の英語は、初めてみました。私は書籍でDysphagia due to sarcopeniaと訳しましたが、今後はsarcopenic dysphagiaですね。
sarcopenic dysphagiaという単語を作り、J Am Geriatr Socに掲載されたというのは素晴らしいですね。これでサルコペニアの摂食・嚥下障害という考え方もより広まると思います。
対象疾患に脳卒中がほとんど含まれていません。ただ、脳卒中の既往がある方(顕在的にも潜在的にも)はそれなりにいると思いますので、嚥下障害の原因はサルコペニアだけでなく、麻痺や加齢・疾患によるその他の要因もあるのではと推測します。
研究の限界に関しては、私もよく理解できます。私は日本語の論文にしかできませんでしたが、寝たきり患者ではサルコペニアの診断が困難で、検査機器による筋肉量、筋力評価も困難です。嚥下障害に関しては、嚥下障害の重症度スケールやVEの結果もあるとなおよいと感じました。
栄養状態はアルブミンと上腕周囲長での評価ですが、上腕三頭筋皮下脂肪厚も評価したうえで、上腕筋囲、上腕筋面積やMNA-SFでの評価もあるとなおよいと思います。
限界はいくつかあるとはいえ、素晴らしい発表だと私は考えます。この研究をベースとして、より質の高いsarcopenic dysphagiaの臨床研究が日本で行われ、世界に発信されると嬉しいですね。頑張らないと、という気持になりました。
Kuroda Y, Kuroda R. Relationship between thinness and swallowing function in Japanese older adults: implications for sarcopenic dysphagia. J Am Geriatr Soc. 2012;60(9):1785-6. doi: 10.1111/j.1532-5415.2012.04123.x.
レター論文なので抄録はありません。以下論文を紹介します。対象は65歳以上で嚥下障害が疑われる入院患者55人で、悪性腫瘍患者は除外されています。疾患は肺炎28人、消化器疾患11人、心疾患5人、整形疾患5人、その他6人です。55人中40人に認知症を認めます。
るいそうの評価として、BMIではなく上腕周囲長(MUAC)を用いています。ねたきり患者では体重測定より容易であり、BMIとの相関が報告されているためです。
嚥下機能の評価として、graded water-swallowing test (GWST)を用いています。これは2ml、3ml、5mlの水とトロミ水を飲んでいただき、0点(2mlのトロミで異常)から6点(5mlの水で正常)の6段階で評価しています。
身体活動は6段階で0(完全に寝たきり)から5(介助なしで歩行可能)で評価しています。コミュニケーション能力は10段階で0(完全に不可能)から10(全く支障なし)で評価しています。血清アルブミンも調査しています。
結果ですが、上腕周囲長の平均は19.4cm(11.2~26.2)でJARD2001の同年代、性別と比較して、40%が2SD以下でした。血清アルブミンの平均は2.7g/dl(1.5~4.1)、GWSTは平均4.1点(0~6)。身体活動は平均1.3点(0~5)。コミュニケーション能力の平均は3.9(0~10)でした。
認知症の有無でGWSTと上腕周囲長に有意差を認めませんでした。GWSTは上腕周囲長とのみ有意な相関を認め(相関係数0.48)、他の項目とは有意な相関を認めませんでした。
ほとんどの患者にるいそうや身体活動制限を認め、GWSTは上腕周囲長とのみ有意な相関を認めました。これより嚥下障害はるいそうと関連し、Frailtyや認知症の有無とは関連しないことが示唆されます。
この結果をもっともよく説明できる考え方は、嚥下筋も含めた除脂肪体重の全般的な減少が、上腕周囲長と嚥下機能低下の関連の原因であり、日本の高齢者におけるsarcopenic dysphagiaの存在が考えられます。
限界として、上腕周囲長は筋肉量減少を正確に反映していないこと、嚥下筋の筋肉量と筋力を測定していないこと、GWSTによる嚥下評価の妥当性が検証されていないこと、サルコペニアの診断をしていないことがあります。さらなる研究が必要です。
以上、論文の紹介です。sarcopenic dysphagiaというサルコペニアの摂食・嚥下障害の英語は、初めてみました。私は書籍でDysphagia due to sarcopeniaと訳しましたが、今後はsarcopenic dysphagiaですね。
sarcopenic dysphagiaという単語を作り、J Am Geriatr Socに掲載されたというのは素晴らしいですね。これでサルコペニアの摂食・嚥下障害という考え方もより広まると思います。
対象疾患に脳卒中がほとんど含まれていません。ただ、脳卒中の既往がある方(顕在的にも潜在的にも)はそれなりにいると思いますので、嚥下障害の原因はサルコペニアだけでなく、麻痺や加齢・疾患によるその他の要因もあるのではと推測します。
研究の限界に関しては、私もよく理解できます。私は日本語の論文にしかできませんでしたが、寝たきり患者ではサルコペニアの診断が困難で、検査機器による筋肉量、筋力評価も困難です。嚥下障害に関しては、嚥下障害の重症度スケールやVEの結果もあるとなおよいと感じました。
栄養状態はアルブミンと上腕周囲長での評価ですが、上腕三頭筋皮下脂肪厚も評価したうえで、上腕筋囲、上腕筋面積やMNA-SFでの評価もあるとなおよいと思います。
限界はいくつかあるとはいえ、素晴らしい発表だと私は考えます。この研究をベースとして、より質の高いsarcopenic dysphagiaの臨床研究が日本で行われ、世界に発信されると嬉しいですね。頑張らないと、という気持になりました。
アメリカ栄養士会:臨床栄養管理のレベル別能力
アメリカ栄養士会による臨床栄養管理領域における管理栄養士のレベル別能力を解説している論文を紹介します。
Clark KM, Moore C, Trombley L, Skates J, Rogalski MJ, Schofield M, Welch J; Academy of Nutrition and Dietetics. Academy of Nutrition and Dietetics: Standards of professional performance for registered dietitians (competent, proficient, expert) in clinical nutrition management. J Acad Nutr Diet. 2012;112(10):1662-9, 1669.e1-17. doi: 10.1016/j.jand.2012.07.030. PubMed PMID: 23017575.
抄録はありません。管理栄養士の能力をcompetent, proficient, expertの3段階に分類しています。3段階のレベルはそれぞれ以下のように解説されています。
competentのレベルに達するだけでも正直、簡単ではない印象です。個々の患者への臨床栄養管理よりも、組織のマネジメントに関する記載が多いのも特徴かと感じます。expertレベルの管理栄養士が日本にもより増えると嬉しいですね。
Clark KM, Moore C, Trombley L, Skates J, Rogalski MJ, Schofield M, Welch J; Academy of Nutrition and Dietetics. Academy of Nutrition and Dietetics: Standards of professional performance for registered dietitians (competent, proficient, expert) in clinical nutrition management. J Acad Nutr Diet. 2012;112(10):1662-9, 1669.e1-17. doi: 10.1016/j.jand.2012.07.030. PubMed PMID: 23017575.
抄録はありません。管理栄養士の能力をcompetent, proficient, expertの3段階に分類しています。3段階のレベルはそれぞれ以下のように解説されています。
competentのレベルに達するだけでも正直、簡単ではない印象です。個々の患者への臨床栄養管理よりも、組織のマネジメントに関する記載が多いのも特徴かと感じます。expertレベルの管理栄養士が日本にもより増えると嬉しいですね。
Competent Practitioner
In dietetics, a competent practitioner is an RD who is starting practice after having obtained RD registration by the Commission on Dietetic Registration or an experienced RD who has recently assumed responsibility to provide nutrition care in a new focus area. A focus area is defined as an area of dietetics practice that requires focused knowledge, skills, and experience. A competent practitioner who has obtained RD status acquires on-the-job skills and engages in tailored continuing education to enhance knowledge and skills.
A competent level of professional performance in CNM is a level that is typically seen in those with little or no prior experience in a management position, although this level can be demonstrated by more tenured managers or clinicians new to the management role. The focus of a manager at this level is very task oriented. Process must be thoroughly considered, and the manager can benefit from guidance and step-by-step instructions. A manager at this level performs best in a controlled environment with close monitoring to execute tasks, prioritize, and troubleshoot problems. As the competent manager progresses, tasks are put into perspective, context is added to the rules, decision-making skills are refined, and related skills and situations are coordinated.
Proficient Practitioner
A proficient practitioner is an RD who has obtained operational job performance skills and is successful in his or her chosen focus area of practice. A proficient level of professional performance in CNM correlates with mid-level skills and abilities. The manager has developed a systematic approach to skill execution. Managers at this level have mastered the skills integral to the role and understand how these skills fit into a larger context; they have developed approaches to suit different situations. Managers at this level may or may not possess a specialist credential or certification. Compared with competent practitioners, proficient practitioners function at a higher level of management practice by developing long-term plans and goals, leading initiatives to expand current practice as well as managing human and financial resources with finesse and role comprehension. These managers function effectively within their organizations to institute change, secure needed resources, and advance the practice of medical nutrition therapy. As these managers advance their proficiency, they develop an intuitive understanding of the role, which enables them to focus on the critical issues that matter and the implications of information and actions. Their skills are embedded with other related skills, allowing them to form a wider framework of perspective and priorities. They often learn from experience and guidelines developed by others.
Expert Practitioner
An expert practitioner is an RD who is recognized within the profession and has mastered the highest degree of skill in or knowledge of a certain focus or generalized area of dietetics through additional knowledge, experience, and/or training. An expert practitioner has a high degree of professional autonomy and responsibility, exhibits a set of characteristics that include leadership and vision, and demonstrates effectiveness in planning, achieving, evaluating, and communicating targeted outcomes. The expert level of professional performance in CNM correlates with the acquisition of a sound knowledge base and complex decision-making skills that enable the manager to rapidly and accurately grasp the impact of a situation and seamlessly move to resolve it. These managers serve as a primary source of knowledge and information. Expert practitioners may or may not possess additional certification or credentialing. Expert practitioners possess an in-depth understanding of role requirements and a keen ability to envision service expansion and interface influentially with subordinates and peers to make a shared vision a reality. An expert level of practice may accompany tenure in a management position, which cultivates maturation in approaching and guiding others. These managers demonstrate mastery in professional practice, working relationships, leadership, mentorship, and staff/team development. Expert managers address complex cases without referring to management guidelines. Because they already have a mastery of the content, these guidelines are automatically applied without the need to refer to them. Conscious thought is spent more on exceptions, innovations, and challenges faced by others.
登録:
投稿 (Atom)