2011年5月2日月曜日

「口腔ケア」は死語である

昨日、ツイッターとフェイスブックで、日本口腔ケア学会による口腔ケアの定義の問題と、個人で商標登録されている問題について、盛り上がりました。「口腔ケアの定義再考を:日本口腔ケア学会」のブログページのアクセスも急増しました。

口腔ケアの定義再考を:日本口腔ケア学会
http://rehabnutrition.blogspot.com/2010/11/blog-post_28.html

問題点を改めて紹介します。

①日本口腔ケア学会による口腔ケアの定義が間違っていること

「口腔ケアとは、口腔の疾病予防、健康保持・増進、リハビリテーションによりQOLの向上をめざした科学であり技術です。具体的には、検診、口腔清掃、義歯の着脱と手入れ、咀嚼・摂食・嚥下のリハビリ、歯肉・頬部のマッサージ、食事の介護、口臭の除去、口腔乾燥予防などがあります。」

これでは口腔ケアの一部に摂食・嚥下リハが含まれていますが、実際には逆です。摂食・嚥下リハの一部に口腔衛生が含まれます。リハの思想や本質を理解していれば、このような定義になることはありません。

②口腔ケアという用語が1個人によって商標登録されていること

商標登録番号4568672。特許電子図書館のメニュー3「商標出願・登録情報」から「登録番号」で検索すると、口腔ケアが1個人によって商標登録されている内容を見ることができます。

http://www.ipdl.inpit.go.jp/Syouhyou/syouhyou.htm

日本口腔ケア学会理事長が個人で商標登録していることがわかります。つまり、勝手に口腔ケアという用語を使用するな、誰の許可を得て使用しているんだという権利が、この方にはあるということになってしまいます。実におかしな話です。しかも、この事実があまり知られていないということも問題です。

私は約半年前の第7回日本口腔ケア学会のシンポジウムで、口腔ケアの定義を再考してほしいと明言しました。しかし、その後の動きはほとんどないようです。一部、歯科系の学会で見なおそうという動きもないわけはないようですが…。

現在の「口腔ケア」の定義は間違っており、誤って商標登録されています。そして、再定義される見通しも少ないです。そうなると、私たちにできることは「口腔ケア」を死語にして使用しないことしかありません。

一部の心ある歯科系の人たちの中では、すでに「口腔ケア」は死語となっています。私の中でも死語です。私は「口腔衛生」や「口腔リハ」という用語を使用したいと思います。オーラルマネジメントもCREATEのR(Rehabilitation)の思想と本質を十分理解してこの用語を使用するのであれば、選択肢の1つです。

週刊医学界新聞 第2925号 2011年04月18日
「口腔ケア」から「オーラルマネジメント」へ
岸本裕充先生(兵庫医科大学歯科口腔外科講座准教授)

http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02925_02

上記には「口腔ケアの2枚看板である清掃(Cleaning)とリハビリテーション(Rehabilitation)」とあるので、この文脈だけ見るとリハの思想と本質が理解されているのかやや心配ですが…。

口腔ケア学会の定義など無視すればよいという意見もいただきました。この問題を多くの医療人が十分理解したうえで無視するのであれば、まったく構いません。ただこのことを知らない医療人が多いということは問題です。そこで改めて「口腔ケア」は死後であるとここに明言させていただきます。

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