ピーター・F・ドラッカー著、上田惇生訳、傍観者の時代、ダイヤモンド社を紹介します。
http://www.diamond.co.jp/book/9784478003008.html
ドラッカーの書籍は難しいという方が多いですが、この書籍はとても読みやすいです。第一次世界大戦と第二次世界大戦の間の、ヨーロッパとアメリカでの自伝(いろんな人の観察を記録したもの)ですので。そして、面白いです。
ドラッカー以外の方が執筆したドラッカー入門書はたくさんありますが、上田惇生氏の「ドラッカー入門」を除くと、傍観者の時代を読んだほうが学ぶことが多いと思っています。そして、核心をついた言葉がちりばめられています。「プロフェッショナルの条件」の後に、ご一読をおすすめします。
例えば、第8章の終りに「ヘンシュのように、自らの野心のために悪を利用しようとするとき、人は悪の道具にされる。そして、シェイファーのように、より大きな悪を防ぐために悪を利用とするとき、人は悪の道具にされる。」とあります。最大の罪は…書籍を読んでください(笑)。今でも悪の道具にされてしまった人が少なくないなあと感じていますし、自分も気をつけないといけません。
ドラッカーは偉大な質的研究者ですし、この書籍を読むと質的研究の魅力を実感できます。世の中はまだまだ量的研究や要素還元法至上主義ですが、私は量的研究の書籍で感動したことはありません。といいつつも現在、質的研究ではなく量的研究を行っている自分もいるのですが(笑)。
目次
新版への序文
プロローグ
I部
1章 おばあちゃんと20世紀の忘れ物
2章 シュワルツワルト家のサロンと「戦前」症候群
3章 エルザ先生とゾフィー先生
4章 フロイトの錯誤とその壮大な試み
5章 虎運伯爵と舞台女優マリアミュラーの物語
II部 ヨーロッパの人々
6章 ボランニー一家と「社会の時代」の終焉
7章 キッシンジャーをつくった男 クレイマー
8章 怪物ヘンシュと子羊シェイファーの運命
9章 反体制運動かプレイルズフォードの挫
10章 マーチャントバンクの世界
11章 ルリードバーク商会の愛人
III部 アメリカの日々
12章 ヘンリー・ルースと「タイム」「フォーチュン」
13章 テクノロジーの予言者、フラーとマクルーハン
14章 プロの経営者、アルフレッド・スローン
15章 お人好しの時代のアメリカ
(訳者あとがき・索引)
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