2012年3月28日水曜日

サルコペニアの起源の論文

Rosenbergによるサルコペニアの起源の論文を紹介します。

Irwin H. Rosenberg. Sarcopenia: Origins and Clinical Relevance. J. Nutr. May 1, 1997 vol. 127 no. 5 990S-991S

下記のHPで全文見ることができます。2頁と短いので、ぜひ英語が得意でない方も挑戦してください。

http://jn.nutrition.org/content/127/5/990S.full

移動、経口摂取、自立、呼吸に影響を与える、加齢による除脂肪体重の減少を意味することばが、以前はありませんでした。そのため、1988年のニューメキシコのミーティングで、Rosenbergによってサルコペニアということばが生まれました。

sarcomalaciaかsarcopeniaのいずれかにしようという話だったようです。サルコマラシア(筋肉軟化症)ではことばの響きもあまりよくないですし、サルコペニアでよかったと思います(笑)。

この論文では、筋肉量減少の原因として、加齢のみを考えています。また、筋肉量減少だけでなく筋肉量減少による機能低下を含んでいます。加齢以外の原因による二次性サルコペニアや筋力低下は考慮されていません。二次性サルコペニアよるミオペニアということばのほうがよいのかもしれませんね。

Abstract
This presentation reflects on the origins of the term sarcopenia. The Greek roots of the word are sarx for flesh and penia for loss. The term actually describes important changes in body composition and related functions. Clearly defining sarcopenia will allow investigators to appropriately classify patients and examine underlying pathogenic mechanisms and will allow funding agencies to appropriately target research funds to a taxonomically distinct syndrome.

補足ですが、サルコペニアということばが最初に論文として紹介されたのは、1989年の下記のRosenbergの論文です。下記HPで全文PDFで見ることができます。

http://www.ajcn.org/content/50/5/1231.full.pdf

2 件のコメント:

  1. 佐久間邦弘3/29/2012

    若林先生 Dr. Rosenberg がサルコペニア分野で昔から論文があるのは知ってましたが、まさか言い出したのが彼だとは思ってませんでした。1つ勉強になりました。ありがとうございます。雑誌もN Engl J MedやAnn NeurolとかじゃなくてJ Nutrというところが面白いですね。栄養不足にも問題があるという先見の明からでしょうか。。。

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  2. 佐久間先生、どうもありがとうございます。Dr. Rosenbergの論文は私も今回初めて読みました。栄養領域(老年医学)から発信されたのは、やはり先見の明だと私も思います。
    呼吸に影響を与えるとも書いてあることから、呼吸筋のサルコペニアも意識していたのではと感じています。

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