www.maff.go.jp/j/shokusan/seizo/kaigo/pdf/eat-10.pdf
今日紹介したEAT-10の研究成果は、栢下先生と一緒に執筆済みです。「摂食嚥下障害スクリーニング質問紙票EAT-1
要点は以下の通りです。EAT-10が実施困難もしくは3点以上の場合、軽度問題以下の嚥下障害を認める可能性(特異度)が高く、誤嚥の有無の判定に有用である。EAT-10が0-2点の場合でも、感度が低いため、嚥下障害の可能性を否定しにくい。
つまり、EAT-10で実施困難もしくは3点以上の場合、Presbyphagia(老嚥)もしくはDysphagia(嚥下障害)が疑われるため、スクリーニングテストでの評価や、VE、VFの実施による精査が必要と判断できます。
一方、嚥下障害の病識がない方もいます。この場合、嚥下障害があってもEAT-10は0点となるため、EAT-10が0-2点の場合でも、嚥下障害がないとは言い切れません。疑わしい方の場合には、スクリーニングテストや食事場面の観察が必要です。
ただ、EAT-1
入院時栄養スクリーニングと同様に入院時嚥下スクリーニングとして実施することや、在宅や調剤薬局で嚥下スクリーニングとして実施することが有用かと考えます。一方、明らかに嚥下障害があると判断できる人にはメリットは少ないでしょう。
Presbyphagia(老嚥)は、嚥下のFrailty(虚弱)といえます。従来、嚥下障害はあり、なしの2択で考えてきました。これからは、なし(Health)、Presbyphagia(老嚥)、あり(Dysphagia)の3択で考えましょう。
Presbyphagia(老嚥)の高齢者が、誤嚥性肺炎を契機に「サルコペニアの嚥下障害」になるケースが増えていると思います。Presbyphagia(老嚥)の時点で早期発見して誤嚥性肺炎を予防することが重要だと考えます。
老年医学の世界では、Frailty(虚弱)という考え方は普及していますが、Presbyphagia(老嚥)はこれからだと思っています。Presbyphagia(老嚥)とDysphagia(嚥下障害)の線引きをどうするかは、今後の課題です。