2013年9月2日月曜日

3種類のサルコペニア肥満

サルコペニアの話をするときは、その定義を狭義(加齢のみによる筋肉量低下)なのか、広義(加齢、活動、栄養、疾患による筋肉量低下、筋力低下、身体機能低下)なのかを明確にしないと、話がかみ合わなくなります。

サルコペニア肥満の話をするときも同様だと私は考えています。健常者、高齢者、障害者の3種類のサルコペニア肥満に分けて考えないと、話がかみ合わなくなります。

健常者(高齢者でも障害者でもない)の場合、加齢によるサルコペニアの影響は少なく、疾患によるサルコペニアの影響はありません。つまり、健常者のサルコペニア肥満の主な原因は、活動量・運動不足と栄養(高エネルギー・低蛋白食)ということになります。

高齢者(ADLは自立していてFrailty・虚弱を含む)の場合、加齢によるサルコペニアの影響が大きいです。活動、栄養、疾患によるサルコペニアの要素を認めることも認めないこともあります。おそらく活動量・運動不足と栄養(高エネルギー食)は合併しているでしょう。

障害者(高齢者だけでなく若年者も含みます)の場合、加齢によるサルコペニアの影響は認めることも認めないこともあります。活動、栄養、疾患によるサルコペニアの要素は、認めることが多いです。活動量・運動不足と栄養(高エネルギー食)もあるでしょう。

サルコペニア肥満の種類によって、研究者も変わってきます。健常者のサルコペニア肥満は体育科学、高齢者のサルコペニア肥満は老年科学、障害者のサルコペニア肥満はリハ栄養学となります。

サルコペニア肥満の診断基準は、健常者、高齢者、障害者とも同じものを使用することは可能だと考えます。そして、主な治療が運動(有酸素運動+筋トレ)と栄養(低エネルギー・高蛋白食)であることも同じでしょう。しかし、具体的な治療内容は対象によってやや異なります。

最近、マスコミで取り上げられる機会が増えつつあるのは、健常者のサルコペニア肥満です。もちろんこれを放置すると将来、Frailty・虚弱や障害に至る可能性がより高くなるため、その早期発見と対応は大事です。私も他人事ではありません(苦笑)。

しかし、より重篤なのは高齢者と障害者のサルコペニア肥満です。そして、障害者ではサルコペニア肥満より、やせのサルコペニアを認めることが多いのが現状です。サルコペニア肥満だけでなく、やせのサルコペニアにもより関心を持っていただけると個人的には嬉しいです。

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