2011年12月31日土曜日

リハ栄養の学習の高速道路論

梅田望夫著、ウェブ時代をゆく ‐いかに働き、いかに学ぶか(ちくま新書 687)を参考に、リハ栄養の学習の高速道路論を紹介します。これはリハ栄養の山登りをしようと思っている医療人への新年メッセージです。

まず、学習の高速道路論を紹介します。以下、著書からの引用です。

「将棋の羽生善治二冠は、その変化の本質を「学習の高速道路と大渋滞」という概念として提示した。(中略)いったん言語化された知がネットを介して用意に共有されるこれからの時代は、ある分野を極めたいという意思さえ持てば、あたかも高速道路を疾走するかのようなスピードで、効率よく過去の叡智を吸収できる。」

ITとネットの進化によって、リハ栄養を学習するための高速道路ができつつあります。私がリハ栄養の山登り(山作り)をしようと決めたのが2006年、それから5年かかってようやくリハ栄養の山が見えてきたのが現状です。しかし、これからリハ栄養の山登りをする医療人は、今の私と同じところまで登るのに5年もかける必要はありません。

まず栄養面の学習ですが、医師はJSPENの認定医・指導医、コメディカルはJSPENのNST専門療法士の取得を目指すのが1つの目標になります。歯科医師に取得できる資格がJSPENにないのは問題ですが・・・。

ネットで栄養を自己学習できるツールはすでにかなり整っています。一例を紹介しますと、

バーチャル臨床栄養カレッジ
http://www.v-eiyo-college.jp/

キーワードでわかる臨床栄養
http://www.nutri.co.jp/dic/

ESPENのLLL (英語)
http://www.espen.org/lllprogramme.html

があります。特にLLLはかなりレベルが高く、認定医やNST専門療法士の取得後の自己学習に最適です。これでかなりのところまで学べるはずです。英語が大丈夫であればですが・・・。山登りするための道具・スキルがFDになりますが、その中でもITと英語は自己学習に重要なスキルです。

次にリハ栄養の学習ですが、ネットでおすすめするのはこのブログと、以下の雑誌のサイトです。

Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle (英語)
http://www.springerlink.com/content/2190-5991/

この雑誌は無料で全文見ることができます。悪液質やサルコペニアに関する基礎研究、臨床研究が掲載されますので、英語ですがおすすめです。他にも日本語でリハと栄養に関するブログがいくつか出てきています。もっと増えると嬉しいですね。

日本リハ栄養研究会への入会もおすすめします。これはFacebookベース(もちろんネット上ですね)の研究会で、リハ栄養に関する情報交換や交流ができます。
https://sites.google.com/site/rehabnutrition/

ネットではありませんが、リハ栄養の学習には、やはり以下の3冊は必須です。上から順番にリハ栄養のWhy、What、Howの書籍です。

PTOTSTのためのリハビリテーション栄養-栄養ケアがリハを変える.医歯薬出版、2010

リハビリテーション栄養ハンドブック.医歯薬出版、2010

リハビリテーション栄養ケーススタディ‐臨床で成果を出せる30症例.医歯薬出版、2011

その気になって(ここに壁がありますが)これらを駆使すれば、医療人なら誰でも数か月でリハ栄養の高速道路を走りきることは可能な環境となりました。NST専門療法士の取得も1-2年あれば十分可能です。そしてすでにリハ栄養の高速道路を走りきり、NST専門療法士を取得した医療人も増えつつあります。

高速道路を走りきっていない医療人はまず走りきることが目標になりますが、走りきった先には今後、大渋滞が起こってきます。高速道路を走りきる医療人は今後も増えていきますが、走りきった先には整備された道路がないからです。何をすればよいのかわからず走りきった後に立ち止まっている医療人もいます。以下、梅田望夫氏の著書からの引用です。

「学習の高速道路も、高速道路を走りきったなと思ったあたり(「その道のプロ」寸前)で大渋滞が起こるのだと羽生は言う。同質の勉強の仕方でたどりつけるのはそこまで。誰にでも機会が開かれるゆえ参入者も増え、しかも後の世代も次々に失踪してきては「その道のプロ」寸前での大渋滞にはまる。「その道のプロ」として飯を食い続けていけるかどうかは、大渋滞に差し掛かったあとにどう生きるかの創造性にかかっている。」

リハ栄養の高速道路を走りきった医療人はその後、どうすればよいのでしょうか。梅田望夫氏は2つの道を提示しています。以下、引用です。

「大渋滞の先でサバイバルするには、大渋滞を抜けようと「高く険しい道」を目指すか、大渋滞に差し掛かったところで高速道路を降りて標識のない「けものみち」を歩いていくか、その二つの選択肢があると私は思う。そのどちらの道を目指すにせよ、自らの「向き不向き」と向き合い、みずからの嗜好性を強く意識し(それが戦略性そのもの)、「好きを貫く」ことこそが競争力を生むと私は考える。」

著書では「高く険しい道」よりも「けものみち」のほうを推奨しているようにみえます。これは梅田氏が「けものみち」を歩いてきたからかもしれません。しかし、私は「高く険しい道」を歩いていますので、私はこちらを主に推奨したいと思います。

リハ栄養の場合、今のところ「高く険しい道」はそれほど高くも険しくもないというのが、私の考えです。リハ栄養の高速道路を走りきった医療人がまだ少ないからです。

リハ栄養の「高く険しい道」を進むには、疾患・障害を1つにしぼって、その1つの疾患・障害について深く学習して、研究テーマ(PECO作り)を持ち、観察研究(可能なら介入研究でも構いませんが)を行い、日本語の原著論文(可能なら英語がよいですが)を執筆することです。

私の場合、廃用症候群1つにしぼって、廃用症候群と栄養に関する先行研究が少ないことを知り、研究テーマ(P:廃用症候群の患者は、E:低栄養の場合、C:栄養状態良好の場合と比較して、O:リハのADL予後が悪い)を持ち、観察研究を行い、日本語と英語の原著論文を執筆しました。

Hidetaka Wakabayashi, Hironobu Sashika: Association of nutrition status and rehabilitation outcome in the disuse syndrome: a retrospective cohort study. General Medicine 12(2)p69-74, December 2011
若林秀隆、佐鹿博信:入院患者における廃用症候群の程度と栄養障害の関連: 横断研究.臨床リハ20(8)p781-785, 20118

ただし、「高く険しい道」は高速道路と異なり、数か月で走りきることはできません。日本語の原著論文が掲載されるまで、2-3年程度かかると考えておいたほうがよいでしょう。中長期計画をもたなければ、この道を進むことは困難です。でも私はこの道を多くの医療人に歩いてほしいですし、そのお手伝いを日本リハ栄養研究会で行いたいと考えています。

次にリハ栄養の「けものみち」ですが、こちらはリハ栄養というツール、スキルを活用して、リハ栄養とは別の山を登ることになります。例えば呼吸リハ、心臓リハ、腎臓リハ、肝臓リハといった内部障害リハの山登りを選択したとします。この際、リハ栄養を知っているほうが内部障害リハの山登りがかなり有利となります。

内部障害リハで栄養が重要なことは言うまでもありませんが、栄養の重要性を漠然と知っているだけの医療人と、NST専門療法士を取得しリハ栄養の高速道路を走りきった医療人との違いは大きいです。臨床でも研究でも山登りに大差がつくと私は考えています。

リハ栄養の高速道路を走りきったところで、次に「高く険しい道」を行くか「けものみち」を行くか、一定の考える時間はあってもよいと思います。でも長いこと立ち止まるのはよいことだとは思いません。ずっと立ち止まるくらいなら、まずは日本リハ栄養研究会で「高く険しい道」を一緒に歩いてみませんか。

2011年12月28日水曜日

2011年の振り返り

まだ4日ありますが、2011年の自分の成果を振り返ってみたいと思います。

学会発表筆頭演者 2010年13つ → 2011年8つ

講演(大学講義なども含め) 2010年40回 → 2011年69回

書籍 2010年 リハビリテーション栄養ハンドブック → 2011年 リハビリテーション栄養ケーススタディ 他分担執筆2つ
 

総説など依頼原稿 2010年8つ → 2011年19つ ツ・ナ・ガ・ルの連載は含めていません。 

原著論文 2010年1つ→2011年2つ ようやく英語の原著論文を執筆できました。

日本リハビリテーション栄養研究会立ち上げ 今日時点で会員数は574人です。

ブログ執筆本数 2010年353つ → 2011年415つ(これも含めて)

1年を振り返ってみると、学会発表は少なくなりましたが、講演や執筆は大幅に増えました。その内容はリハ栄養、サルコペニアに関するものが大半ですが、嚥下やFD関連もありました。量的にはもうこれで限界というのが正直なところです。質的には改善の余地が大きいですが。

なお2012年の学会発表や講演の予定は、現時点ですでに約60つあります。ですので、日にちと場所を指定された講演依頼に関しては、先約のためにお断りする機会が増えています。そうでなくても日程調整が難しいのが現状です。本当に申し訳ありません。

来年の目標は、私以外でリハ栄養の講演や執筆をできる人を全国につくることです。個人的な成果よりもずっと大事な目標ですし、これに力を注ぎます。そうすれば私が講演や執筆を引き受けることができなくても、安心して別の方を推薦できるようになりますし。

以下、今年の私の業績です。ただし、講演は記載していません。

(原著論文)

Hidetaka Wakabayashi, Hironobu Sashika: Association of nutrition status and rehabilitation outcome in the disuse syndrome: a retrospective cohort study. General Medicine 12(2)p69-74, December 2011

若林秀隆、佐鹿博信:入院患者における廃用症候群の程度と栄養障害の関連: 横断研究.臨床リハ20(8)p781-785, 20118

 (総説)

若林秀隆:リハ栄養とは.リハビリナース5(1)p72-75, 201112

若林秀隆:リハビリテーション栄養.ドクターサロン55(12)p888-893, 201112

若林秀隆:リハビリテーション栄養学:オーバービュー.臨床リハ20(11)p1000-1008, 201111

若林秀隆:経口栄養の実際を知ろう! 嚥下機能の評価.Nutrition Care 2011秋季増刊 p218-225, 201111

若林秀隆:リハビリテーションと栄養管理(総論).静脈経腸栄養26(6)p3-8, 201111

若林秀隆:リハビリテーションと栄養―回復期リハビリテーション病棟で働く皆さんへ.全国回復期リハ病棟連絡協議会機関誌10(3)p24-29, 201110

若林秀隆:「動けない……」のは栄養の問題ではありませんか? 在宅・地域における「リハビリテーション栄養」の重要性.訪問看護と介護16(10)p826-831, 201110

若林秀隆:ビタミンDと身体機能評価.臨床検査55(10)p1017-1020, 201110

若林秀隆:摂食・嚥下モデル-5期モデルとプロセスモデル.リハビリナース4(5)p489-491, 20119

若林秀隆:摂食・嚥下関連の解剖.リハビリナース4(5)p487-488, 20119

若林秀隆:NSTの形態と運営.総合リハ39(8)p765-769, 20118

若林秀隆:ブログを設けたい.臨床リハ20(7)p692-694, 20117

若林秀隆:高齢者栄養ケアの実際‐高齢者リハビリテーションと栄養.臨床栄養118(6)p687-692, 20115

若林秀隆:低栄養の病態とリハビリテーション.総合リハ39(5)p449-454, 20115

若林秀隆:リハビリテーションと臨床栄養.The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine 48(4)p270-281, 20114

若林秀隆:高齢者でよくみられる症状・疾患‐低栄養への対応.月刊薬事53(4) p491-495, 20114

若林秀隆:自分の強みを知ってさらに伸ばそう!  Nutrition Care 4(3): 283, 20113

若林秀隆:筋肉は健康のバロメーター-サルコペニアを知ろう.週刊医学界新聞2920p2, 20113

若林秀隆、中村亜紀子:横浜南部地域一体型NSTによる地域栄養連携の推進(1).臨床栄養118(1)p14-15, 20111


(著書)

若林秀隆編著:リハビリテーション栄養ケーススタディ-臨床で成果を出せる30症例.医歯薬出版、201112

若林秀隆:脳血管障害後、経口摂取が可能となった患者.吉田貞夫(編)見てわかる 静脈栄養・PEGから経口摂取へ.Nursing Mook65号.学研、pp140-144, 20116

若林秀隆:NST活動による栄養状態改善により劇的に改善した患者.出江紳一他(編)事例でわかる摂食・嚥下リハビリテーション―現場力を高めるヒント.中央法規出版、pp163-16520113


(学会発表)

Hidetaka Wakabayashi, Hironobu Sashika: Frequency and cause of malnutrition in disuse syndrome. 6th World Congress of the International Society of Physical and Rehabilitation Medicine. Puerto Rico, June 2011

若林秀隆、佐鹿博信:入院患者における廃用症候群の低栄養の有無と原因.第48回日本リハビリテーション医学会,幕張,201111

若林秀隆:神奈川摂食・嚥下リハビリテーション研究会による摂食・嚥下への支援.第12回日本認知症ケア学会,横浜,20119

若林秀隆:サルコペニアに対する周術期リハビリテーション栄養.第48回日本外科代謝栄養学会,名古屋,20117

若林秀隆:廃用症候群の高齢入院患者における低栄養の有無と原因.第2回日本プライマリ・ケア連合学会,札幌,20117

若林秀隆:入院患者における廃用症候群の低栄養の病因は何か-飢餓・侵襲・前悪液質.第26回日本静脈経腸栄養学会,名古屋,20112

若林秀隆:NSTによってもたらされたもの-リハビリテーション栄養の過去・現在と将来展望.第26回日本静脈経腸栄養学会,名古屋,20112

若林秀隆:筋萎縮による摂食・嚥下障害のリハビリテーション栄養管理.第14回日本病態栄養学会,横浜,20111

2011年12月27日火曜日

アンチエイジングとサルコペニア

アンチエイジングとサルコペニアに関するレビュー論文を紹介します。

Burks TN, Cohn RD. One size may not fit all: anti-aging therapies and sarcopenia. Aging (Albany NY). 2011 Dec 16. [Epub ahead of print]

下記のHPで全文PDFで見ることができます。

http://www.impactaging.com/papers/v3/n12/pdf/100409.pdf

アンチエイジングではカロリー制限が長寿に有効とされていますが、その原因は不明です(オートファジーが絡んでいるとは思いますが)。一方、サルコペニアに対しては運動と栄養の併用が最も有効とされていますが、サルコペニアの進行を止めるものではありません。

そうすると加齢によるサルコペニアに対しても、アンチエイジングとしての有効性が示されているカロリー制限による改善が期待されます。しかし、サルコペニアの原因は加齢以外にもあるため、カロリー制限のみではサルコペニア対策として不十分です(One size may not fit all)。

特に栄養(飢餓)によるサルコペニアの場合、カロリー制限はむしろ禁忌となります。加齢以外の要因がまったくないサルコペニアでむしろサルコペニア肥満傾向であれば、カロリー制限+運動のよい適応になりますが、サルコペニアの要因を考えずに何でもカロリー制限というのは危険だと思います。

Abstract
Sarcopenia refers to age-related loss of muscle mass and function. Several age-related changes occur in skeletal muscle including a decrease in myofiber size and number and a diminished ability of satellite cells to activate and proliferate upon injury leading to impaired muscle remodeling. Although the molecular mechanisms underlying sarcopenia are unknown, it is tempting to hypothesize that interplay between biological and environmental factors cooperate in a positive feedback cycle contributing to the progression of sarcopenia. Indeed many essential biological mechanisms such as apoptosis and autophagy and critical signaling pathways involved in skeletal muscle homeostasis are altered during aging and have been linked to loss of muscle mass. Moreover, the environmental effects of the sedentary lifestyle of older people further promote and contribute the loss of muscle mass. There are currently no widely accepted therapeutic strategies to halt or reverse the progression of sarcopenia. Caloric restriction has been shown to be beneficial as a sarcopenia and aging antagonist. Such results have made the search for caloric restriction mimetics (CRM) a priority. However given the mechanisms of action, some of the currently investigated CRMs may not combat sarcopenia. Thus, sarcopenia may represent a unique phenotypic feature of aging that requires specific and individually tailored therapeutic strategies.

低栄養脳卒中患者は機能予後不良

急性期脳卒中患者において低栄養が長期機能予後に与える影響をみた台湾の観察研究を紹介します。

Shen HC, Chen HF, Peng LN, Lin MH, Chen LK, Liang CK, Lo YK, Hwang SJ. Impact of nutritional status on long-term functional outcomes of post-acute stroke patients in Taiwan. Arch Gerontol Geriatr. 2011 Sep-Oct;53(2):e149-52.

483人の初回脳卒中患者のうち、95人(19.7%)が低栄養で、310人が6ヶ月後に生存し、244人が機能予後が良好でした。多変量解析で機能予後不良に関連する独立した因子は、高齢、入院時のNIHSS得点、低栄養でした。以上より脳卒中では急性期  より低栄養に配慮すべきとしています。

急性期脳卒中で低栄養の場合に機能予後が悪いことはFOOD Trialで検証されていますが、今回も同様の結果です。脳卒中が重症で侵襲が高度の場合に低栄養になりやすく、このような患者で予後が悪い可能性もありますが、急性期から栄養管理が重要であることは確かだと考えます。

Abstract
Nutritional status is important in stroke care, but little is known regarding to the prognostic role of nutritional status on long-term functional outcomes among stroke survivors. The main purpose of this study was to evaluate to the prognostic role of nutritional status on long-term functional outcomes among stroke survivors. Data of acute stroke registry in Kaohsiung Veterans General Hospital were retrieved for analysis. Overall, 483 patients (mean age = 70.7 ± 10.3 years) with first-ever stroke were found. Among them, 95 patients (19.7%) were malnourished at admission, 310 (mean age = 70.4 ± 10.1 years, 63.5% males) survived for 6 months, and 244 (78.7%) had good functional outcomes. Subjects with poor functional outcomes were older (74.7 ± 8.9 vs. 69.0 ± 10.1 years, p < 0.001), more likely to be malnourished (56.2% vs. 26.6%, p < 0.001), to develop pneumonia upon admission (23.3% vs. 12.7%, p = 0.027), had a longer hospital stay (23.5 ± 13.9 vs. 12.5 ± 8.2 days, p < 0.001), had a higher National Institutes of Health Stroke Scale (NIHSS) score (12.9 ± 9.3 vs. 4.9 ± 4.3, p < 0.001), poorer stroke recovery (NIHSS improvement: 6.9% vs. 27.4%, p = 0.005), and poorer functional improvement (Barthel index = BI improvement in the first month: 31.4% vs. 138%, p < 0.001). Older age (odds ratio = OR) = 1.07, 95% confidence interval (CI = 1.03-1.11, p<0.001), baseline NIHSS score (OR = 1.23, 95%CI = 1.15-1.31, p < 0.001) and malnutrition at acute stroke (OR = 2.57, 95%CI: 1.29-5.13, p<0.001) were all independent risk factors for poorer functional outcomes. In conclusion, as a potentially modifiable factor, more attentions should be paid to malnutrition to promote quality of stroke care since the acute stage.

2011年12月26日月曜日

ロールモデル思考法

梅田望夫著、ウェブ時代をゆく‐いかに働き、いかに学ぶか、ちくま新書687のより、第4章のロールモデル思考法を紹介します。

http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480063878/

目次
序章 混沌として面白い時代
第1章 グーグルと「もうひとつの地球」
第2章 新しいリーダーシップ
第3章 「高速道路」と「けものみち」
第4章 ロールモデル思考法
第5章 手ぶらの知的生産
第6章 大組織vs.小組織
第7章 新しい職業
終章 ウェブは自ら助くる者を助く

まず、ロールモデル思考法について、斎藤孝×梅田望夫対談「大人の作法」前編のHPより引用します。このHPも面白いです。
http://www.chikumashobo.co.jp/new_chikuma/saitou_umeda/01_3.html

梅田 『ウェブ時代をゆく』では、これまで僕自身が実践してきた考え方を「ロールモデル思考法」と名付けて詳述しました。自分が生きていく上で、自分と合った信号をいろんなところから受け取りながら自分の行く道を決めていく。ロールモデルを常に設定しながら生きていくことによって、自分のやりたいことや好きなこと、個性を見いだしていこう、という考え方です。

以上、引用です。 キャリアを考える上で、できること、やりたいこと、やるべきこと(価値あること)の3つが重なった山を登ればよいといいますが、やりたいこと探しはなかなか大変です。一定の経験は必要ですし、考えることも必要です。考えてばかりで経験を積まないとそもそもキャリアを歩めませんし、経験ばかりで振り返ったり考えたりしないと漂流しがちです。

そこで、「ある人の生き方のある部分」「ある仕事に流れるこんな時間」「誰かの時間の使い方」「誰かの生活の場面」など、人生のありとあらゆる局面に関するたくさんの情報から、自分と波長の合うロールモデルを丁寧に収集します。そしてなぜその対象に惹かれたのかを考え続ける。それを繰り返していくと、たくさんのロールモデルを発見することが、すなわち自分を見つけることなのだとだんだんわかってくるそうです。

振り返ってみれば自分も何人かロールモデルとなる方を決めて、その方に近づけるように努力してきたところが大きいです。ロールモデルを設定して考えて行動して振り返って、また新たなロールモデルを設定するという経験学習モデルをまわし続けることが、やりたいこと探しの近道だなと感じました。今度のキャリアデザインワークショップで使おうと思います。

ちなみに私のロールモデルの共通点をいくつか考えてみると、

・講演や話が面白い
・その道(専門)に関して第一人者である
・講演や執筆・著書が多い
・美味い食事と酒をよく知っている
・コメディカルを大切にしている
・異性にモテる
・大学病院に勤務していない

ですね(笑)。そう思うと、私はロールモデルに程遠いです…。

第4章の最後の言葉もなかなかよいので引用させていただきます。言うは易く、行うは難しですが、以下引用です。

物事がうまくいかず、悔しい思いをすることも人生では多々ある。そんなときは「いずれ幸福に暮らすことが最高の復讐だ」「幸福とは、いつか自分が好きを貫いて生きている状態になることだ」とでも思って「負のエネルギー」を「正のエネルギー」に変え。「好きを貫く」長期戦を生きてほしいと思う。

2011年12月25日日曜日

細胞が自分を食べる‐オートファジーの謎

水島昇著、細胞が自分を食べる‐オートファジーの謎、PHPサイエンス・ワールド新書を紹介します。

http://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-80071-4

最初にオートファジーの定義をWikipediaから引用します。以下、下記HPからの引用です。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%B8%E3%83%BC
「オートファジー (Autophagy) は、細胞が持っている、細胞内のタンパク質を分解するための仕組みの一つ。自食(じしょく)とも呼ばれる。酵母からヒトにいたるまでの真核生物に見られる機構であり、細胞内での異常なタンパク質の蓄積を防いだり、過剰にタンパク質合成したときや栄養環境が悪化したときにタンパク質のリサイクルを行ったり、細胞質内に侵入した病原微生物を排除することで生体の恒常性維持に関与している。」

以上、引用です。

この書籍はオートファジーに関する初めての書籍で、わかりやすく解説されています。リハ栄養やサルコペニアとの関連でいうと、飢餓や侵襲のとき、オートファジーが亢進して、筋肉などの蛋白質の分解が増えます。適度なオートファジーは生体に必須であり、オートファジーが起こらないとアミノ酸プールを満たすことができず、飢餓や侵襲を乗りきることが難しくなります。

一方、侵襲時の過度なオートファジーは多くの細胞死につながります。そのため、外科代謝・侵襲分野での関心が高く、Surgery Frontierの2011年6月号では、オートファジーが特集されています。

http://www.m-review.co.jp/shop/goods.html?item_base_id=3167&PHPSESSID=jp6cec6h9lv8u9qp0594lfj6u3

特集によせて
1.オートファジーの膜形成機構と生体における役割
2.オートファジー研究の位置付けと動向
3.オートファジーの測定・解析方法
4.オートファジー関連疾患
5.癌に対する新規治療とオートファジー

また、アンチエイジング領域では、カロリー制限で寿命が延長することが報告されています。この要因の1つとして、カロリー制限(一時的もしくは軽度の飢餓)によってオートファジーが亢進して、細胞内をきれいにできる(機能の低下したミトコンドリアを処理することで酸化ストレスを少なくする)ことの可能性はあります。

線虫の研究では断続的なカロリー制限(いわゆるプチ断食)でも寿命延長効果があることがわかっているそうです。ただし、オートファジーが関連しているかどうかは不明とのことです。栄養とオートファジーの関連が深いことは確かなようですので、関心のある方は、この書籍でオートファジーの基本を学ぶことをお勧めします。

目次
第1章 オートファジー、細胞内の大規模分解系
第2章 酵母でブレークしたオートファジー研究
第3章 自分を食べて飢餓に耐える
第4章 細胞の性質を変えるためのオートファジー、発生と分化
第5章 細胞内を浄化するオートファジー
第6章 相手をねらいうちする「選択的オートファジー」
第7章 免疫系でも活躍するオートファジー
第8章 オートファジーの研究最前線

なお「オートファジーの現場をとらえる-細胞が自分を食べる理由-」というHPも参照になりますので、あわせて紹介しておきます。

http://www.brh.co.jp/seimeishi/journal/45/research_21.html

2011年12月24日土曜日

静脈経腸栄養のリハ栄養特集

雑誌「静脈経腸栄養」のVol26(6)で「リハビリテーションの栄養管理」の特集記事が組まれていますが、その原稿が下記のHPでPDFで公開されました。

http://www.jstage.jst.go.jp/browse/jjspen/26/6/_contents/-char/ja/

「静脈経腸栄養」ではじめてのリハ特集ですし力作ばかりですので、まだ読んでいない方はぜひ一度見ていただければと思います。よろしくお願いいたします。

リハビリテーションと栄養管理 (総論) 1339-1344 若林 秀隆
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspen/26/6/1339/_pdf/-char/ja/

リハビリテーションの栄養管理における薬剤師の役割 1345-1350 林 宏行
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspen/26/6/1345/_pdf/-char/ja/

リハビリテーション栄養における看護師の役割 1351-1358 小山 珠美
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspen/26/6/1351/_pdf/-char/ja/

リハビリテーションにおける栄養管理の効果判定 1359-1364 開 登志晃, 田村 聡子
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspen/26/6/1359/_pdf/-char/ja/ 

術後早期のリハビリテーションの栄養管理 1365-1370 佐藤 弘
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspen/26/6/1365/_pdf/-char/ja/ 

脳卒中後の嚥下リハビリテーションの栄養管理 1371-1378 三原 千惠
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspen/26/6/1371/_pdf/-char/ja/

摂食・嚥下リハビリテーションにおける歯科医師, 歯科衛生士の役割 1379-1383 藤本 篤士
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspen/26/6/1379/_pdf/-char/ja/