2012年2月26日日曜日

サルコペニア元年からリハ栄養へ

この数日間は、第27回日本静脈経腸栄養学会(神戸JSPEN)に参加していたため、ブログ更新ができませんでした。

今回のJSPENでは、前日(22日)のイブニングセミナーで「サルコペニアと摂食・嚥下障害」の発表、初日(23日)の午前中にミニワークショップ「高齢者・サルコペニア」の座長、午後に特別シンポジウム「サルコペニア」で「リハビリテーション栄養とサルコペニア」の発表をさせていただきました。

その他に、初日(23日)の午前中には、フェローシップ賞応募者セッションで「栄養アセスメントによる廃用症候群の高齢入院患者のADL予後予測」という演題を発表させていただきました。

こちらはサルコペニアという演題名にはしていませんが、広義のサルコペニアに含まれる廃用性筋萎縮を有する廃用症候群の高齢者には、加齢によるサルコペニアを潜在的に有している可能性があるだけでなく、栄養・疾患による筋肉量低下を合併することも多いというサルコぺニア関連の発表でした。

2日目(24日)はコメディカル教育セミナーで「栄養障害の病態生理」の講義をさせていただきました。こちらは主に飢餓と侵襲の話でしたが少しだけ悪液質の話も入れました。程度は異なりますがどの病態でも筋肉量が減少し、(広義の)サルコペニアにつながるということも話しました。

こうして振り返ると、自分の発表はNSTフォーラム以外、すべてサルコペニア関連であったともいえます。神戸JSPENでは大会長の福田先生より「サルコペニア元年」にしたいという意向がありましたが、少しは貢献できたのではと感じています。学会場で配布されたPENニュースにも「サルコペニアの栄養管理」が掲載されていました。

サルコペニアの特別シンポジウムは、特に参加人数がとても多く、開始15分前に会場入りしたら最前列までまったく座れない状況でした。私はさすがに何とか座らせてもらいましたが(笑)。参加できなかった方も多数いるようですが、いずれ1時間程度のDVDになると聞いていますので、そちらを見ていただければと思います。

老年医学としてのサルコペニアはもちろん加齢によるサルコペニアであり、frailty(虚弱)と関連した概念であると改めて実感しました。一方、リハ栄養としてのサルコペニアはもちろん広義のサルコぺニアであり、disability(障害)と関連した概念です。

frailtyよりdisabilityのほうが重症(frailtyはdisabilityの前段階ともいえます)ですので、サルコペニアに関しても狭義より広義のほうが重症です。しかし、広義のサルコペニアは研究を行いにくいこともあり、狭義のサルコペニアが主流となっているのが現状です。

しかし、今回のJSPENではリハ栄養関連の発表が多数ありました。この中には広義のサルコペニアを対象としているものも少なからずあるのではと感じています。

神戸JSPENプログラムとリハ栄養

神戸JSPENプログラムとリハ栄養2

今後はリハ栄養で広義のサルコペニアに関する臨床研究を進めていかなければと改めて実感しました。臨床栄養は狭義、広義のサルコペニアの両方とも重要ですが、より重症である広義のサルコペニアに関する栄養管理が特に大切です。サルコペニア元年からリハ栄養へつなげていけるよう頑張ります。

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