2011年7月26日火曜日

内科指導医に役立つ教育理論

日本内科学会雑誌の最新号(2011年7月号)の医学と医療の最前線に、西城卓也先生が執筆された「内科指導医に役立つ教育理論」(日内会誌100: 1987-1993, 2011)が掲載されています。

医学教育理論のエッセンスがわかりやすく紹介されていて、すべての医療人に有益な内容だと思いますので、その一部をここで紹介させていただきます。ちなみに西城卓也先生とは「第1回PC医のための臨床研究デザイン塾」でご一緒させていただきました。その後も医学教育のプロとして着実に成長されていて素晴らしいです。

欧州医学教育学会会長のHardenらは、医学教育に関わる医師の12の役割を提示しています。原稿では図ですが、ここでは言葉で示します。

学習支援者
現場でのロールモデル
教育者としてのロールモデル
講義者
臨床指導医
資料作成者
シラバス・手帳製作者
学習コース責任者
カリキュラム立案者
カリキュラム評価者
評価者(学生の)
メンター

これらは以下の6つに大別できます。

ファシリテーター
ロールモデル
情報提供者
教育資源作成者
カリキュラム責任者
評価者

教育者の役割は実に幅広いことが分かります。これは大変です(笑)。リハ栄養に関して自分を振り返ってみると、情報提供はこのブログで、教育資源はリハ栄養の書籍で作っているかもしれませんが、カリキュラムはまったく考えていませんし、その結果、当然評価者でもありません。ファシリテーターやロールモデルにもなっていないと感じます。

来年全国でリハ栄養セミナーを企画する予定ですので、リハ栄養のカリキュラムや学習コースといったものを、より真剣に考えなければいけません。書籍に執筆したことをそのまま伝える以上の内容にしたいと思います。

次に成人学習理論として、Knowlesによる5つの特徴が掲載されています。

成人である学習者は、
①独立心が強く、自己のペースで学習することを好む
②既に幾多の経験があり、それが学習の糧となる
③実際に役立つ学習に価値を置く
④差し迫る問題を解決するための学習を好む
⑤強制ではなく自らの学習意欲に駆られて学ぶ

このように小中学生の学習(勉強という言葉のほうが適切かもしれません)と成人学習では、方法論がかなり異なってきます。このことに十分配慮したセミナーや研修会を開催しなければ…と最近、改めて痛感しています。

どんな内容であれ成人学習の場合には、一方的な講義の学習効率が低いことは明らかであり、小グループ学習(協同的学習)やファシリテーションを重視しなければと考えます。

「絶対に正しい○○の知識を一方的に授ける」なんていうのは、成人学習では問題外に近いと感じます。私が関与している一部の研究会でこのような雰囲気になる危険性が出てきていますので、こうならないように注意して行動したいと思います。他は後日紹介したいと思います。

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