侵襲で異化期の時は、筋肉をどんどん分解してアミノ酸にして肝臓で糖新生でグルコースにして、疾患や怪我に対する治癒反応へのエネルギー源となります。そのため、レジスタンストレーニング、筋トレは禁忌となります。筋肉合成を全く期待できる時期ではありませんので。
このような話をすると、検査値で目安はないかとよく聞かれます。一番確実なのは窒素バランスです。窒素バランスが負であれば、その原因が飢餓であれ侵襲であれ悪液質であれ、筋トレによる筋肉合成を期待できないと判断できます。ただ、測定がやや面倒ではあります。
先日の第13回神奈川NSTフォーラムで、侵襲期の栄養管理として以下のような話がありました。言葉使いが正確でない可能性がありますがご了承ください。
「感染症を制御しないと栄養療法は効果を発揮しない。CRPが3~5まで改善した時点が栄養投与量を30kcal/kgまで増量し、リハビリテーションを進めるタイミングである。」
ここでのリハを進めるというのは、リハを開始するという意味ではありません。機能維持を目標としたリハ(関節可動域訓練、ポジショニング、座位訓練、筋トレ以外の呼吸訓練など)から、機能改善を目標としたリハ(筋トレ、持久力増強訓練など)に移行するタイミングという意味です。高度の侵襲時でも、機能維持を目標としたリハの適応はあります。
CRPが2桁であれば明らかに侵襲の程度が強いので、機能維持を目標としたリハしか行えません。CRPが3~5まで改善してくれば機能改善を目標としたリハを検討することになります。CRPが侵襲下のリハの1つの目安となります。
ただ、CRPが3~5で持続している場合には、機能維持を目標としたリハしか行えないと思います。一方、CRPが5以上であっても明らかに改善傾向で、侵襲としてはすでに落ち着いているがCRPの半減期の関係でまだ高い場合には、機能改善を目標としたリハを行ってよいでしょう。これらはすべて仮説ですが、リハ栄養の1つの指標になると考えます。
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