最近、サルコペニアが心血管死亡や全原因死亡のリスクという論文がいくつかありましたので、論文つぶやきをまとめておきます。高齢者・健常者の報告もありますが、がん、重症疾患・ICU、肝疾患での報告が多いですね。
これだけサルコペニアと死亡リスクに関連があると、サルコペニア(二次性で低栄養、廃用、悪液質も含む)の早期発見や予防、治療が重要です。そのためにも早く臨床でも研究でも容易に使える診断基準ができてほしいですね。
<高齢者・健常者>
高齢者では筋肉量が少ないほど心血管死亡、全死亡が高くなるという報告です。BMIと死亡率との関係はUカーブですが、筋肉量と死亡率の関係は直線的のようですので、リスクの高い高齢者ではサルコペニアの評価が重要と結論づけています。
http://www.sciencedirect.com/science/articl/pii/S0939475313003104
男性のサルコペニアとサルコペニア肥満が心血管死亡と全原因死亡に関連するという報告です。サルコペニアと糖尿病や高血圧に関連を認めることが、心血管死亡リスクの要因かもしれません。http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24428349
<重症疾患・ICU>
人工呼吸器管理を要する重症疾患患者では、骨格筋量(腹部CTのL3レベルの筋肉量で評価)が少ないと死亡率が高いという報告です。今回の研究ではBMI高値は関連しなかったので、サルコペニアが死亡リスクを高めるようです。
http://ccforum.com/content/pdf/cc3189.pdf
外傷後でICUに入室した高齢者でL3レベル腹部CTで筋肉量を評価した論文です。71%にサルコペニアを認め、筋肉量減少は独立して死亡率、人工呼吸器のない期間、ICU在院日数に関連していました。BMIとアルブミン値は関連を認めませんでしたhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24050662
<がん>
進行がん患者のL3椎体レベルの筋肉濃度の低下は、高齢、低筋肉量、高脂肪量、92日以内の死亡と関連していたという報告です。治療目的の腹部CTを使用して筋肉量や筋肉濃度からサルコペニアを評価する論文が増えていますね。
http://www.jfrailtyaging.com/all-issues.htm?article=153
根治的膀胱切除術の合併症と生命予後にサルコペニアが関連するかを後ろ向きコホートで調査した報告です。サルコペニアの有無はCTの大腰筋面積で計算して決めて、男性では関連なし、女性では関連ありという結果でした。http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24423437
<肝疾患>
生体肝移植患者でサルコペニアは死亡率と敗血症の独立した危険因子であるという報告です。サルコペニアの判断は、腹部CTのL3尾側の大腰筋筋肉量が健常ドナーの5パーセンタイル以下の場合としています。http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24357065
肝移植術を受けた成人患者におけるサルコペニアと重症感染症の関連をみた報告です。サルコペニアはやはりCTで大腰筋面積で評価しています。大腰筋面積が小さいと重症感染症と死亡のリスクが独立して高いという結果でした。
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/lt23752/abstract
肝臓悪性疾患に対する動脈内治療の予後に対するサルコペニアの影響をみた論文です。CTの大腰筋面積が下位1/4の場合にサルコペニアとしています。多変量解析でもサルコペニアは独立して死亡率と有意な関連を認めました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24065364
サルコペニアは、肝硬変+肝細胞がん患者の30%に認め、独立した死亡の予測因子であるという研究です。ステージ分類とほぼ同様のオッズ比でした。悪液質などによる二次性サルコペニアといえますね。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23751844
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