2010年3月31日水曜日

膝・股関節人工関節置換術後のリハ栄養

膝・股関節人工関節置換術後(TKA・THA)のリハ栄養について、文献検索してみました。2つの文献抄録を紹介しますが、先に私の考えを書いておきます。

短期の入院リハでの減量にはかなり限度があるが、それでもTKA・THA患者にBMI30以上の肥満を認める場合には、入院リハ中およびその前後で減量を目指すべき。BMI25-29.9の過栄養の場合に減量を目指すかどうかは一概に言えない。

ただし、減量を目指す際にエネルギー摂取量(特に脂質)は少なくしても、筋肉量が減少しないように蛋白質の摂取量は十分確保することが望ましい。

非肥満群の中に正常栄養群と低栄養群が混ざっている可能性がある。日本ではこの違いを検討したほうがよい。

変形性関節症(OA)でTKA・THAを行う患者には低栄養は少ないと思われるが、関節リウマチ(RA)でTKA・THAを行う患者には悪液質・前悪液質を認める可能性が十分にある。RAの場合には、積極的に栄養評価、悪液質・前悪液質の有無を診断して加療することが望ましい。

以下、文献紹介です。

①Vincent HK, Vincent KR. Obesity and inpatient rehabilitation outcomes following knee arthroplasty: a multicenter study. Obesity (Silver Spring). 2008 Jan;16(1):130-6.

抄録一部訳:

人工膝関節置換術(TKA)後の入院リハがBMIの影響を受けるかを研究。
非肥満(BMI25未満)、過栄養(BMI25-29.9)、中等度肥満(BMI30-39.9)、重度肥満(BMI40以上)の4群で比較。

全群でADLは改善したが、非肥満群で最も大きく重度肥満群で最も少なかった。重度肥満群では他の群より医療費が高かった。

OBJECTIVE: This multicenter study examined whether inpatient rehabilitation outcomes following total knee arthroplasty (TKA) were influenced by BMI.
METHODS AND PROCEDURES: This was a retrospective, comparative study conducted using a computerized medical database and medical records derived from TKA patients, at 15 independent rehabilitation hospitals (N = 5,428). Patients were separated into four groups based on BMI: non-obese (BMI < 25 kg/m(2)), overweight (25-29.9 kg/m(2)), moderately obese (30-40 kg/m(2)), severely obese (BMI > or = 40 kg/m(2)). All patients completed an interdisciplinary inpatient rehabilitation program post-TKA. Total and individual functional independence measure (FIM) scores, length of stay (LOS), FIM efficiency scores, itemized hospital charges, and discharge disposition location, were collected.
RESULTS: The percentage of total FIM change was 7.5% greater by the time of discharge in the non-obese than in the very severely obese (P < 0.05). FIM efficiency was lowest in the severely obese as compared to the remaining groups (3.7 points (pts)/day vs. 4.0-4.3 pts/day; P = 0.044). The change in the motor FIM score from admission to discharge was 6.7-15.6% greater in the non-obese than in the remaining groups (P < 0.05). The changes in cognition FIM, toilet transfer and walking without assistance scores were higher in the non-obese as compared to the severely obese group (P < 0.05). The severely obese group had higher total, physical and occupational therapy and pharmacy charges than the remaining groups (P < 0.05).
DISCUSSION: An excessive BMI does not prevent gains during inpatient rehabilitation; however, these gains are made less efficiently and at a higher cost than those made when the BMI is low.

②Vincent HK, Weng JP, Vincent KR. Effect of obesity on inpatient rehabilitation outcomes after total hip arthroplasty. Obesity (Silver Spring). 2007 Feb;15(2):522-30.

抄録一部訳:

人工股関節置換術(THA)後の入院リハがBMIの影響を受けるかを研究。
非肥満(BMI25未満)、過栄養(BMI25-29.9)、中等度肥満(BMI30-39.9)、重度肥満(BMI40以上)の4群で比較。

全群でADLは改善したが、ADL効率(1日当たりのADL改善量)、入院期間、医療費は非肥満群が最もよく、重度肥満群で最も悪かった。自宅退院できなかった患者の割合は、非肥満群(13.1%)と重度肥満群(10.5%)で低かった。

OBJECTIVE: This study examined whether obesity affected inpatient rehabilitation outcomes after total hip arthroplasty (THA).
RESEARCH METHODS AND PROCEDURES: This was a retrospective, comparative study conducted using a computerized medical database derived from THA patients at a university-affiliated rehabilitation hospital (data from 2002 to 2005). Patients were divided into four brackets based on BMI: non-obese (<25 kg/m(2)), overweight (25 to 29.9 kg/m(2)), moderate obesity (30 to 39.9 kg/m(2)), and severe obesity (> or = 40 kg/m(2)). All patients completed an interdisciplinary inpatient rehabilitation program after THA. Functional independence measure (FIM) scores, length of stay (LOS), FIM efficiency scores (FIM/LOS), hospital charges, and discharge disposition location were collected.
RESULTS: FIM scores improved from admission to discharge similarly in all groups (25 to 29.5 points). However, FIM efficiency, LOS, and total charges were curvilinearly related with BMI (all p < 0.05). Total hospital charges were highest in the severely obese group compared with the overweight group (p < 0.05). Non-homebound discharge disposition rates were lower in non-obese (13.1%) and severely obese groups (10.5%).
DISCUSSION: Elevated BMI does not prevent FIM gains in THA patients during inpatient rehabilitation. However, BMI is related with FIM efficiency, LOS, and hospital charges in a curvilinear fashion. Severely obese patients can achieve physical improvements but at a lower efficiency and greater cost.

2010年3月30日火曜日

NST加算診療報酬改訂疑義解釈とリハ栄養

厚労省のHPに診療報酬改訂疑義解釈がでています。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken12/dl/index-100.pdf

以下はNST関係の一部抜粋です。

(問61) 日本静脈経腸栄養学会が、当該学会が認定した教育施設において、合計40時間の実地修練を修了した場合に修了証を交付している。看護師、薬剤師又は管理栄養士がこの修了証の交付を受けた場合、栄養サポートチーム加算にある所定の研修を修了したといえるか。あるいは、当該学会が認定している「NST専門療法士」の資格を得なければならないのか。
(答) 当該学会が認定した教育施設における合計40時間の実地修練を修了し、修了証が交付されれば、所定の研修を修了したということができる。なお、本加算の算定にあたっては、その他の認定資格を要しない。

(問63) 「栄養サポートチームが、栄養治療により改善が見込めると判断した患者」とは、例えばどのような患者か。
(答) 例示としては、以下のような患者が挙げられる。
(例1)脱水状態にある入院直後の患者で、血清アルブミン値は高値を示しているものの、他の指標や背景から明らかに栄養障害があると判断できる者
(例2)これから抗がん剤による治療を開始する患者で、副作用等により当該治療によって栄養障害をきたす可能性が高いと予想される者
(例3)脳卒中を発症して救急搬送された直後の患者で、栄養状態はまだ低下し ていないが、嚥下障害を認めており、経口摂取が困難となる可能性が高いと予想される者
(例4)集中的な運動器リハビリテーションを要する状態にある患者で、入院中に著しい食欲低下を認めており、栄養治療を実施しなければリハビリテーションの効果が十分に得られない可能性が高いと判断できる者

(問70) 栄養サポートチーム加算は、チームが稼働していることについて第三者機関による認定を受けた施設でないと算定が認められないか。
(答) そのようなことはない。

現時点ではNST加算の申請に関して、特定の学会や第三者機関の認定資格や認定稼働施設は不要ということです。今回の申請条件は容易ではありませんので、そこまでは不要でよいかと感じます。

私が興味深く感じたのは、栄養治療により改善が見込めると判断した患者の4番目の例です。おそらく大腿骨頚部骨折をイメージしていると思えます。

運動器リハに限らず、栄養治療を実施しなければリハの効果が十分に得られない可能性が高いと判断できる患者はたくさんいます。実際、入院リハを要する患者の多くが低栄養状態です。

リハ栄養的には、中等度から重度はもちろん、軽度の栄養障害であっても栄養治療を同時に実施しなければリハの効果は「十分に」得られないと考えます。軽度の栄養障害の場合には、リハ単独でもADLの改善はある程度期待できますが「不十分」でしょう。

過度の拡大解釈には問題がありますが、私の考えを提示しておきます。
程度にかかわらず何らかの栄養障害があって、入院リハを行っている患者で、栄養改善によって機能やADLの改善が期待できる場合には、NST加算を算定できると考えます。運動器以外の脳血管疾患等(廃用含む)、呼吸器、心臓のリハでも同様です。

特に廃用症候群では、自験例で91%の患者に栄養障害を認めています。廃用症候群の診断基準がないため混乱を生じやすいですが、大半の廃用症候群患者にはリハ栄養が必要と思います。

ただし、栄養改善を全く見込めない患者(例えば余命数週のターミナルで1日500ml程度の末梢静脈栄養のみ)や、リハによる機能やADLの改善を全く見込めない患者(例えばJCS3桁の遷延性意識障害)に関してはNST加算の算定は無理でしょう。

リハ栄養のエビデンスは乏しいので今後、質の高いエビデンスを作り出して、栄養治療を実施しなければリハの効果が十分に得られない可能性が高いと判断できる患者がたくさんいることを実証しなければいけないと考えています。

2010年3月29日月曜日

若手家庭医はリハビリテーション領域の臨床能力獲得に関してどのように考えているか:質的研究

上記の原著論文がようやく雑誌「家庭医療」に掲載されました。リハ栄養とはあまり関係はないのですが、掲載までの長い道のりを紹介させてください。

若林秀隆、喜瀬守人、岡田唯男:若手家庭医はリハビリテーション領域の臨床能力獲得に関してどのように考えているか:質的研究.家庭医療15(2)4-15,2010
http://jafm.org/journal/pdf/vol15no2/15_2_04.pdf

この質的研究のプロトコールは、2005年度(かなり昔ですね…)の「日本家庭医療学会臨床研究初学者のためのワークショップ」に参加して作成しました。この時点では「質的研究とは何か」ということさえ全く理解できていない初心者でした。とはいえ当時他に質的研究を学べる機会は少なく、書籍を読んでもさっぱり理解できませんでしたので、このような学習機会は実にありがたかったです。

その後(2006年4月~)、臨床研究初学者WSの講師だった岡田唯男先生にメンター、事務局だった喜瀬守人先生に共同研究者をお願いして、まずは日本家庭医療学会倫理委員会に提出する書類(研究計画書など)を作成しました。

この倫理委員会は、倫理面だけでなく研究の内容面に関しても暖かく適切なコメントをくださり、とてもありがたかったです。今は亡き白浜雅司先生のお人柄が倫理委員会に反映されていたのではないかと感じています。

白浜雅司先生のホームページ(臨床倫理の4分割法など臨床倫理の貴重な資料が掲載されています)
http://square.umin.ac.jp/masashi/

次に質的研究であっても、インタビューによるデータ収集のための交通費・宿泊費・会場費(結局会場費はかからなかったのですが、会議室の料金が思いのほか高いことをこのとき知りました)・おやつ代(飲食しながらのほうがよりリラックスできますので、より本音を聞ける可能性が高くなります)、ICレコーダーの購入費用、テープおこし代などお金が必要でしたので、平成18年度日本家庭医療学会の研究助成金を申し込みました。

幸い研究助成金をいただくことができたのですが、別の言い方をすると、この時点でもう研究を途中で辞めることはできなくなりました。研究実施の退路を断つという意味で、研究助成金を申請することは極めて有用な方法です。臨床研究を行っている方にはぜひ研究助成金にトライしてほしいと思います。公益財団法人助成財団センターのHPに、各種団体の助成金情報が掲載されています。助成金応募の手引きも参考になります。

http://www.jfc.or.jp/

その後、日本各地の日本家庭医療学会後期研修施設にお邪魔して、家庭医を対象にフォーカスグループインタビューを行いました。データ収集とデータ分析は本当に不慣れで時間もかかり大変でした。ちなみに量的研究ではデータ収集終了後にデータ分析を行いますが、質的研究では別々ではなく同時に行きつ戻りつしながら行います。岡田先生と喜瀬先生のお力で何とか理論的飽和(これ以上データ収集を行っても新しい概念は出てこないと考えられる状態)に達することができました。

過去に自分が行った臨床研究はすべて量的研究でしたので、数字ではなく文字・文章のままデータを集めて分析するという作業がどんなものなのか、なかなかイメージできませんでした。その中で、戈木クレイグヒル滋子編著「質的研究方法ゼミナール―グラウンデッドセオリーアプローチを学ぶ」医学書院はわかりやすくかなり参考になりました。

http://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=62750

そして研究開始から3年以上経過した昨年8月、第24回日本家庭医療学会学術集会・2009年プライマリ・ケア関連学術集会連合学術会議で、学会発表を行うことができました。発表スライドと第4回日本家庭医療学会・学会賞を受賞したときの写真が、以下のHPに掲載されています。

http://www.scribd.com/doc/19730168/2009-

この学会で発表した資料をベースにして、「家庭医療」に投稿しました。研究助成金のルールの1つに、「原則3年以内に日本家庭医療学会の学会誌に原著論文を投稿すること」があり、その締め切りが昨年10月でしたので、ギリギリでしたが何とか投稿できました。幸い1回目の投稿で受理されましたが、私の過去の経験では査読をクリアすることはかなり大変ですし、リジェクトされたことも数回あります。

臨床研究初学者WSから論文掲載まで実に4年以上かかってします。私の努力不足が大きな要因ですが、それでも研究プロトコール作成→倫理委員会申請→研究助成金申請→データ収集とデータ分析→学会発表→論文執筆の順番にきちんと進めていけば、論文掲載までに2-3年はかかると感じています。

論文という形になったことはすごく嬉しいですが、同時に質的研究について学習して、ものの見方、考え方が広がったことが自分の財産だと考えています。リハ栄養という概念を作れたのも、質的研究を学習したからです。量的研究よりも質的研究のほうが自分に向いていると感じるようになりました。

多くの方に感謝していますが、特に岡田先生と喜瀬先生には大変お世話になり感謝しています。お二人の存在とサポートがなければ、絶対に論文にすることはできませんでした。本当にありがとうございました。

私もまだ研究初学者ではありますが、より初学者の方たちの臨床研究をサポートできればと考えています。体系的に研究方法を学習するために大学院に進学される方を除くと、サポートなしに質の高い臨床研究を実施することはかなり困難です。それが間接的に恩返しになるのではないかと思い、ときどき臨床研究のことをここに書いています。

2010年3月25日木曜日

質的研究のための現象学入門

今日は、編著:佐久川肇、著:植田嘉好子、山本玲菜の「質的研究のための現象学入門 対人支援の「意味」をわかりたい人へ」医学書院を紹介します。

http://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=81100

質的研究とは、研究の中で量的研究ではないものです。量的研究とは、概念を定量化して数字で測定、評価、統計処理などすることで、概念間の因果関係を調べる研究です。いわゆる科学・サイエンスと呼ばれるものの大半は量的研究です。

医学の世界でエビデンスと言われるものは基本的には量的研究の結果ですし、科学がこれだけ発展したのも主に量的研究の成果です。質的研究の書籍や研究が増えてきてはいますが、世の中はやはり量的研究が中心です。

ただし、数字で測定できる概念がなければ、量的研究を行うことはできません。そのため、概念・コンセプトを作り出す際には、質的研究を行うことになります。リハ栄養の書籍も高いエビデンスレベルを提示した本ではなく、リハ栄養という概念を作った質的な本といえます。

リハ栄養のエビデンス作り、つまり量的研究の実施はもちろん重要です。実際、量的研究を1つ実施中です。ただ、リハ栄養の概念をさらに深めるためには、量的研究と同時に質的な分析、質的研究の実施も重要と感じています。

質的研究ではデータ収集として、インタビュー、観察、文書、歴史的記録などを用います。観察であっても文章に変換して、文字データで集めます。量的研究ではデータ収集の際に基本的に数字で集めてエクセルに入力しますので、ここは大きな違いになります。

次にデータ分析にはいろいろな方法があります。今回紹介する現象学もその1つですし、それ以外にグラウンデッド・セオリー・アプローチ、エスノグラフィー、ライフストーリー研究、内容分析などいろいろあります。

現象学の基本構造として、相手の発言が「現象」で、発言の意図を知るために相手の立場に立って考え、根拠に基づいて自分の理解の妥当性を確かめようとする作業が「還元」、そしてこちらの意味の受け取り方が「本質観取」、と2ページに記載されています。

「還元」が現象学のキーワードの1つです。「還元」とは収集したデータ(客観的事実)を、客観的意味に書き換えて、そこから実存的意味を取り出す作業です。その際、他の解釈の可能性はないことの妥当性を検証することが必要です。

解釈的現象学と呼ばれる研究もあります。これは妥当性の検証よりも実存的内容自体により重きを置いて、あるがままに記述するような研究だそうです。リハの質的研究の論文にも、解釈的現象学で分析したものがあります。

この文章だけで現象学を理解することは困難ですが、原理はこれだけです。詳細は書籍を実際に読んでいただくしかないのですが、私が読んだ中では現象学に関して一番わかりやすい書籍です。というか他に現象学を理解できる書籍に出会ったことがありませんでした。

また、この書籍では質的研究における方法論の関係として、
実践価値志向(課題解決的)←→存在価値志向(意味論的)
社会集団の特性を明らかにする←→個人のストーリーを明らかにする
の2軸で質的研究をうまく分類しています。

グラウンデッド・セオリー・アプローチ:実践価値志向、社会集団の特性を明らかにする
ナラティブアプローチ(EBMではなくNBM:Narrative Based Medicine):実践価値志向、個人のストーリーを明らかにする
エスノグラフィー:存在価値志向、社会集団の特性を明らかにする
ライフストーリー:存在価値志向、個人のストーリーを明らかにする
と位置付けています。これらはなるほどと感じました。

現象学についてはこの書籍では
1.すべての質的研究法を包括する根本的な認識原理
2.最も意味を志向する研究方法
として位置づけています。私は存在価値志向、個人のストーリーを明らかにするという位置づけでよいのではと感じています。

現象学に関心のある方は、現象学研究会のHPが参考になると思います。

http://www.phenomenology-japan.com/

質的研究の知識がほとんどなくて、質的研究とは何かを知りたい人には、この書籍よりも、①秋田喜代美・能智正博監修、高橋都・会田薫子編「はじめての質的研究法 医療・看護編」東京図書、もしくは②西條剛央著「ライブ講義・質的研究とは何か SCQRMベーシック編」、「ライブ講義・質的研究とは何か SCQRMアドバンス編」新曜社をお勧めします。これらの書籍のほうがより入門書と言えると思います。

http://www.tokyo-tosho.co.jp/books/ISBN978-4-489-02009-4.html

http://www.shin-yo-sha.co.jp/mokuroku/books/978-4-7885-1071-5.htm
http://www.shin-yo-sha.co.jp/mokuroku/books/978-4-7885-1108-8.htm

ただ、現象学にせよ他の質的研究にせよ、これらの書籍を読んだだけで一人で質的研究を実施することはかなり困難です。質的研究の知識と経験がある方にメンターになってもらい、一緒に研究プロトコール作成、データ収集、データ分析を行うことが望ましいと考えます。

目次
Part A 質的研究のための「現象学入門」
 対人支援の「意味」を理解したい人への研究の手引き
 序章 現象学的研究方法をわかりやすく学ぶには
 第I章 学問の原理とは-ゼロから始めよう
 第II章 「支援」から見た科学と現象学
 第III章 支援の研究になぜ「実存」の理解が必要か
 第IV章 「支援」における現象学的研究の基本
 第V章 現象学的研究の実践 現象学的方法をどのように習得するか
 第VI章 現象学的研究の具体例
 第VII章 支援領域における現象学的研究の課題
 【引用・参考文献】

Part B のぞいてみよう!質的研究
 現象学の位置づけとその意味
 1.質的研究とは何か
 2.代表的な質的研究方法の紹介
 3.質的研究法の関係図式
 【質的研究全般に関する文献】
 【Part B-2.代表的な質的研究方法の紹介での引用・参考文献】

2010年3月24日水曜日

文献・書籍の検索

文献検索というと、医学の世界では、
・医学中央雑誌:日本語(有料)

・Google Scholar:日本語、英語(無料)
http://scholar.google.co.jp/schhp?hl=ja

・PubMed:英語(無料)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/

あたりが標準的な検索方法かと思います。他に日本語なら
・メディカルオンライン
http://www.meteo-intergate.com/

・JDreamⅡ
http://pr.jst.go.jp/jdream2/

・J-Stage
http://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja

あたりでしょうか。書籍に関しては私はとりあえずアマゾンで検索していました。

今日は、以前からあるサイトですが、国立情報学研究所で運用しているGeNII(ジーニィ)という学術コンテンツポータルを紹介します。
http://ge.nii.ac.jp/genii/jsp/index.jsp

これは
CiNii(サイニィ):論文情報ナビゲータ
Webcat Plus(ウェブキャット プラス)
KAKEN:科学研究費補助金データベース
NII-DBR:学術研究データベース・リポジトリ
JAIRO(ジャイロ)
という5つのデータベースで同時に検索できる便利なポータルです。

CiNii:論文情報ナビゲータは日本の学術論文を中心にした論文を検索

Webcat Plus:図書や雑誌を検索し、所蔵している大学図書館等を検索

KAKEN:科学研究費補助金により行われた研究に関して、当初採択時のデータ(採択課題)と研究成果の概要(研究実績報告、研究成果概要)の検索

NII-DBR:複数の専門的なデータベースを、一括してあるいは個別に検索

JAIRO:日本の機関リポジトリに登録された、大学や研究機関の教育・研究成果(学術論文、学位論文、研究報告書、学会発表資料、教材等)を検索

自分の名前で検索(エゴサーチと言います。Googleなどでも一度やってみるとよいかもしれません)すると、自分の研究の少なさがよくわかります(涙)。えらい先生の名前で検索するとたくさんヒットしますので、さすがにいろんな研究をしているんだなあということがよくわかります。

リハ栄養に限りませんが、どのサイトで検索するかの知識といかに検索するかの知識の有無(あとは英語のサイトで検索して読めるかどうかですね)で、インターネットから引き出せる情報の質と量は大きく異なります。当然、そこから学習できることも大きく異なります。

インターネットでの検索スキル(特にGoogleの活用方法)は、現代の一般教養の1つです。時々自分の検索スキルを磨くことが自分の学びのために、大切だと感じています。

2010年3月23日火曜日

適切に太るための食事

世の中には痩せるための食事・運動の本や、健常者がさらに筋力をつけるためのレジスタンストレーニングの本はたくさんあります。しかし、私が調べた範囲では、低栄養状態の患者さんが適切に太るための食事を紹介している本は、ほとんどなさそうです。

私がリハ科外来で診療するときは、肥満の方に体重を減らすような指導をすることも少なくありませんが、それと同じくらいるいそうの方に体重を増やすような指導をしています。

るいそうの患者さんは悪液質を生じうる慢性疾患を合併していることがしばしばあります。そうすると食思不振を併発することもよくあります。食事の嗜好を聞くと、カロリーの少ないヘルシーな食事がもともと大好きで、肉や魚はあまり食べないという人が少なくありません。

実際、このような患者さんに指導しても、1kgの体重増加さえなかなか得られないのが実情です。「とにかく痩せないように」と毎回伝えるだけになってしまっていることもあります。

るいそうが著明であればとりあえず脂肪での体重増加でもよいと思い、脂質や糖質ばかりの飲料や食事であっても摂取を勧めています。運動に関しては、廃用予防程度ならよいですが、1日1時間以上のウオーキングなどエネルギー消費量が明らかに増えるような運動は推奨しません。過活動の制限もリハ栄養では大事だと感じています。

るいそうがそこまで著明でなければ筋肉での体重増加を優先したいので、エネルギー摂取量の増加と同時に、たんぱく質の摂取量増加と軽いレジスタンストレーニングの指導を推奨しています。こちらがリハ栄養の王道ですね。

NSTに関心がある人が外来や在宅診療をしていれば、適切に太るための食事を指導したくなる低栄養状態の患者さんがいるはずです。その時にパンフレットや冊子があれば、指導をやりやすくなるのにと感じています。

もしそのようなパンフレットや書籍の存在を御存知の方がいましたら、教えていただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。

2010年3月22日月曜日

「知の衰退」からいかに脱出するか?

今日は大前研一著「知の衰退」からいかに脱出するか?光文社を紹介します。アマゾンでは中古品を100円で購入できます。

http://www.amazon.co.jp/%E3%80%8C%E7%9F%A5%E3%81%AE%E8%A1%B0%E9%80%80%E3%80%8D%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%84%E3%81%8B%E3%81%AB%E8%84%B1%E5%87%BA%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%8B-%E5%A4%A7%E5%89%8D%E7%A0%94%E4%B8%80/dp/4334975607/ref=sr_1_5?ie=UTF8&s=books&qid=1269231025&sr=1-5

日本人は個人レベルではIQが高い人も少なくないが、日本の国レベルでの集団IQは低く、集団知の活用が不十分であり、いかに思考停止となっているか、どうすれば考えて行動できるようになるかについて書かれています。Web2.0では集団知の活用が可能ですし重要ですから、私もこのようなブログを立ち上げました。もっと集団知を活用できるように心がけたいです。

254ページに「愚民政策=偏差値導入」が日本人を劇的に変えたとあります。日本政府は安保闘争のようなことが2度と起こらないように、若者たちがけっしてアメリカに刃向わないように、体制が転覆する事態が起こらないようにと、愚民政策を実施したそうです。今のテレビでもバカなほどチヤホヤされる番組がありますね。あれも愚民政策の1つかもしれません。

少なくとも私に関して言えば学生時代はものを考えることをしない人間でしたし、英会話は今でも苦手なので、国の愚民政策は成功したのかもしれません。今は考えることや英語の重要性を認識していますのでFDの学習を推奨していますが、本来は大学生や20代のうちに学んでおくべき内容だったと感じています。

今の20代が物欲・出世欲喪失世代(もちろん全員ではありませんが)と解釈しているのもなるほどと感じました。戦後の工業社会、物不足の時代と比べると、今は知識社会、物余りの時代ですし、物欲は昔の人より少ないかもしれません。出世欲に関しても、昔は出世して給料が増えることでより楽な生活をしたいという欲がありましたが、今は出世しなくても仕事さえあれば最低限の楽な暮らしはできる時代です。

もっとも日本は工業社会から知識社会への移行途中ですが、なかなかスムースに移行できていないので、ミスマッチなどで仕事が見つからなくて楽な暮らしをできない人もいますが…。

考える力に乏しく欲求も少ないとなると、高次脳的には前頭葉機能障害です。前頭葉が障害されると思考力、注意力、自発性・意欲、感情コントロール、言語・コミュニケーション、運動など様々な面で機能が低下します。今の世の中は前頭葉をあまり使わなくても生きていけてしまう世の中、教育体制なのでしょう。今後は健常者への認知リハが必要かもしれません。

大前研一氏の書籍を読むと、自分がいかに日頃考えないで生きているかを痛感して落ち込むことがよくあります。好き嫌いは分かれるかもしれませんが、一読する価値はあると思います。