厚労省のHPに診療報酬改訂疑義解釈がでています。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken12/dl/index-100.pdf
以下はNST関係の一部抜粋です。
(問61) 日本静脈経腸栄養学会が、当該学会が認定した教育施設において、合計40時間の実地修練を修了した場合に修了証を交付している。看護師、薬剤師又は管理栄養士がこの修了証の交付を受けた場合、栄養サポートチーム加算にある所定の研修を修了したといえるか。あるいは、当該学会が認定している「NST専門療法士」の資格を得なければならないのか。
(答) 当該学会が認定した教育施設における合計40時間の実地修練を修了し、修了証が交付されれば、所定の研修を修了したということができる。なお、本加算の算定にあたっては、その他の認定資格を要しない。
(問63) 「栄養サポートチームが、栄養治療により改善が見込めると判断した患者」とは、例えばどのような患者か。
(答) 例示としては、以下のような患者が挙げられる。
(例1)脱水状態にある入院直後の患者で、血清アルブミン値は高値を示しているものの、他の指標や背景から明らかに栄養障害があると判断できる者
(例2)これから抗がん剤による治療を開始する患者で、副作用等により当該治療によって栄養障害をきたす可能性が高いと予想される者
(例3)脳卒中を発症して救急搬送された直後の患者で、栄養状態はまだ低下し ていないが、嚥下障害を認めており、経口摂取が困難となる可能性が高いと予想される者
(例4)集中的な運動器リハビリテーションを要する状態にある患者で、入院中に著しい食欲低下を認めており、栄養治療を実施しなければリハビリテーションの効果が十分に得られない可能性が高いと判断できる者
(問70) 栄養サポートチーム加算は、チームが稼働していることについて第三者機関による認定を受けた施設でないと算定が認められないか。
(答) そのようなことはない。
現時点ではNST加算の申請に関して、特定の学会や第三者機関の認定資格や認定稼働施設は不要ということです。今回の申請条件は容易ではありませんので、そこまでは不要でよいかと感じます。
私が興味深く感じたのは、栄養治療により改善が見込めると判断した患者の4番目の例です。おそらく大腿骨頚部骨折をイメージしていると思えます。
運動器リハに限らず、栄養治療を実施しなければリハの効果が十分に得られない可能性が高いと判断できる患者はたくさんいます。実際、入院リハを要する患者の多くが低栄養状態です。
リハ栄養的には、中等度から重度はもちろん、軽度の栄養障害であっても栄養治療を同時に実施しなければリハの効果は「十分に」得られないと考えます。軽度の栄養障害の場合には、リハ単独でもADLの改善はある程度期待できますが「不十分」でしょう。
過度の拡大解釈には問題がありますが、私の考えを提示しておきます。
程度にかかわらず何らかの栄養障害があって、入院リハを行っている患者で、栄養改善によって機能やADLの改善が期待できる場合には、NST加算を算定できると考えます。運動器以外の脳血管疾患等(廃用含む)、呼吸器、心臓のリハでも同様です。
特に廃用症候群では、自験例で91%の患者に栄養障害を認めています。廃用症候群の診断基準がないため混乱を生じやすいですが、大半の廃用症候群患者にはリハ栄養が必要と思います。
ただし、栄養改善を全く見込めない患者(例えば余命数週のターミナルで1日500ml程度の末梢静脈栄養のみ)や、リハによる機能やADLの改善を全く見込めない患者(例えばJCS3桁の遷延性意識障害)に関してはNST加算の算定は無理でしょう。
リハ栄養のエビデンスは乏しいので今後、質の高いエビデンスを作り出して、栄養治療を実施しなければリハの効果が十分に得られない可能性が高いと判断できる患者がたくさんいることを実証しなければいけないと考えています。
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