2011年2月11日金曜日

よくわかる地域看護研究の進め方・まとめ方

横山美江編著:よくわかる地域看護研究の進め方・まとめ方-保健事業の企画立案から評価への効果的な活用をめざして、医歯薬出版を紹介します。

http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=235420

量的研究と質的研究の基本についてわかりやすく解説されているとともに、地域での研究の進め方について具体的に解説されています。看護師、保健師向けではありますが、地域一体型NSTや地域栄養活動の研究を企画、実践する際にも参考になると思います。

院内、施設内だけでなく地域で積極的に活動するのは大事ですが、自分たちが自分の地域で活動していればそれでいい、というのでは何かが足りないと思います。地域でどのような活動に取り組みどのような成果を出しているかを学会発表や論文執筆で示すことも大切です。この点では、地域栄養ケアPEACH厚木代表の江頭文江さんがロールモデルだと思います。

地域で積極的に活動している方には、ぜひその取り組みをまとめて学会発表・論文執筆してほしいと思います。その際に参考になる書籍だと思います。

目次

I 地域保健活動と研究の基礎知識
 1 地域保健活動と研究
  1)地域保健活動に必要な研究の基礎知識:エビデンスに基づいた地域保健活動(横山)
   (1)地域保健活動,研究活動,および保健師教育の循環
   (2)エビデンスに基づいた地域保健活動の必要性
  2)地域保健活動のプロセスにおけるエビデンスの活用方法(横山)
   (1)実態把握および地域診断から介入効果予測・エビデンスの活用
   (2)保健事業の企画・立案・施策化から保健サービス提供
   (3)実態把握,保健事業の評価から改善へ
  3)科学的根拠に基づいた保健活動に必要なスキル(朽木,松本)
   (1)熱い保健師魂でエビデンスを探る!―地区活動から得られる情報と保健師の情熱
   (2)文献で確認,積み上げることが大切―健康課題の明確化と文献検討
   (3)深い洞察力で迫る!―分析能力
   (4)住民参加・協働
   (5)国・都道府県・市町村の政策との整合性
   (6)法的根拠
   (7)共通認識
   (8)エンパワメント
  4)地域保健活動に必要な研究の基礎知識(横山)
   (1)研究のプロセス
   (2)研究における倫理的配慮
 2 地域保健活動における疫学研究(大木)
  1)地域保健活動における研究の考え方
   (1)地域保健活動における量的研究とは
   (2)地域保健活動におけるエビデンスとは―なぜ疫学なのか
   (3)現状を知りたいのか,関わる要因を知りたいのか
   (4)地域保健活動における調査研究の目的・価値基準を考え直してみよう
   (5)地域看護研究を開始する前の諸注意
  2)疫学研究の基本的な考え方
   (1)疫学とは
   (2)疾病頻度の考え方―有病と罹患の区別
   (3)ある要因への曝露の効果はどのように測定するか
   (4)要因への曝露効果の指標:相対危険と寄与危険
   (5)政策疫学と機序疫学
  3)疫学研究のデザイン
   (1)疫学研究方法の分類
   (2)研究デザインとエビデンスレベル
   (3)集団レベルの既存資料を利用した研究
   (4)個人レベルのデータをもとにした疫学研究
  4)研究結果の解釈―真実と誤差
   (1)偶然誤差
   (2)バイアス(系統誤差)
   (3)信頼性と妥当性
   (4)バイアスの種類
 3 地域看護活動における質的研究(都筑)
  1)質的研究とは
   (1)質的(定性的)データと量的(定量的)データ
   (2)地域看護分野における質的研究の意義
   (3)量的研究との比較
  2)質的研究の種類
   (1)エスノグラフィー(記述民族学・民族誌学・ethnography)
   (2)グラウンデッド・セオリー(Grounded theory)
   (3)質的記述的研究
   (4)アクションリサーチ
  3)質的研究のプロセス
   (1)研究テーマを設定する
   (2)先行研究,文献を検討する
   (3)研究計画を立案する
   (4)具体的なデータ収集方法
   (5)データの分析
   (6)質的研究の質の確保
   (7)論文のまとめ方
   (8)よい質的研究を行うために
  4)地域保健活動における質的研究の活用~エスノグラフィーの例
   (1)地域看護診断の枠組み
   (2)地区視診
   (3)エスノグラフィーを取り入れた面接調査の実施
   (4)根拠のある地域看護活動の実践へ
 4 地域保健活動における経済的評価(岡本)
  1)エコロジカル(生態学的)研究
  2)費用対効果分析
   (1)検診の経済評価
   (2)感染症の流行と予防接種の経済評価
   (3)限界分析・増分分析・感度分析と収穫逓減の法則
   (4)費用対効用分析(延命効果)
  3)費用対便益分析(収益性・採算性)
   (1)直接・間接費用と便益
   (2)割引率
   (3)佐賀県のC型肝炎スクリーニングの例
  4)対照群の選択法
   (1)傾向得点法
   (2)マッチング
   (3)介護予防の経済評価
  5)医療費分析
   (1)医療給付実態調査
   (2)レセプトと健診データの突合
  6)レセプト情報の利活用
   (1)レセプトの法的性質と個人情報保護
   (2)レセプトのしくみ
   (3)傷病名欄
   (4)点数欄と摘要欄
   (5)医療費の三要素
   (6)傷病分析
 5 研究論文の基礎知識(横山)
  1)論文の種類
  2)原著論文の構成と論文を執筆するときの必須条件
   (1)論文を執筆するときの必須条件:投稿規定に合わせること
   (2)原著論文における本文の構成
   (3)わかりやすい図表の作成
II 地域看護活動と科学的根拠(河野)
 1 科学的根拠(エビデンス)に基づく看護実践:EBN
 2 エビデンスに基づく地域看護実践が普及するための課題
  1)エビデンスに基づく地域看護実践を阻害するもの
   (1)EBNを実践する方法について,知識やスキルが十分ない
   (2)地域看護学に関する学術的な情報量が多すぎる
   (3)地域看護実践機関に組織的な制限が働くことがある
   (4)研究やEBNに対する誤った認識や否定的な見解がある
  2)エビデンスに基づく地域看護実践が普及するための課題
 3 エビデンスの水準
  1)エビデンスの水準の分類
   (1)水準Ia
   (2)水準Ib
   (3)水準IIa
   (4)水準IIb
   (5)水準IIIa
   (6)水準IIIb
   (7)水準IV
  2)エビデンスの水準についての評価
  3)地域看護活動にエビデンスを活用する際の留意点
 4 文献検索の実施からのエビデンスの見つけ方
  1)地域看護活動とエビデンスの見つけ方と活用
   (1)個人・家族への地域看護活動におけるエビデンスの活用
   (2)個人・家族への地域看護活動のエビデンスの見つけ方と吟味
   (3)個人・家族への地域看護活動の評価
  2)個人・家族への介入におけるエビデンスの見つけ方の具体例
   (1)高齢者への家庭訪問におけるエビデンスの見つけ方
III エビデンスに基づいた保健師活動の実際
 1 個人・家族への介入の実際(都筑)
  1)母子保健におけるエビデンスの活用
   (1)新生児に対する家庭訪問の現状把握
   (2)研究方法
   (3)研究結果
   (4)実践への示唆
 2 保健事業の企画立案・施策化から評価の実際
  1)エビデンスを活用した多胎児育児支援事業の展開(横山)
   はじめに
   (1)西宮市における多胎出産の動向
   (2)多胎児育児支援事業の企画・立案,施策化への取り組みのきっかけ
   (3)多胎児育児支援事業の企画・立案のためのエビデンスづくり―ニーズ調査の実施
   (4)ニーズ調査に基づいた母子保健事業「多胎児育児支援のための両親学級:双子・三つ子の親になる人のつどい」の企画立案から施策化まで
   (5)「多胎児育児支援のための両親学級:双子・三つ子の親になる人のつどい」の実際
   (6)「多胎児育児支援のための両親学級:双子・三つ子の親になる人のつどい」の評価
   おわりに
  2)自閉性発達障害児の子育て支援モデルの開発に関する取り組み―エビデンスの活用と展開(松田,石井)
   はじめに
   (1)A市の育児支援教室の概要
   (2)実践からのモデル開発―自閉性発達障害児の子育て支援モデルの開発とそのプロセス
   (3)子育て支援モデルからの示唆―今後の教室運営の方向性と課題
   (4)今回の取り組みの意味と今後の展望
  3)生活習慣病予防事業におけるエビデンスの活用と展開(野口)
   (1)生活習慣病予防事業の考え方
   (2)生活習慣病の予防段階と対策のターゲット
   (3)生活習慣病予防の具体的な活動と展開
   おわりに
  4)介護予防事業におけるエビデンスの活用と展開(田髙)
   (1)介護予防の理論的整理
   (2)エビデンスに基づいた介護予防事業の実際
  5)健康危機管理におけるエビデンスの活用(宮﨑)
   (1)健康危機管理におけるエビデンス活用の背景
   (2)健康危機管理における保健師活動に関するエビデンスの状況
   (3)健康危機管理におけるエビデンスの活用
   (4)エビデンスの活用事例:地域の健康危機管理における保健所保健師の活動指針の作成

2011年2月10日木曜日

やさしいエビデンスの読み方・使い方

能登洋著、やさしいエビデンスの読み方・使い方-臨床統計学からEBMの真実を読む、南江堂を紹介します。

http://www.nankodo.co.jp/wasyo/search/syo_syosai.asp?T_PRODUCTNO=2262081

この書籍でもやさしくないと思われる方もいるかもしれませんが、私は十分やさしい書籍だと感じました。すでに名郷先生の書籍などでEBM・EBCPの学習や実践をされている方には復習になってしまいますが、まだEBM・EBCPに自信がないという方やこれからEBM・EBCPを学習したいという方にはおすすめです。

第Ⅴ章では診療ガイドラインが取り上げられています。日本ではこの数年で診療ガイドラインが急速に増えてきましたが、「日本の学会発行のガイドラインはエビデンス批評が甘かったり誤っていたりすることが多いので注意が必要です」とあります。

エビデンスに基づいたガイドラインといっても、その内容を鵜呑みにしてはいけないということがよくわかります。また仮にガイドラインの内容が適切であったとしても、それをそのまま臨床で用いるのであればEBM・EBCPではありません。ガイドライン(エビデンス)だけでなく、患者の意向、医療者の経験、理論をバランスよく統合して判断するのがEBM・EBCPです。

このブログでも論文を取り上げることがありますが、その内容を鵜呑みにしないようにしてくださいね(笑)。

目次

I章 総論-EBM・臨床統計学とは
1 Evidence-Based Medicine(EBM)
 A EBMとは
 B EBMの注意点
 C EBMの活用法
 D EBMの実践手順
  STEP1 臨床問題の定式化
  STEP2 エビデンス検索
  STEP3 エビデンスの批評
  STEP4 実際の患者への適用(統合的臨床判断)
  STEP5 STEP1-STEP4の評価・フィードバック

2 EBM実践に役立つ臨床統計学
 A 臨床統計学の目的と意義
  1 不確実な現実
  2 臨床統計学の目的と意義とは
  3 誤差
  4 バイアス
 B 統計学の種類
  1 記述統計
  2 推測統計
 C 臨床研究
  1 目的
  2 手順
  3 仮説
  4 方法
  5 デザイン
  6 妥当性の水準
 D アウトカム
  1 評価項目
  2 一次エンドポイントと二次エンドポイント
  3 複合エンドポイント
  4 ハードエンドポイントとソフトエンドポイント
 E データの種類
  1 3種類のデータ
  2 計量データの表記法
 F 統計学的推測
  1 推定
  2 検定
  3 有意差
  4 信頼区間とp値の使い分け
  5 検定法
まとめ

II章 診断・スクリーニング編
 A 検査値の誤差
 B 基準値と正常値
 C 誤診の指標
  1 カットオフ値(診断判定値)
  2 感度・特異度
  3 尤度比
  4 検査の評価と選択法
  5 感度・特異度・尤度比の検定
 D カットオフ値・ROC曲線
  1 カットオフ値と誤診の関係
  2 ROC曲線
  3 新マーカーの付加価値
 E 的中度
  1 特異度と的中度
  2 有病率と的中度
 F スクリーニング検査・検診の臨床的価値は?
 G エビデンスの読み方・使い方
 H エビデンスの読み方・使い方の実例
  1 カプセル内視鏡の診断特性
  2 メタボリックシンドロームの腹囲基準
  3 遺伝子診断による糖尿病予測
まとめ

III章 関連性編-リスク・予後・相関
 A リスクの評価
  1 リスクとリスクファクター
  2 交絡因子
  3 リスクの比較
  4 リスクの検定
 B トレンド
  1 トレンド解析
  2 トレンドの検定法
 C 相関と回帰
  1 相関と回帰とは
  2 相関係数
  3 回帰分析
 D 因果
 E エビデンスの読み方・使い方
 F エビデンスの読み方・使い方の実例
  1 低血糖による認知症のリスク
  2 CRP値による心血管疾患予測
  3 腹囲と内臓脂肪量の相関
まとめ

IV章 治療・予防編
 A 妥当性の向上と維持
  1 無作為化比較試験
  2 PROBE法
 B 信頼性の確保
 C intention-to-treat(ITT)解析
 D 治療効果の指標
  1 リスク
  2 代用エンドポイント
  3 グラフの読み方
  4 二次エンドポイント
  5 サブグループ解析
  6 後付け解析
 E 治療効果の検定
  1 検定法
  2 優越性検定と非劣性検定
 F エビデンスの読み方・使い方
 G エビデンスの読み方・使い方の実例
  1 EPA投与による冠動脈疾患発症予防効果
  2 チアゾリジン薬投与による心血管疾患予防効果
まとめ

V章 診療ガイドライン編
 A 診療ガイドラインとは
  1 診療ガイドライン
  2 診療ガイドラインの強制力
  3 診療ガイドラインでのエビデンス・推奨内容の分類
  4 「エビデンスに基づいた」診療ガイドラインの罠
 B 診療ガイドラインの読み方・使い方
  1 糖尿病診療ガイドライン
  2 CKD診療ガイドライン
まとめ

付録 エビデンスのチェックリスト,推薦図書
 A エビデンスの批評-診断・スクリーニング
 B エビデンスの批評-リスク・相関・因果
 C エビデンスの批評-予後
 D エビデンスの批評-治療・予防
 E エビデンスの批評-診療ガイドライン

推薦図書,エビデンス二次資料

2011年2月9日水曜日

関節リウマチにおけるBMIとインフリキシマブの効果の関連

関節リウマチにおけるBMIとインフリキシマブ(生物学的製剤、商品名レミケード)の効果の関連をみた論文を紹介します。

Klaasen R, Wijbrandts CA, Gerlag DM, Tak PP. Body mass index and clinical response to infliximab in rheumatoid arthritis. Arthritis Rheum. 2011 Feb;63(2):359-64. doi: 10.1002/art.30136.

インフリキシマブは体重1kgあたり3mg、経静脈的に投与しました。結果ですが、インフリキシマブ使用前のBMIと疾患活動度(DAS28)には、有意な関連を認めました。また、疾患活動度で調整した後でも、BMIが高い患者では疾患活動度の改善が有意に低い関連を認めました。

つまり、BMIが高い関節リウマチ患者では脂肪量が多く、脂肪組織が関節リウマチにおいて何らかの免疫調整に関わっている可能性があるといえます。

ただ、多変量解析は行っていますが、関節リウマチがより重度の患者では、インフリキシマブの効きが悪く、悪液質のことが多い(関節リウマチによる悪液質やサルコペニアでは、脂肪量が保たれていることも多い)のかもしれません。

また、同じ体重の関節リウマチ患者でも筋肉量が多いか少ないか、脂肪量が多いか少ないかで、インフリキシマブの投与量を変更しなければいけないのかもしれません。

Abstract
OBJECTIVE: Adipose tissue has immunomodulating effects in rheumatoid arthritis (RA), although the exact role is, at present, unclear. The purpose of this study was to determine whether body mass index (BMI) affects response to infliximab in RA patients investigated prospectively.

METHODS: In 89 patients with active RA, the BMI was calculated before initiation of infliximab treatment (3 mg/kg intravenously). After 16 weeks of treatment, changes in disease activity were assessed with the Disease Activity Score in 28 joints (DAS28).

RESULTS: The mean ± SD BMI was 26 ± 5 kg/m(2) (range 17-42). The BMI correlated positively with the DAS28 at baseline (r = 0.34, P = 0.001). Since selection of study patients according to DAS28 values could influence the clinical response to tumor necrosis factor (TNF) blockade due to regression to the mean because the clinical response is itself based on the change in the DAS28 values, analysis of covariance was used to correct for the baseline DAS28. A highly significant, negative association between the BMI and the absolute decrease in the DAS28 after 16 weeks (P = 0.001) was found also when adjusted for anti-citrullinated protein antibodies.

CONCLUSION: Although the infliximab dosage is based on body weight, RA patients with a high BMI responded less well to infliximab, a finding that held true when adjusted for the baseline DAS28 or anti-citrullinated protein antibody status. These results support the notion that adipose tissue may be involved in the pathophysiology of RA and could have implications for other immune-mediated inflammatory conditions treated with TNF antagonists.

骨格筋減少:悪液質・サルコペニア・廃用

骨格筋減少について、悪液質・サルコペニア・廃用で比較したレビュー論文を紹介します。

Evans WJ. Skeletal muscle loss: cachexia, sarcopenia, and inactivity. Am J Clin Nutr. 2010 Apr;91(4):1123S-1127S. Epub 2010 Feb 17.

骨格筋減少の主な原因として、この論文では疾患(悪液質)・加齢によるサルコペニア・不活動(廃用)の3つを取り上げて、これらを比較しています。実際には、侵襲、飢餓、神経筋疾患、薬剤の副作用でも骨格筋減少は生じますが…。

廃用性筋萎縮の予防として、高品質の蛋白質を含む栄養サポートが重要としています。悪液質による筋肉量減少の場合、栄養サポート単独では有効ではないかもしれませんが、同化作用をもつ薬剤と併用することで緩和、予防できるかもしれないとしています。

ただ、悪液質・サルコペニア・廃用のどれが骨格筋減少の原因であっても、栄養サポート単独で筋肉量を増やすことはできません。体重を増やすことはできたとしても、それは脂肪による増加です。悪液質・サルコペニア・廃用いずれでも、筋肉量を増やすにはレジスタンストレーニングもしくは薬物療法の併用が必須です。この点がこのレビューではあまり強調されていない気がします。

Abstract
Loss of skeletal muscle mass occurs during aging (sarcopenia), disease (cachexia), or inactivity (atrophy). This article contrasts and compares the metabolic causes of loss of muscle resulting from these conditions. An understanding of the underlying causes of muscle loss is critical for the development of strategies and therapies to preserve muscle mass and function. Loss of skeletal muscle protein results from an imbalance between the rate of muscle protein synthesis and degradation. Cachexia, sarcopenia, and atrophy due to inactivity are characterized by a loss of muscle mass. Each of these conditions results in a metabolic adaptation of increased protein degradation (cachexia), decreased rate of muscle protein synthesis (inactivity), or an alteration in both (sarcopenia). The clinical consequences of bedrest may mimic those of cachexia, including rapid loss of muscle, insulin resistance, and weakness. Prophylaxis against bedrest-induced atrophy includes nutrition support with an emphasis on high-quality protein. Nutritional supplementation alone may not prevent muscle loss secondary to cachexia, but, in combination with the use of an anabolic agent, it may slow or prevent muscle loss.

2011年2月8日火曜日

早期関節リウマチの身体組成の異常

ベトナムの女性における早期関節リウマチの身体組成の異常に関する論文を紹介します。

Hanh-Hung Dao, Quan-Trung Do and Junichi Sakamoto: Abnormal body composition phenotypes in Vietnamese women with early rheumatoid arthritis. Rheumatology (2011)
doi: 10.1093/rheumatology/ker004

発症3年以内の早期関節リウマチの患者と、年齢をマッチさせたコントロールの健常者と比較した研究です。身長、体重は両者でほぼ同じでしたが、早期関節リウマチ患者では全身と体幹の脂肪量が多く、四肢の除脂肪量が少ないという結果でした。

サルコペニア、過脂肪、サルコペニア肥満も健常者より早期関節リウマチ患者のほうが有意に多く、疾患の活動性や障害の程度と脂肪量に関連を認めました。早期関節リウマチ患者では、障害を少なくするためのレジスタンストレーニングや体脂肪量の減少を考慮すべきです。

今回の対象はベトナムの女性ですが、欧米の女性よりは日本人の身体組成に近いと思われるので、より参考になると考えます。

関節リウマチでは、るいそうの方もいますが、一見やせていない方も多いです。しかし、今回の結果を考慮すると、やせていなくても筋肉量が少なく脂肪量が多く、サルコペニアやサルコペニア肥満(原因は関節リウマチによる悪液質やステロイドの使用など)のことが少なくありません。そのため、炎症コントロールがある程度得られている場合には、積極的なレジスタンストレーニングや肥満の場合は減量を行うべきでしょう。

Abstract
Objectives. To characterize body composition phenotypes using a dual-energy X-ray absorptiometry (DXA) method and to explore factors potentially contributing to alterations in body composition in Vietnamese women with early RA.

Methods. A total of 105 women with early RA (disease duration ≤3 years) and 105 age-matched healthy women underwent physical examination, total and regional lean mass (LM) and fat mass (FM) with DXA. The 28-joint DAS (DAS-28) and disability using HAQ score, nutrition, physical activity and medications were recorded.

Results. Means of weight and BMI were similar in RA patients and controls, but means of total body and trunk FM in RA patients were higher: 19.1 vs 16.9 kg (P = 0.007) and 10.1 vs 8.1 kg (P = 0.01), respectively, and appendicular LM was lower: 12.9 vs 14.1 kg (P = 0.02). The proportion of unhealthy body composition phenotypes (sarcopenia, overfat and sarcopenic obesity) in RA patients was higher (P < 0.001) than in controls. DAS-28 score was positively correlated with total FM and fat distribution ratio, and HAQ score was inversely correlated with appendicular LM. These body composition changes were associated with RF seropositivity, HAQ and DAS-28 scores.

Conclusions. Women with early RA had a significantly higher proportion of unhealthy body composition phenotypes, higher total and truncal FM and lower appendicular LM than controls. Disease activity and disability scores were associated with unhealthy body composition. These findings suggest that clinicians should encourage muscle strengthening and fat loss in RA patients to reduce their disability.

PT・OT・ST・DHのNST専門療法士人数

2月17-18日の第26回日本静脈経腸栄養学会の時に、PT・OT・ST・DHのNST専門療法士と受験予定者で集まる機会を作りました。2月17日の19時~全員懇親会が2ヶ所でありますが、メイン会場(白鳥ホール)のほうで集まります。PT・OT・ST・DHのNST専門療法士と受験予定者の方はぜひ合流しましょう。

二次会は2月17日の21時~金山駅近くの居酒屋で行います。こちらのほうに参加希望のPT・OT・ST・DHの方は、予約の関係がありますので、事前に私宛にメールで連絡をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

現時点でのPT・OT・ST・DHのNST専門療法士人数がわかりました。PT3人、OT1人、ST6人、DH1人で合計11人です。今回受験可能だった方が少なかったためだと思いますが、今後は多くのPT・OT・ST・DHにNST専門療法士を目指してほしいと考えています。

2011年2月7日月曜日

医学のあゆみ:ロコモティブシンドローム

医学のあゆみ236巻5号 2011年1月29日でロコモティブシンドロームが特集されています。

http://www.ishiyaku.co.jp/magazines/ayumi/AyumiBookDetail.aspx?BC=286280

その中にいくつかサルコペニア関連の記事が3つありましたので紹介、引用します。

筋力と筋量の経年的変化および運動器疾患との関連……村木重之

http://www.ishiyaku.co.jp/magazines/ayumi/AyumiArticleDetail.aspx?BC=286280&AC=10006

上記HPからのサマリーの引用です。

高齢者における筋力および筋量の低下は非常に重大な問題であり,その予防対策は喫緊の課題である.著者らの研究(ROAD Study)の結果,握力,下肢伸展筋力とも 60 歳代を境に急激に低下してくることが明らかになった.さらに,下肢筋量の低下は 50 歳代よりすでにはじまっており,筋力の低下よりも早期に起こっていた.しかし,上肢筋量については,とくに女性では年齢による低下はみられず,上下肢で筋量の経年的変化に違いがみられた.一方,下肢筋力は,とくに女性において変形性膝関節症(膝 OA)の有病率と有意な相関を認めたが,下肢筋量には有意な相関はなく,筋力と筋量で違う結果が得られ,膝 OA には筋力がより強く関連していることが明らかになった.さらに,握力には QOL や転倒との強い相関がみられ,全身の筋力との相関もいわれていることより,筋力の簡便な指標として有効であると考えられた.今後さらにエビデンスを蓄積し,高齢者にとって安全かつ有効な筋力低下の予防対策を確立することが必要である.

サルコペニア――そのメカニズムと防止策としての運動……石井直方

http://www.ishiyaku.co.jp/magazines/ayumi/AyumiArticleDetail.aspx?BC=286280&AC=10014

上記HPからのサマリーの引用です。

加齢に伴う筋量低下(サルコペニア)には,加齢そのものに起因する要素と,加齢や疾患に伴う筋活動の低下に起因する要素が含まれる.いずれの場合にも,筋線維周囲の液性環境と,筋の幹細胞である筋サテライト細胞の増殖活性が関与すると考えられる.筋力トレーニングに代表される高負荷強度運動は,これらの両者に対してプラスの効果をもつことから,サルコペニアの予防・改善にも有用と考えられる.しかし,こうした高負荷強度運動は,運動器や循環器へのストレスが大きいという欠点があり,低負荷強度で筋肥大と筋力増強をもたらすトレーニング法の開発が望まれる.エビデンスを伴う低負荷強度トレーニング法として,血流制限下でのトレーニングや筋発揮張力維持スロー法(LST 法)があげられるが,安全性や取り組みやすさを考慮すると,LST 法がサルコペニア予防のためのトレーニング法として適していると思われる.

サルコペニアの発症メカニズム――廃用性筋萎縮との類似点と相違点から……河野尚平・二川健

http://www.ishiyaku.co.jp/magazines/ayumi/AyumiArticleDetail.aspx?BC=286280&AC=10017

上記HPからのサマリーの引用です。

サルコペニアとは,加齢に伴い骨格筋量および筋力が徐々に減少していく現象である.このサルコペニアは高齢者の骨折,寝たきりの大きな原因となっている.一方,若者でもギプス固定や寝たきりになると筋肉量が減少してしまう.また,屈強な宇宙飛行士も宇宙空間に長期間滞在すると,帰還後すぐには起き上がることができないくらいにまで筋力が低下する.このような筋肉量の減少は廃用性筋萎縮とよばれる.サルコペニアと廃用性筋萎縮は筋量・筋力の減少という特徴はよく似ているが,発症メカニズムはまったく同一というわけではない.本稿では,2 つに共通するメカニズムと,サルコペニアに特徴的なメカニズムについて概説したい.

これらの論文では加齢、疾患、活動(廃用)が原因のサルコペニアが紹介されていますが、栄養が原因のサルコペニアに関しては紹介されていないようです。また、目次全体を見ても栄養に関する原稿は1つもなさそうです。ロコモティブシンドロームは、栄養にはあまり縁がないのかもしれません。広義のサルコペニアでは栄養が重要ですが…。