能登洋著、やさしいエビデンスの読み方・使い方-臨床統計学からEBMの真実を読む、南江堂を紹介します。
http://www.nankodo.co.jp/wasyo/search/syo_syosai.asp?T_PRODUCTNO=2262081
この書籍でもやさしくないと思われる方もいるかもしれませんが、私は十分やさしい書籍だと感じました。すでに名郷先生の書籍などでEBM・EBCPの学習や実践をされている方には復習になってしまいますが、まだEBM・EBCPに自信がないという方やこれからEBM・EBCPを学習したいという方にはおすすめです。
第Ⅴ章では診療ガイドラインが取り上げられています。日本ではこの数年で診療ガイドラインが急速に増えてきましたが、「日本の学会発行のガイドラインはエビデンス批評が甘かったり誤っていたりすることが多いので注意が必要です」とあります。
エビデンスに基づいたガイドラインといっても、その内容を鵜呑みにしてはいけないということがよくわかります。また仮にガイドラインの内容が適切であったとしても、それをそのまま臨床で用いるのであればEBM・EBCPではありません。ガイドライン(エビデンス)だけでなく、患者の意向、医療者の経験、理論をバランスよく統合して判断するのがEBM・EBCPです。
このブログでも論文を取り上げることがありますが、その内容を鵜呑みにしないようにしてくださいね(笑)。
目次
I章 総論-EBM・臨床統計学とは
1 Evidence-Based Medicine(EBM)
A EBMとは
B EBMの注意点
C EBMの活用法
D EBMの実践手順
STEP1 臨床問題の定式化
STEP2 エビデンス検索
STEP3 エビデンスの批評
STEP4 実際の患者への適用(統合的臨床判断)
STEP5 STEP1-STEP4の評価・フィードバック
2 EBM実践に役立つ臨床統計学
A 臨床統計学の目的と意義
1 不確実な現実
2 臨床統計学の目的と意義とは
3 誤差
4 バイアス
B 統計学の種類
1 記述統計
2 推測統計
C 臨床研究
1 目的
2 手順
3 仮説
4 方法
5 デザイン
6 妥当性の水準
D アウトカム
1 評価項目
2 一次エンドポイントと二次エンドポイント
3 複合エンドポイント
4 ハードエンドポイントとソフトエンドポイント
E データの種類
1 3種類のデータ
2 計量データの表記法
F 統計学的推測
1 推定
2 検定
3 有意差
4 信頼区間とp値の使い分け
5 検定法
まとめ
II章 診断・スクリーニング編
A 検査値の誤差
B 基準値と正常値
C 誤診の指標
1 カットオフ値(診断判定値)
2 感度・特異度
3 尤度比
4 検査の評価と選択法
5 感度・特異度・尤度比の検定
D カットオフ値・ROC曲線
1 カットオフ値と誤診の関係
2 ROC曲線
3 新マーカーの付加価値
E 的中度
1 特異度と的中度
2 有病率と的中度
F スクリーニング検査・検診の臨床的価値は?
G エビデンスの読み方・使い方
H エビデンスの読み方・使い方の実例
1 カプセル内視鏡の診断特性
2 メタボリックシンドロームの腹囲基準
3 遺伝子診断による糖尿病予測
まとめ
III章 関連性編-リスク・予後・相関
A リスクの評価
1 リスクとリスクファクター
2 交絡因子
3 リスクの比較
4 リスクの検定
B トレンド
1 トレンド解析
2 トレンドの検定法
C 相関と回帰
1 相関と回帰とは
2 相関係数
3 回帰分析
D 因果
E エビデンスの読み方・使い方
F エビデンスの読み方・使い方の実例
1 低血糖による認知症のリスク
2 CRP値による心血管疾患予測
3 腹囲と内臓脂肪量の相関
まとめ
IV章 治療・予防編
A 妥当性の向上と維持
1 無作為化比較試験
2 PROBE法
B 信頼性の確保
C intention-to-treat(ITT)解析
D 治療効果の指標
1 リスク
2 代用エンドポイント
3 グラフの読み方
4 二次エンドポイント
5 サブグループ解析
6 後付け解析
E 治療効果の検定
1 検定法
2 優越性検定と非劣性検定
F エビデンスの読み方・使い方
G エビデンスの読み方・使い方の実例
1 EPA投与による冠動脈疾患発症予防効果
2 チアゾリジン薬投与による心血管疾患予防効果
まとめ
V章 診療ガイドライン編
A 診療ガイドラインとは
1 診療ガイドライン
2 診療ガイドラインの強制力
3 診療ガイドラインでのエビデンス・推奨内容の分類
4 「エビデンスに基づいた」診療ガイドラインの罠
B 診療ガイドラインの読み方・使い方
1 糖尿病診療ガイドライン
2 CKD診療ガイドライン
まとめ
付録 エビデンスのチェックリスト,推薦図書
A エビデンスの批評-診断・スクリーニング
B エビデンスの批評-リスク・相関・因果
C エビデンスの批評-予後
D エビデンスの批評-治療・予防
E エビデンスの批評-診療ガイドライン
推薦図書,エビデンス二次資料
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