横山美江編著:よくわかる地域看護研究の進め方・まとめ方-保健事業の企画立案から評価への効果的な活用をめざして、医歯薬出版を紹介します。
http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=235420
量的研究と質的研究の基本についてわかりやすく解説されているとともに、地域での研究の進め方について具体的に解説されています。看護師、保健師向けではありますが、地域一体型NSTや地域栄養活動の研究を企画、実践する際にも参考になると思います。
院内、施設内だけでなく地域で積極的に活動するのは大事ですが、自分たちが自分の地域で活動していればそれでいい、というのでは何かが足りないと思います。地域でどのような活動に取り組みどのような成果を出しているかを学会発表や論文執筆で示すことも大切です。この点では、地域栄養ケアPEACH厚木代表の江頭文江さんがロールモデルだと思います。
地域で積極的に活動している方には、ぜひその取り組みをまとめて学会発表・論文執筆してほしいと思います。その際に参考になる書籍だと思います。
目次
I 地域保健活動と研究の基礎知識
1 地域保健活動と研究
1)地域保健活動に必要な研究の基礎知識:エビデンスに基づいた地域保健活動(横山)
(1)地域保健活動,研究活動,および保健師教育の循環
(2)エビデンスに基づいた地域保健活動の必要性
2)地域保健活動のプロセスにおけるエビデンスの活用方法(横山)
(1)実態把握および地域診断から介入効果予測・エビデンスの活用
(2)保健事業の企画・立案・施策化から保健サービス提供
(3)実態把握,保健事業の評価から改善へ
3)科学的根拠に基づいた保健活動に必要なスキル(朽木,松本)
(1)熱い保健師魂でエビデンスを探る!―地区活動から得られる情報と保健師の情熱
(2)文献で確認,積み上げることが大切―健康課題の明確化と文献検討
(3)深い洞察力で迫る!―分析能力
(4)住民参加・協働
(5)国・都道府県・市町村の政策との整合性
(6)法的根拠
(7)共通認識
(8)エンパワメント
4)地域保健活動に必要な研究の基礎知識(横山)
(1)研究のプロセス
(2)研究における倫理的配慮
2 地域保健活動における疫学研究(大木)
1)地域保健活動における研究の考え方
(1)地域保健活動における量的研究とは
(2)地域保健活動におけるエビデンスとは―なぜ疫学なのか
(3)現状を知りたいのか,関わる要因を知りたいのか
(4)地域保健活動における調査研究の目的・価値基準を考え直してみよう
(5)地域看護研究を開始する前の諸注意
2)疫学研究の基本的な考え方
(1)疫学とは
(2)疾病頻度の考え方―有病と罹患の区別
(3)ある要因への曝露の効果はどのように測定するか
(4)要因への曝露効果の指標:相対危険と寄与危険
(5)政策疫学と機序疫学
3)疫学研究のデザイン
(1)疫学研究方法の分類
(2)研究デザインとエビデンスレベル
(3)集団レベルの既存資料を利用した研究
(4)個人レベルのデータをもとにした疫学研究
4)研究結果の解釈―真実と誤差
(1)偶然誤差
(2)バイアス(系統誤差)
(3)信頼性と妥当性
(4)バイアスの種類
3 地域看護活動における質的研究(都筑)
1)質的研究とは
(1)質的(定性的)データと量的(定量的)データ
(2)地域看護分野における質的研究の意義
(3)量的研究との比較
2)質的研究の種類
(1)エスノグラフィー(記述民族学・民族誌学・ethnography)
(2)グラウンデッド・セオリー(Grounded theory)
(3)質的記述的研究
(4)アクションリサーチ
3)質的研究のプロセス
(1)研究テーマを設定する
(2)先行研究,文献を検討する
(3)研究計画を立案する
(4)具体的なデータ収集方法
(5)データの分析
(6)質的研究の質の確保
(7)論文のまとめ方
(8)よい質的研究を行うために
4)地域保健活動における質的研究の活用~エスノグラフィーの例
(1)地域看護診断の枠組み
(2)地区視診
(3)エスノグラフィーを取り入れた面接調査の実施
(4)根拠のある地域看護活動の実践へ
4 地域保健活動における経済的評価(岡本)
1)エコロジカル(生態学的)研究
2)費用対効果分析
(1)検診の経済評価
(2)感染症の流行と予防接種の経済評価
(3)限界分析・増分分析・感度分析と収穫逓減の法則
(4)費用対効用分析(延命効果)
3)費用対便益分析(収益性・採算性)
(1)直接・間接費用と便益
(2)割引率
(3)佐賀県のC型肝炎スクリーニングの例
4)対照群の選択法
(1)傾向得点法
(2)マッチング
(3)介護予防の経済評価
5)医療費分析
(1)医療給付実態調査
(2)レセプトと健診データの突合
6)レセプト情報の利活用
(1)レセプトの法的性質と個人情報保護
(2)レセプトのしくみ
(3)傷病名欄
(4)点数欄と摘要欄
(5)医療費の三要素
(6)傷病分析
5 研究論文の基礎知識(横山)
1)論文の種類
2)原著論文の構成と論文を執筆するときの必須条件
(1)論文を執筆するときの必須条件:投稿規定に合わせること
(2)原著論文における本文の構成
(3)わかりやすい図表の作成
II 地域看護活動と科学的根拠(河野)
1 科学的根拠(エビデンス)に基づく看護実践:EBN
2 エビデンスに基づく地域看護実践が普及するための課題
1)エビデンスに基づく地域看護実践を阻害するもの
(1)EBNを実践する方法について,知識やスキルが十分ない
(2)地域看護学に関する学術的な情報量が多すぎる
(3)地域看護実践機関に組織的な制限が働くことがある
(4)研究やEBNに対する誤った認識や否定的な見解がある
2)エビデンスに基づく地域看護実践が普及するための課題
3 エビデンスの水準
1)エビデンスの水準の分類
(1)水準Ia
(2)水準Ib
(3)水準IIa
(4)水準IIb
(5)水準IIIa
(6)水準IIIb
(7)水準IV
2)エビデンスの水準についての評価
3)地域看護活動にエビデンスを活用する際の留意点
4 文献検索の実施からのエビデンスの見つけ方
1)地域看護活動とエビデンスの見つけ方と活用
(1)個人・家族への地域看護活動におけるエビデンスの活用
(2)個人・家族への地域看護活動のエビデンスの見つけ方と吟味
(3)個人・家族への地域看護活動の評価
2)個人・家族への介入におけるエビデンスの見つけ方の具体例
(1)高齢者への家庭訪問におけるエビデンスの見つけ方
III エビデンスに基づいた保健師活動の実際
1 個人・家族への介入の実際(都筑)
1)母子保健におけるエビデンスの活用
(1)新生児に対する家庭訪問の現状把握
(2)研究方法
(3)研究結果
(4)実践への示唆
2 保健事業の企画立案・施策化から評価の実際
1)エビデンスを活用した多胎児育児支援事業の展開(横山)
はじめに
(1)西宮市における多胎出産の動向
(2)多胎児育児支援事業の企画・立案,施策化への取り組みのきっかけ
(3)多胎児育児支援事業の企画・立案のためのエビデンスづくり―ニーズ調査の実施
(4)ニーズ調査に基づいた母子保健事業「多胎児育児支援のための両親学級:双子・三つ子の親になる人のつどい」の企画立案から施策化まで
(5)「多胎児育児支援のための両親学級:双子・三つ子の親になる人のつどい」の実際
(6)「多胎児育児支援のための両親学級:双子・三つ子の親になる人のつどい」の評価
おわりに
2)自閉性発達障害児の子育て支援モデルの開発に関する取り組み―エビデンスの活用と展開(松田,石井)
はじめに
(1)A市の育児支援教室の概要
(2)実践からのモデル開発―自閉性発達障害児の子育て支援モデルの開発とそのプロセス
(3)子育て支援モデルからの示唆―今後の教室運営の方向性と課題
(4)今回の取り組みの意味と今後の展望
3)生活習慣病予防事業におけるエビデンスの活用と展開(野口)
(1)生活習慣病予防事業の考え方
(2)生活習慣病の予防段階と対策のターゲット
(3)生活習慣病予防の具体的な活動と展開
おわりに
4)介護予防事業におけるエビデンスの活用と展開(田髙)
(1)介護予防の理論的整理
(2)エビデンスに基づいた介護予防事業の実際
5)健康危機管理におけるエビデンスの活用(宮﨑)
(1)健康危機管理におけるエビデンス活用の背景
(2)健康危機管理における保健師活動に関するエビデンスの状況
(3)健康危機管理におけるエビデンスの活用
(4)エビデンスの活用事例:地域の健康危機管理における保健所保健師の活動指針の作成
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