医学のあゆみ236巻5号 2011年1月29日でロコモティブシンドロームが特集されています。
http://www.ishiyaku.co.jp/magazines/ayumi/AyumiBookDetail.aspx?BC=286280
その中にいくつかサルコペニア関連の記事が3つありましたので紹介、引用します。
筋力と筋量の経年的変化および運動器疾患との関連……村木重之
http://www.ishiyaku.co.jp/magazines/ayumi/AyumiArticleDetail.aspx?BC=286280&AC=10006
上記HPからのサマリーの引用です。
高齢者における筋力および筋量の低下は非常に重大な問題であり,その予防対策は喫緊の課題である.著者らの研究(ROAD Study)の結果,握力,下肢伸展筋力とも 60 歳代を境に急激に低下してくることが明らかになった.さらに,下肢筋量の低下は 50 歳代よりすでにはじまっており,筋力の低下よりも早期に起こっていた.しかし,上肢筋量については,とくに女性では年齢による低下はみられず,上下肢で筋量の経年的変化に違いがみられた.一方,下肢筋力は,とくに女性において変形性膝関節症(膝 OA)の有病率と有意な相関を認めたが,下肢筋量には有意な相関はなく,筋力と筋量で違う結果が得られ,膝 OA には筋力がより強く関連していることが明らかになった.さらに,握力には QOL や転倒との強い相関がみられ,全身の筋力との相関もいわれていることより,筋力の簡便な指標として有効であると考えられた.今後さらにエビデンスを蓄積し,高齢者にとって安全かつ有効な筋力低下の予防対策を確立することが必要である.
サルコペニア――そのメカニズムと防止策としての運動……石井直方
http://www.ishiyaku.co.jp/magazines/ayumi/AyumiArticleDetail.aspx?BC=286280&AC=10014
上記HPからのサマリーの引用です。
加齢に伴う筋量低下(サルコペニア)には,加齢そのものに起因する要素と,加齢や疾患に伴う筋活動の低下に起因する要素が含まれる.いずれの場合にも,筋線維周囲の液性環境と,筋の幹細胞である筋サテライト細胞の増殖活性が関与すると考えられる.筋力トレーニングに代表される高負荷強度運動は,これらの両者に対してプラスの効果をもつことから,サルコペニアの予防・改善にも有用と考えられる.しかし,こうした高負荷強度運動は,運動器や循環器へのストレスが大きいという欠点があり,低負荷強度で筋肥大と筋力増強をもたらすトレーニング法の開発が望まれる.エビデンスを伴う低負荷強度トレーニング法として,血流制限下でのトレーニングや筋発揮張力維持スロー法(LST 法)があげられるが,安全性や取り組みやすさを考慮すると,LST 法がサルコペニア予防のためのトレーニング法として適していると思われる.
サルコペニアの発症メカニズム――廃用性筋萎縮との類似点と相違点から……河野尚平・二川健
http://www.ishiyaku.co.jp/magazines/ayumi/AyumiArticleDetail.aspx?BC=286280&AC=10017
上記HPからのサマリーの引用です。
サルコペニアとは,加齢に伴い骨格筋量および筋力が徐々に減少していく現象である.このサルコペニアは高齢者の骨折,寝たきりの大きな原因となっている.一方,若者でもギプス固定や寝たきりになると筋肉量が減少してしまう.また,屈強な宇宙飛行士も宇宙空間に長期間滞在すると,帰還後すぐには起き上がることができないくらいにまで筋力が低下する.このような筋肉量の減少は廃用性筋萎縮とよばれる.サルコペニアと廃用性筋萎縮は筋量・筋力の減少という特徴はよく似ているが,発症メカニズムはまったく同一というわけではない.本稿では,2 つに共通するメカニズムと,サルコペニアに特徴的なメカニズムについて概説したい.
これらの論文では加齢、疾患、活動(廃用)が原因のサルコペニアが紹介されていますが、栄養が原因のサルコペニアに関しては紹介されていないようです。また、目次全体を見ても栄養に関する原稿は1つもなさそうです。ロコモティブシンドロームは、栄養にはあまり縁がないのかもしれません。広義のサルコペニアでは栄養が重要ですが…。
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