Krim SR, Campbell P, Lavie CJ, Ventura H. Micronutrients in Chronic Heart Failure. Curr Heart Fail Rep. 2012 Oct 16. [Epub ahead of print]
慢性心不全では、低栄養や心臓悪液質を認める場合に生命予後が悪いことが明らかになっています。3大栄養素は当然重要ですが、微量栄養素(ビタミン、微量元素)欠乏が心不全を悪化させている可能性があります。この論文ではビタミンD、ビタミンB群、コエンザイムQ10、Lカルニチンを主に取り上げています。
慢性心不全患者では、ビタミンD不足や欠乏を認めやすく、ビタミンD欠乏が独立した生命予後因子という報告もあります。ただし、ビタミンD投与の有効性に関しては、賛否両論の状態です。
ビタミンB1欠乏は慢性心不全患者の13~33%に認めます。ビタミンB1欠乏のリスク因子は高齢、低栄養、入院患者、ループ利尿剤の使用です。小規模なRCTですが、慢性心不全患者へのビタミンB1投与で心機能が改善したという研究結果があります。
Schoenenberger AW, Schoenenberger-Berzins R, de Maur CA,
et al. Thiamine supplementation in symptomatic chronic heart
failure: a randomized, double-blinded, placebo-controlled, crossover
pilot study. Clin Res Cardiol. 2012;101:159–64.
慢性心不全患者に対するコエンザイムQ10投与の系統的レビューが2つあります。最近のは下記のものになります。EFが3.7%改善したという結果ですが、古い研究が多く最近の薬物療法が行われていないため、現在でも有効かどうかは不明確です。
Sander S, Coleman CI, Patel AA, et al. The impact of coenzyme
Q10 on systolic function in patients with chronic heart failure. J
Card Fail. 2006;12:464–72.
慢性心不全患者ではLカルニチンが低値を認めやすいですが、投与の有効性は不明です。
現状ではビタミンD欠乏の場合には補充する、ビタミンB1に関しては欠乏の可能性があれば補充するというくらいでよいかと思っています。
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