稲川利光著、リハビリの心と力、学研メディカル秀潤社を紹介します。
管理栄養士がリハを学ぶのに最適な書籍です。
http://gakken-mesh.jp/book/detail/9784780910544.html
稲川先生には先週の第14回Met3・NST研究会で大変お世話になりました。
http://rehabnutrition.blogspot.jp/2012/09/14met3nst.html
医師やPT・OT・STが栄養の重要性を学ぶには、参考になる書籍やHPがたくさんあると感じています。一方、管理栄養士がリハの重要性を学ぶには、参考となる書籍やHPが比較的少ないと感じていました。
この書籍は、リハビリの力をナラティブ中心に強く訴えてきます。リハは単なる機能回復だけでなく、障害は残っていても最後までその人らしく生きるためのさまざまな働きかけであることが、よくわかります。
そして、栄養管理の重要性に関してもしっかり紹介されています。リハの書籍で栄養の重要性をこれだけページ数を割いて記載しているのは、他にはないと思います。この点で管理栄養士がリハを学ぶのに最適な書籍だと思います。急性期での栄養評価の要点を引用します(p96)。
①入院早期より低栄養を疑うこと。
②低栄養があればその原因と対策を考えること。
③基礎疾患および合併症に関しては、その病態や治療の方針など主治医や看護師からの情報を得ること。
④現在の栄養状態でリハビリが可能かどうかを判断すること。
⑤栄養状態やその改善にあわせてリハビリの内容を検討すること。
⑥食事の環境に配慮すること。
⑦栄養管理の目標を患者のADLやQOLの改善におくこと。
以上、引用です。これらはまさに「リハ栄養」の取り組みといえます。そして、生活再建の環は疾病の治療(合併症の予防)、リハビリ、栄養の3つで構成されることを主張しています。さらに体の栄養も重要ですが、心の栄養も大切だと訴えています。生活を見据えた栄養とリハのあり方を考えさせられます。
医師、看護師、PT・OT・STが読んでももちろん学びは多いのでおすすめです。しかし、リハに関わる機会がありリハ栄養に関心のある管理栄養士に一番おすすめです。栄養からみたリハだけでなく、リハからみた栄養を学ぶことができますので、多くの管理栄養士に読んでほしいと思います。
目次
【第1章 希望に向かって寄り添うリハビリ】
互いを大切にする心を学ぶ
希望を実現する—リハビリの心と力
そのひと言に、みんなの心が救われた
生への意欲を支えるまわりとのかかわり
ほか
【第2章 リハビリの力】
人間らしく生きる権利の回復をめざす
ICFに基づく考え方
リハビリの基本的なアプローチ
1 四肢を動かすこと
2 座ること
3 口腔ケア
4 噛むこと
5 生活環境を調整する
6 手を添える
7 栄養管理
脳卒中から緩和ケアまでのリハビリ
脳卒中のリハビリ
廃用症候群のリハビリ
がんのリハビリ
がんのリハビリ〜緩和的リハビリ
緩和的リハビリ
【第3章 やさしさに支えられ、いまここにいる】
チームで、地域で支えるリハビリ
父のこと。まわりまわって—やさしさはお互いさま
シベリア帰り
心のお膳立て
栗ごはんで知った被災地のやさしさ
死ぬ間際に思うこと
布団の中は
ほか
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