2012年9月21日金曜日

脳からストレスを消す食事

武田英二著、脳からストレスを消す食事、ちくま新書を紹介します。

http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480066213/

脳によい食事「ブレインフード」という概念は、今回初めて聞きました。脳の可塑性から考えるブレインフードとして、239ページに以下のようにあります。以下、引用です。

脳によい食事は、主食であるご飯に主菜、副菜がついた一汁三菜のバランスがとれた食事です。主菜にはDHA、EPAが含まれた魚介類を持ってきて、副菜は野菜の煮物、漬け物で食物繊維やミネラルを補充する、そして具だくさんの味噌汁をつける――これが脳によい食事です。

一見、当たり前のように思えるかもしれませんが、当たり前の食事や栄養管理が現代ではなかなか実践が難しくなっています。リハ栄養的に考えると、認知リハを頑張っても、食事や栄養管理に大きな問題があれば、認知機能を最大限改善させることは難しいといえます。

飢餓や不適切な栄養管理のときにレジスタンストレーニングや長時間の持久力増強訓練は禁忌と言っています。飢餓や不適切な栄養管理のときに認知リハは禁忌とまでは言えませんが、栄養はリハのバイタルサインですから、栄養を無視した認知リハには改善の余地があるかと思います。

この書籍では生理学を栄養学を上手に絡めて執筆されています。生理学だけですとどうしても難解になりがちで関心を持ちにくいのですが、最近の栄養学の知見を含めて紹介されていますので、わかりやすく興味を持ちながら読み進めることができます。

例えば、コルチコトロピン放出ホルモン(CRH)や副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)は食欲を抑えるホルモンです。コルチゾールは食欲を増進させます。薬剤でコルチゾールを投与するとACTHの分泌が抑制される結果、食欲を抑制するホルモンがほとんど分泌されないために肥満になりやすくなります。

脳卒中の栄養管理というと、まずは低栄養や過栄養の評価と治療(リハ栄養含め)が求められます。その次のステップとして、本書に出てくるようなブレインフードと認知リハ(と薬剤など)の併用による認知機能の改善に踏み込んでいくことが今後の課題かもしれません。多くの方にお勧めしたい書籍です。

目次
第1章 食事が脳をつくる
第2章 食べ物で変わる脳の働き
第3章 食べ物が引き起こす脳のトラブル
第4章 食べ物が心と身体を健康にする
第5章 脳ストレスを食べ物でなくす
第6章 ブレインフードが脳をよくする
第7章 脳によい食事を実践する

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