2009年12月31日木曜日

持久力低下とリハ栄養

持久力には筋肉の持久力と全身の持久力が含まれますが、ここでは全身の持久力について考えます。
あくまで仮説ですので、ご意見などありましたらよろしくお願いいたします。

持久力低下の原因として、栄養面が関連するものとあまり関連しないものにわけて考えます。

<栄養面が関連する原因>
・飢餓、侵襲
 短期の飢餓では肝臓、筋肉のグリコーゲンが枯渇
 長期の飢餓では貧血を合併
 侵襲でもグリコーゲン枯渇、貧血合併

・貧血(一部)
 鉄欠乏性貧血、葉酸・ビタミンB12欠乏性貧血

・肥満

・悪液質
 Evansらの悪液質の診断基準の1つに「疲労」が含まれている

<栄養面があまり関連しない原因>
・易疲労性、全身倦怠感を認める疾患の合併
 貧血、甲状腺機能亢進症、うつ病、感染症、心不全、呼吸不全など

・廃用症候群
 一定期間以上の安静臥床による

・加齢
 10~20代がピークで、その後徐々に低下する
健康栄養フォーラム:加齢が局所筋量で補正した換気閾値や最高酸素摂取量に及ぼす影響~20-80歳の日本人男女を対象とした横断研究~のHP
http://www.linkdediet.org/hn/modules/pico/index.php?content_id=164

・その他
 環境、その日の体調、日ごろの運動習慣、高次脳機能障害など

実際には複数の原因を合併していることが少なくないと思われます。

持久力を増加させるには、栄養面からのアプローチ、リハ・運動面からのアプローチの両方が重要であり、リハ栄養の考え方が有用です。まずは原因を適切に評価することが大切と考えます。

その上で、適切な臨床栄養管理のみで十分な場合、適切な運動療法・リハのみで十分な場合、臨床栄養管理と運動・リハの併用が必要な場合に分けられます。

一番問題なのは、飢餓、侵襲、栄養に関連する貧血、悪液質による持久力低下に対して、安易に運動・リハのみを行うことです。適切な臨床栄養管理を行わずに運動・リハを行うと、さらに持久力が低下する可能性が高いと考えます。

持久力がなくてPT・OT・STの訓練ができないと嘆いたり、体力がないからと安易に運動・リハを行ったりする前に、栄養面も含めて持久力低下の原因を考えることが、ADL、QOLの向上につながると思います。

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