2010年2月10日水曜日

呼吸ケアチームとリハ栄養

今度の診療報酬改定で点数は未定ですが、呼吸ケアチーム加算が新設されることになりました。算定要件などを記載します。

呼吸ケアチーム加算(週1回) ○○○点
[算定要件]
① 一般病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料(一般病棟)及び専門病棟入
院基本料の届出病棟に入院しており、48 時間以上継続して人工呼吸器を装着
している患者であること
② 人工呼吸器装着後の一般病棟での入院期間が1ヶ月以内であること
③ 人工呼吸器離脱のための医師、専門の研修を受けた看護師等による専任のチ
ーム(呼吸ケアチームという)による診療等が行われた場合に週1回に限り算
定する
[施設基準]
① 呼吸ケアチームは専任のア)~エ)により構成する
ア) 人工呼吸器管理等について十分な経験のある医師
イ) 人工呼吸器管理等について6カ月以上の専門の研修を受けた看護師
ウ) 人工呼吸器等の保守点検の経験を3年以上有する臨床工学技士
エ) 呼吸器リハビリテーションを含め5年以上の経験を有する理学療法士

リハ栄養的に考えると、急性疾患で人工呼吸器管理中の患者さんは、呼吸筋の筋萎縮が著明なことが多いため、私は上記の4職種以外に管理栄養士など栄養に詳しい職種が参加することが望ましいと考えます。

呼吸筋の筋萎縮の原因も、大きく以下の5つに分類できます。

廃用性筋萎縮
飢餓・侵襲
サルコペニア
悪液質
原疾患(神経筋疾患など)

廃用性筋萎縮は安静・不活動により生じる筋萎縮で、人工呼吸器管理下ではモードにもよりますが、合併している可能性が高いです。

飢餓はエネルギー消費量と比較してエネルギー摂取量が不足している場合ですが、人工呼吸器管理下では、不適切な栄養管理がされていることがあり、その場合には飢餓を合併します。

侵襲は手術、骨折、熱傷、発熱、感染症など生体へのストレスによって生じますが、急性疾患による人工呼吸器管理では当然感染など何らかの侵襲がありますので、侵襲による呼吸筋萎縮は必須と考えます。また、侵襲下の栄養管理は、単に多くのエネルギーを投与すればよいというわけではありません。

サルコペニアは狭い定義で加齢により生じる筋肉量の減少ですが、高齢の人工呼吸器管理患者ではサルコペニアを合併している可能性があります。

悪液質は、がん、慢性閉塞性肺疾患、慢性感染症(結核、AIDSなど)、慢性心不全、慢性腎不全、関節リウマチなど関連する複雑な代謝症候群で、筋肉の喪失が特徴です。人工呼吸器管理患者ではがん、慢性閉塞性肺疾患などを合併している可能性が多々あります。

原疾患による筋萎縮を合併していることも時にあります。

以上より、人工呼吸器管理患者が、様々な呼吸筋萎縮の原因を合併している可能性があります。それによって、呼吸筋萎縮への対応が異なるといえます。

特に廃用性筋萎縮や侵襲はほぼ必発であり、そのため適切なリハと栄養管理の併用が必要で、リハ栄養的な考え方が有用です。点数が具体化してから呼吸ケアチームを検討する施設が少なくないと思いますが、その際には管理栄養士など栄養に詳しい職種の参加を推奨します。

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