今日はP.F.ドラッカーのネクスト・ソサエティ、ダイヤモンド社を紹介します。アマゾンでは200円弱で中古書を購入できるようです。
http://book.diamond.co.jp/_itemcontents/0201_biz/19045-3.html
目次
第Ⅰ部 迫り来るネクスト・ソサエティ
第1章 ネクスト・ソサエティの姿
第2章 社会を変える少子高齢化
第3章 雇用の変貌
第4章 製造業のジレンマ
第5章 企業のかたちが変わる
第6章 トップマネジメントが変わる
第7章 ネクスト・ソサエティに備えて
第Ⅱ部 IT社会のゆくえ
第1章 IT革命の先に何があるか?
第2章 爆発するインターネットの世界
第3章 コンピュータ・リテラシーから情報リテラシーへ
第4章 eコマースは企業活動をどう変えるか?
第5章 ニューエコノミー、いまだ到来せず
第6章 明日のトップが果たすべき五つの課題
第Ⅲ部 ビジネス・チャンス
第1章 企業家とイノベーション
第2章 人こそビジネスの源泉
第3章 金融サービス業の危機とチャンス
第4章 資本主義を越えて
第Ⅳ部 社会か、経済か
第1章 社会の一体性をいかにして回復するか?
第2章 対峙するグローバル経済と国家
第3章 大事なのは社会だ――日本の先送り戦略の意図
第4章 NPOが都市コミュニティをもたらす
読む順番としては、「はじめて読むドラッカー」三部作の『プロフェッショナルの条件』、『チェンジ・リーダーの条件』、『イノベーターの条件』(この順番で)が先で、その次に読んだほうがよい本だと感じています。
ざっくり言うと、次の社会(2010年時点ではすでに現在ですね)は「知識社会かつ少子高齢社会」です。知識はより専門化、細分化されます。情報は誰でもいつでもどこでも容易に入手できますので、それを一人ひとりが知識に変換することが可能です。
少子高齢社会のインパクトは今もありますが、数十年後は格段に大きくなります。今の定年の目安は60~65歳ですが、少子化による労働人口の減少、移民の急増を期待できないことを考慮すると、将来の定年は75~80歳、もしくは定年という概念自体、過去のものになっているかもしれません。私も生きていれば当分働けますね(笑)。
知識社会としてのネクスト・ソサエティには3つの特質があると書いてあります。
①知識は資金よりも容易に移動するがゆえに、いかなる境界もない社会となる。
②万人に教育の機会が与えられるがゆえに、上方への移動が自由な社会となる。
③万人が生産手段としての知識を手に入れ、しかも万人が勝てるわけではないがゆえに、成功と失敗の併存する社会となる。
そのため、組織にとっても一人ひとりの人間にとっても、高度に競争的な社会となるそうです。
NSTや臨床栄養がこの数年であっという間に広がったのは、知識社会だからという要素がかなりあります。同時に少子高齢社会で栄養障害の高齢入院患者が多くなったという要素もありますが。リハ栄養の考え方も同様に広まればよいのですが…。
ただ「いかなる境界もない」かと言われると、実際には目に見えない境界があちこちにあるように感じます。頑張るだけではそう簡単には上方への移動はできませんし、成功者(成功の定義にもよりますが)はやや固定化されているように感じます。誰もが0からのスタートと言いますが、実際にはそうではないように感じます。
また、知識労働者(医療従事者は基本的に全員、知識労働者です)の自己規定というのも興味深いです。若干文章を変えていますが、以下のように書いてあります。
たとえ働いている大学や病院を誇りにしていたとしても、本当に属しているのはそれらの組織ではない。同じ組織にいる他の分野の者よりも、他の組織にいる同じ分野の者との間により多くの共通点を持つ。
すでに同じ分野の者の組織(医師会、看護協会、PT・OT・ST協会、栄養士会など)はいろいろありますが、今後、知識の専門化、細分化とともに、同じ分野の者の組織の数は今後さらに増えていくはずです。実際将来的には、リハ栄養に関心のある人たちで1つの組織を作りたいと考えています。
急激な変化と乱気流の時代にあっては、大きな流れ(若年人口の減少、労働力人口の多様化、製造業の返信、企業とそのトップマネジメントの機能、構造、形態の変容)にのった戦略をもってしても成功が保証されるわけではない。しかし、それなくして成功はありえないそうです。
今自分たちが生きている社会がどんな社会なのかを見つめるために、自分にとっての成功とは何かを考えるために、一読をおすすめします(プロフェッショナルの条件を読んだ後に)。
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