2010年5月18日火曜日

リハ栄養カンファレンス

当院では毎週リハ科でケースカンファレンスを行っています。今回、中重度の栄養障害を合併しているケースで、私がプレゼンしたこともありますが、しっかり栄養の情報も紹介して、リハカンファレンスというよりはリハ栄養カンファレンスになった事例を一部紹介します。

BMIが15.1、ヘモグロビンが9.9、総リンパ球数が1200、アルブミンが2.6という栄養指標で、これだけ見れば中等度以上の栄養障害になります。ただ、リハ開始時のBMIはさらに低くアルブミンは1.8でした。現在、食事は全粥きざみ食(本人希望でこの食形態)全量経口摂取できていますので、栄養状態は改善傾向にあり、今後も全量経口摂取が続けば栄養改善が期待できると判断しました。

実際、病棟生活でもPT、OT場面でも栄養改善とともに易疲労性、依存性、筋力、ADLとも改善傾向にありました。まだ栄養障害は明らかにありますので、病棟生活とPT、OTの負荷量に留意しつつも、徐々に活動量は増やしていくことにしました。現時点では歩行器歩行軽介助レベルですが、今後は屋内杖歩行自立を目標にできると判断しました(私は1カ月後と予測)。

初診でみたときは重度の栄養障害で筋力も持久力もADLもかなり低下していましたので、つたい歩きの獲得さえ困難もしくは相当の時間を要するのではないかと予測しました。しかし、栄養改善とともに予測以上に筋力、ADLが改善してきました。リハ栄養がうまくいくと、これだけ改善できるという典型例だと感じました。

もちろん本人にも食事を十分摂取して栄養改善しなければ、ADLや筋力の改善は難しいことは伝えていますし、その効果もあると思います。

カンファレンスではPT、OT、看護師とも栄養状態をふまえたリハと看護の評価、プランを立てていて、リハ栄養的なディスカッションができました。当院のリハ部に関して言えば、リハ栄養の考え方が普及しつつあるように感じました。

このようなケースは多くはないかもしれませんが、栄養を改善しなければ単に訓練だけ行っても筋力、持久力、ADLの改善は難しい患者は確実にいます。リハ栄養の効果を改めて実感したケースとカンファレンスでした。

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