以前バランス障害(中枢性の運動失調、進行性疾患ではありません)に対するリハを行っていた患者さんが、最近週1回は転ぶようになったということで、外来リハの再開を希望して外来を受診されました。
運動失調自体の治癒は困難でレジスタンストレーニングやバランス訓練で代償していたのですが、何らかの原因で代償が難しくなってきたということです。
一目見てかなりやせていることがわかりました。1年前は167cm、77kg(一時は80kg以上)で少しやせたほうがよいと指導していたのですが、なんと54kgになっていました…。これだけやせれば体幹や下肢の筋力低下が生じて、転びやすくなります。実際、筋力も低下していました。
3食しっかり食べているといっていましたがよく聞くと、やせる目的で1日1食は低カロリーの配食サービスを使用したいました。そこで、早速それは中止するように伝えました。あとは体重減少を生じる原疾患がないかどうかを精査することにしました。もちろん運動療法の指導は行いませんでした。
転倒予防というとレジスタンストレーニングやバランス訓練も含めた運動療法、装具、環境整備が中心で、栄養面ではビタミンDだけが注目されています。実際、Minds医療情報サービスの骨粗鬆症の予防と治療GL作成委員会/編(06年)/ガイドライン転倒予防には、以下のような記述があります。
http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0046/1/0046_G0000129_0021.html
上記HPからの引用です。
①地域在宅高齢者に対して,転倒予防のために運動介入あるいは薬物指導や家屋内の物的環境チェックなどの多角的介入は,確実に転倒発生を抑制することから推奨される(グレードA)。
②高齢期の筋力低下に基づく転倒発生に対して,血中ビタミンD(25(OH)D)の低下している場合にはビタミンD(活性型ビタミンD)の投与を考慮してもよい(グレードB)。
③ヒッププロテクターの装着による大腿骨頸部骨折予防については,特に施設高齢者で十分なコンプライアンスの管理が可能な場合は推奨してもよい(グレードB)。
多角的介入が必要なことは転倒予防で強調されています。その中にはリハ栄養の視点が必要だと私は考えます。
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