2010年7月28日水曜日

ヨーロッパにおける高齢者栄養ケア


シーバー先生の第25回日本静脈経腸栄養学会ランチョンセミナー「ヨーロッパにおける高齢者栄養ケア」の記事が、月刊ナーシングVol.30 No.7、2010.6に掲載されていて、HPでみることができます。

http://www.nursing-gakken.com/pdf/seminar_kiji/1006_1.pdf

「悪液質とサルコペニアの区別」の項目が特に私には興味深いです。ここでは、以下のようにサルコペニアは紹介されています。サルコペニアには原発性と二次性がありますが、原発性(狭義)となっています。

「ESPEN内の組織SIG(special interest group)は,「サルコペニアは筋肉量が加齢により減少する病気で,身体的なパフォーマンスが低いこと」と定義し,「同時に機能性や自立性も失われ,最終的に生活の質も損なわれる」としている。」

「サルコペニアの診断は,①筋肉力計測(DXA法を推奨),②機能障害の判断(4m歩いたうち,1m/秒未満の歩行速度が該当)によって行うと合意した。」

一方、悪液質に関しては以下のように記載されています。診断のフローの図も引用します。

「悪液質は年齢関連の筋肉減少と異なり,「筋肉の減少は,脂肪の減少が伴う場合と伴わない場合がある」という米国の研究グループによる報告を紹介した.体重の減少,疲労,食欲減少,そのほか異常検査値から診断可能で,機能性は無関係であるという.」

最後に同じ筋肉減少症でも、サルコペニアと悪液質を区別し治療を行うことが大切だということで、下記のようにまとめています。ここでは原発性サルコペニアと悪液質(二次性サルコペニアの一部)を区別することの重要性が紹介されています。

「サルコペニアは高蛋白食とビタミンDの補給による治療が可能です.必ずしも
体重は減少しないので,栄養の介入より身体活動が重要なのです.一方,悪液質は,がんやCOPDなどの慢性疾患や中等度・高度の炎症がみられますが,体重の減少と筋量の喪失をみて栄養介入することが必要で,機能性は診断不要です.しかし,サルコペニアも悪液質も,栄養と身体活動による治療を組み合わせて,栄養状態の介入を行うことが重要です。」

リハ栄養的にとても重要なことが紹介されていますので、ぜひHPで記事を呼んでいただければと思います。

2 件のコメント:

  1. 慈恵第三・百崎です。やはりサルコペニアの診断において、筋肉量の測定は必要のようですね。先生の使用している筋肉量測定法などありましたら教えていただけたらと思います。よろしくお願い致します。

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  2. 百崎先生、コメントどうもありがとうございます。研究ではCT、MRI、DEXA、BIAによる筋肉量測定が望ましいですが、臨床でルーチンで使用できるのは、BIAくらいです。実際にはBIAも行わずに上腕と下腿の周径で判断することが多いです。周径のみの判断の問題点は、Sarcopenic Obesityを見逃すことですね。

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