2010年7月17日土曜日

ぼくらの頭脳の鍛え方:必読の教養書400冊

今日は、立花隆、佐藤優著、ぼくらの頭脳の鍛え方:必読の教養書400冊、文春新書を紹介します。

http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784166607198

上記のHPで数ページですが、内容を立ち読みできます。私は持っていませんがiPad風に読めます。

アマゾンの同書のHPに著者・佐藤優さんからのコメントがありますので、少し長いですが、引用します。

http://www.amazon.co.jp/%E3%81%BC%E3%81%8F%E3%82%89%E3%81%AE%E9%A0%AD%E8%84%B3%E3%81%AE%E9%8D%9B%E3%81%88%E6%96%B9-%E6%96%87%E6%98%A5%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E7%AB%8B%E8%8A%B1-%E9%9A%86%E3%83%BB%E4%BD%90%E8%97%A4-%E5%84%AA/dp/4166607197/ref=dp_return_1?ie=UTF8&n=465392&s=books

中世哲学に、「博識に対抗する総合知」という基本原則がある。いくら断片的知識をたくさん持っていても、それが総合され、縦横無尽につかいこなすことができなければ意味がない。立花隆さんが「知の巨人」と呼ばれるのは、まさにこのような総合知を体得しているからだ。
立花隆さんとの対談は、文字通り、真剣勝負なので緊張する。お互いに相手の発言には最後まで耳を傾け、何を考えているのかを理解する。その上で、賛成できることには賛成し、異論がある部分については、そのことを率直に述べる。実にすがすがしいやりとりができたと思う。
この対談で面白かったのは、私と立花さんとの間にあるいくつかのねじれが明らかになったことだ。立花さんは、相対性理論、量子力学を知っている現代人がカントの『純粋理性批判』の世界にとどまっていることは、知的に不誠実であると考える。これに対して私は、『純粋理性批判』がニュートン力学的な「古い物理学」に基づいているが故に重要と考える。現実の国際政治や市場が、ニュートン力学的な世界観を基礎に動いている。国際法や国際連合も基本的にカントの時間、空間概念によって組み立てられているからだ。
私は、地動説を知っている現代人も、日常的には太陽、月、星が地球を回っていると受け止めているので、天動説で世界について語ってもよいのではないかと思うのだ。ただし、ニュートン力学、カントの批判理論、天動説がそれぞれ偽りの理論であるという認識をもっておく必要がある。
われわれを取り巻く世界は、嘘と悪に包まれている。それを見抜くために教養が必要なのだ。嘘に騙されず、悪に極力関与しない生き方をするための実用性をこの本はもっている。ほんとうの実用性は、「ハウツー」式では身につかない。自分で考えることを繰り返すことによって体得する教養こそが、真の実用性をもつことを、私は立花さんとの共同作業を通じて読者に伝えたいのである。

以上、引用です。この書籍を読んで自分がいかに古典的な一般教養の本を読んでいないかを改めて認識しました。何冊かは読んだことがある本もありましたが、特に歴史、ビジネス以外の文系の書籍に関しては無知に等しいです。

「嘘に騙されず、悪に極力関与しない生き方をするための実用性」はとても大切だと感じています。レベルの高いエビデンスがないのに、1-2例の症例報告だけで「この治療法は有効だ」という話には騙されないようにしていますが、この書籍で出てくるような教養はとても身につけていないというのが現状です。

知の全体像をつかむことは困難でも、知の全体像がどんなものかをイメージするのに役立つ書籍です。われわれを取り巻く世界は、確かに嘘と悪に包まれていると感じます。嘘と悪を見抜くための教養をできる限り身につけておきたいです。

最後に、立花隆の実践読書術十四カ条を抜粋しておきます。「若いときは、何をさしおいても本を読む時間をつくれ」に尽きるかと思います。

(1)金を惜しまず本を買え
(2)1つのテーマについて、一冊の本で満足せず、必ず類書を
  何冊かもとめよ
(3)選択の失敗を恐れるな
(4)自分の水準に合わないものは、無理して読むな
(5)読みさしでやめることを決意した本についても、一応終わりまで
  1ページ、1ページ繰ってみよ
(6)速読術を身につけよ
(7)本を読みながらノートを取るな
(8)人の意見や、ブックガイドのたぐいに惑わされるな
(9)注釈を読み飛ばすな
(10)本を読むときには、懐疑心を忘れるな
(11)オヤと思う箇所(いい意味でも、悪い意味でも)に出会ったら、
  必ず、この著者はこの情報をいかにして得たか、あるいは、
  この著者のこの判断の根拠はどこにあるのかと考えてみよ
(12)何かに疑いを持ったら、いつでもオリジナル・データ、
  生のファクトにぶちあたるまで疑いをおしすすめよ
(13)翻訳書でよくわからない部分に出合ったら、自分の頭を疑うより、
  語訳ではないかとまず疑ってみよ
(14)若いときは、何をさしおいても本を読む時間をつくれ

目次
第1章 読書が人類の脳を発達させた―狂気の思想、神は存在するか、禅の講話
ブックリスト1 知的欲望に満ちた社会人へ―書斎の本棚から二百冊
第2章 二十世紀とは何だったのか―戦争論、アメリカの無知、スターリンの粛清
第3章 ニセものに騙されないために―小沢一郎、官僚は無能だ、ヒトゲノム
第4章 真の教養は解毒剤になる―マルクス、貧困とロスジェネ、勝間和代
第5章 知の全体像をつかむには―東大生・立花隆、神学生・佐藤優、実践読書術十四カ条
ブックリスト2 すぐ役に立つ、すぐ買える―文庫&新書二百冊

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