2010年1月14日木曜日

第13回日本病態栄養学会

先週末の第13回日本病態栄養学会の一般演題で発表した「栄養障害は廃用症候群のリハビリテーションに影響を与えるか」の抄録を掲載します。

【目的】廃用症候群はリハビリテーション(以下リハと略す)の主要な対象障害の1つであり、一部の患者では栄養障害を合併している。栄養障害が廃用症候群のリハビリテーションに与える影響を検討する。
【方法】対象は2006年6月から2007年3月に当院リハ科に併診があり、リハ科医師が総合的に廃用症候群と診断した入院患者129人。平均年齢68.1歳、男性81人、女性48人。入院から併診までの中央値19日(14.5、28.5)。退院時の廃用症候群の帰結で、改善群(A群)78人と改善しなかった群(B群)51人の2群に分類した。両群で併診時の年齢、性別、併診までの日数、BMI、ヘモグロビン、総蛋白、アルブミン、総リンパ球数との関連を症例対照研究で検討した。統計学的解析は、カイ2乗検定(性別)、Mann-Whitney U検定(併診までの日数、総リンパ球数)、t検定で行い、α=0.05と設定した。
【結果】平均ヘモグロビン(A群10.42、B群9.62、p=0.01)と総リンパ球数(中央値A群1368、B群1046、p=0.01)に有意差を認めた。年齢(A群66.7、B群70.1、p=0.24)、性別(A群男性50女性28、B群男性31女性20、p=0.70)、併診までの日数(中央値A群18、B群22、p=0.57)、BMI(A群21.6、B群20.5、p=0.14)、総蛋白(A群6.17、B群6.05、p=0.44)、アルブミン(A群2.68、B群2.58、p=0.35)には有意差を認めなかった。
【考察】リハ開始時のヘモグロビンと総リンパ球数が低い患者では、廃用症候群が改善しないことが多かった。ヘモグロビン10以下、総リンパ球数1200以下といった中等度以上の栄養障害が、廃用症候群のリハに影響を与える可能性が示唆された。
【結語】栄養障害は廃用症候群のリハに影響を与える可能性がある。中等度以上の栄養障害を合併する廃用症候群の患者では、リハと適切な臨床栄養管理の併用が望ましい。

発表資料はリハ栄養サイトにPDFファイルを添付資料として置きましたので、興味のある方はご参照ください。

http://sites.google.com/site/noventurenoglory/

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