2010年1月26日火曜日

仮説思考

今日はライトワークス監修、江口夏郎、山川隆史著の仮説思考、ファーストプレスを紹介します。

http://www.firstpress.co.jp/?p=38

この本もライトワークス・ビジネスベーシックシリーズの1冊です。仮説思考の本も何冊もありますが、このシリーズが最もわかりやすいです。

仮説思考とは、現在入手できる情報から、最もありそうな仮の結論を考え出して、
それをベースに行動していくという考え方です。

実際には、仮説の構築→仮説の検証→検証結果の判断→仮説の構築(進化)のサイクルを繰り返して回していくことで、特に問題解決の際の原因追究(Whyの仮説)や対策立案(Howの仮説)のステップで活用します。

仮説思考のメリット、つまりなぜ仮説思考を行うかの理由として、以下の3点が紹介されています。

・仮説であることを意識することにより思い込みを回避できる。
・仮説の構築、検証を繰り返していくことにより、最終的に正しい答えに行き着く可能性が高くなる。
・仮説を構築、検証することにより、多数の可能性を排除でき、時間が短縮できる。

仮説思考というと一見難しそうですが私たちは日々の仕事の中で、意識しているか無意識かの違いはありますが、仮説思考を行っています。

なぜこの患者さんは栄養状態が悪いんだろう、嚥下機能が悪いんだろうと考えることも仮説思考です。栄養ケアプランや嚥下リハプランの立案も仮説思考です。

日々の臨床で唯一絶対の正解が1回で見つかることは少ないので、最もありそうな仮の考え・結論ということで、栄養ケアプランや嚥下リハプランを立てて実際に行って、1週間後などに再評価して、その仮説が正しかったかどうかを確認しているのが実情だと思います。

「優秀なビジネスパーソン」と「平凡なビジネスパーソン」を分かつポイントは、仮説思考ができるか否かであるとまえがきに書いてあります。これはビジネスパーソンだけでなく、医療人にも当てはまると私は考えます。

臨床研究のうち相関関係や因果関係を見る量的研究(ランダム化比較試験、コホート研究、症例対照研究など)は、基本的に帰無仮説を作成して、その仮説を否定する(差がない可能性が5%未満=pが0.05未満)ことで、統計学的有意差があるということを検証していますので、まさに仮説思考です。

相関関係や因果関係を見る量的研究では厳密に仮説思考を行わなければいけませんが、日々の臨床ではそこまで厳密に行わなくてもよいと思います。

ただ、仮説思考を行っていることを常に意識することで、より質の高い仮説を最初から構築できるようになります。一方、意識しなければ構築する仮説のレベルは一向に変わらないかもしれません。この本を一読して仮説思考を意識しながら日々の臨床を行うことをおすすめします。

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