今日は、齋藤淳子著、コーチングのプロが教える質問の技術、ダイヤモンド社を紹介します。下記のHPでまえがきと最初の10ぺージ程度を立ち読みできます。
http://book.diamond.co.jp/cgi-bin/d3olp114cg?isbn=978-4-478-36061-3
コーチングのスキルは大きく分けて、傾聴、承認、質問、提案があると思います。難易度もこの順番に上がっていきますので、適切な質問のスキルというのは意識しないと身につけることができません。
私が質問のスキルの重要性を痛感したのは、質的研究でフォーカスグループインタビューを行ったときです。初めて行った時には、自分が相手の回答を途中で遮っている、ここで深い質問をすれば思いや経験をより引き出せたのに掘り下げずに別の話題に行ってしまった、沈黙に耐えられない、などありがちなミスをたくさんやっていました。インタビューを何回か繰り返す中で、少しずつ質問のスキルが改善した気がします。
この書籍では具体的な質問のスキルは第5章に紹介されています。目次だけ紹介します。
・確認をとり、コミットメントを高めるクローズド・クエスチョン
・考えさせ、発見を促すオープン・クエスチョン
・オープン・クエスチョンは5W1Hを使って聞く
・情報を整理する限定質問
・思考を広げる拡大質問① WHATを使う
・思考を広げる拡大質問② WHYを使う
・思考を広げる拡大質問③ HOWを使う
・かたまりをほぐす(チャンクダウン)質問
・かたまりにする(チャンクアップ)質問
・広く情報をとる(スライド)質問
・現状を肯定的に認識させる質問
・未来に夢を抱かせる質問 未来質問と仮定質問
・成功のビジョンをつくる質問① モデリングする
・成功のビジョンをつくる質問② リソースを探す
・実際に質問するときの5つのステップ(現状を明確にする質問、望ましい状態を明確にする質問、ギャップを起こしている背景・理由を明確にする質問、行動を決定する質問、フォローのための質問)
WHY、WHAT、HOWの質問を上手に活用することは極めて重要です。1回だけでなく3~5回くらいはこれらの質問を繰り返して掘り下げることが有用です。実際に質問するときの5つのステップは、まさに問題発見・解決のサポートです。コーチングだけでなく、仮説思考、問題発見・解決も知っておくと、より適切な質問ができます。
コーチングでスキルより大切なことは心構えです。第1章に
・答えは必ず相手のなかにある
・答えが返ってこなくても聞き続ける
・厳しい質問をしても信頼関係は壊れない
があります。このような心構えがなければ、質問のスキルだけ身につけてもうまく活用できません。もし答えは相手のなかに全くないと思ったら、それはコーチングではなくティーチングの対象でしょう。TPOでコーチングトティーチングを使い分けることが大切です。医療人はティーチングに走りがちですが、コーチングすべき相手にティーチングしても逆効果となる可能性があります。
今週末の神奈川NST合宿でも、コーチングのミニレクチャーがあります。コーチングの重要性は、医療人のなかで高まる一方という印象です。
目次
1 コーチングは質問からはじまる(質問はコーチングのコアスキル
人を育てる質問、育てない質問 ほか)
2 質問力を高めるコミュニケーション術(部下の話を聞く上司になる
ストーリーに沿って話を引き出す ほか)
3 ひとつの質問から職場が変わる(小さな質問からコミュニケーションが変わる
質問は部下へのメッセージ ほか)
4 同じ質問をしても反応が違うのはなぜ?(それぞれ反応が異なる4つのタイプ
コントローラータイプ ほか)
5 質問のスキルを学ぼう(確認をとり、コミットメントを高めるクローズド・クエスチョン
考えさせ、発見を促すオープン・クエスチョン ほか)
2010年10月11日月曜日
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ふむふむ、勉強になります。
返信削除ななこさん、どうもありがとうございます。タイトルは技術(スキル)ですが、やはり心構え(アート)も大切ですね。
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